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我が国のインドネシア向け津波被災支援について
(一部報道における事実誤認)

一部報道についての抗議(PDF)

平成18年3月24日

 平成16年12月26日に発生したスマトラ沖大地震およびインド洋津波被害に際し、わが国は、5億ドル(約500億円)の無償による支援を被災国に対し実施し、そのうち、246億円については、二国間無償資金協力として、インドネシアに146億円を供与しました。

 わが国の支援に関し、報道の一部に明らかな誤解・事実誤認も見られますので、以下のとおり事実関係についての疑問にお答えします。

1. 報道によれば、日本の支援については「90億5千万円」しか使われておらず、残りの「56億円」の行方が不明であるとのことですが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. そのような指摘はまったく事実に反します。インドネシア向けの支援については、支援総額146億円の全額につき、既に土地権利台帳の修復や地域輸送の要である西岸道路の修復をはじめとする、さまざまな事業への支援を決定しています。現在調達手続又はその準備を経て各種事業が順調に行われています。
  2. 外務省ホームページには、使途が確定した支援の中で、すでに契約が締結されているものの一覧が掲載されています。この一覧の中での支援総額と契約済み額との差額は、入札準備・手続中の案件や、契約手続中の案件であり、資金が行方不明ということは全くありません。

(参考)

 本年3月23日時点での実施状況は次のとおりです。

  供与額 契約額 業者への支払額
インドネシア 146億円 約80億円 約26億円

 業者等への支払が済んでいない資金は、インドネシア政府の調達代理機関である財団法人日本国際協力システム(JICS)の調達口座に入金され、適正に管理されています。

 JICSの調達口座とは、契約に基づく業者への支払いのために開設される口座であり、資金使途が確定した段階で、相手国の政府口座から調達口座へ資金が送金されます。調達口座に移動された資金は、物資の調達や工事の進捗といった業者契約に定められた条件に基づき、順次契約業者に支払われます。JICSは本口座の資金管理について相手国政府に報告する義務を負っています。

2. 報道によれば、援助資金は飯村大使の署名がなければ使用できないとのことですが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

 まったく事実に反します。実施する事業はインドネシア政府が、在インドネシア日本大使館と協議した上で、主体的に決定したものです。援助資金の使途については、これが日本国民の税金を原資とするものであることから、日本政府の同意を得ることとなっていますが、一旦決定した案件に関する資金の支出について、飯村大使の署名が必要ということは一切ありません。

3. 昨年4月12日、インドネシア側のアルウィ大臣(当時)から渡邉公使に対して追加の要望を伝えたにもかかわらず、結局受け入れられなかったという指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. そのような事実は一切ありません。そもそも昨年4月12日に、飯村大使に代わって渡邉公使がアルウィ大臣(当時)に面会したという事実もありません。
  2. 飯村大使は4月12日に、防災対策等に関する一般的な意見交換を行うためにアルウィ大臣に面会しており、その際渡邉公使と担当書記官が大使に同行しています。しかしながら、アルウィ大臣が渡邉公使に対して津波被災支援につき追加の要望を伝えたという事実も、結局受け入れられなかったという事実もありません。
  3. 飯村大使とアルウィ大臣との意見交換においては、ノンプロ無償により実施予定の職業訓練センターに対する支援に関し、飯村大使がアルウィ大臣に対して候補地を視察した結果を報告し、迅速な実施の必要性を両者で確認していますが、そもそも職業訓練センターについては、飯村大使とアルウィ大臣が面会した時点で既に支援対象となっており、追加の要望をうけたことはありません。

4. 日本の支援はインドネシア政府の要望に基づいていなかったとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. このような指摘は事実に反します。今回の支援により実施する事業、調達する物品や役務の一切については、インドネシア政府自らが優先順位をつけ、日本側と協議の上、選定し、インドネシア政府の調達代理機関であるJICSを通じ、調達しています。
  2. 今回の津波被災支援に際して、日本政府は常に被災国の要望に沿った支援を迅速に行うことに最大限の意を用いており、支援開始直後から、インドネシアを含む被災国政府と緊密に意見交換や協議を行ってきています。したがって、わが国の支援がインドネシア政府の要望に基づいていないということは一切ありません。

5. 報道によれば、援助資金は12ヶ月以内に使うものとされていますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. 今回の支援に関し政府間で合意されているのは、12ヶ月以内にすべての資金に関する業者への支払いを終えることではなく、12ヶ月以内にすべての使途を決定し、調達手続又はその準備のため、インドネシア政府の口座から支出することです。
  2. 実際に、援助資金の全額について既に使途が決定し、資金は全額インドネシア政府と契約を結び同国政府の調達代理機関となっているJICSの調達口座に移管されています。資金は日インドネシア両国政府間の合意に従い、適切に管理・使用されています。

6. 西岸道路緊急復旧事業に関し、届く予定の建設機材59台のうち、39台が届けられていないとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. まったくの事実誤認です。JICSによれば、この事業では、建設機械32台及び車両38台の合計70台が調達されており、既にすべての建設機械・車両が、荷受人であるインドネシア公共事業省に引き渡されており、復旧事業において活用されています。
  2. 機材を一部しか受け取っていないと指摘したとされる「アディ・カルヤ社」は、西岸道路工事の施工業者ではありますが、この事業における建設機材等の契約上の荷受人ではありません。なお、同社が西岸道路工事の施工業者であることは、外務省のホームページで確認することができます。

7. 護岸工事事業に関し、外務省の説明によれば契約者のひとつであるはずの「アディ・カルヤ社」が契約を結んでいないと発言しているとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

 まったくの事実誤認です。JICSによれば、実際にJICSは咋年12月12日に同社と契約を締結しています。同社は、外務省ホームページにも契約対象者として掲載されています。

8. ラジオ・テレビ局支援事業に関し、ラジオ局の要望とは異なる物資が調達されているとの指摘があります。
(1)この事業では、実際に何が調達されるのですか。

(答)

  1. JICSによれば、ラジオ局の修復のために以下の物品・役務が調達されます。
    • 事務所用備品(事務机、椅子等)
    • 取材用車両(2台)
    • 放送用簡易機材(携帯型録音システム、携帯型ミキサー等)
    • 放送用機材(スタジオ用録音機材、スイッチャー、中継車両等)
    • ラジオ局の修復工事
  2. 調達される物品の一切は、インドネシア側が決定したものです。

(2)インドネシア側が希望する中継車、中継機材が調達されなかったのはなぜですか。

(答)

 指摘は事実と反対です。中継機材が装備された中継車両については放送用機材として調達対象に含まれています。この支援については既に契約が行われており、現在、納入手続が行われている最中です。

(3)報道では、「インドモービル・トラザ・ナショナル社」は放送用機材を納入するとされていますが、実際の契約関係はどうなっているのですか。

(答)

 JICSによれば、JICSは「インドモービル・トラザ・ナショナル社」との間で、取材用車両(4台)の納入について7月27日に契約しています。放送機材については、同社との契約関係はありません。

(4)インドネシア側の要請ではなく、日本側が決めたノートパソコン、ポータブル録音機等がラジオ局に届けられたとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。また、パソコン10台640万円との指摘があるが事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. JICSによれば、この事業では、当面の放送活動で最低限必要となる簡易放送機材(携帯型録音システム、携帯型ミキサー等)を調達しています。ノートパソコンは、単体として調達されたものではなく、音声デジタル編集用として「録音システム」の一部として調達されたものです。記事にある「パソコン10台で640万円」という指摘は、契約書や応札書に一切記載がなく、出所不明の数字です。
  2. 先程も述べたとおり、調達される物品の一切はインドネシア側が決めたものです。

(5)調達した机と椅子の発注先の家具メーカーの通常の売値が9千円で約50万円で調達可能な家具が約100万円もの値が付けられているとの指摘があります。事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. JICSによれば、ラジオ局に提供したのは、机と椅子のセット合計61セットとキャビネット15台です(机と椅子については仕様と値段の異なるセットが3種類あります)。約100万円の契約金額は、これらの機材の費用だけではなく、輸送費、輸送保険、設置代等も含まれた金額です。
  2. JICSによる調達は、複数社間の価格競争の結果に基づいて行われており、恣意性は排除され、適正な金額で調達されています。

(6)調達された資機材等は、市場価格よりも高額で取引されているとの指摘がありますが、これらに関する事実関係はどうなっているのですか。

(答)

 調達した資機材等の価格は複数社間の価格競争の結果によるものであり、JICSが恣意的に設定した価格ではありません。

(7)大統領選挙の際、同じメーカーから選挙箱を調達したとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。なぜこの家具メーカーと契約しているのですか。

(答)

 JICSによれば、今回の津波被災支援における放送局用家具の調達及び大統領選挙における選挙箱の購入は、双方ともに価格競争の結果同じメーカーから調達されているのであって、恣意的に選定する余地はありません。

(8)テレビ局向け支援の進捗状況はどうなっているのですか。トヨタバン一台のみ納入というのは事実ですか。

(答)

 テレビ局に既に取材用車両1台を引き渡しているほか、もう1台についても、間もなく引き渡される予定です。放送機材一式については、現在調達手続を行っているところです。テレビ局向け支援は津波で被害を受けた放送用機材および取材用の車両の供与であり、以下の物品が供与されることとなっています。

9. JICSによる手数料の二重取りが行われているとの指摘がありますが、事実関係はどうなっているのですか。

(答)

  1. まったく事実に反します。インドネシア政府とJICSとの間の調達代理契約において、JICSに支払われる調達代理手数料は、事務所維持費・一般管理費(2,500万円)及び業者契約毎の手数料(契約額の2%)であることが決められています。3億1千百万円という額は、これら事務所維持管理費及び手数料の合計額の上限です。したがって、指摘されているようにこの金額に加えて業者契約後毎の手数料(契約額の2%)が支払われるということはなく、二重取りとの指摘はまったく当たりません。
  2. 実際に、インドネシア政府からJICSに支払われる手数料は調達代理契約にしたがって業者契約が締結された後に支払われています。

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