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平成21年6月18日
6月10日(水曜日)、ローマにおいて第12回アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)が開催されたところ、その概要以下のとおり。
(注)APFとは、2003年のエビアン・サミット議長総括に基づいて発足したアフリカ開発に関する国際的フォーラム。G8議長国が主催して2003年11月に第1回会合が開催され、以降年2回開催。
(1)アフリカ側からはニャシンベ・トーゴ大統領、シェルマルケ・ソマリア暫定連邦「政府」(TFG)首相、ジャムボ・コンゴ共和国森林経済大臣、メサヘル・アルジェリア・アフリカ問題・マグレブ担当大臣、マクウェザランバAU経済委員、ゲブレアブ・エチオピア経済担当首相顧問等が参加。開発パートナー側からはフラッティーニ伊外相、クラビノ葡外務・協力副大臣の他、アフリカ問題首脳個人代表(APR)等が参加。
(2)我が方よりは、御法川外務大臣政務官、秋元アフリカ審議官他が参加。御法川政務官は、第1セッション(議題1:世界金融・経済危機がアフリカに与える影響への対応)においてドナー側を代表して基調講演を行った。
(1)開会挨拶では本年G8議長国を務める伊のフラッティーニ外相より、同国はG8・アフリカ間の政治的対話の強化を進めており、G8ラクイラ・サミットのアフリカ・アウトリーチ会合を重視している旨表明。今回のAPFが、アフリカの抱える諸課題につき議論し、メッセージを発出する役割への期待を述べた。また、ニャシンベ・トーゴ大統領より、現在、薬物の不正取引問題がアフリカ諸国の民主化のあらゆる側面(司法、立法、行政)に影響を与えており、今回のAPF及びG8サミットで本問題を取り上げ、その解決に向けて国際社会が一致して取り組むことの必要性を強調した。
(2)また、開会式では本年伊と共にAPFの共同議長を務めるリビア(AU議長国)、エチオピア(NEPAD議長国)、ポルトガル及びAU委員会の代表がそれぞれ開会挨拶を行い、G8及びその他の開発パートナーとアフリカ諸国のパートナーシップ強化の重要性、世界金融・経済危機の影響、平和と安定、気候変動といった課題に直面するアフリカへの支援の重要性を訴えた。同じく開会式では、伊NGO関係者より、すでに顕在化している世界金融・経済危機のアフリカへの影響の克服及び気候変動への対処に向け、開発パートナー及びアフリカ諸国が一致して取り組むべきであると指摘。その中で、こうした取組みへアフリカ側市民社会が一層参加することが重要であり、また、世界で第2位の規模の森林を有するコンゴ盆地の保全がアフリカの気候変動問題への取組みにおいてモデル・ケースとなるべきであると訴えた。
(3)「第1セッション:議題1:世界金融・経済危機がアフリカに与える影響への対応」では、アフリカ側を代表してジャネ国連アフリカ経済委員会(UNECA)委員長より、アフリカは危機の発生には寄与していないにも関わらず、その影響(貿易の停滞に伴う国家歳入の減少と財政収支の悪化、外国投資の減少、海外送金の減少、失業の増大等)をもっとも受けていると指摘。先般行われたアフリカ財務大臣会合の議論を引用しつつ、G20ロンドン・サミットにおける合意の実施がアフリカ諸国に十分裨益するものとすべき、開発パートナーは既存のODAコミットメントを着実に履行すべき、またアフリカ諸国も国内資金を開発に動員すべきであると訴えた。ドナー側を代表して御法川政務官からは、我が国はODAコミットメントを確実に実施する意思を表明し、他のドナーにも同様の履行を求めるとともに、さらにG20ロンドン・サミットの合意を早期に実施することの必要性を訴えた。
(4)「第1セッション:議題2:アフリカの平和と安全」においては、シャルマルケ・ソマリアTFG首相より、ソマリア沖海賊問題の解決には海上における取組みに加え、海賊問題の根本原因への対処(ソマリア国内の安定、行政組織の能力強化、失業問題の解決等)が不可欠であることを強調した。メロニ伊青少年担当大臣は、アフリカからの移民増大の背景にある失業問題や、薬物不正取引の中継地となっているアフリカにおける薬物消費量の増大等への対処の必要性を指摘した。秋元アフリカ審議官より、我が国は、先般、AUソマリア・ミッション(AMISOM)支援のための国連AMISOM信託基金に対し900万ドル及びソマリア人道支援として国際機関を通じた1300万ドルの支援を決定した旨表明。さらに、国際社会がソマリアの国家治安部隊の強化を含む、TFGの国内安定化努力を支援すべきであると呼びかけた。他ドナーからもソマリアTFGへの支持、及び西アフリカ諸国との薬物不正取引対策における協働に関し、前向きな発言が相次いだ。
(5)「第2セッション:議題1:気候変動とアフリカ」では、ジャムボ・コンゴ共和国森林経済大臣より、気候変動への対処におけるコンゴ盆地保全の重要性を説明し、開発パートナーからの支援を要請した。メニア伊環境問題担当国務大臣もコンゴ盆地保全及び環境分野への投資の重要性を強調。また南ア代表より、5月末にナイロビで開催されたアフリカ環境大臣会合の結果が紹介され、次回のAU総会(6月末~7月上旬)において気候変動問題へのアフリカ諸国の共通ポジションが決定される見込みであるとの説明があった。スーダン代表は水問題、ノルウェー代表は森林減少、森林劣化に起因する排出削減の重要性に言及した。
(6)「第2セッション:議題2:APF改革」ではG8及びその他の開発パートナー、アフリカ側で議論されてきたAPF改革案が承認され、G8ラクイラ・サミットで首脳らに提出されることとされた。
フラッティーニ伊外相、ニャシンベ・トーゴ大統領による基調講演
リビア、エチオピア、葡(共同議長国)及びAU委員会による開会挨拶
市民社会によるプレゼンテーション
議題1:
世界金融・経済危機のアフリカに与える影響への対応
ジャネUNECA委員長、御法川外務大臣政務官による基調講演
議題2:
アフリカの平和と安全保障
シェルマルケ・ソマリアTFG首相、メロニ伊青少年担当大臣による基調講演
情報共有:
開発効果相互審査(MRDE)報告書(OECD、UNECA)
議題1:
気候変動とアフリカ
ジャムボ・コンゴ共和国森林経済大臣、メニア伊環境問題担当国務大臣による基調講演
議題2:
APF改革
情報共有:
デンマーク・アフリカ委員会 最終報告書
総括・成果文書採択
リカルディ伊APR、ゲブレアブ・エチオピア代表、クラビノ葡外務・協力副大臣より閉会挨拶