我々,アジア20か国及び欧州29か国の首脳,欧州理事会議長,欧州委員長並びにASEAN事務局長は,アジア欧州会合第9回首脳会合(ASEM9)のため,2012年11月5日及び6日にラオス人民民主共和国のビエンチャンに集い,
1996年の新たな包括的な「更なる成長のためのアジア欧州パートナーシップ」の形成以来,ASEMが顕著な発展を遂げてきたことを強調しつつ,
アジアと欧州との間の協力を強化するための大きな機会が存在すること,及び同時に,両地域が,性質上国際的なものであり,両地域の平和及び発展に影響を及ぼす多面的な課題に直面していることを確認し,
経済及び社会の持続可能な発展に貢献する,永続的な平和,安全,安定並びに人権及び基本的自由の尊重の環境を作るという我々の強い希望及び集団的意志を表明し,
パートナーシップの連携を確立することを通じて地域機関及びフォーラムの間の協力を強化することがアジア及び欧州における平和と安定の環境の創出を目的とした一層の相互協力に貢献することを強調し,
アジア及び欧州における安全保障環境が密接に関連しており,世界経済の相互依存が一層深まっており,並びに両地域及び世界の平和及び発展のための強力なパートナーシップとしてのアジアと欧州との間の相互協力に関する多大な可能性があることを認め,
「次の10年間へとプロセスを導くための作業方法及び機構体系を継続して改善する」という2006年に採択されたASEMの将来に関するヘルシンキ宣言を想起し,
ここに,
平和のためのパートナーシップの強化
- 両地域の国民が真の永続的な平和及び安定のうちに生活することを確保し,彼らの安全及び尊厳に対する重大な脅威となる戦争を人類から根絶するとの強い願望を支援するという我々のコミットメントを再確認した。
- 国及び地域の特性及び多様性を理解し,及び尊重しつつ,国民の福祉を向上し,特に,政治的,経済的,科学的,技術的,社会的,文化的及び人道上の分野における進展及び成果から生ずる利益を通じて国民の願望の達成に貢献するため,ASEM参加国間の相互理解及び信頼,善隣及び友好の関係を促進することを目的としてあらゆる分野において対話を促進し,良い関係を強化し,及びパートナーシップを発展させることを決意した。
- 各国国民の間の友好及び連帯が,これら国民間の一層の緊密な関係の発展に繋がる相互信頼を一層促進し,並びに彼らに人的開発,社会福祉及び公正のための機会への公平なアクセスを与え,もって,人間指向型のASEMを推進することにより,彼らの福祉及び生計を拡充することを確信した。
- 国連憲章及び国際法に従い,政治的制度を自由に選択し,経済的,社会的及び文化的発展を自由に追求するとのASEM参加国国民の権利を尊重する我々の決意を再確認した。
- 武力による威嚇又は武力の行使を,いかなる国の独立,主権及び領土保全に対するものも,また,国連憲章及び国際法と両立しないいかなる方法によるものも慎み,並びに国連憲章及び国際法に従って対話,交渉その他の手段により紛争の平和的な解決を求めるとのコミットメントを新たにした。
- 国連憲章及び国際法に従い,民主主義の原則,法の支配,良い統治,男女同権,社会正義及び人間の安全保障並びに人権及び基本的自由の尊重を共に堅持することを表明した。
- 信仰間対話の重要性並びに社会的一体性,平和及び発展の促進への同対話の有益な貢献に留意しつつ,ASEM信仰間対話を深化させ,拡充するとのコミットメントを新たにし,この分野における「国連の文明の同盟」の役割を認め,並びに「穏健派によるグローバルな運動」によって明確にされた穏健主義の概念を確認した。
開発のためのパートナーシップの強化
- ASEM参加国間の一層緊密な経済的及び社会的な一体性及び統合を構築し,及び開発格差を縮めることとなる経済的及び技術的協力を不可欠な要素として,開発におけるアジア欧州間のパートナーシップを強化するという強い意志を強調した。
- 貧困と闘い,国際的に合意された開発目標を達成し,貧困撲滅,公平で持続可能な開発及び包摂的な成長を確保するためにMDGs目標を達成することにコミットした。我々は,ポスト2015年開発目標に関する国連ハイレベルパネルの作業及び他の関連する情報を考慮に入れつつ,ポスト2015年開発目標の早期の妥結のための透明性のある,かつ,包摂的な政府間プロセスに期待する。
- 持続可能な開発,すなわち,持続可能な経済成長,社会的発展及び環境保護を達成するためのコミットメントを再確認した。我々は,国連持続可能な開発会議(リオ+20)の結果に沿う形で,現在国連総会により設置されている透明性がある,かつ,包摂的な政府間プロセスを通じて国連持続可能な開発目標を確定させることの重要性を強調した。これらの目標は,2015年以降の国連開発アジェンダに整合的なものとして統合すべきである。
- 持続的な世界経済の回復,適度な雇用の創出及び経済発展の必要条件である開放的で公平なルールに基づく物品及びサービスの貿易並びに投資を促進し,市場を拡大し,及びあらゆる形態の保護主義に抵抗し,ルールに基づく多角的貿易体制を強化し,並びにドーハ開発アジェンダ・ラウンドを妥結するために様々な新たな,かつ,信頼し得るアプローチを探求し続けることにコミットした。
- 食糧安全保障,エネルギー安全保障,水資源管理,物価の変動,国際通貨金融制度の改革,失業,特に若者の失業,災害管理,貧困撲滅,不平等,不法移民,人身売買等の主要な世界的な経済的及び社会的課題の解決に向けての共通の,かつ,効果的な努力を早急に強化する必要性を強調した。これらの分野における進展は,持続可能な開発,経済的及び社会的平等の拡大,公正,法の支配,持続可能な生計並びに資源管理のための確固とした基礎となる。
- 気候変動への取組において協力を強化することの重要性を強調し,国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第17回締約国会議(COP17)によって定められているように議定書,法的文書又は法的効力を有する合意成果を作成するために協調することの重要性を改めて表明した。我々は,バリ行動計画,カンクン合意及びダーバン合意を十分に実施するためのコミットメントを確認した。我々は,緩和,適用,資金及び技術の移転を含む分野において協調するよう努力する。
- 1997年のアジア金融危機及び欧州における現在の経済的及び財政上の課題から学んだ教訓を共有することにコミットするとともに,経済,財政及び貿易の問題において,世界経済の長期的で強力な均衡のとれた持続的な成長に寄与するような協力を増大させることの必要性を強調した。
- 社会的及び文化的な協力及び発展を促進するとともに,文化及び教育分野の交流,青年交流,スポーツ,観光及び学術の分野の交流を増大させ,議員,報道関係者,市民社会,学術関係者及びトラック2の機関の接触の拡大を促進することにより,人的交流の増大を推進することを決意した。
- ASEMを新たな進展及び要請に適合させ,ASEM協力をアジア欧州間の連携を常に強化するような高い水準に引き上げるよう共に務め,及びASEMの非公式な性格並びに平和及び開発に関する協力プロセスにおける協力網及び柔軟性を維持しつつ,ASEMの作業方法及び機構体系を改善するよう継続して努め,もって,世界の安定及び繁栄に貢献することを決意した。
我々,ASEMの首脳は,平和及び開発のための包括的であり,平等な,かつ,相互に有益なアジア欧州間のパートナーシップを強化するために,この宣言の完全な実施を支持する。
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