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ASEM第5回テロ対策会議 議長サマリー(仮訳)

於:東京、日本
2007年5月15-16日

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  1. 2007年5月15-16日、東京においてASEM第5回テロ対策会議が開催された。この会議は、2002年のASEM第4回首脳会合で採択された「国際テロリズムに関する協力のためのASEMコペンハーゲン宣言」に沿って、北京(2003年)、ベルリン(2004年)、スマラン(2005年)及びコペンハーゲン(2006年)において開催されたこれまでのASEMテロ対策会議の結果をフォローアップし、さらにこれを発展させる目的で開催された。ASEM参加国及びテロ対策関係機関、即ち、国際法執行アカデミー・バンコク(ILEA・バンコク)、ジャカルタ法執行協力センター(JCLEC)、東南アジア地域テロ対策協力センター(SEARCCT)、国連テロ対策委員会事務局(UNCTED)及び国連犯罪薬物事務所(UNODC)より代表者が参加した。会議は須田外務省国際テロ対策協力担当大使が議長を務め、中国及びデンマークがワーキング・グループ議長として協力した。会議は、新たなASEM参加国であるブルガリア、インド、モンゴル、パキスタン及びルーマニアの会議への参加を歓迎した。
  2. この会議は、テロリズムは全ての市民及び国家並びにアジア、欧州その他の地域の国際の平和と安全に対する脅威であることを認識した。会議は、あらゆる形態及びやり方のテロリズムを、その実行者、場所や目的、その背景や動機の如何に拘わらず、強く非難した。会議は、2006年9月のASEM首脳会合におけるテロとの闘いに向けた首脳による決意を想起し、テロへの対処においては、国際法、特に国連憲章、人権の尊重及び国際人道法に従った国際社会による包括的なアプローチの重要性を強調した。同時に、会議は、テロリズムを特定の宗教、人種、国籍又は民族と結びつけようとする如何なる試みも拒否することを強調した。
  3. この会議は、最近のテロリズムによる脅威評価を共有し、国際社会によるテロとの闘いは多くの進展を達成した一方で、テロリズムは依然として国際の平和と安全に対する深刻な脅威であることを認識した。会議は、情報の共有、出入国管理・国境管理の強化、テロ資金、テロリストによる大量破壊兵器の使用、テロリストによるメディア、特にインターネットの使用に対する対策を含む、テロ対策協力の更なる強化の必要性を認識した。
  4. この会議は、ASEM参加国のテロ対策能力の向上の重要性を認識した。また、会議は、政治的、経済的、外交的、法的及びその他の方法を含む国際社会による一致団結した取組の必要性を強調した。この関連で、会議は、地域内及び地域間協力のさらなる促進を呼びかけた。参加者は、テロ対策支援協力の潜在力を十分に活用するためのアジアと欧州間の連携強化の観点から、支援ニーズ及びASEM参加国、地域テロ対策センター及び国連の支援スキームに関する情報を共有した。
  5. この会議は、テロとの闘いにおける国連の主導的役割に対するASEMの確固たる支持を再確認した。会議は、2006年9月の国連グローバル・テロ対策戦略に関する総会決議の採択を歓迎し、同戦略の完全な履行を確保するためASEM参加国が協力するとの決意を再確認した。この関連で、会議は、UNCTC/CTED(国連テロ対策委員会/事務局)、タリバーン・アルカーイダ制裁委員会及びUNODC(国連薬物犯罪事務所)の役割の重要性を強調した。会議は、各国による全ての国連テロ防止関連条約・議定書の締結及び完全な履行並びに関連する国連決議の完全な履行を要請した。この観点から、会議は、UNODCが各国による普遍的なテロ対策関連条約・決議の締結及び履行を支援する上で補完的な役割を果たすことができることに留意した。会議は、包括テロ防止条約案に関する交渉の早期妥結を要請した。会議は、2007年1月に採択されたASEANテロ防止条約の採択をテロ対策の法的枠組の強化のための国際的な取組を補強する地域的な手段として、歓迎した。
  6. この会議は、異なる文化及び文明間での相互理解の拡大及び促進の必要性と、この目的のために、ASEM参加国及び国際社会の間での宗教間、文化間、文明間、及びメディア間対話の推進し、国民一般の認識と支持を促進する必要性を強調した。「文明の同盟」イニシアティブはこの目的に貢献し得る。会議は、過激化の防止のための取組の重要性を強調した。会議は、この観点から、ASEM参加国による対策について情報を共有した。この関連で、参加者は、テロリストのイデオロギーを拒否するための国民参加の意義を確認した。また、参加者はテロリズムの被害者への支持を表明した。
  7. この会議は、さらに、ASEM参加国による以下の取組を提案した。
    • 包括的で、各国が連携した、一貫性のある対処を促進するために、情報共有と適切なテロ対処能力向上を通じ、国内、地域及び国際的なレベルにおいて協力する。
    • 貧困、教育を含むテロの拡大を助長し得る環境の改善について取り組み、紛争の平和的解決、人権及び法の支配の重要性を想起する。
    • 地域的及び国際的な活動を補完するための対処能力向上及び技術協力プログラム・活動を進展させる。
    • 宗教間、文化間及び文明間の対話を促進する。
    • テロ対策の議論に際し、不用意に誤解を生じさせないよう適切な用語を使用する重要性を想起する。
    • 国連事務局と緊密に協力し、国際、地域及び国内のレベルにおいて国連グローバル・テロ対策戦略の完全な履行に向けて努力する。
    • 関連する全ての国連安保理決議及びその他のテロ対策に関する普遍的な手段の完全な履行を確保するために、国連テロ対策関連委員会と協力する。
    • 国際テロに関する既存の全ての国際条約及び議定書の批准、加入及び履行を要請する。
    • 包括テロ防止条約の交渉の早期妥結を求める。
    • 地域テロ対策センターとの協力を強化する。
    • ASEMの提案の分析及び履行のためのASEMコンタクト・ポイントを完成及び毎年更新し、その情報を中国に提出する。
  8. 次回のASEMテロ対策会議は2008年、スペインにおいて開催される。この会議の結果は、2007年5月29-30日、ドイツ・ハンブルグにおいて開催されるASEM第8回外相会議に報告される。
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