1月25日、アディスアベバのUNECA本部において第13回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)が開催されたところ、その概要以下のとおり。会合後発出された共同コミュニケは別添(PDF)のとおり(会合関連資料はAPFホームページ
から参照可能)。
1.主要参加者
(1)アフリカ側からは、NEPAD実施委員会参加国(エチオピア(共同議長))、ムウェンチャAU副委員長、マクウェザランバAU経済委員等が参加。
(2)開発パートナー側からは、G8の他、主要なOECD加盟国(共同議長はカナダ(G8)とポルトガル(非G8・OECD加盟国))が参加。
2.概要
(1)開会式
開会挨拶ではムウェンチャAU副委員長より、アフリカはいまだ経済危機からの脱出を模索している段階であること、また、COP15直後の開催であることから、今次会合は時宜を得たものであり、グローバルな課題にはグローバルな協調が必要である旨強調。
また、共同議長のエチオピアより、昨年9月の気候変動に関するAPF特別会合はCOPに貢献した、APFとしてはその時々に適切なテーマを取り上げ、国際的な議論にインプットしていくべきである旨発言。加よりは、アフリカとG8及びOECDパートナーとの対話を強化していきたい、昨年APFを改革したが、先般の特別会合は有益であった、春には第14回APF会合を開催したい旨表明。
その他、ジャネUNECA委員長及び共同議長のクラヴィーニョ・ポルトガル外務・協力担当国務大臣も挨拶を行った。
(2)セッション1:気候変動問題
(イ)アフリカ側からは、コペンハーゲン合意は、将来の行動の基礎となるものであり、アフリカにとっては排出削減が最重要、緩和と同様、適応の重要性への理解促進、先進国の間では約束レベルに差があるが、各国とも同レベルの貢献をすべき、財政的支援が重要である等の発言があった。また、一部の国からは公平な基準に基づく資金分配や脆弱国向け支援の重要性に言及があったほか、財政支援にあたっては、コンディショナリティは可能な限り少なくすべき等の発言もあった。
(ロ)ドナー側からは、コペンハーゲン合意へのアフリカ諸国の賛同を求めるとともに、アフリカの貢献を評価する発言が多くなされた。
(ハ)我が国からは、新たな枠組み構築の必要性を主張しつつ、「コ」合意へのアフリカ諸国の賛同を呼びかけるとともに、鳩山イニシアティブを紹介した。
(3)セッション2:食料安全保障
(イ)アフリカ側からは、ラクイラ・サミットのコミットメントの実施が重要、食料安全保障はインフラや保健等他の分野と相互に関係しており、他のセクターへの影響が食料安全保障にも影響を与えることとなる等の発言があった。また、包括的アフリカ農業開発計画(CAADP)への支援や雇用を創出しつつ食料安全保障を達成すべき等の指摘もあった。
(ロ)ドナー側からは、食料安全保障分野への自国の支援を強調するとともに、CAADPを評価する旨の発言が多くみられた。
(ハ)我が国からは、ラクイラ・サミットにおける我が国のコミットメントや「責任ある国際農業投資」に向けた我が国の取り組みを紹介しつつ、CAADPへの基本的な支持を表明した。
(4)セッション3:金融・経済危機の影響と対応
(イ)冒頭、OECDがプレゼンテーションを行い、2010年はMDGsの達成のために重要な年である旨強調した。
(ロ)アフリカ側からは南アフリカ代表から、経済成長を回復するための財政支援の資金確保、財政支援と出口戦略の協調の重要性を指摘し、アフリカとしてもそれらを議論する様々な場に積極的に参加することが重要である旨発言があった。
(ハ)ドナー側からは、アフリカが危機から脱出する上で、ODAによる支援に加え、民間資金活用の重要性を強調する趣旨の発言が多く見られた。また、アフリカにおける民間企業の発展やビジネス環境の改善、非合法な資金フローの問題への対処等が重要であるとの発言があった。
(ニ)我が国からは、国際社会としてアフリカ経済の回復を支援するため、G8やG20サミットにおいてアフリカ開発を取り上げるべきである旨主張するとともに、新政権下においてもTICADIVのコミットメントを実行する、また、本年5月にTICADフォローアップ閣僚級会合を開催する旨発言した。
(5)セッション4:金融・経済危機の保健セクターに対する影響
(イ)冒頭、NEPAD委員会がプレゼンテーションを行い、金融・経済危機のすべての問題は保健セクターに影響を与えると問題提起した。
(ロ)我が国から、TICADプロセスの中で保健分野についても支援を強化していく旨発言するとともに、日本企業による蚊帳の現地生産の推進の取組を紹介しつつ、このような技術移転と現地における低価格での大量供給によって、医療関連製品の輸入への依存を軽減する可能性と指摘した。
(ハ)ドナー側からは、準地域的協働が重要といった意見や妊産婦死亡率を重視すべきとの発言があった。
(ニ)ベナン代表から、エイズのみならずマラリア対策も重要であり、その観点から我が国による蚊帳への支援に謝意が表された。
(6)セッション5:アフリカ行動計画(Africa Action Plan: AAP)
(イ)NEPAD委員会から、改訂版AAPを紹介。従来のAAPは広範に過ぎ、不明確であり、かつデータに信頼性がないとの批判を受けたため、それらの批判に応えるよう改訂を行った旨説明し、開発パートナー側の理解と協力を求めた。
次に世銀から、アフリカにおけるインフラの必要性についてプレゼンテーションを行った。規制の問題等のためアフリカではアジアに比してインフラ利用料金が高く、また、電気や輸送、水等様々なインフラ整備のため年310億ドルの追加的投資が必要と試算。
(ロ)ドナー側からは、インフラの重要性を理解しているとし、AAPはまだ改善の余地はあるものの、アフリカ側のオーナーシップの現れであるとして、一定の評価が表明された。
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