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気候変動に関するASEM6宣言(仮訳)
2006年9月10~11日
我々、アジア13か国及び欧州25か国の首脳並びに欧州委員会委員長は、2006年9月10日及び11日に第6回アジア欧州会合のためにヘルシンキに集い、
-気候変動が持続可能な開発と地球の将来にとって深刻な脅威であることを認識し、
-気候変動による悪影響の科学的証拠の増加、並びに、海面上昇、異常気象現象の頻度と程度、及びその他の気候変動の悪影響の増加のリスクを懸念し、
-国連気候変動枠組条約及び京都議定書の究極的な目的、原則、及びコミットメント、並びにその完全な実施に対する我々のコミットメントを強調し、
-気候変動のグローバルな性質は、気候変動枠組条約の原則に従った、実効的かつ適切な国際的対応への可能な限り幅広い協力と参加を必要とすることを認め、また、ASEMパートナーは、緩和及び適応の措置のための長期的政策及び即時の行動を形成し案出する重要な役割を有していることを認識し、
-開発途上国の持続可能な経済成長及び貧困撲滅を達成するための正当な優先的ニーズを認識し、
-ASEM5の成果に基づき、
-ASEMの一つの重要な優先事項は、共通の懸念であるグローバルな課題に関する対話を前進させることであること、また、このパートナーシップの下での協力は他の場における気候変動に関する議論の結果を予断するものではないことを想起し、
以下の宣言を発出することを決定する。
国際的行動の必要性
- 我々は、気候変動に対処し、大気汚染を緩和し、地球環境を改善させるという相互に関連する複数の目標を果たし、同時に持続可能な開発及びエネルギー政策目標との相乗作用にも貢献するために、決意と緊急性をもって行動することにコミットしている。
- 我々は、気候変動のグローバルな性質は、気候変動枠組条約の原則に従った、実効的かつ適切な国際的対応への可能な限り幅広い協力と参加を必要とすることを認識しつつ、気候変動枠組条約の究極的な目的を達成することを目指して、国際協力を通じて、共通だが差異のある責任と各々の能力との原則に基づいて、気候変動に対応することを決意している。我々は、ミレニアム開発目標の達成を促進するために持続可能なエネルギー・サービスへのアクセスを改善すべく協働することを誓約する。
- ASEM参加国は気候変動枠組条約及び京都議定書の加盟国であることに留意し、我々は、同条約及び議定書の下におけるコミットメントを実行することを決意している。我々は、同条約及び議定書のコミットメントを果たすためにASEMの京都議定書附属書I国によって実行され計画されている活動を認める。我々は、ASEMの京都議定書非附属書I国で、自発的に持続可能な開発を達成するために実行され、気候変動の緩和に貢献した重要な政策、プログラム、措置を評価する。我々は、同条約及び議定書の関連条項に従った、ASEM開発途上国の能力強化及びそれらの国への資金的・技術的支援の供与を含め、同条約及び議定書を更に実行するために協力する。
- 我々は、同条約及び議定書が、気候変動に対処する更なる行動を発展させるための適切な国際的枠組みを提供することを再確認する。我々は、モントリオールでの気候会議の結果を歓迎し、今後の、ナイロビ及びその他の気候変動枠組条約関連会合の成功のために作業することを決意している。我々は、同条約の下で気候変動に対処するための長期的協力の行動に関する対話を前進させるために更に協力することにコミットしている。それは条約の履行を強化し、経験を共有しあい、気候変動への対処の戦略的アプローチを分析するための重要な機会を提供する。我々は、京都議定書附属書I国の更なるコミットメントに関する我々の議論の成果を確保し、同時に、第一と第二約束期間に空白が生じないことを確保することにコミットしている。我々はまた、ナイロビでの気候会議において開始される議定書の見直しの成果を期待している。
気候系に優しい解決策のための技術と投資の活用
- 我々は、気候変動とエネルギー供給の安全保障は相関関係にあることを認識する。我々は、2030年までにASEM諸国のエネルギーセクターに推定6.3兆米ドル(注1)という莫大な資源が、投資されると予測し、これを挑戦でありまた機会であると見なす。我々は、既存であれ新規であれ、いかなる関連する選択肢も見逃すことなく、低炭素技術の開発・移転・普及、及びASEM開発途上国による一層クリーンで気候系に優しい技術へのアクセスを促進すべく協力する。我々は、各地の状況に合わせて、エネルギー効率を高め、新・再生可能エネルギーの利用を促進することにコミットしている。我々は、また、より長期的には技術的革新が必要となることを強調し、更なる可能性が探求されていることを歓迎する。我々は、既存の二国間の、地域の、及びグローバルなパートナーシップを重視し、気候系に優しい技術の研究、開発、移転、普及における広範な国際的協働の更なる強化を期待する。
(注1)国際エネルギー機関「ワールド・エネルギー・アウトルック」
- 我々は、既にある、全ての関係者にとって利益となる環境にとって健全な投資の機会に促され、気候に関する懸念を国の持続可能な開発政策・戦略・プログラムに組み込む必要性を強調する。我々は、国際金融・開発協力機関と協働し、クリーン・エネルギーと開発に対する投資を活性化する革新的な資金のオプションを促す。
- 我々は、市場に基づくメカニズムが、気候系に優しい解決策及び技術の移転・利用・普及を助ける大きな潜在力を有することを強調する。クリーン開発メカニズム、排出量取引及び共同実施がそのようなメカニズムの例である。我々は、気候変動枠組条約の目標を達成することに貢献する潜在力を最大限生かすことを目指して、京都メカニズムの実施が強化されるべきであるという認識、また、京都メカニズムの将来の利用は、この経験に基づき、将来の枠組みの構造に照らして改善されるべきである、という認識を共有する。
適応と気候変動に関連する他の課題
- 我々は、全ての国々が気候変動の悪影響に脆弱であるということに留意し、適応の重要性を強調する。我々は、開発途上国、とりわけ後発開発途上国にとっての、この脆弱性及び気候変動への適応の必要性に対する国際的関心の高まりを歓迎する。我々は、気候のリスク及び適応戦略を国家の開発戦略・政策に組み込むよう呼びかけ、また、我々は、影響と脆弱性の評価を促進し、適応能力を発達させ、適応行動を支援することのできる国際協力を促進する。
- 我々は、ASEMパートナー間で、気候変動から生じるものを含む自然災害に関する情報や早期警戒を交換するための協力を強化することにコミットする。
- 我々は、森林破壊と闘うための行動によって気候変動政策を補完する必要性を強調し、以前のASEM会合における違法伐採に関する議長声明(注2)に留意する。我々は、また、森林・海洋の持続可能な管理、及び他の陸上・沿岸・海洋の生態系の持続可能な管理の必要性を強調する。この文脈において、我々は、ASEM海洋イニシアティブの会合で採択された、マニラ・ヴィジョン及び行動計画に留意する。(注3)
(注2)ASEM環境大臣会合の議長サマリー(2003年10月13日、イタリア・レッチェ)、ASEM外相会合の議長声明(2005年5月6~7日、京都)
(注3)2006年3月29~31日、マニラ
今後のASEMでの取り組み
- 我々は、さまざまな多国間のフォーラムにおける対話を通じて国際協力を強化する上でのASEMの能力及び重要な役割を認識して、気候変動と闘うための我々の協力を強化するとのコミットメントを確認し、この点におけるASEMの役割の更なる強化を促す。我々は、共通だが差異のある責任と各々の能力に基づいて、温室効果ガスの濃度を安定化させるための更なるグローバルな行動に関する理解に達することを目指して、引き続き国際対話に関与する。
- 我々は、持続可能な開発を追求するさまざまなASEMイニシアティブの重要性を強調し、この宣言を実行するためのASEMパートナー間の可能な協力と行動の進展を支持する。我々は、ASEMの気候変動関連政策担当大臣に対し、気候変動枠組条約及び京都議定書を履行するために、ASEM環境大臣会合における議論を含め、気候変動に関する対話を継続するよう促す。