
規制影響分析評価書(規制の新設・改正時)
規制の名称
紛焼失旅券に関する届出による失効制度の導入(旅券名義人が紛焼失を届け出る際の出頭の義務付け)
主管部局課
外務省領事局旅券課
評価実施年月日
平成17年5月12日
規制の内容・目的
- 現行の旅券法では、紛焼失した旅券は当該旅券の再発給申請に係る旅券が再発行され、又は、紛焼失した旅券に代えて帰国のための渡航書が発行されない限り失効しないところ、これらの紛焼失した旅券が第三者に悪用されることを防止するため、紛焼失の届出に基づき当該旅券を迅速に失効させることとした(なお、旅券の紛焼失の際の届出義務自体については、法律改正前と同様である)。
- 国際的にも見ても、2004年6月のシーアイランド・サミットにおける「安全かつ容易な海外渡航イニシアチブ」の合意に基づき、国際刑事警察機構(ICPO)を経由して紛失・盗難旅券に係るリアルタイムな情報提供が開始(同年11月)されるなど、紛失・盗難旅券の悪用防止の強化が図られているところ、本制度は、右動きを具体化するものでもある。
(根拠条文等)
- 旅券法第17条第1項(一般旅券の名義人の出頭による届出規定)
想定される選択肢
- 選択肢1 紛失旅券等に関する失効を届け出る際に出頭を義務付ける(本件規制)
- 選択肢2 届出の際の出頭を義務付けず、郵送やオンラインでの届出を認める
期待される効果
【国民に対する利益、社会的利益、その他の利益等】
| 望ましい影響 |
選択肢1 |
選択肢2 |
| 国民に対する利益 |
本人出頭を厳格に行い、不正な失効を防止することで、正当な旅券を所持する日本国民の出入国が拒否されず、国民が円滑かつ安全に海外渡航し様々な活動を行う機会を守ることができる。 |
郵送やオンラインでの届出のため、第三者による届出を含め、選択肢1と比較して手続きが簡素である。 |
| 社会的利益 |
第三者による旅券の不正失効を防止し旅券犯罪を未然に防ぎ、旅券の信頼性を確保することができる。 |
旅券失効手続きの簡素化による社会的コストは選択肢1に比較して軽減。 |
| その他の利益 |
盗難・紛失旅券情報の提供が国際的にリアルタイムで行われているため、出頭義務をかけることにより、第三者による不正失効を防ぎ、日本国旅券の信頼性を維持することができる。 |
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想定される負担
【実施に要する負担(行政コスト)、実施により生じる負担(遵守コスト)、その他の負担(社会的コスト)等】
| 望ましくない影響 |
選択肢1 |
選択肢2 |
| 実施に要する負担(行政コスト) |
特別な支出は必要としない。 |
- 盗難等の事実関係及びその信憑性等、不正な届出でないことについての確認及び調査のための事務量の増加及びそれに伴う費用の増加。
- オンライン化する場合のインフラの構築
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| 実施により生じる負担(遵守コスト) |
出頭する手間とコスト。 |
郵送やオンラインによる届出を利用するための手間とコスト。 |
| その他の負担(社会的コスト) |
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- 虚偽の届出や第三者による違法な届出が行われ、右による旅券の失効を許す場合、当該失効旅券を利用した更なる犯罪が生じる可能性がある。また、不正な届出により旅券の正当な所持人の出入国が阻害され、海外における諸活動に重大な支障を及ぼすおそれがある。
- 日本旅券の信用の低下により、査証取得義務を課す国が増加し、国民の海外渡航の便宜に悪影響が生ずるおそれがある。
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各選択肢間の比較
選択肢2の場合も紛焼失旅券を失効出来るが、第三者による届出による不正失効の可能性があり、旅券の正当な所持人の出入国が阻害され海外における諸活動に重大な支障を及ぼす可能性がある。そこで、不正な届出を防止し、日本旅券の国際的信用を維持し、もって国民の円滑かつ安全な海外渡航を確保するためには、出頭を義務付けて厳格な本人確認を実施する必要があるため、選択肢1を採用することで適切な失効措置を講じることが妥当と考える。
レビューを行う時期
平成22年5月末までに行う(5年以内)。
備考
平成16年10月の海外交流審議会答申において、渡航文書に関わる犯罪防止への国際的取組みに貢献し、日本旅券の信頼性を高め、もって国民の円滑な海外渡航を確保することとなっている。