12月13日(木曜日),チュニスにおいて,拡大中東・北アフリカ(BMENA)構想「未来のためのフォーラム」第9回閣僚級会合が開催され,我が国を代表し,浜田外務大臣政務官が出席した。会合では,中東・北アフリカ地域及びG8・パートナー諸国の閣僚等や国際機関の代表に加え,市民社会団体及び民間セクターの代表が出席し,中東・北アフリカ地域の政治・経済・社会の諸問題につき議論が行われ,最終宣言文(ポイント別添)が採択された。
1 日程
12月12日(水曜日) 準閣僚級会合(髙原在チュニジア大使出席)
12月13日(木曜日)閣僚級会合(浜田外務大臣政務官出席)
2 参加国
米国(G8議長国)及びチュニジア(BMENA議長国)が共同議長を務め,我が国を含むG8及びパートナー諸国(スイス,オランダ,トルコ等),中東・北アフリカ諸国,国際機関等30以上の国・機関に加え,NGO等市民社会団体及び民間セクターからの出席があった。
3 概要
(1)12日に行われた準閣僚級会合においては,中東・北アフリカの地域情勢および政治・経済・社会の諸問題について議論が行われ,宣言文案を作成した。
(2)ア 13日に行われた閣僚級会合では,各国代表等のスピーチに加え,市民団体および民間セクターからの提言も行われた。
イ いわゆる「アラブの春」の後の地域の改革及び発展のためには,表現の自由を含む人権の確保,女性のエンパワーメント,雇用創出,中小企業の発展,起業家育成,ビジネス環境整備,法整備等に取り組むことが必要であるとし,政府と民間セクターを含む市民社会団体との対話の継続と,幅広い分野で相互に協力をしていくことの重要性につき,発言が相次いだ。
ウ 浜田外務大臣政務官からは,「公正な政治・行政運営」の確立,各国の経済復興・安定化を支える「人づくり」,「雇用促進・産業育成」の三分野での支援を通じ,中東・北アフリカ諸国の自助努力を後押ししていく我が国の考えを表明するとともに,日本・アラブ女性交流事業など我が国独自の地域に対する取り組みにつき紹介した。
(3) 次回「未来のためのフォーラム」は,G8議長国である英国と,BMENA議長国であるエジプトの共催で行われることが決定した。
4 評価
- (1)「拡大中東・北アフリカ構想」は,2004年のシーアイランド・サミットにおいて米国の提唱で開始された。中東・北アフリカ諸国の政治,経済,社会の改革努力を支援するため,これまで8回にわたり閣僚級会合が行われ,G8,パートナー諸国,BMENA諸国及び市民社会の代表等が一堂に会して,様々な問題を議論するユニークな場として,定着してきた。
- (2)いわゆる「アラブの春」から約二年経ったタイミングで,その発端となったチュニジアで開催された今次会合では,同地域における改革プロセスを進めるための施策については大きな意見の相違は見られなかったものの,その実施が十分ではないとの認識が共有されるとともに,その解決には政府と市民団体,民間セクターの対話と協力が不可欠であること,また,課題解決に向けた取り組みの継続が重要であることなどが確認された。