省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

6-3 アフリカとの重層的な交流の実施

アフリカ第一課長 大森茂
平成18年4月
施策の目標
アフリカ諸国の対日友好・協力姿勢の確保及び日本国内でのアフリカへの関心喚起
施策の位置付け
特になし
施策の概要
(10行以内)
(1)各種招聘、交流事業等を通じた人物交流の促進
 各種招聘や交流事業を積極的に活用し、様々なレベル・分野での人物交流を実施。
(2)我が国要人の機動的・戦略的なアフリカ訪問の促進
 大統領選挙や国際会議等の機会をとらえ、政治レベル・事務方レベルともに、機動的・戦略的なアフリカ訪問を実施。
(3)アフリカ関係広報活動の積極的な推進
 アフリカンフェスタの実施や愛知万博における「アフリカ館」の設置等のアフリカとの文化交流の促進。パンフレットの作成。

【施策の必要性】

 日・アフリカ間の交流推進により増進される相互理解・相互信頼は、日・アフリカ関係の基盤として重要である。特に、アフリカは地理的・歴史的な距離から人物交流・文化交流をはじめとする様々なレベル・分野での交流が比較的少なく、なじみの薄い地域であるが、アフリカ諸国は、近年日本外交にとっての重要性を増しており、積極的な交流を推進することが不可欠である。
 また、文化交流や広報活動を通じて、国内でのアフリカへの関心・理解及び我が国の対アフリカ政策への支持が適切なレベルに維持されることは、政府が適切な対アフリカ外交を進めていくために不可欠である。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

 要人往来等の政府レベルの交流活動に加え、民間レベルでの文化・人物交流等の実施、アフリカンフェスタの実施や関係広報活動の推進といった様々な分野、レベルにおける重層的な相互交流により、日・アフリカ間の相互理解や日本の対アフリカ政策への支持が高まり、それによって、アフリカ諸国の対日友好・協力姿勢の確保や日本国内におけるアフリカへの関心を更に高めることが可能である。
 特に、平成17年は愛知万博の開催に伴い、多くのアフリカの人々が日本を訪れたことに加え、日本人がアフリカ文化に触れる機会が多かったことから、上記施策が特に有効であった。

【施策の効率性】(3行以内)

 愛知万博による要人の訪日という機会を利用し、下記の投入資源により、大きな効果を得ることができたことは効率的に施策が実施されたといえる。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
78,443
71,640
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
34
34
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)
(注)投入資源(予算及び人的投入資源)は、施策6-1「TICADプロセスを通じたアフリカ開発の推進、平和と安定の実現のための支援の推進」、施策6-2「G8、国連等マルチの国際的枠組みにおけるアフリカに対する協力の強化」と共通。

【外部要因】

 政府が行う交流活動や交流事業の対象範囲(人、分野)は限定的であり、アフリカ全体あるいは日本国民一般のアフリカに対する関心は他の様々な要因によって左右される。そのため、政府の交流活動・交流事業のみを切り離してその効果を測定することは困難である。また、通常、交流活動や交流事業が効果を発現するには相当の時間がかかるため、その直接的な効果を短期的に測定することも困難である。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 アフリカ審議官組織では2005年を「アフリカの年」として大きな節目の1年だったと位置付けており、評価もこの点に留意して評価を行う。

【評価の切り口】

(1)アフリカ諸国の対日友好協力姿勢の状況
(2)日本国内でのアフリカへの関心の度合い

【目標の達成状況(評価)】

(1)アフリカ諸国の対日友好協力姿勢の状況
(イ)愛知万博等における要人訪日
 愛知万博や各種招聘スキームを活用して、元首級4か国、外相10か国をはじめ、多くのアフリカ要人が訪日し、様々なレベルで会談を実施し、二国間協力や国際場裡における協力等につき議論し、我が国に対する支持や友好関係を確認する発言が相次いだ。
(ロ)要人のアフリカ訪問
 要人のアフリカ訪問は、二国間関係強化にとって象徴的な出来事として捉えられることからいずれも大きな成果を挙げている。特に、伊藤政務官のリベリア大統領就任式典参加や塩崎副大臣のTICAD平和の定着会議(於:エチオピア)参加(議長)は、両国との二国間関係の深化だけでなく、アフリカにおける平和の定着・民主化を支援する我が国の積極的な姿勢を示すものとして歓迎された。

(2)日本国内でのアフリカへの関心の度合い
(イ)愛知万博を通じた交流
 愛知万博においては、アフリカの文化や工芸品を紹介する「アフリカ共同館」が設置され、アフリカ文化を日本人に紹介する好機となった。また、これに併せて多くのアフリカの要人が訪日し、会談を行ったり、フレンドシップ事業により草の根レベルでの交流を行ったりと、様々なレベルで交流が行われた。これらにより、日本国内でのアフリカへの関心の度合いが高まったといえる。
(ロ)アフリカンフェスタ
 アフリカンフェスタは、例年、日・アフリカの相互理解を深める機会になっているが、平成17年度は2日間で過去最高の6万3,000人の入場者を記録し、アフリカに対する関心の高まりを示す結果となっている。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)
(1)アフリカ諸国の対日友好・協力姿勢の確保については、要人往来、国際会議での会談等を通じて、様々なレベルでの会談・意見交換が行われ、相互理解が深まった。また、本年は国連安保理改革やWTOにおける途上国の開発問題など、アフリカとの協力が重要となったことから、アフリカとの連携を目指して活発な協議を行った。これらを通じて我が国の立場への支持や共感が示される等の一定の成果が得られた。
(2)日本国内でのアフリカへの関心喚起、愛知万博等を通じて当初の予想以上に、アフリカとの交流が活発に行われた。その結果、アフリカンフェスタへの過去最高の入場者数に象徴されるように、国内でのアフリカに関する関心はかなり高まっているといえる。実際、内閣府実施の外交に関する世論調査(2005年10月)では「アフリカ諸国に親しみを感じる」人の割合が過去最高となり、想定以上の成果が得られた。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 現在高まっている日本国民のアフリカへの関心を更に高めていく。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 現在高まっている日本国民のアフリカへの関心を更に高めていくため、要人往来を活発化させ、また国内での広報活動を実施する。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

鈴木裕之 国士舘大学法学部教授
 2005年~2006年を対アフリカ交流という観点から眺めた場合、愛知万博とアフリカンフェスタというふたつの文化イベントにより、国民的なレベルでの成功を収めたといえよう。愛知万博においてアフリカ館がもっとも活気あふれるスポットであったという事実は、日本人のアフリカに対する関心の高さを示している。在日アフリカ大使館、NGO団体、アフリカ音楽演奏家を一堂に集めておこなわれるアフリカンフェスタでは、入場者数が2005年に6万3000人、2006年には6万8000人という驚異的な数を示している。また招聘アーティストとして2005年にはギニアのセクバ・バンビノ・ジャバテ、2006年にはマダガスカルのデ・ガリが招待されすばらしい演奏を披露してくれたが、どちらも本国では国民的スターであり、現地のマスメディアや音楽活動をとおして日本における文化交流の知見を広めてくれている。日本で唯一の本格的なアフリカ文化祭であるアフリカンフェスタは回を追うごとに評価が高まると同時に、より充実した文化交流の場としての期待が高まっている。オフィシャルな政治レベルにおける交流の促進とともに、今後はアフリカンフェスタを多角的に展開することにより、国民レベルにおけるアフリカ理解を推進することができるだろう。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 施策の目標に適した「評価の切り口」を設定しており、また、取組の成果を世論調査の成果等の数値で示しており、全体として適切な評価といえる。

【事務事業の評価】

事務事業名:各種招聘、交流事業等を通じた人物交流の促進

事務事業の概要
 各種招聘スキームや交流事業の機会を活用して、日・アフリカ間の様々なレベル・分野における交流を促進することで、相互理解・相互信頼を増進し、友好関係を深める。
 特に、民間・草の根レベルでの日・アフリカ間の交流が十分とは言えない現段階では、政府がイニシアティブをとって日・アフリカ間の交流の促進を図ることが重要である。
有効性
(具体的成果)
 平成17年度においては、元首級(4か国)、外相(10か国)を含む様々な被招聘者が来日した。来日中は、政府要人等との会談はもちろん、地方を訪問し、小学生を含む地元住民との交流を実施した要人もいるなど、双方にとって、理解を深めるよい機会となった。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 平成17年に高まったアフリカへの関心を維持・向上させるため、引き続き各種招聘・交流事業等を通じた人物交流を促進していく。

事務事業名:我が国要人の機動的・戦略的なアフリカ訪問の促進

事務事業の概要
 政府関係者等の我が国要人をアフリカ諸国に派遣することで、我が国の友好的姿勢や高い関心を示すとともに、我が国の立場や政策に関する先方の理解を促進する。
有効性
(具体的成果)
 平成17年度における、我が国要人のアフリカ訪問の実績は以下のとおり。訪問先では要人との会談等を行い、安保理改革、TICADプロセス、経済協力をはじめとする二国間関係強化などにつき、日本の取組・立場等を説明し、我が国の対アフリカ政策に対して先方から高い評価や期待の表明がなされた。
  • 逢沢外務副大臣(当時。ケニア、ルワンダ)
  • 小野寺外務大臣政務官(当時。ガボン、カメルーン、セネガル)
  • 河井外務大臣政務官(当時。ギニア、ジブチ、タンザニア)
  • 福島外務大臣政務官(当時。ケニア、ナミビア、モザンビーク、レソト)
  • 伊藤外務大臣政務官(リベリア)
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 安保理改革やエネルギー問題等、アフリカは近年さらに各国の注目を浴びており、我が国のアフリカにおけるプレゼンスを確保し利益を増進するため、引き続き我が国要人の機動的・戦略的なアフリカ訪問を促進する。

事務事業名:アフリカ関係広報活動の積極的な推進

事務事業の概要
 アフリカの紹介や日本の対アフリカ政策に関する政策広報を積極的に行うことで、地理上も歴史上も一見関連の薄いアフリカに対する日本国民の関心・理解や対アフリカ政策に対する支持を適切なレベルに維持し、政府が適切な対アフリカ外交を進めていくための基盤づくりをする。
有効性
(具体的成果)
 平成17年度の活動実績は以下の通り。これらを通じて、国民の関心・理解を促進することができた。実際、内閣府実施の外交に関する世論調査(2005年10月)では「アフリカ諸国に親しみを感じる」人の割合が22.0%と過去最高となった。
  • アフリカンフェスタ開催(ホームページ開設)
  • 愛知万博「アフリカ共同館」への協力
  • 日本とアフリカ・パンフレット作成
  • プレスとの積極的な交流
  • 様々な団体への後援名義を付与
  • アフリカ関係の雑誌への協力
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 愛知万博、「アフリカの年」等を機会に高まったアフリカへの関心を維持・向上させるため、引き続き、関係広報活動を実施する。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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