アフリカ

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森前総理大臣の発言要旨
(アフリカ絵画展
「アフリカと日本の子供たちが描く“理想の学校”」)

平成17年7月1日

アフリカ絵画展「アフリカと日本の子供たちが描く“理想の学校”」の開催

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 今年は、国際社会で、アフリカに対する関心が高まっており、「アフリカの年」とも言える年です。ユニセフと外務省では、こうした中で、日本とアフリカの人々がお互いに対する理解を深めてもらおうと7月1日~29日まで絵画展を開催することとしました。

 外務省では、本年3月から準備を始め、アフリカの11カ国に対し、画用紙とクレヨンのセットを送りました。それぞれの国の日本大使館員が、現地にあるいくつかの小中学校に画材を持って出かけていき、生徒たちに、自分にとっての“理想の学校”を描いて欲しいとお願いしました。また、日本では日本UNICEF協会から、都内の小学生に同じように絵を描いて欲しいとお願いしました。

 絵画展に展示されている42枚の絵は、エジプト、エチオピア、ケニア、セネガル、タンザニア、チュニジア、ナイジェリア、マダガスカル、南アフリカ、モロッコ、ザンビアの550人の子供たちが描いてくれた絵の中から選ばれた22枚と日本の小学生が描いた20枚の絵です。森前総理をはじめ、アーティストの日比野克彦氏、イラストレーターの牛嶋浩美氏、日本ユニセフ協会の東郷専務理事といった方々に審査員になっていただきました。選ばれた優秀作品は後日発表される予定です。

 アフリカの子供たちがどうして沢山死んでいくのか分かりますか。普通のところよりも、普通の国よりもどうして沢山死ななければならないのか。どうしておなかに赤ちゃんのいるアフリカのお母さんが他の国のお母さんより早く死ぬのか、わかりますか。ひとつには紛争という戦争が頻繁に起こるからです。アフリカには53の国があります。どの国も平和で豊かになろうとしています。でもいろいろなところで国と国の争いがあります。生活に対する不満があるのです。それに、日本のように病院のお医者さんがすぐ近くにいません。大人の言葉でいうと、貧困や対立があり、医療、衛生、福祉、そういうものが非常に遅れています。子供たちに栄養が行き届かない、食料がないから身体も弱くなります。戦争を続けて大人の兵隊さんたちが地面の中に地雷を埋める。それを子供たちがうっかり踏んで爆発し、脚が無くなるということが多いのです。

 ここにアフリカの大使や公使の方がみえておられますが、皆さんそのことを心配しておられます。世界中のみんなで、アフリカをいい地域にしよう、いい国にしようと努力しています。その中のひとつがユニセフです。先ほど聞いた話では、1000円とか、2000円とかを皆さんが出し合って、世界中で集めたお金の半分くらいをアフリカの国々のために使っています。だから皆さんも、アフリカという国を理解して、大人になったら、世界中の国々と協力して、一緒に幸せになろうということを是非考えてほしいのです。

 私は総理大臣のときにケニアのカクマという難民キャンプに行きました。戦争から逃れて、両親から何十キロ、何百キロも離れたところにみんな逃れてきた。父親が戦争で亡くなられ、お母さんは自分の子供を抱えて砂漠の中や森の中を走って、やっと難民キャンプに辿り着くのです。アフリカにはそうした人たちが何万人もいます。私はそこに行って、本当に涙が出ました。同じこの地球上に生まれてどうしてこうも苦しまなければならないのかと思いました。でも、子供たちは、それでもみんな目を輝かして学校に行きたいと言ったのです。子供たちは何も持っていません。砂の上に水をかけて平らにし、そこにみんなで座って、絵を描いたり、文字を書いていました。大きな声で目を輝かせて歌をうたってくれました。私たちに踊りも見せてくれました。その子供たちに今一番いま欲しい物はなんだと聞いたら、鉛筆とノートが欲しいって言うのです。学校には鉛筆とノートがないのです。だから地面に水をまいて、固めてそこに絵を描くのです。そうやって勉強をしているのです。

 私は今日、アフリカと日本の子供たちの絵を見て思ったのですが、日本の子供たちの絵は、恵まれた学校の中にあっての夢なのです。だから、空を飛ぶ学校とか、水の中の学校であるとか、ロボットと一緒に勉強するとか、今の日本で皆さんが通う学校の中でどんなことができるだろうかという夢なのです。ところがアフリカの子どもたちの絵には、机がほしい、鉛筆がほしい、できたらお花が一杯ある学校がいいと、日本の子供たちには当たり前のことだけれど、アフリカの子どもたちはそういう夢を持っているのです。私はその絵を見て、同じ子供でも住む世界によってこんなにも違うものかと思いました。

 もちろん、それぞれの子供たちの夢は素晴らしいし、夢は大きい。その夢を実現するために私達も頑張らなければいけません。これからみんなもアフリカの国の子供たちと仲間になって、アフリカを助けてあげることを考えて欲しい。大きくなって外国に行ってみたいと思ったら、53カ国もあるアフリカに行ってみよう、アフリカのことを勉強してみよう、そう思ってもらえれば本当に嬉しいです。

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