
アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
アジア欧州会合第6回首脳会合議長声明(骨子)
平成18年9月10~11日
1.ASEMの10年:グローバルな課題、共同の対処
- ASEMがアジア・欧州間の多面的な対話及び政策形成の場として成長したことを強調し、平和と安定の促進における成果を歓迎。
2.地域情勢
- EU統合は域内の平和、安定及び発展に寄与。東アジアの共同体形成プロセスを支持。第1回EASを歓迎。東アジア共同体の形成は域内外の平和、安全、繁栄等に貢献。東アジア地域協力へのEUの参加を期待。
- 朝鮮半島情勢:半島の非核化、北朝鮮の核問題の対話を通じた解決の重要性。さらなる状況悪化を招き得るいかなる行動も差し控えられるべき。北朝鮮に、六者会合への即時無条件復帰、第4回六者会合共同声明の迅速な実施に向けた作業を要請。安保理決議1695を支持。北朝鮮のミサイル発射実験に深刻な懸念。人道上の懸念への対処の重要性を強調。
- 東ティモール:UNMIT設立に係る安保理決議1704、情勢安定化支援に係るASEMメンバー等の貢献を歓迎。国際社会が同国の一体性、国家発展プロセスへの同国自身のオーナーシップを尊重しつつ支援を行うよう要請。
- ミャンマー:ASEANの努力、国連事務次長の同国訪問を歓迎。国連事務総長の継続的努力を支持。同国がASEAN、国連及び国際社会と建設的関係を持つよう慫慂。国民和解プロセスの具体的成果・包含性の欠如を深く懸念。政党への制限の早期解除、拘束者の早期開放、全当事者間の実効的対話を要請。
- アフガニスタン:同国政府の権限確立支援が必要。安定化・復興支援への長期的決意。ガバナンス強化、同国内外での薬物対策及び非合法武装集団解体を含む治安分野の改革が重要。
- レバノン:イスラエル・ヒズボラの敵対行為停止に係る安保理決議1701を歓迎。同国領土へのアクセスの障害をすべて除去することを全当事者に要請。武器禁輸の全関係国による遵守が必要。同決議の迅速・完全実施に向け引き続き建設的役割を果たすよう要請。
- 中東和平:包括的、公正かつ持続的和平のための努力、イスラエル・パレスチナ紛争の交渉による解決を支持。
- イラン:イランの核プログラムに係る国際的懸念に対する外交的・平和的解決の追求にコミット。同国に、安保理決議1696及びIAEA理事会決議履行を要請。同国の濃縮活動停止、IAEAとの協力の継続的不履行を詳述する8月31日付IAEA事務局長報告を懸念とともに留意。同国がEU3+3提案に肯定的に回答するよう要請。
- イラク:国民和解・法の支配促進を優先事項とする同国政府の取組を歓迎。イラク・コンパクトに留意。同国の一体性、治安、安定及び繁栄の確保に向けた努力を支持。同国への国際的関与を慫慂。
3.多国間主義の強化と安全保障上の脅威への対処
- 国連を中核とした公平、公正かつルールに基づく多国間国際システムを支持。国連主要機関の改革の必要性を含め国連首脳会合で合意された改革及び約束の履行が重要。平和構築委員会・人権理事会設置等を歓迎。MDGs履行の決意。国際刑事裁判所の役割を議論。
- 軍縮及びWMD・同運搬手段の不拡散強化に係る関連諸条約の普遍化・遵守・履行が重要。CTBT早期発効等が重要。通常兵器の取引に係る法的基準作成努力を歓迎。小型武器の非合法移転防止に係る協力強化を決意。
- テロとの闘いの決意。テロ拡散原因への対処が重要。テロと特定の宗教等とを結びつける試みを拒否。国連包括テロ対策戦略採択を歓迎。テロ関連国連条約・決議等の加入・実施を要請。WMDテロの防止・関連条約の早期発効が必要。テロ資金防止が重要。ASEMの実際的なテロ対策協力を称賛。
- 重大組織犯罪への実効的対処は共通利益。国際組織犯罪条約等の実施等多国間システムの役割が重要。アジア・欧州間の海上交通路の脅威軽減を重視。海上及び航空交通の安全を議論。
- 三大感染症、新型インフルエンザ等健康への地球規模の脅威と闘う決意。予防、治療等へのアクセスに係る目標達成の努力の決意。鳥インフルエンザ対策に係る研究協力、監視体制の創設、迅速な初動、資金提供の約束の履行が重要。
- 国連システムの極めて重要な調整上の役割を再確認。地球規模での災害削減活動及び能力強化が必要。国連中央緊急対応基金の設立を歓迎。
4.グローバリゼーションと競争力
- グローバリゼーションがもたらす挑戦と機会への対処には構造改革や効果的政策が必要。
- WTOドーハ・ラウンド交渉の中断に深い遺憾の意を表明。交渉の早期再開のため全当事者に政治的意志と柔軟性を要請。ベトナムの2006年11月までの加盟及びラオスの早期加盟への強い支持を表明。
- 地域貿易協定は、野心的・包括的で、WTOルールと整合的であることが重要。
- 両地域間の経済協力深化へのコミットメントを確認。より緊密な経済パートナーシップ宣言のレビューのため早期に会合するよう経済閣僚に要請。効果的な知的財産権保護及び海賊版・模倣品対策へのコミットメントを強調。アジア欧州ビジネス・フォーラム(AEBF)の政策提言に留意し、ビジネス界の関与の重要性を強調。2007年中国での第1回中小企業担当大臣会合開催を歓迎。
- ASEM財務協力の強化の必要性を再確認し、ウィーン財務大臣会合の結論を歓迎。IMFガバナンス改革への提案を支持。2008年韓国での財務大臣会合開催を歓迎。
- 変化する世界経済には構造調整が伴うことから、積極的な労働市場政策の必要性、第1回ASEM労働・雇用大臣会合の重要性を強調。2008年インドネシアでの第2回会合開催を歓迎。移民分野での協力促進で一致。
- 人的資源は経済・社会発展の鍵。人への投資として基礎教育、職業能力開発、生涯学習の重要性を強調し、2008年ドイツでの第1回教育大臣会合開催を歓迎。
- ベトナムでのICT閣僚会合開催を支持。
5.環境及びエネルギー安全保障を含む持続可能な開発
- 貧困削減、MDGs達成、世界的繁栄へのコミットメントを再確認し、国内資金及びODAを含む資源の実質的増大の必要性を強調。
- 森林保全、砂漠化・違法伐採対策及び海洋協力の重要性を強調。「3R」イニシアティブ等の持続可能な生産・消費を促す活動及び教育プログラムの重要性を強調。2007年デンマークの環境大臣会合開催を歓迎。
- 気候変動対策への可能な限り幅広い協力と参加の必要性を認識し、「ASEM6気候変動宣言」を採択。
- エネルギー安全保障と環境対策の関連性を強調。エネルギー効率、再生可能・代替エネルギーの利用促進によりエネルギー・サービスへのアクセスが向上することを確認。幾つかの国が原子力を選択肢の一つとして選んだことに留意。エネルギー憲章条約の重要性に留意。安定的な投資環境の重要性を強調。
- 技術の伝播及び能力開発の重要性を強調。
6.文化・文明間の対話
- 文化・文明間の対話と協力は無知や偏見を克服し相互理解と寛容を促進する上で極めて重要。ユネスコ文化多様性条約の実施を奨励。
- 文化大臣が定期的に会合するよう慫慂し、マレーシアの第3回文化大臣会合主催を歓迎。
- ASEM異なる信仰間の対話の重要性を強調。宗教に名を借りた暴力や宗教に基づく偏見を非難し、すべての宗教の人々の相互理解と信頼構築の努力を支持。
7.アジア欧州財団
- アジア・欧州間の知的・文化的・人的交流を促進するアジア欧州財団(ASEF)の役割を支持。特に若者及び市民社会の関与が重要。
- ASEF財政の長期的安定のための解決策を歓迎。
8.ASEMの将来
- 多国間主義の強化及び共通のグローバルな脅威への対処、グローバリゼーション、競争及び世界経済の構造変化、健康、科学技術、MDGs、気候変動、環境及びエネルギー等の持続可能な開発、文化・異なる信仰間の対話等の鍵となる政策分野に焦点を当てる。2006-2008年の作業計画及び新しいイニシアティブを承認。
- EUに加盟するブルガリア、ルーマニア並びにアジア側からインド、モンゴル、パキスタン、ASEAN事務局が、各地域の内部プロセス完了後にASEMプロセスに参加することを歓迎。
- 「ASEMの将来に関するヘルシンキ宣言」を採択。AECF2000を次の10年の要請及び新たな進展に適応させることの要否の検討を高級実務者に指示。
- 2008年10月24~25日に第7回首脳会合を開催するとの中国の提案を受け入れ。