省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

6-2 G8,国連等マルチの国際的枠組みにおけるアフリカに対する協力の強化

アフリカ第一課長 大森茂
平成18年4月
施策の目標
(1)アフリカにおける平和・安定と経済社会開発の促進
(2)アフリカへの協力に関する他の先進国等との関係の維持・強化
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第159回、第162回、第164回施政方針演説に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
(1)マルチの国際的枠組みにおける議論への貢献
 G8プロセスでのアフリカに関する議論(G8アフリカ問題首脳個人代表(APR)を通じたものを含む)、アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)、国連安保理でのアフリカ問題の議論への貢献等。
(2)マルチの国際的枠組みでの具体的取組
 G8アフリカ行動計画のレビュー及び着実な実施、国際社会の対アフリカ支援への積極的協力。特に、2005年「アフリカの年」に際して、今後3年間でアフリカ向けODA倍増、今後5年間でODA100億ドル積み増し、「保健と開発」に関するイニシアティブ等の新施策を発表。

【施策の必要性】

 紛争や難民、貧困や感染症等のいわゆる「アフリカ問題」は、国際社会全体の課題となっており、我が国も国際社会の責任ある一員として同問題の解決に貢献する必要性がある。また、感染症やテロ等は、我が国にも影響が及び得る問題であり、適切に対処する必要性がある。
 特に2005年は、アフリカ問題がG8グレンイーグルズ・サミットや国連首脳会合等主要な国際会議の中心的議題となったこと、国連改革やWTOドーハ・ラウンド交渉等の国際場裡において、アフリカとの協力が鍵となったこと等から、国際社会の注目がアフリカに集まった「アフリカの年」であった。我が国は、このような好機をとらえ、先進国を含めた国際社会との協調を図りつつ、アフリカ問題に一層積極的に対処した。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

 アフリカにおける平和・安定と経済社会開発を効果的・効率的に促進するためには、他の先進諸国や国際機関との対話・協力の下、国際社会が一体となって対アフリカ支援に取り組むことが有効である。
 特に、国際社会の注目がアフリカの問題に集まり、各国・国際機関等が具体的な支援策を表明した「アフリカの年」であった2005年には、国際社会によるアフリカ問題への取組に一層積極的かつ建設的に参画することが、アフリカ問題の解決を進める上で、また、他の先進国等との関係を維持・強化する上で、有効であった。

【施策の効率性】(3行以内)

 「アフリカの年」であった2005年は、国内外でアフリカ問題に関心が集まったことも手伝って、以下に見るように大きな成果を得ることができたことから、効率的に施策が実施されたと言える。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
78,443
71,640
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
34
34
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)
(注)投入資源(予算及び人的投入資源)は、施策6-1「TICADプロセスを通じたアフリカ開発の推進、平和と安定の実現のための支援の推進」、施策6-3「アフリカとの重層的な交流の実施」と共通。

【外部要因】

(1)アフリカにおける平和・安定の状況は、関係諸勢力の和平への意思等に依存。
(2)アフリカにおける経済社会開発の進展は、アフリカ側の支援受け入れ態勢(改革努力、国際社会との協調姿勢等)や国際経済の状況(一次産品価格、先進国側の景気、金利動向等)等に依存。
(3)他の先進国等との関係強化の度合は、我が国がマルチの国際的枠組み以外で行うアフリカ支援や、我が国と当該先進国等とのアフリカ以外の面での関係等に依存。
(4)(1)~(3)は、より大きな国際政治・経済情勢等に依存。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 アフリカ審議官組織では2005年を「アフリカの年」として我が国対アフリカ外交の大きな節目の1年と位置付けており、評価もこの点に留意して行う。

【評価の切り口】

(1)アフリカにおける平和・安定、経済社会開発の進捗状況
(2)アフリカへの協力における他の先進国との協調状況

【目標の達成状況(評価)】

(1)アフリカにおける平和・安定、経済社会開発の進捗状況
 アフリカにおける平和・安定と経済社会開発の促進に関しては、我が国の貢献の効果だけを抽出して評価すること、また単年度で評価することは困難であるが、我が国も主要な役割を果たしてきた国際社会全体としての取組が以下のようなアフリカの好ましい現状に寄与したことは確実であり、平成17年に打ち出した新施策が今後更にアフリカ開発を促進することは確実である。
(イ)内戦・クーデター後初となる民主的選挙(ブルンジ、リベリア、中央アフリカ、ギニアビサウ)や憲法の国民投票の実施(コンゴ(民))、国連平和維持活動の任務完了(シエラレオネ)
(ロ)サブサハラアフリカの実質GDP成長率5.3%(2005年)(参考:5.3%(2004年)、4.0%(2003年)、3.6%(2002年))
(ハ)インフレ率が10.5%に低下(参考:10.8%(2004年)、15.1%(2003年)、3.6%(2002年))
(2)アフリカへの協力における他の先進国との協調状況
 以下のように対アフリカ協力に関する他の先進国等との関係を強化することができた。
(イ)G8グレンイーグルズ・サミットにおけるアフリカ問題の議論への積極的貢献(コミュニケ『アフリカ』、『アフリカ行動計画実施進捗報告書』)
(ロ)G8プロセス、アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(APF)でのアフリカ問題の議論への貢献
(ハ)国連首脳会合におけるMDGsレビューへの貢献
(ニ)安保理におけるアフリカ問題に関する議論への貢献
(ホ)各種ドナー国会合への貢献
(ヘ)EU、フランス等、先進諸国との協議におけるアフリカに関する議論の実施

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)従来からの対アフリカ支援の着実な実施、本年の新施策の発表等を通じ、アフリカにおける平和・安定と経済社会開発の促進に貢献した。また、「アフリカの年」に際して、アフリカ問題解決への意思を共有する先進諸国との対話・協調を特に効果的に行うことができ、同問題への対処における重要なアクターとしての我が国の存在感を示すことができた。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 「アフリカの年」に盛り上がったアフリカ問題解決に向けた機運を維持しつつ、国際的枠組みでの対話・協調の継続を図り、平成17年に打ち出した新施策等を着実に実施することが必要。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 国際的枠組みでの対話・協調の継続及び新施策等の着実な実施。「アフリカの年」の機運を維持し、2008年開催予定のTICADIV、G8サミット日本開催に向け国際社会の関心を高めていく。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

星野俊也 大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
(1)日本は、2000年のG8九州・沖縄サミットの際にアフリカ諸国とのアウトリーチ会合を初めて行うなど、アフリカの問題をG8サミットの主要議題とすることに貢献した国であるとの認識がアフリカ各国で共有されている。また、日本の復興の経験やアジアの成長の経験はアフリカに希望を与え、アフリカの自主性の尊重や人造り、南南協力などのアプローチを現地は歓迎している。このことは、これまでの日本の対アフリカ政策の成果を表すものと言える。2005年が「アフリカの年」と表現しうるほどにアフリカへの関心が高まり、アフリカの問題の解決に向けた国際的な気運が高まったのも、日本のこれまでの地道で着実な問題提起と支援によるところが大きいと考える。その意味からも、2005年は日本の実績を生かし、さらに発展させる好機であり、この年、日本がさまざまなマルチの国際的枠組みの機会を捉え、種々の新たな施策を発表し、平和・安定の分野から経済社会開発の促進まで、アフリカ問題の解決に向けた国際的議論においてイニシアティブを発揮したことは有益であった。こうした観点から、政策目標の達成に向けて日本の存在感を示しつつ相当の進展があったとする自己評価は適切と考える。
(2)日本は、約束したことは必ず実行する国として高い評価を得ており、今後は、2005年に表明した新たな施策を着実に実行していくことが重要である。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 「評価の切り口」がアフリカにおける平和、安定、経済社会開発の進捗状況」となっており、外部要因に左右されやすい「切り口」を設定している。その結果、我が国の取組の成果が示しづらくなっている。しかしながら、後述の事務事業の具体的成果の記述により、成果の説明が補完されており、全体としては適切な評価となっている。

【事務事業の評価】

事務事業名:「G8アフリカ行動計画」の着実な推進

事務事業の概要
 「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)に対するG8としての支援の枠組み(平和・安全保障、ガバナンス、貿易・投資、経済成長、持続可能な開発、教育、保健、農業等、幅広い分野が対象)として、2002年のカナナスキス・サミットで採択された『G8アフリカ行動計画』を、G8の一員として着実に実行。
有効性
(具体的成果)
 G8グレンイーグルズ・サミットに提出された、『G8アフリカ行動計画の実施進捗報告書』において、TICADに代表される日本のアフリカ支援の取組につき言及がなされた。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 アフリカに対する効果的な支援及び国際社会におけるアフリカ問題における我が国の指導力強化のためには、G8諸国との協力が不可欠。我が国として、引き続き同行動計画を踏まえた支援を着実に実施していく。

事務事業名:アフリカ地域の紛争解決へ向けた努力(平和支援活動(PSO)を含む)への支援

事務事業の概要
 アフリカでは多くの紛争が全体として終息に向かっており、その脆弱で貴重な平和を安定的・持続的なものにしていくための支援を実施する。
平成17年度は以下を実施。
(1)AUの平和基金に対し、25万ドルを拠出。
(2)2006年2月にTICAD平和の定着会議を開催。同会議において、アフリカの平和の定着のための「新たなイニシアティブ」を発表。同イニシアティブにおいては、当面の措置として、同年3月までに総額約6,000万ドルの支援を表明し、実施。
(3)2005年4月にスーダンの平和の定着のための当面1億ドルの支援を表明。
有効性
(具体的成果)
 アフリカ各国で、内戦後初となる民主的選挙や憲法の国民投票の実施、国連平和維持活動の任務完了等が実現した。
 また、2006年2月のTICAD平和の定着会議では、73か国、38機関等から400人以上が参加し、治安確保・政治ガバナンス・体制移行・コミュニティ復興及び社会経済開発等につき議論した。多くの参加者から、大変時宜を得た開催であり、経験・教訓の共有の上で貴重な機会であったとの高い評価が示され、会議を主催した我が国への謝意が述べられた。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 現在のアフリカにとっては、平和の定着が重要な課題となっている。対アフリカ支援の三本柱の1つとして平和の定着を掲げる我が国としては、これを積極的に進める必要があり、TICAD平和の定着会議のフォローアップをも通じて、引き続き平和の定着支援に取り組んでいく。

事務事業名:その他国際場裡におけるアフリカ問題解決のための努力への参画(MDGsへの貢献等)

事務事業の概要
 貧困・感染症・飢餓・紛争等の「アフリカ問題」の解決のため、アジアでの経験・知見を活かし、国際社会と協力しつつ、積極的な支援を行う。
 平成17年度はG8グレンイーグルズ・サミットや国連首脳会合等主要な国際会議においてアフリカの問題が議論され、特に、国連首脳会合においては、MDGsのレビューも行われた。我が国はこれらの機会を捉え、種種の新施策を打ち出しつつ、議論に積極的に参加した。
有効性
(具体的成果)
 我が国が国際場裡における議論に積極的に参画した結果、G8サミットのコミュニケ『アフリカ』には、日本の重視する農業、人造り等の事項が反映されている。
 我が国は「アフリカの年」におけるアフリカ支援に対する国際社会の機運を更に高めるため、「今後3年間でのアフリカ向けODAの倍増」「5年間でのODA100億ドルの積み増し」等の新施策を発表。国際社会・アフリカ諸国から高く評価された(例:「日本の決断を歓迎している」(オバサンジョ・ナイジェリア大統領))。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 「アフリカの年」に盛り上がった機運を維持し、国際社会及び国内で引き続きアフリカ問題への取組が続くよう働きかけるとともに、平成17年に発表した対アフリカ支援コミットメント等を着実に実行に移していく。

【評価をするにあたり使用した資料】

我が国の対アフリカ政策(PDF)PDF

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