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日ASEAN首脳会議の概要

平成19年1月

 2007年1月14日、フィリピン・セブ州のシャングリラ・ホテルにおいて、第10回日ASEAN首脳会議が開催された。日本からは安倍総理が出席。各国からは首脳が出席(インドネシアは閣僚が代理出席)。

1.議論された主な事項

(イ)日ASEAN関係の将来の方向性

(ロ)政治、安全保障、経済、文化・社会等に関する日ASEAN協力

(ハ)拉致問題を含む北朝鮮問題

2.安倍総理発言の概要

 安倍総理より、東アジアの平和と繁栄ためオープンで活力があり、イノベーションに富む東アジアを構築していきたい、今年はASEAN創設40周年、「福田ドクトリン」30周年という節目に当たり、日本とASEAN戦略パートナーシップの更なる深化していきたいとの考えを冒頭示した上で、概要以下を発言。

(1)東アジアの一層の発展に向けた日ASEAN協力

 以下のイニシアティブを表明。

(イ)「バランスのとれた経済発展」

  • 今後3年間、メコン地域を我が国経済協力の重点地域としてODAを拡充。
  • 経済連携に向けたASEAN諸国の努力を支援すべく、5,200万ドルの新たな協力を実施。日ASEAN包括的経済連携交渉の妥結に全力を挙げる。
  • 東アジア・サミット参加16カ国の専門家による経済連携に関する民間研究の開始、東アジア・アセアン経済研究センターの設立。

(ロ)東アジア域内協力の深化

  • 鳥インフルエンザ対策に関し、昨年1月の北京会合において表明した1.5億ドル以上の拠出分に加え6,700万ドルを追加拠出。
  • 防災教育の促進、地球観測衛星の活用等に関する300万ドル規模のプロジェクト支援及びASEANの防災体制整備に向けた機材供与のため560万ドルの支援を実施。
  • ASEANをはじめとする東アジア・サミット参加国を中心に、今後5年間毎年6,000人程度の青少年を日本に招く350億円規模の青少年交流計画を実施。ASEAN40周年を記念し、「東アジア青年の船事業」の立ち上げを提案。

(ハ)域内の平和と安全の確保

  • 平和構築のためのアジア人材育成においてイニシアティブを発揮。

(ニ)基本的価値の共有と深化

  • 13日のASEAN首脳会議で承認された「ASEAN憲章に関する賢人会議報告書」において、人権、民主主義、グッド・ガバナンスといった普遍的価値の促進が盛り込まれたことを歓迎。

(ホ)アジア・ゲートウェイ構想

  • 「アジア・ゲートウェイ構想」を、(i)「開放的で魅力のある日本」、(ii)「開かれたアジア」、(iii)普遍的価値の共有を基本に「アジアの多用性を尊重し、共生する」との理念の下に進めている。

(2)将来に向けての日ASEAN関係の強化

(イ)今後の日ASEAN協力の中長期的な発展の方向性について検討する「日ASEAN賢人会議」を設立し、2008年の首脳会議に報告させることとしたい。

(ロ)日ASEANセンターを現在の日ASEAN関係を反映したものへと、改革していきたい。

(3)北朝鮮問題

(イ)議長国・中国の努力により、13ヶ月ぶりに六者会合が再開されたが、北朝鮮が本来核問題と関係のない金融問題に固執し、共同声明実施の議論に入るのをは拒むという態度に終始したため、実質的な進展が得られなかった。

(ロ)北朝鮮の核問題は地域の安全保障にとって重大な課題。国際的な圧力によって北朝鮮の前向きな対応を促すことが必要。

(ハ)また、北朝鮮は、拉致問題という国民の生命に関わる重大な問題にも誠実に対応していない。拉致問題の早期解決は自分の政権の最重要課題である。

(ニ)我が国の立場については、先般の六者会合で、北朝鮮に対しても改めて明らかにし、対話の窓はオープンにしている旨を強調したが、北朝鮮側は対話の姿勢を示さなかった。拉致問題で具体的な進展があれば、日朝間の信頼関係の回復に向けて大きな一歩となるだけに、北朝鮮は自らその機会を失っている。

(ホ)ASEANの国にも拉致被害者がいるとの情報もある。先月の国連「北朝鮮の人権状況」決議においても、拉致を含む北朝鮮の人権状況が、国際社会の懸念事項としてうたわれている。是非、各国の理解と支持を得たい。

3.ASEAN各国首脳の発言概要

(1)東アジアの一層の発展に向けた日ASEAN協力

(イ)ASEANの最も信頼できる、頼れるパートナーであり、日ASEAN関係は戦略上極めて重要。日本が、これまで30年間余りにわたり、ASEAN諸国の経済発展及び繁栄に重要な貢献を果たしてきたことに感謝。

(ロ)安倍総理のリーダーシップの下、強固で緊密な日ASEAN関係がさらに拡大、深化することに期待。ASEAN統合支援、青少年交流、防災、鳥インフルエンザ、メコン地域開発等に関する日本の新たなイニシアティブを高く評価するとともに、日本が地域・国際問題において積極的な役割を果たしていることを評価。

(ハ)日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)の妥結は最重要課題のひとつ。期限内の実質交渉終了に向けて努力を倍増することを再確認。

(2)将来に向けての日ASEAN関係の強化

「日ASEAN賢人会議」を設立するとの日本の提案を支持。

(3)北朝鮮問題

 北朝鮮問題については、議長であるアロヨ・フィリピン大統領の冒頭発言を含め、半数ほどの参加国から言及があり、六者会合を通じ、朝鮮半島の非核化を実現していくことが極めて重要との各国共通の発言あり。拉致問題についても、複数国から日本の懸念を理解するとの発言があった。

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