省庁共通公開情報

II.事前評価

政府開発援助(ODA)

(2)有償資金協力案件

タンジュンプリオク港アクセス道路建設計画(第二期)

評価年月日:平成18年3月28日
評価責任者:有償資金協力課長 相星孝一

1.案件名

1-1.供与国名
 インドネシア共和国
1-2.案件名
 「タンジュンプリオク港アクセス道路建設計画(第二期)」

2.有償資金協力の必要性

2-1.二国間関係等
(1)我が国にとって、インドネシアは政治・外交関係、経済関係、地理的関係において極めて重要な意味を持つ。
(2)政治・外交面では、インドネシアは、我が国の平和と繁栄にとって重要なASEANの中で最大規模の国土・人口・資源を持ち、ASEANの中核国の1つとして東南アジアの安定と発展のために重要な役割を担う国であり、また、我が国の対東南アジア外交上も極めて重要なパートナーの1つである。
(3)経済面では、貿易・投資等の面で我が国と密接な相互依存関係を有しており、2004年の貿易額は第9位(輸入額第5位、輸出額第14位。経済産業省貿易動向データ)を占める。特に同国は、我が国にとって石油、液化天然ガス、石炭等エネルギー資源の供給国であり、我が国のエネルギー安全保障の観点からも重要性が高い。
(4)地理的には、インドネシアは中東の石油、豪州の食料品等、我が国にとって極めて重要な輸入品を運ぶ重要な海上輸送路上に位置しており、インドネシア政治・経済の不安定化等により安全な輸送が困難に陥る場合、我が国経済へ与える影響は極めて大きい。

2-2.対象国の経済状況
(1)所得水準(1人当たりGDP)は、1,165米ドル(2004年、IMF)。
(2)インドネシアは、1997年7月に始まったアジア通貨危機による影響を多く受け、長らく経済の低迷が続いていたが、近年は個人消費、固定資産投資の伸びにより経済成長率は3-5%と堅調に推移し、インフレ率も安定化していた。また、IMFプログラムに沿って、政府が財政健全化に向けて積極的に取組んできたことにより、財政赤字は2004年には対GDP比1.4%にまで改善され、対外債務残高も低下した。また、外国投資も回復の兆しを見せつつある。
(3)2005年については、マクロ経済は、上半期には成長率が5.9%と好調だったが、10月の燃料補助金削減及びこれに伴う物価上昇等により景気は減速しつつある。これに対し政府は、燃料補助金削減の際にビジネス・コスト削減措置をとったほか、景気下支えのために政府支出を加速する考えを示している。2005年1月-10月の貿易収支、外国投資、国内投資は、2004年の同時期に比べそれぞれ2.9%、21.8%、23.0%増となった。
(4)財政面については、2005年は債務支払猶予(モラトリアム)や新財政法の施行による予算配分・執行の遅れや、3月及び10月の燃料補助金削減により財政への多大な影響を回避したため、財政ギャップは生じなかった。

2-3.対象国の開発ニーズ

(1)インドネシアにおける持続的経済成長・貧困削減のためには、改革推進と経済成長との好循環の実現に向けた環境整備が必要であり、経済インフラの整備は、ビジネス環境を整備し、民間投資を回復するために重要である。
(2)インドネシアにおける経済インフラの中で運輸セクターは重点分野であり、とりわけジャカルタ首都圏は、交通渋滞の問題が深刻化しており、バイパス道路の建設や立体交差の建設等による道路容量の拡大や交通需要管理政策の実施が極めて重要となっている。
(3)本計画は、インドネシアの国家中期開発計画(2004年-2009年)に掲げられた3つの開発課題のうち、「国民の福祉増進」の中で優先分野に上げられているインフラ開発の促進に寄与するものである。

2-4.我が国の基本政策との関係
 2004年11月に策定された対インドネシア国別援助計画では、「民間主導の持続的な成長」、「民主的で公正な社会造り」、「平和と安定」のための支援の3分野を重点分野として、インドネシア政府の自助努力に対し、我が国としてもできる限りの支援を行っていくこととしている。本事業は、対インドネシア国別援助方針に定められた3つの重点分野のうち「民間主導の持続的な成長」の経済インフラ整備に該当する。

2-5.有償資金協力を実施する理由
(1)ジャカルタ首都圏の2002年の車両登録台数は1998年の1.6倍の約486万台に上り、交通渋滞問題が深刻化しているため、ジャカルタ外環道路の建設や立体交差の建設等の道路容量の拡大、交通需要管理政策の実施等様々な対策が実施されている。JICAジャカルタ首都圏総合交通計画調査(フェーズ2)では、地域経済に必要な原材料・製品の輸出入の玄関口であり、インドネシア最大の国際貿易港であるタンジュンプリオク港へのアクセスが交通渋滞により非常に時間がかかっており、地域経済成長の停滞原因の1つとなっていると指摘されており、地域経済発展のためには、アクセス道路の整備が極めて有効である。
(2)本計画は、インドネシアの投資環境整備に貢献するものであり、有償資金協力を実施する意義が認められる。

3.案件概要

3-1.目的(アウトプット)
 本計画は、首都ジャカルタの北部に位置するジャカルタ湾岸道路と、ジャカルタ外環道の北東部を結ぶ区間に高架自動車専用道路を建設する「タンジュンプリオク港アクセス道路建設計画」(全長12.1キロメートル、片側3車線)のうち、第1期計画で供与済み部分を除く、タンジュンプリオク港からジャカルタ外環道路西部及び南北リンク部分(約4キロメートル)を建設し、ジャカルタ近郊から同港へのアクセス改善と高速道路ネットワーク及びバイパス機能を改善することでジャカルタ首都圏の交通渋滞を緩和することを目的とする。

3-2.実施内容
 供与限度額:266億2,000万円
 金利:年0.4%
 償還期間(据置期間):40年(10年)
 調達条件:日本タイド
 借入人:インドネシア政府
 実施機関:公共事業省道路総局

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(1)環境社会配慮等:EIA承認は取得済み。
(2)本件は、本邦技術活用案件。
(3)外部要因リスク:急激な交通量変化。

3-4.円借款供与の成果の目標(アウトカム)
 タンジュンプリオク港近辺の交通渋滞の緩和を通じたジャワ地域の投資環境改善。本計画の実施により、インドネシアの安定的発展を通じた我が国をとりまく国際環境の安定化及び同国との関係強化に貢献する上で有効である。

4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

 要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jbic.go.jp/japanese/environ/guide/kankyou/index.php他のサイトヘ)、その他国際協力銀行から提供された資料、年次協議結果等
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