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拡大中東・北アフリカ構想(BMENA)
「未来のためのフォーラム」第6回閣僚級会合(概要と評価)

平成21年11月5日

(写真) (写真)

 11月2日(月曜日)及び3日(火曜日)、マラケシュ(モロッコ)において、拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想「未来のためのフォーラム」第6回閣僚級会合が開催され、我が国からは武正外務副大臣が参加しました。
 会合は、中東・北アフリカ地域の閣僚、G8の閣僚、国際機関の代表などが出席し、中東和平、中東・北アフリカの政治・経済・社会の諸問題につき議論が行われました。
 武正副大臣からは、日本の新政権として、中東和平や中東地域の経済・社会開発に積極的に取り組んでいくことを表明するとともに、モロッコ、チュニジア、GCC諸国、英国等の諸国の閣僚と二国間会談を持ち、二国間関係、中東和平、イランの核問題、日GCC・FTA等に関する意見交換を行いました。

1.日程

11月2日(月曜日)ワーキング・ディナー(武正副大臣出席)

11月3日(火曜日)閣僚級会合(武正副大臣出席)

2.参加国

 イタリア(G8議長国)およびモロッコ(BMENA議長国)が共同議長を務め、我が国を含むG8、中東・北アフリカ諸国、国際機関等42か国に加え、NGO等市民社会の代表者が参加しました。

3.本会合の概要

(1)2日のワーキング・ディナーにおいては、閣僚級出席者により「中東和平を含む政治分野」及び「文化・教育・宗教等社会分野」をテーマとして議論が行われました。各国からは、参加者が各国の知識、経験を共有しつつ、未来志向の対話を行える重要な機会として、「未来のためのフォーラム」を続けていくことに意義があるとの発言がありました。また、中東和平については、オバマ政権のイニシアティブに対する期待が表明されるとともに、BMENA諸国をはじめ国際社会の協力、支援が必要との意見が表明されました。

(2)
(イ)3日の閣僚級会合においては、「政治改革(地方ガバナンスと民主主義)」、「経済改革(金融危機がBMENA地域に与えた影響)」及び「社会改革(人間開発と社会問題)」の3つのテーマの下、表現の自由および民主的改革の促進、女性のエンパワーメント、教育改革、失業問題と職業訓練、気候変動、政府と民間セクターを含む市民社会との協力等の幅広い分野について、各国関係や市民社会の代表による活発な議論が行われました。
(ロ)我が国からは武正副大臣が参加し、テーマ2「経済改革(金融危機がBMENA地域に与えた影響)」において、気候変動問題への国際的取り組みの重要性と鳩山総理のイニシアティブ、BMENA地域における持続的経済発展、人材育成の重要性に言及し、日本とBMENA諸国との協力を充実、強化していきたいとする内容のスピーチを行いました。

(3)次回「未来のためのフォーラム」は、G8議長国であるカナダと、BMENA議長国であるカタールの共催で行われる予定です。

4.本会合の評価

(1)「拡大中東・北アフリカ構想」は、2004年のシーアイランド・サミットにおいて米国の提唱で開始されました。中東諸国の政治、経済、社会の改革努力を支援するため、これまで5回にわたり閣僚級会合が行われてきましたが、多くの各国代表、市民社会の代表からG8、BMENA諸国、市民社会の代表等が一堂に会して、様々な問題を議論するユニークな場として、定着してきました。

(2)会合には、多くの市民団体が参加し、政府と市民社会との対話や協力、改革における市民団体の役割の重要性が強調されました。中東においても、市民社会との対話の流れは不可逆になってきており、着実に前進していることを示すものです。同時に、特に民間セクターの重要性が各国政府、市民社会の代表から言及され、今後のフォーラムにおいては民間セクターのコミットメントが強調されました。

(3)クリントン米国務長官は、オバマ政権として初めて本会合に参加し、中東・イスラム諸国との対話により、中東和平問題も含め平和と繁栄を共に目指したいというオバマ政権の姿勢を強調しました。他方、米国が努力しているイスラエル・パレスチナの和平交渉の再開は、イスラエルの入植地の問題などで困難になっています。参加各国からは中東和平プロセスに関し、現状への懸念とともに、強い期待感の表明があったことが特記されます。

(4)本件会合から生まれた一つの具体的な提案として、女性のエンパワーメント(女性の権利向上、就労支援等)を進めるセンターとして、BMENA地域にジェンダー研究所を設立する提案が、ここ数回の会合で議論されてきました。本会合では、G8側よりの支持のみならずBMENA諸国の中にも設立資金を負担することを表明する国がありました。

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