省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

4-5 ロシアとの平和条約締結交渉の推進及び、幅広い分野における日露関係の進展

ロシア課長 松田邦紀
平成18年5月
施策の目標
領土問題を解決して平和条約を締結し、日露関係の完全な正常化を図ることを目指すとともに、幅広い分野における日露関係を進展させること。
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第159回/第162回/第164回/施政方針演説に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
(1)平和条約交渉の推進、領土問題解決に向けた環境整備
 平和条約締結交渉の推進、北方四島交流、住民支援事業等の実施。
(2)政治対話の積極的な実施
 露大統領訪日等、あらゆる機会を捉えた首脳・外相会談等の実施。
(3)貿易経済分野における協力の推進
 日露間の貿易経済関係の拡大・深化に向けた取組の実施。
(4)国際舞台における協力の推進
 国際テロ等地球規模の問題の解決等における協力・対話の実施。
(5)人的交流・文化交流の推進
 各種招聘事業、日露修好150周年記念事業、交流事業等の実施。

【施策の必要性】

 日露関係は、平成15年1月の小泉総理の訪露の際に採択された「日露行動計画」に従ってエネルギー分野、国際舞台における協力等の幅広い分野で着実に進展してきているものの、その潜在力に比べ未だ十分な水準に達しているとは言えない。戦後60年にわたり未解決のままとなっている北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の信頼関係に立った日露関係を構築することは、日露関係を飛躍的に発展させるために不可欠であるだけでなく、北東アジア地域全体の安定と繁栄のためにも極めて重要。
 平和条約交渉を精力的に進めると同時に、幅広い分野での日露協力を発展させることが日露双方の利益に合致する。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

 日露関係を進展させるためには、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して早期に平和条約を締結するという一貫した方針の下、精力的に平和条約交渉を行っていくとともに、幅広い分野で日露関係を発展させていくことが重要である。
 このためには、「日露行動計画」の6つの重要な柱である、1.政治対話の深化、2.平和条約交渉、3.国際舞台での協力、4.貿易経済分野における協力、5.防衛・治安分野における協力、6.文化・国民間交流の進展の各分野で着実に協力を進めることが有効である。

【施策の効率性】(3行以内)

 プーチン大統領の訪日の際に、実務分野での協力について12の文書が署名される等、幅広い分野での日露関係の進展を更におし進めることができた。平和条約問題については、下記の厳しい外部要因にもかかわらず、首脳間でこれまでの諸合意及び諸文書に基づき双方に受入可能な解決策を見出す努力を継続することで一致した。以上にかんがみ、施策は目標を目指す手段として適切であったと言える。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
874,876
818,638
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
35
34
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

 ロシア国内において、原油高に支えられた好調な経済及び第二次世界大戦戦勝60周年を契機として、「自信」の回復や世論の高揚が見られた。また、このような国内の状況の影響もあり、欧米、CIS等の諸外国との関係においてロシアが自らの原則的立場を強く主張する傾向が見られた。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 内閣の施政方針演説及び重要外交政策に含まれる施策であるので、通常の評価を行う。

【評価の切り口】

ロシア大統領の訪日を踏まえた「日露行動計画」に基づく更なる協力の推進の状況

【目標の達成状況(評価)】

ロシア大統領の訪日を踏まえた「日露行動計画」に基づく更なる協力の推進の状況

 平成17年度においても、我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して早期に平和条約を締結するという一貫した方針の下、平和条約交渉が精力的に進められるとともに、「日露行動計画」の着実な実施を通じて幅広い分野で両国関係が進展した。
(イ)平和条約締結に向けた取組の進展状況
 平和条約交渉の推進、領土問題解決に向けた環境整備
 平成17年度は、ロシア政府要人等の北方領土問題に関する強硬な言動が少なからず見受けられたが、日露首脳会談、日露外相会談を通じた露側との平和条約締結問題についての議論の場においては、粘り強く交渉を行い四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することが日露双方の利益に合致することにつき認識の一致を見た。特に、平成17年11月の日露首脳会談においては、小泉総理よりプーチン大統領に対し我が国の一貫した立場を主張し突っ込んだ議論を行った結果、両首脳は、平和条約締結問題につき、これまでの様々な合意及び文書に基づき、日露両国が共に受け入れられる解決を見出す努力を行うことで一致した。
 また、社団法人北方領土復帰期成同盟を通じ、北方領土相互理解促進対話交流使節団を初めてユジノサハリンスクに派遣する等、精力的に世論啓発事業を行った結果、平和条約問題へのロシア世論の関心が高まったほか、四島交流、自由訪問、北方墓参や北方四島住民支援事業を通じた四島のロシア人住民との相互理解が促進され、領土問題解決に向けた環境整備が進展した。

(ロ)幅広い分野における日露間の協力の進展状況
(i)政治対話の積極的な実施
 平成17年5月の第二次世界対戦終了60周年記念式典の際の日露首脳会談、同月のラヴロフ外務大臣訪日の際の日露外相会談、6月のイラク支援国際会議の際の日露外相会談、7月のグレンイーグルズ・サミットの際の日露首脳会談、9月の国連総会の際の日露外相会談、11月のAPEC閣僚会合の際の日露外相会談、同月のプーチン大統領訪日の際の日露首脳会談等を通じて、平和条約締結問題及び幅広い分野における日露協力及び喫緊の国際情勢について緊密な意見交換が行われ、活発な政治対話が維持された。その成果として、11月のプーチン大統領訪日の際には、テロとの闘いに関するものをはじめとする12の実務文書が日露間で署名された。
 議会間、議員間交流の分野においては、平成17年度の1年間で日露双方あわせて延べ30人以上の国会議員・連邦議会議員が相互に訪問した。その他にも、閣僚レベルの接触、日露賢人会議の開催等、重層的な対話が行われたことで日露両国の相互理解が促進された。

(ii)貿易経済分野における協力の推進
 日露経済関係は、好調なロシア経済及び我が国の景気の回復を背景に我が国民間企業の対露ビジネスへの関心が増大し、平成17年の日露間の貿易高は対前年比22%増の107億ドルとなり、過去最高額を記録した。こうした中、11月のプーチン大統領訪日の際には多数のロシア人企業関係者が同行し、東京において日露経済フォーラムが開催される等、日露経済関係の一層の緊密化が進んだ。
 また、日露間の貿易・投資を促進するため、日露両国間で設置された貿易投資促進機構の活動を通じ、両国の企業の活動を支援した。

(iii)国際舞台における協力の推進
 テロ協力分野及び非核化協力分野におけるロシアの退役原子力潜水艦の解体事業に関する実務文書が署名されたほか、国連安保理改革、北朝鮮問題等を巡る緊密な意見交換等、日露間の国際舞台における協力が進展した。

(iv)人的交流・文化交流の推進
 平成17年が日露修好150周年であることを踏まえ、各種記念事業が両国において行われ、4月に総理、外務大臣、内閣府特命担当大臣、駐日ロシア大使他の参加の下、下田で開催された政府主催記念式典、6月に行われた両国青年による日露ゆかりの地を訪問する回航事業及び地方自治体や民間団体により実施された約120件の記念事業は、相互交流、相互理解を後押しした。
 また、各種招聘事業・交流事業の実施を通じ人的交流、文化交流の分野において進展が見られたほか、11月の首脳会談で、日露間の人的交流について今後3年間で3倍増、約40万人を目指すことで一致する等、更なる進展のための方向性が示された。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)本年度も様々な機会・レベルを通じて平和条約締結問題につき粘り強い交渉が行われ、平成17年11月のプーチン露大統領の訪日の際、両首脳間で、これまでの様々な合意及び文書に基づき、日露両国が共に受け入れられる解決を見出す努力を行うことで一致した。
 また、平成17年度における日露間の貿易高が過去最高を更新したほか、11月のプーチン大統領訪日の際にはテロとの闘いに関する文書を始めとする12の実務文書が日露間で署名される等、「日露行動計画」の着実な実施による幅広い分野での日露協力の拡大が見られる。これらのことは、日露相互の信頼関係を深め、平和条約締結にも資すると考える。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 平和条約問題についての精力的な交渉の継続。領土問題解決に向けた環境整備の一層の進展。「日露行動計画」の着実な実施を通じた、幅広い分野における日露関係の一層の発展。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 引き続き我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して早期に平和条約を締結するという一貫した方針の下、精力的に交渉を継続していくとともに、「日露行動計画」の着実な実施を通じ幅広い分野で日露関係を発展させていく。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

横手慎二  慶應義塾大学法学部教授
 平成17年にはプーチン大統領が訪日し、マスコミ報道によれば、平和条約締結に向けて双方から率直な議論が交わされたと言われている。条約交渉の他にも、貿易経済分野における協力、防衛・治安分野における協力など幅広い分野における協力が着実に実行されていることを考えると、施策の方向性とそれについての評価は概ね妥当なものと判断される。ただし、施策全体が平成15年1月までの日露関係をめぐる諸問題の経緯の中から導き出されたものと理解するならば、政策評価は単年度ごとの場合と、中長期的な視点に立つ場合を区別してなされることが望ましいのではあるまいか。たとえば政策の効率性において手段の適切性を判断するのであれば、判断の基礎となる各々の事業の性質(短期的に達成可能な事柄と漸次的にしか効果が現れない事柄)について言及する必要があるのではあるまいか。特に本件施策のように長期にわたるものについては、この点について一考を求めたい。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 平成17年度に双方の首脳の訪問が実現し、「日露行動計画」に基づく日露関係の具体的な進展が、政治、経済、文化の分野にわたり、具体的な形で評価されている。

【事務事業の評価】

事務事業名:平和条約交渉の推進、領土問題解決に向けた環境整備

事務事業の概要
(内容)
(1)平和条約交渉の推進
 日露両国のあらゆるレベルにおける可能な限り頻繁な平和条約締結交渉の実施。
(2)領土問題解決に向けた環境整備
 日露両国民の相互理解の促進、ロシア人の我が国に対する信頼感の向上、平和条約締結に前向きなロシア国内世論の形成のため、以下の施策を実施。
(イ)四島交流、自由訪問及び北方墓参
 内閣府等との協力の下、年間計画に沿って実施。
(ロ)世論啓発事業
 インターネット等を通じた我が国政府の立場の啓発事業の実施。
 報道関係者招聘。
(ハ)北方四島住民支援
 北方四島住民の患者受入れ、北方四島への物資支援。

(必要性)
(1)平和条約交渉の推進
 戦後60年にわたり未解決のままとなっている、日露関係における最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の信頼関係に立った日露関係を構築することは、日露関係を飛躍的に発展させるために不可欠であるだけでなく、北東アジア地域全体の安定と繁栄のためにも極めて重要である。
(2)領土問題解決に向けた環境整備
 四島交流、自由訪問及び北方墓参は、北方四島の元島民をはじめとする日本国民と四島のロシア人住民との間の相互理解の促進、現島民の我が国に対する懸念・不安等の解消を通じ、平和条約交渉の環境整備を行うという観点から重要である。
 各種世論啓発事業は、ロシア国民に対する、北方領土問題の歴史的経緯及び日露関係の完全な正常化の必要性についての啓発として重要であり、我が国との平和条約の締結に前向きなロシア国内世論の形成はロシアとの間で平和条約交渉を進める上で不可欠である。
 また、北方四島住民支援事業は、四島住民にとって真に人道的に必要な支援の実施を通じ四島住民の我が国に対する信頼感を高めることによって、平和条約締結交渉の促進に向けた環境整備を図るために重要である。
有効性
(具体的成果)
(1)平和条約締結交渉
 プーチン大統領の訪日の際の首脳会談を含め、首脳レベル(計3回)、外相レベル(計4回)、事務レベル(局長級協議等)で精力的に交渉が行われた。その結果、ロシア政府要人等による北方領土問題に関する強硬な発言が目立った中で、平成17年11月の日露首脳会談において、両首脳が平和条約締結問題につき、これまでの様々な合意及び文書に基づき、日露両国が共に受け入れられる解決を見出す努力を行うことで一致した。

(2)領土問題解決に向けた環境整備
 四島交流では15回の我が方訪問団による四島訪問事業(691名参加)及び8回の四島居住ロシア人受入事業(360名参加)を通じ、計1051名が参加した。自由訪問では4回の訪問で計193名が北方四島を訪問した。北方墓参では3回の訪問で計129名の元島民及び関係者が墓参を行った。これらの訪問が円滑に行われたことは、訪問事業の継続的な実施による培われた日露間の信頼と実績によるところが大きい。
 各種世論啓発事業では、平成17年度も社団法人北方領土復帰期成同盟を通じて北方領土相互理解促進対話交流使節団をロシアに派遣し、モスクワ及び初のユジノサハリンスク訪問を実施したほか、インターネット啓発事業を行った。また、北方領土問題に関する英語及びロシア語で歴史的経緯や我が国政府の考え方等をわかりやすく記した資料を広く配布し、啓発に努めた。このように積極的に世論啓発に努めていることで、日露間の閣僚・首脳レベルの会談前後だけでなく、日露関係、平和条約問題に関し日本側の動きをフォローした細かな報道がなされている。
 報道関係者招聘においては、ロシアやCIS諸国等で幅広い視聴者数を有する全国ネットのテレビ放送局「独立テレビ」のニュース番組のニュース・キャスター(フレコフ論説員)を招聘し、北方領土問題の歴史的経緯及び日露関係の完全な正常化の必要性等に関して、我が方与野党国会議員、日露関係研究者等との意見交換を実施した。影響力のある人気ニュース番組の論説員が領土問題等に関する認識を深めることは、ロシア国民に対する我が方啓発事業のための環境整備として重要である。
 北方四島住民支援では、国後島、択捉島、色丹島在住の患者8名を市立根室病院、1名をクラーク病院、1名を北海道大学病院にて受け入れた。また、現地のニーズに応じ、択捉島に対し食料品、医薬品及び医療消耗品、国後島及び色丹島に対し食料品及び医療消耗品を供与した。患者の受入れ及び現地のニーズに応じた医薬品、食糧品等の供与については、四島側から謝意が表明される等、高い評価が得られている。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 日露間では、北方領土問題が未解決の最大の懸案として残っている。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針の下、引き続き精力的に交渉を継続するとともに、領土問題解決に向け一層の環境整備に努めることが不可欠である。

事務事業名:政治対話の積極的な実施

事務事業の概要
(内容)
(1)あらゆる機会を捉えた首脳・閣僚レベルを始めとするあらゆるレベルにおける会談の実施。
(2)日露両国の国会議員による相互訪問。

(必要性)
 北方領土問題を解決して平和条約を締結し、日露関係の完全な正常化を目指すとともに幅広い分野で日露関係を進展させるためには、首脳レベル、閣僚レベル、事務レベル等あらゆる層での緊密な政治対話が必要である。
 また、議会間、議員間交流、日露賢人会議、地方関係者の交流等重層的対話の推進が不可欠である。
有効性
(具体的成果)
(1)平成17年度においては、首脳会談を計3回、外相会談を計5回、電話外相会談を計3回行った他、森前総理とプーチン大統領の会談も実施された。

(2)「ロシア国家院若手議員グループ」の訪日、マルゲロフ・ロシア連邦院国際問題委員会委員長一行の訪日を始め、1年間で日露双方で延べ30名以上の議員が相互に訪問しており、この機会を通じ、相互の信頼と理解が深められた。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 首脳及び閣僚レベルをはじめとする重層的な政治対話は、平和条約問題及び幅広い分野の協力を推進するための重要な機会である。今後とも、政治対話を積極的に実施していくことが重要である。

事務事業名:貿易経済分野における協力の推進

事務事業の概要
(内容)
(1)貿易経済政府間委員会
 日露間の経済問題に関する意見交換の実施。
(2)エネルギー協力
 サハリン・プロジェクト、太平洋パイプライン・プロジェクト。
(3)貿易投資の促進のための諸措置
 日露貿易投資促進機構を通じた、我が国企業の対露貿易投資上直面するトラブルへの対処。
(4)科学技術分野の協力
 科学技術一般、宇宙等の分野における政府レベルの意見交換。
(5)漁業分野の協力
 漁業交渉、ロシア船舶による水産物の密漁・密輸出問題での協力。
(6)対露技術支援
 日本センターを通じたロシアにおける改革促進のための技術支援。

(必要性)
 「日露行動計画」の6つの柱の1つとして掲げられた「貿易経済分野における協力」を推進することは、我が国の経済的利益を増進するだけでなく、日露関係全体の進展に資する。
有効性
(具体的成果)
(1)貿易経済政府間委員会
 平成17年4月、東京で日露政府間委員会第7回会合が開催され、ロシアにおける貿易・投資環境の改善に向けた努力、エネルギー分野における協力の更なる発展の戦略的重要性の確認、ロシアのWTO加盟問題についての協議等幅広い日露間の経済問題につき意見交換を行った。また、10月には東京で貿易投資分科会が行われた。
 両会議を通じ、日露両国間の貿易経済関係の拡大が確認されるとともに、今後とも両国間の貿易経済関係の諸問題の検討に積極的に取り組んでいくことの重要性を確認することができた。

(2)エネルギー協力
 我が国企業が参画しているサハリン・プロジェクトについては、サハリン1において平成17年10月より石油・天然ガスの生産が開始される等、具体的な進展が見られた。また、民間ビジネスの円滑な実施のための環境整備につき露側に働きかけを行った。
 太平洋パイプライン・プロジェクトについては、首脳会談や外相会談を含め様々なレベルにおいて協議が行われ、プーチン大統領訪日の際には、プロジェクトの早期かつ完全な実現が日露両国の戦略的利益に合致することが確認された。

(3)貿易投資の促進のための諸措置
 我が国企業が対露貿易投資上直面するトラブル(通関制度、税制や債務未払い等)につき、公平、公正かつ透明なかたちで解決されるよう、累次にわたり露側政府関係者に働きかけを行った。
 また、平成17年4月に正式に立ち上げられた日露貿易投資促進機構の活動を通じて、日露両国の企業に対し、他方の国の企業や制度に関する情報提供、コンサルティング(企業紹介、初期的な進出支援)等の支援を行った。こうした支援が、日露企業間の信頼感を高め、日露間の貿易投資の一層の活性化に寄与している。

(4)科学技術分野の協力
 平成18年2月に第9回日露科学技術協力委員会が東京において開催され、官民両レベルでの協力を目的とし、民間オブザーバーの参加を得て活発な意見交換が行われた。両国の科学技術制作の情報交換や、協定下の共同プロジェクトの確認等を実施することができた。
 また、プーチン大統領訪日の際には、情報通信技術の分野における協力プログラムに関する文書が両国間で署名される等、具体的な進展があった。

(5)漁業分野の協力
(イ)漁業交渉
 平成17年10月、モスクワで北方四島周辺操業枠組協定に基づく政府間協議を実施し、協定の効力の1年間延長を確認した。また、同時に開催された民間交渉において、平成18年の操業条件につき妥結した。
 平成17年9月、モスクワにおいて日露漁業委員会第21回会議追加協議を実施し、西ベーリング水域における追加漁獲枠の配分に関し協議を開催したほか、同年12月、モスクワにおいて日露地先沖合漁業協定に基づく日露漁業委員会第22回会議を実施し、平成18年の操業条件につき妥結した。
 平成18年3月、東京で日露漁業合同委員会第22回会議を開催し、我が国200海里水域におけるロシア系サケ・マス類の同年の操業及び漁業関連の協力につき妥結した。
 政府間協定等に基づく我が国漁船の操業につき、ロシア側内部の手続の遅れにより我が国漁船の出漁時期が遅れるような事態が頻発しており、このような事態の再発防止に向け種々の申入れを外相会談等あらゆる機会を通じて行った結果、手続の迅速化等において一定の成果が見られた。
(ロ)ロシア船舶による水産物の密漁・密輸出問題
 偽造の貨物税関申告書を提示するロシア漁船を特定するための日露間の通報システムは順調に機能しているものの、ロシア船舶によるロシア国内法令違反の漁獲や我が国の港への陸揚げが依然として減少しないため、日露それぞれの関係当局が現行法令に基づく国内措置を強化するとともに、日露の関係当局間の協力を一層強化する方向で鋭意調整を進めてきた結果、両国間の新たな協力の実施につき一致した。

(6)対露技術支援
 ロシアにおける改革の促進のための技術支援を行う日本センター事業は、「日露行動計画」において、「ロシア連邦の市場経済への移行を促進した」との意義が明記されており、ロシア各地でも高い評価を得ている。平成17年度においては、ロシア側においてニーズの高い各種事業(経営関連講座、訪日研修、日本語講座等)を実施し、日露間の貿易経済関係の発展に資する人材発掘及び育成を促進できた。平成6年に日本センターが設立されてから平成17年度までの間に、約34,000名が日本センターの各種講座を受講し、約2,900名が訪日研修に参加した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 今後とも「日露行動計画」の着実な実施を通じて、貿易経済分野での日露協力を進展させ、日露関係を全体として発展させていくことは、我が国の経済的利益の増進のみならず、両国間の信頼感を深め平和条約交渉の進展に資する観点からも重要である。
 貿易投資促進機構の活動に対する我が国企業からのニーズは高まっている。特にロシア国内で日本側機構の支部として活動する日本センターは企業関係者からも高い評価を得ているが、現在7つの日本センターのうち3センターにしか機構関連の活動の予算がついていないため、十分な活動を行えておらず、予算の拡充が必要。
 (具体的対応方針:貿易経済政府間委員会や貿易投資促進機構等を効果的に活用しつつ、エネルギー、科学技術、漁業等幅広い分野での日露間の経済交流、貿易投資拡大のための環境整備を進める。)

事務事業名:国際舞台における協力の推進

事務事業の概要
(内容)
(1)グローバルな問題の解決のための協力分野
 国際テロ問題に対する協力、国連安保理改革に関する意見交換。
(2)軍備管理・軍縮・不拡散分野
 ロシア退役原潜解体協力事業における日露間の協力。
(3)地域情勢に関する対話
 北朝鮮、イラク、CIS諸国等に関する意見交換の実施。

(必要性)
 非核化協力分野におけるロシアの退役原子力潜水艦の解体事業、国連安保理改革、北朝鮮問題等を巡る緊密な意見交換等、国際舞台における協力は日露双方にとって戦略的意義を有する協力分野である。
有効性
(具体的成果)
(1)グローバルな問題の解決のための協力分野
 テロ協力分野では、平成17年11月のプーチン大統領訪日の際、小泉総理と同大統領との間でテロリズムとの闘いにおける日露間の協力に関する文書に署名する等、国際テロ問題に対する日露協力が進められた。
 国連安保理改革に関しては、累次の外相会談、首脳会談において意見交換が行われ、引き続き緊密に協議していくこととなった。露側よりは、安保理の拡大が決定される場合には、日本は常任理事国の有力な候補であるという立場が繰り返し示された。

(2)軍備管理・軍縮・不拡散分野
 非核化協力分野においては、平成17年11月のプーチン大統領の訪日の際、極東ロシアにおける原子力潜水艦解体に関する文書が日露間で署名され、5隻の退役原潜解体協力事業に関する枠組みが定められる等、この分野での日露間の協力が順調に進展した。

(3)地域情勢に関する対話
 首脳レベル、外相レベルで北朝鮮やイラク情勢といった緊急かつ重要な問題に関し、電話会談も含め種々の機会に協議が行われたほか、事務レベルにおいても数多くの協議が行われ、我が国の対外政策を策定していく上で有益であった。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 「行動計画」の重要な柱の一つである「国際舞台における協力」は、国際的な平和と安定の維持及び強化に資するのみでなく、幅広い分野での日露関係全体の進展に資するものであり、引き続き推進していくことが重要である。
(具体的対応方針:国際舞台における日露協力につき、北朝鮮問題に関する協力や安保理改革に関する協議をはじめとした緊密な協議や、新規原潜解体事業に向けた協力等、各分野において更なる協力の強化を目指し緊密な協議を開催する。)

事務事業名:人的交流・文化交流の推進(含む日露修好150周年記念事業の実施)

事務事業の概要
(内容)
(1)大型文化行事
 日露修好150周年記念事業、「日本におけるロシア文化年」。
(2)日露草の根交流事業
(イ)対日友好団体等の協力を得て草の根レベルで実施する文化交流事業の実施。
(ロ)文化人派遣事業
(ハ)文化人招聘事業
(3)日露スポーツ交流事業
スポーツ交流による両国国民間の友好、信頼等の深化の一層の促進。
(4)日露青年交流事業
 日露青年交流委員会による日露間の若い世代の交流事業。
 ((イ)短期招聘・派遣事業、(ロ)日本語教師派遣事業、(ハ)フェローシップ供与事業)

(必要性)
 文化・国民間交流を推進していくことは、日露両国民間の信頼と相互理解を増進し、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、日露関係の完全な正常化を図るための環境整備に資するとともに幅広い分野で日露関係を進展させるという基本政策に資するものである。
有効性
(具体的成果)
 平成17年11月のプーチン大統領訪日の際、日露両首脳が日露間の人の交流を今後3年間で3倍に増加し、約40万人を目指すことで一致したことは、今後の日露間の人的交流を促進する上で有効である。

(1)大型文化行事
 平成17年度は、平成17年が日魯通好条約調印から150周年に当たることから、日露修好150周年記念事業として地方自治体や民間団体のイニシアティブにより各種記念事業、交流行事、文化行事が企画・実施された(同年12月31日まで。)。具体的には、同年4月には日魯通好条約が締結された下田において総理、外務大臣、内閣府特命担当大臣、駐日ロシア大使等が参加して政府主催記念式典が実施されたほか、地方自治体や民間団体等により約120件の記念事業が実施された。
 また、平成18年(2006年1月1日から12月31日まで)は、ロシア政府が日本において「日本におけるロシア文化フェスティバル」を実施する年であり、同年1月10日にはオープニング事業のコンサートが行われ、高円宮妃、森前総理、山中外務大臣政務官、ナルィシュキン・ロシア政府官房長官等が出席したほか、小泉総理、プーチン大統領からメッセージが寄せられる等、両国国民相互間の理解と交流を一層深め、日露関係の重要性への理解を深めた。

(2)草の根交流事業
 平成17年度においては、ロシア5公館において、書道、邦楽、アニメーション、茶道・生け花、映画等幅広い分野での交流事業を実施し、大きな広報効果を得ることができた。また、日露修好150周年に関連して、当時の日露交渉の様子を描いているロシア人画家や、日露の建築交流をテーマにしている建築研究家を日本に招聘した他、山下泰裕東海大学教授及び井上康生選手他、生け花や茶道の講師を派遣し、ロシアにおける草の根レベルでの対日理解の醸成やロシアの対日友好団体と各館との間でのさらなる関係構築をはかることができた。
 また、平成17年11月のプーチン大統領訪日の際、両首脳が日露青年交流事業を拡大強化していくことで一致したことは、今後の良好な日露関係構築にとり有効である。

(3)日露スポーツ交流事業
 平成17年度は、サンクトペテルブルク柔道ジュニアチーム(9名)を招聘した他、学校占拠事件の被害にあった北オセチア共和国のベスランからのジュニア柔道チーム(9名)の訪日を支援し、両国の国民間の友好、信頼及び相互理解の深化を一層促進することができた。

(4)日露青年交流事業
 平成17年度には、日露修好150周年を記念して日露青年約150名を乗せた船が日露交流ゆかりの地を訪問する回航事業が行われた他、日本語教師18名のロシアの高等教育機関への派遣、日露若手研究者に対するフェローシップの供与、ジャーナリストグループ、大学国際部門職員グループ等の招聘が実施され、約200名にのぼる交流が実施され、人的交流の促進、交流分野の裾野の拡大に大きく貢献した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 現在、「日露行動計画」が着実に実施され、日露間の文化交流及び人的交流が拡大傾向にある。上記の施策は、日露関係の更なる発展及び強化に資するものであり、今後とも両国間の相互理解の増進に努めることは重要である。
 (具体的対応方針:平成18年度は日ソ共同宣言署名による国交回復50周年という重要な節目の年であり、未来志向の日露関係の構築のため、人的交流事業を一層活発化する。)

【評価をするにあたり使用した資料】


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