省庁共通公開情報

II.事前評価

政府開発援助(ODA)

(1)無償資金協力案件

第二次橋梁架け替え計画

評価年月日:平成17年4月22日
評価責任者:無償資金協力課長 鈴木 秀生

1.案件名

1-1.供与国名
 ブータン王国
1-2.案件名
 「第二次橋梁架け替え計画」

2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
(1)我が国は、1971年9月、ブータンの国連加盟に際し共同提案国となり、1986年3月にブータンと外交関係を樹立した。その後、我が国とブータンとの友好関係(特に皇室・王室間)に鑑み、関係強化を図っている。ブータンが我が国との関係を重視していることは、国連及び国際機関での各種選挙などにおいて常に我が国を支持してきていることにも表れている。
(2)1972年に16才の若さで即位したジグメ・シンゲ・ワンチュク現国王は、前国王が布いた近代化政策を踏襲、推進する一方、積極的に国内各地を巡幸し、民意の把握に努めつつ国家開発計画の策定にも意欲的に取り組んでいる。1998年6月、ワンチュク国王は6人の閣僚の投票による選出、閣議の議長の毎年交代、国王に対する信任投票制度の導入を提案し、大幅な国政改革を行った。2001年11月には国王の指示により憲法起草委員会が組織され、2003年6月には第2次草案が国王に提出された。
(3)我が国は、主に農業分野、社会インフラ分野、基礎生活分野に積極的に人材面・資金面の両面で貢献してきたところであり、2004年度末までに224億4,730万円の無償資金協力を実施。

2-2.対象国の経済状況
(1)所得水準(1人当たりGNI)は、590ドル(2002年)。
(2)1961年以来、9次にわたる5カ年計画により近代化を推し進め、自給自足経済から市場経済への移行を進めてきた。現在の第9次5カ年計画では、インフラ整備(道路網、配電網、通信網・ITの整備)、社会サービスへのアクセス改善(農村整備、基礎的教育・医療・飲料水・衛生へのアクセスの確保)、良い統治の確保(地方分権の推進)等の諸点に重点を置いている。
(3)農業部門(畜産、林業を含む)は、GDPの35.4%を占める(2001年)。米、小麦、トウモロコシ及びジャガイモが主要な農作物であるが、りんご、マンダリン、カルダモン等も主に輸出用として生産されている。
(4)電力部門は、GDPの10.9%を占め(2001年)、今後ブータン経済の原動力となることが期待されている。
(5)貿易については、インドとの関係が圧倒的に強く、同国への輸出が93%(2002年)、同国からの輸入が75%(同)となっている。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1)国土の大部分が険しい山岳地帯であるブータンでは、幹線道路が唯一の交通手段となっているため、社会経済活動を発展させるためには効率的で安全な道路網の確立が不可欠である。
(2)しかし、公共事業・定住省道路局が管轄する主要道路の橋梁は、大部分が仮設用の構造でそのほとんどが老朽化により大型車両の通行が制限されている。特に、国道上に位置するワクリタル橋と、県都と他地域を結ぶ唯一の県道に位置するタンマチュー橋及びスンコシ橋は、通年にわたり主要道路の交通を確保し、国土全体の均衡ある発展を目指す上で障害となっている。
(3)このような状況の下、ブータン政府は、ワクリタル橋、タンマチュー橋、スンコシ橋を架け替えるために必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

2-4.わが国の基本政策との関係
 我が国は、社会インフラ分野への支援を重点分野の一つとして積極的に貢献してきたところであり、本案件は我が国の対ブータン支援の基本政策に合致している。

2-5.当該案件に無償資金協力を供与する理由
 ブータン国は低所得国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。幹線道路上の3橋梁(ワクリタル橋、タンマチュー橋、スンコシ橋)は、老朽化のため、通年にわたり主要道路の交通を確保し、国土全体の均衡ある発展を目指す上で障害となっており、本案件を実施することによる効果は大きい。

3.案件概要

3-1.本プロジェクトの目的
 本計画は、ブータンの幹線道路上の3橋梁(ワクリタル橋、タンマチュー橋、スンコシ橋)の架け替えを行い、国土全体の均衡ある発展や国内の経済格差の縮小を図ることを目的とする。

3-2.実施内容
 本計画の供与限度額は、13億200万円(国庫債務負担行為。平成17年度2億5,800万円、平成18年度 7億4,900万円、平成19年度 2億9,500万円)であり、幹線道路上の3橋梁の架け替えを行うものである。

3-3.環境社会配慮など留意すべき点
 ブータン政府によって、適切な維持管理が継続的に行われる必要がある。

3-4.無償資金協力供与の成果の目標(アウトカム)
(1)3橋梁の通行可能車両が2軸トラックから3軸以上のトラック、トレーラまで拡大するため、物流の円滑化が図られる。
(2)道路交通機能の改善により、移動時間の短縮及び物資やサービスのコスト縮減が図られる。
(3)地域住民の生活物資の輸送、通学、通院が容易となり、住民生活が向上する。
(4)農作物・畜産物の迅速な出荷が可能となるため、周辺地域の経済の活性化が促進される。
(5)上記の貢献によって二国間関係が増進される。


4.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)先方政府からの要請書。
(2)JICAの基本設計調査報告書。
(3)第19回無償資金協力実施適正会議にて検討。
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