
アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
第2回日豪外務・防衛閣僚協議
共同ステートメント2008
(仮訳)
平成20年12月18日
(骨子)(英語版)
- 中曽根弘文日本国外務大臣、浜田靖一日本国防衛大臣、スティーブン・スミス・オーストラリア外務大臣及びジョエル・フィッツギブン・オーストラリア国防大臣は、2008年12月18日に東京において会談し、地域及びグローバルな安全保障上の課題と日豪間の協力を強化する方途について意見交換を行った。第2回日豪外務・防衛閣僚協議では、日豪間の安全保障協力を促進し、また、アジア太平洋地域及びそれを越える地域の平和と安定に共に貢献していくため、包括的かつ戦略的な安全保障・経済パートナーシップに関する2008年6月の共同ステートメントにおいて日豪両首脳が行ったコミットメントを再確認した。
- 閣僚は、長きにわたる友情関係、民主主義という共通の価値、戦略的利益及び米国との共通の同盟関係に基づく、両国間の包括的かつ戦略的なパートナーシップが強固であることを強調した。閣僚は、安全保障協力に関する共同宣言及び同宣言を実施するための行動計画(2007年)の下で、日豪間の安全保障協力が継続的に進展していることを歓迎し、それらが国際の平和と安定に貢献していることに留意した。
- 閣僚は、二国間協力及び米国との三か国の協力を促進することとした。閣僚は、日米豪戦略対話(TSD)及び安全保障・防衛協力会合(SDCF)の下での実際的な協力を歓迎し、米国のアジア太平洋地域における継続的な戦略的関与の重要性を再確認し、米国新政権と緊密に連携していくことへのコミットメントを強調した。
- 閣僚は、地域及びグローバルな課題に関する、多国間協力の文脈での緊密な日豪協力の重要性を強調した。かかる協力は、日豪両国にとり有益であり、また、地域の安全と繁栄を促進した。閣僚は、安全保障理事会改革を含む国連改革を支持するために協力していくこととした。
戦略的課題
- 閣僚は、日豪間の緊密な戦略的関係が、アジア太平洋地域に位置する両国にとり重要性を増してきていることについて認識を共有した。閣僚は、両国の国際政策にとって、米国との強い同盟関係及び多国間の枠組みへの包括的関与が重要であることに留意した。
- 閣僚は、テロの脅威、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散等に関し、地域及びグローバルな安全保障を支えていくことへの共通のコミットメントを強調した。閣僚は、北朝鮮の検証可能な非核化に向けた六者会合のプロセスへの支持を再確認し、北朝鮮に対して、日本人の拉致問題への取組等を通じて、日朝関係の改善に向けて前向きな措置をとることを求めた。
- 閣僚は、イラクにおける日本の自衛隊と豪州軍との間の協力を歓迎し、国際的な安全保障において日本の役割が拡大していくことを支持した。閣僚は、インド洋における日本の補給支援活動及びアフガニスタンにおける国際治安支援部隊(ISAF)での豪州の活動を含む、テロ対策に関する継続した国際的な取組の重要性を強調した。
- 閣僚は、アジア太平洋経済協力(APEC)、東アジア首脳会議(EAS)及びASEAN地域フォーラム(ARF)における日本及び豪州の協力を歓迎するとともに、アジア太平洋共同体に関する豪州の提案に言及しつつ、アジア太平洋地域の将来について地域での議論を継続していくことの重要性を確認した。閣僚は、地域の安定及び繁栄のため、協力を強化し、地域の他国と共に建設的に取り組んでいくこととした。
安全保障協力
- 閣僚は、双方が早期に議論するための行動計画の改定案を豪州が提案したことに留意しつつ、行動計画(2007年)に基づく安全保障協力につき相当の進展があったことに留意した。
防衛協力
- 閣僚は、平和維持、テロ対策、人道支援、災害救援及び拡充された防衛交流等の分野における更なる実際的な二国間協力を推進するための基盤として、日豪防衛相会談において防衛協力に関する覚書が改定されたことを歓迎した。閣僚は、防衛当局間による強化された戦略的な対話を促進するための取組が行われていることを歓迎し、そのような議論は政策を発展させていく上で重要であることに留意した。
- 閣僚は、2008年5月の日豪防衛相会談での決定に従って設置されたワーキング・グループを通じて日豪間のロジスティックス協力に関する検討を加速することを決定した。
- 閣僚は、2008年6月の共同ステートメントにおいて日豪両国の首脳間で確認されているとおり、部隊間交流、艦艇及び航空機の訪問及び訓練を含め、防衛協力の拡充を継続することを確認した。閣僚は、2008年7月の海上自衛隊艦艇のカカドゥ訓練への初参加、2008年9月の訓練目的での海上自衛隊P-3Cの豪州訪問、2007年10月の航空自衛隊U-4の豪州初訪問、豪海軍艦艇の日本訪問及び豪空軍AP-3Cの日本訪問を含め、最近の交流が成功裡に進められていることを歓迎した。
- 閣僚は、2008年2月に日本で実施された太平洋長距離航空輸送セミナー、2007年10月に実施された初の三か国によるP-3C訓練及び2008年5月に実施されたARF災害救援演習における三か国の協力を含め、SDCFの下で日米豪三か国の安全保障・防衛協力が拡充されていることを歓迎した。
情報共有
- 閣僚は、情報保全政策の向上に支えられたより緊密な情報共有は、二国間及び日米豪三国間の安全保障協力のあらゆる分野におけるより緊密な協力のための重要な支援となることを強調した。閣僚は、それぞれの国において施行されている法令の範囲内で情報共有を促進するための協力に関する日豪両政府間のあり得べき法的枠組みについての議論を、2009年の早期に開始することを決定し、また、当該議論のための指針として情報保全に関する基本的な原則を確認した。
その他の安全保障上の課題についての協力
- 閣僚は、太平洋島嶼国における安定、ガバナンス、持続的経済成長・開発を促進するための実際的な協力を強化していくこととした。閣僚は、ソロモン諸島における協力の強化に対する日本のコミットメントを歓迎した。閣僚は、2009年の第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議を成功させるため、豪州が日本と共に協力していくことを確認した。閣僚は、対話を通じてフィジーに関与していくことの重要性について留意し、フィジー暫定政権に対しできる限り早期に民主的選挙を実施することを求めた。
- 閣僚は、災害管理の分野における地域的協力を強化することの必要性を強調した。この文脈で、閣僚は、TSD人道支援・災害救援第1回会合が開催され、実際的な協力のための人道支援・災害救援ガイドラインが採択されたことを歓迎した。また、閣僚は、ARF等における、人道支援及び災害救援についての更なる二国間の交流及び協力を進めていくこととした。閣僚は、豪州とインドネシアによる防災ファシリティの設立の提案を歓迎した。
- 閣僚は、豪州のアジア太平洋軍民協力センターや日本の広島平和構築センターといった日豪それぞれの平和構築のための組織についての情報共有の重要性を確認した。
- 閣僚は、G8テロ対策行動グループを通じた協力に加え、日米豪三か国間でのテロ対策協力の進展を歓迎した。
- 閣僚は、開かれた安全な海上交通路の重要性を強調し、海上安全保障のための各国の及び国際的な努力を強化することの重要性について認識を共有した。
- 閣僚は、軍縮・不拡散の分野における緊密な二国間協力を歓迎した。特に、閣僚は、2010年の核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議の成功に向け貢献し、核兵器のない世界に向けた実際的で現実的なロードマップを示し、さらに、核不拡散と整合的な適切な方法による原子力エネルギーの平和的利用へ再び大きな関心が寄せられていることに対応する必要性を認識しつつ、日本及び豪州が共同議長を務める、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会を、核不拡散・軍縮という喫緊の普遍的目標に対する重要かつ実際的な貢献として歓迎した。
次回協議
- 閣僚は、次回日豪外務・防衛閣僚協議を豪州で2009年に開催することを確認した。