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アジア欧州会合第10回外相会合(FMM10)の概要
平成23年6月7日
1.日程・出席者等
6月6日~7日,ハンガリー・ブダペスト近郊のグドゥルーにて,アジア欧州会合第10回外相会合(FMM10)が開幕し,我が国より松本外務大臣が参加した。合計46カ国・2機関の外相等が一堂に会した
2.議論等の概要
(1)初日・ワーキング・ランチ:「地域情勢」
- (ア)議長を務めたEUに続き,2番目に松本外務大臣より発言し,北朝鮮情勢について,北朝鮮のウラン濃縮活動は安保理決議や六者会合共同声明に違反しているとして,北朝鮮に核放棄を強く迫ることが重要であると主張した。同時に,松本大臣からは,拉致問題について各国の理解と協力を求めた。欧州諸国を含め他国からは,北朝鮮については安保理決議に違反している状況が生じており容認できない,核問題に関する懸念を共有する,北朝鮮における人道状況を懸念する,といった発言があった。
- (イ)多くの国が中東・北アフリカ情勢に言及し,チュニジア等の政治プロセスの進展を支えていくこと,地域諸国の国民自らの努力を支援していくとのアプローチが適切であるといった意見が示された。中東和平の重要性が高まっており当事者間の対話が早期に開始されることを期待する,アフガニスタンの安定,治安の改善,政治プロセスの進展に引き続き取り組むべきである,ミャンマーの民主化の進展に期待する等の発言があった。
(2)初日・午後セッション:「非伝統的安全保障上の課題」及び「グローバルな課題」
- (ア)冒頭,松本外務大臣より概要以下を発言。
- (i)「非伝統的安全保障上の課題」に関し,エネルギー安全保障の観点から,今後,我が国として,エネルギーの未来を切り開く4つの挑戦,すなわち,第1に原子力エネルギーの「安全性」,第2に化石エネルギーの「環境性」,第3に再生可能エネルギーの「実用性」,第4に省エネルギーの「可能性」に取り組んで行くとの方針を説明。また,今回の災害の経験を世界と共有し,我が国として防災分野でも主導的な役割を果たしていく一環として,来年我が国で国際会議を開催することを目指すことも表明。
- (ii)「グローバルな課題」に関し,安保理改革を強く推進すること,気候変動に関しCOP17に向けた作業を切迫感をもって進めること,核軍縮・不拡散に関し昨年のNPT運用検討会議で合意された「行動計画」を着実に実施していくこと等を呼びかけ,また,開発に関し先般MDGsフォローアップ会合を開催したことを紹介した。
- (イ)他の国からは,「非伝統的安全保障上の課題」については,原子力安全,エネルギー安全保障,食料安全保障,水資源の問題に関する意見,「グローバルな課題」については,軍縮・不拡散,気候変動,テロとの闘い,海賊問題,組織犯罪に関する意見が多く聞かれた。
(3)会合二日目のセッション
- (ア)会合二日目は,「グローバルな課題(続き)」,「経済・金融危機からの回復」,及び「ASEM活動の3分野」について議論が行われた。
- (イ)グローバルな課題に関する昨日からの議論の続きの中で,経済安全保障や国連安保理改革に関して意見を述べる国があった。また,世界経済の展望に関する見方を説明しつつ,アジアの成長が世界経済において果たす不可欠な役割を指摘する国,両地域間の経済連携の有用性に言及する国などがあった。ASEMの将来に関しては,ASEMにおける作業方法等に関する意見を述べる国があった。
- (ウ)我が国より,大震災に対する各国から支援に対する感謝を改めて述べつつ,我が国経済は先般の大震災で大きな損害を被ったものの,今年後半に向けて回復していくと予測していること,我が国として創造的で開かれた復興を必ず実現すべく全力で努力すること,日本からの輸出品は安全管理を徹底しており円滑な貿易への協力を期待すること,そして,日本は完全に世界に開かれおり,ビジネス,観光等のあらゆる訪日を心から歓迎していること等を述べた。