省庁共通公開情報

外務省における政策評価の基本計画

平成18年2月17日発表

 外務省における政策評価の基本計画(以下「基本計画」という。)は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(以下「政策評価法」という。)第6条の規定に基づき、政策評価に関する基本方針(平成17年12月16日閣議決定)を踏まえ、外務省が行う政策評価の目的、実施にあたっての基本的考え方、実施体制、政策への反映、情報の公開等の基本的事項について定めるものである。

1.計画期間 (第6条第2項第一号)

 平成17年度から平成19年度までの3年間とする。

2.政策評価の実施に関する方針(第6条第2項第二号)

 政策評価は、各行政機関が所掌する政策について、適時に、その政策効果を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価を行うことにより、政策の企画立案や政策に基づく活動を的確に行うための重要な情報を提供するものである。

 外務省は、平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組を通じて良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを任務としている。 このような任務の遂行に当たっては、他国又は国際機関等との信頼関係に留意しつつ、

(1)中長期的な日本国及び日本国民の利益という観点を含めた成果重視の外交政策を取り進めること
(2)効果的かつ効率的な外交政策の推進に資すること
(3)外交政策の企画立案及び実施について国民に対する説明責任を徹底すること
を確保することが必要である。

 外務省における政策評価は、これらの諸点を外交政策の企画立案及び実施において確保することによって、将来のよりよい外交政策の企画立案及び実施につなげ、もって、国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを目的として行う。

 政策評価に当たっては、政策評価に関する基本方針に定める「事業評価方式」、「実績評価方式」及び「総合評価方式」の3つの方式を踏まえ、評価対象とする政策の特性に応じ、適切な方式を用いるものとする。

3.政策評価の観点に関する事項(第6条第2項第三号)

 外務省が政策評価を実施にあたっては、以下の観点を基本としつつ、評価対象政策の性質等に応じて、適切な観点を選択し、総合的に評価する。

(1)必要性:政策の目的が国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進という観点から妥当か。行政関与の在り方から見て国がその企画立案及び実施の主体となる必要があるか。
(2)有効性:政策の実施により、期待される効果が得られるか、又は実際に得られているか。
(3)効率性:投入された資源量に見合った結果が得られるかなど

4.政策効果の把握に関する事項(第6条第2項第四号)

 政策評価の効果の把握に当たっては、できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いることとするが、外務省が実施する外交政策においては、各国との友好関係の増進、外交的働きかけ、情報収集等、必ずしも政策効果の定量的な把握になじむとは言えず、また、外交政策の効果を把握する評価方法が開発されていない側面もあることなどを踏まえ、定量的な把握が困難である等の場合には、政策効果を定性的に把握する手法を用いるものとする。その場合であっても可能な限り、客観性な情報・事実などに基づくものとする。また、政策効果の把握に関する手法については常にその改善に努める。

5.事前評価の実施に関する事項(第6条第2項第五号)

 事前評価は、政策の決定に先立ち、当該政策に基づく活動により得られると見込まれる政策効果を基礎として的確な政策の採択や実施の可否を検討することなどの上で有用な情報を提供する見地から行うものとする。

(1)評価の対象

 行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)第3条第5項に掲げる以下の政策

(イ)個々の政府開発援助のうち、無償の資金供与による協力(条約その他の国際約束に基づく技術協力又はこれに密接な関連性を有する事業のための施設(船舶を含む。)の整備(当該施設の維持及び運営に必要な設備及び資材の調達を含む。)を目的として行われるものに限る。)であって当該資金供与の額が10億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策

(ロ)個々の政府開発援助のうち、有償の資金供与による協力(資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものであって、国際協力銀行法(平成11年法律第35号)第23条第2項第1号の規定に基づき外務大臣が定める者に対して、その行う開発事業の実施に必要な資金を貸し付けるものに限る。)であって当該資金供与の額が150億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策

(2)実施手順

 個々の政府開発援助に関する事前評価につき、経済協力局有償資金協力課長及び無償資金協力課長は、有償又は無償資金協力の実施の決定に先立ち、大臣官房考査・政策評価官及び大臣官房総務課と協議の上、当該協力の必要性、協力の対象となる案件の概要、見込まれる供与額、案件の目的、協力の成果の目標、評価に用いた資料等を記載した評価書を作成する。

(3)規制影響分析(RIA)

 規制の新設等による影響の評価(規制影響分析/RIA)については、「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)において、RIAを試行的に実施することとされていることを踏まえ、別途定める実施要領に基づき実施する。RIAについては、主管課が法律又は政令による規制の新設・改正に当たって評価書を作成し、大臣官房考査・政策評価官は、評価の内容について大臣官房総務課と共に審査を行う。

6.計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項(第6条第2項第六号)

 事後評価は、政策の決定後において、政策効果を把握し、これを基礎として、政策の見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるため行うものとする。さらに、実績評価方式の手法を踏まえつつ、外交政策の特性を勘案し、総合評価方式の手法を取り入れた評価を行うものとする。また、これらに加えて、必要と認められる政策については総合評価方式等を用いた評価を行うこととする。

(1)評価の対象

 計画期間内において事後評価の対象となる政策は、政策評価法第7条に規定されている要件に該当する政策を含め、実施計画に明記することとする。ただし、社会経済情勢の変化等による政策の見直し・改善の必要、政策効果の発現状況等を勘案して、必要と考えられる場合には適時に評価を行うものとする。

(2)実施手順

(イ)大臣官房考査・政策評価官は、年度毎に、政策所管局課の意見を取りまとめつつ、「政策評価法」第7条に規定する当該年度終了時点で行う事後評価の対象とする政策及び具体的な評価の方法を定めた、事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を策定するものとする。

(ロ)個別の政策を所掌する各局課(以下「政策所管局課」という。)は、年度終了時点において、当該年度の実施計画に基づいて、所管する政策について評価を行ったのち、評価結果を大臣官房考査・政策評価官に提出する。大臣官房考査・政策評価官は、総合外交政策局総務課、政策企画室、大臣官房総務課、会計課とともに評価結果に対する総合的な審査を行う。

(ハ)大臣官房総務課及び大臣官房考査・政策評価官は、各局課の評価の厳格性・客観性について問題があると判断されれば、当該局課にこれを通知するとともに、必要な措置をとることができる。

7.学識経験を有する者の知見の活用に関する事項(第6条第2項第七号)

(1) 政策評価の実施に当たり、次のような場合をはじめとして、必要に応じ学識経験者、民間の研究機関等の省外の評価者の活用を図るものとする。

(イ)省内では得られない高度の専門性や実践的な知見が必要な場合

(ロ)より高度の客観性や国民各位各層の多様な意見の反映が求められる場合

(2) 省外の評価者の活用に当たっては、評価の対象とする政策の性質、評価によって得ることを期待する成果等に応じて、以下のような方式をとるものとする(ただし、以下の方式に限られるものではない。)。

(イ)個々の学識経験者等からの意見聴取

(ロ)学識経験者等により構成される研究会等の開催

(ハ)外部の研究機関等の活用

8.政策評価の結果の政策への反映に関する事項(法第6条第2項第八号)

(1)各政策所管局課は、政策評価に基づき、その結果を新たな政策の企画立案に反映させる。

(2)総合外交政策局総務課及び政策企画室は、各政策所管局課の評価及びこれに対する総合的な審査の結果に基づき、次年度の総合的又は基本的な外交政策の企画立案に反映させる。

(3)大臣官房総務課、人事課及び会計課は、政策評価の結果を、予算、定員・機構要求等に活用する。

9.インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する事項 (法第6条第2項第九号)

(1)大臣官房考査・政策評価官は、決定された基本計画、実施計画、とりまとめた評価書、評価結果の政策への反映状況等を速やかに公表するものとする。公表に当たっては、外務省ホームページへの掲載を原則とし、国民にとって容易に入手できる形をとることとする。

(2)特定の情報を公表することの適否については、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)の規定に準じて判断する。

10.政策評価の実施体制に関する事項(第6条第2項第十号)

 外務省における政策評価は、(イ)政策所管局課、(ロ)大臣官房考査・政策評価官、(ハ)大臣官房総務課及び会計課、(ニ)総合外交政策局総務課及び政策企画室が、相互に連携を図りながら、各々の所掌事務に基づいて実施する。なお、評価結果及び総合的審査結果等については省議等に付すこととする。

(1)政策所管局課

 政策評価担当官を指名し、当該局課が企画立案・実施する外交政策について評価を行う。

(2)大臣官房考査・政策評価官及び大臣官房総務課

 政策評価総括組織として、政策評価の基本計画・実施計画の策定・改定等、外務省における政策評価に関する基本的事項を企画立案する。政策所管局課の評価が厳格かつ客観的に行われているかを、総合外交政策局総務課、政策企画室及び大臣官房会計課とともに総合的に審査し、政策評価の結果をとりまとめて公表する。

 また、外務省内の政策の横断的な評価や複数の政策所管局課にまたがる政策の評価を実施するため、所要の調整を行うことができる。

(3)大臣官房会計課

 会計課は、大臣官房考査・政策評価官及び総務課並びに総合外交政策局総務課及び政策企画室とともに、特に評価結果と予算との連携を確保する観点から、政策所管局課が実施した評価結果に対して総合的な審査を行う。

(4)総合外交政策局総務課及び政策企画室

 大臣官房総務課及び考査・政策評価官とともに、それぞれ総合的な外交政策の企画及び立案(総合外交政策局政策企画室)又は総合的あるいは基本的な外交政策の企画及び立案に関連する外交政策に関する事務の総括(総合外交政策局総務課)を所掌する立場から、政策所管局課の外交政策の評価結果について総合的審査を行う。また、政策所管局課の評価結果及びこれに対する総合的審査結果を総合的又は基本的な外交政策の企画立案に反映させる。

11.その他政策評価の実施に関し必要な事項(第6条第2項第十一号)

(1)評価方法の改善について

 外務省は、平成14年度より政策評価を実施しているが、外務省が所掌する政策については評価手法の確立に独自の困難さがあることにもかんがみ、今後とも具体的な評価の実施の過程の中で、引き続きその改善を図っていくこととする。

(2) 外部からの意見・要望等の受付について

 大臣官房考査・政策評価官室は、政策評価に関する外部からの意見・要望を受け付ける窓口とする。

(イ)外務省ホームページにおいても、外務省の政策評価に対する外部からの意見・要望等を受け付けるコーナーを設ける。

(ロ)これら意見・要望等については、大臣官房考査・政策評価官室にて、外務省としての評価制度の改善に活用するとともに、必要に応じて関係課に通知し、各関係課が自己評価を行う上で参考材料として活用する。

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