省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

4-4 中央アジア・コーカサス諸国との関係の強化

中央アジア・コーカサス室長 宇山秀樹
平成18年4月
施策の目標
1.中央アジア諸国との二国間関係の更なる強化
2.中央アジア地域内協力及び市場経済化の促進
施策の位置付け
特になし。
施策の概要
(10行以内)
1.「中央アジア+日本」対話の実施を通じた地域内協力の促進
2.「中央アジア+日本」対話のフォローアップのための経済協力等を通じた同地域における市場経済化の一層の促進
3.「中央アジア+日本」対話における人的、知的交流の促進

【施策の必要性】

 中央アジア地域は、ロシア、中国、アフガニスタン、中東等に囲まれる地政学的位置と豊富なエネルギー資源の存在から、その安定がユーラシア大陸全体、ひいては国際社会の安定と繁栄にとって重要である。中央アジア地域の安定的発展のためには、各国の市場経済化を進めつつ、テロ、麻薬、輸送、水・エネルギー資源の有効活用、貿易、環境保全など各国の個別の取組だけでは解決が困難な共通の課題に対処すべく、地域内協力を促進していく必要がある。我が国としては、中央アジア各国と二国間関係の強化に努めつつ、地域内協力の促進等を目的に中央アジア全体との対話と協力を進める必要がある。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)2006年2月にカザフスタンの首都アスタナにおいて実施された「中央アジア+日本」対話第2回高級実務者会合(SOM)においては、地域内協力のあり方につき具体的方向性が支持され、平成18年度に開催予定の「中央アジア+日本」対話第2回外相会合に向けた準備となった。
(2)2006年3月に実施された「中央アジア+日本」知的対話(「東京対話」)は、我が国と中央アジア諸国との知的交流の幅を広げるとともに、政府間対話への提言を得るとの所期の目的を達成した。

【施策の効率性】(3行以内)

 「中央アジア+日本」対話第2回高級実務者会合(SOM)及び知的対話の実施を通じて、中央アジア諸国との中長期的関係構築に向けた対話が更に具体化したことは、効率性の観点からも手段が適切であったことを示している。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
16,707
24,939
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
11
11
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

 中央アジア地域の情勢は、同地域への影響力拡大に関心を有する諸大国の思惑や、近接するアフガニスタンの情勢といった外部的要因に大きく左右される面がある。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 平成18年度には、「中央アジア+日本」対話の枠組みにおけるこれまでの成果と今後の具体的協力を総括する第2回外相会合の実施が予定されているため、平成17年度の評価は暫定的なものである。

【評価の切り口】

「中央アジア+日本」対話の進展状況

【目標の達成状況(評価)】

「中央アジア+日本」対話の進展状況

(イ)「中央アジア+日本」対話が以下のとおり進展し、中央アジア諸国との二国間関係の更なる強化に次のとおり寄与した。
 中央アジア諸国は、トルクメニスタン(独自の中立政策をとり、あらゆる地域協力に消極的)を除き、いずれも我が国の「中央アジア+日本」イニシアティブを強く支持し、対話のプロセスに積極的に参加した。この対話プロセスを進める中で、我が国と中央アジア各国との二国間関係発展についても幅広い意見交換が行われ、施策の目標達成に向けて進展が見られた。

(ロ)「中央アジア+日本」対話が以下のとおり進展し、中央アジア地域間協力及び市場経済化の促進に次のとおり寄与した。
 「中央アジア+日本」対話第2回高級実務者会合においては、地域間協力の促進の具体化が集中的に議論された。また、従来より技術協力を中心に中央アジア各国の「中央アジア+日本」対話の枠組みにおいて、市場経済化の促進が図られているが、これに加えて、ビジネス振興及びWTO加盟支援を目的とするプロジェクト形成調査団を派遣するなどの事業が実施され、この点でも、施策の目標達成に向けて進展が見られた。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)我が国と中央アジア諸国との新たな協力の枠組みとして昨年度に立ち上げられた「中央アジア+日本」対話の下、本年度に実施された第2回高級実務者会合(SOM)において、地域内協力及びビジネス振興面での協力の具体化に向けた議論が集中的に行われたほか、「中央アジア+日本」知的対話(「東京対話」)において、我が国と中央アジア諸国との協力の具体化に向け有識者間の議論を深めたことは、目標の達成に向け進展があったことを示している。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 具体的な地域内協力案件の形成に向けた我が国と中央アジア諸国との対話の促進。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 平成18年夏を目途とする同対話の第2回外相会合開催を大きな節目として、具体的な地域内協力案件の形成・実施に努めていく必要がある。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

湯浅剛  防衛研究所主任研究官
 2004年8月に始まった「中央アジア+日本」対話は、中央アジア地域全体の協力を見据えた多国間枠組みとして、軌道に乗ろうとしている。日本が他のアジア・太平洋諸国と進めているさまざまな多国間による政府や有識者の対話・協力の枠組みと同じく、「中央アジア+日本」対話が効果的な外交手段として定着するよう、今後とも地道な活動が必要である。その意味では、本件施策の目標・評価等は妥当なものであり、特に外相会合は是非平成18年度内に実現していただきたい案件である。また、対話を成熟させるためには、各レベルの会合の継続とあわせ、これまで以上に「日本がなぜ中央アジアに関わっていくのか」について示していく必要があると思う。対話が提唱された2年前に比べて、中央アジア情勢は大きく変化した。それらの変化を日本がどのように考え、また、いかに対処しようとしているのか、日本としての顔が見えるよう内外にメッセージを発信しつづけることは、中央アジア諸国からの信頼や対話の独自性を維持するためにも不可欠である。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 平成17年度は平成18年度の外相会合の準備期間という位置づけであり、次(平成18年度対象)の評価においては、第2回外相会合の結果を踏まえ、より具体的な成果が記載されることが期待される。

【事務事業の評価】

事務事業名:「中央アジア+日本」対話の実施

事務事業の概要
 「中央アジア+日本」対話の実施を通じた地域内協力の促進
有効性
(具体的成果)
(1)「中央アジア+日本」対話を実施することは、我が国と中央アジア諸国との二国間関係の強化に加え、各国一国では解決が困難な地域共通の課題の解決に取り組むことにより、我が国と中央アジア全体との関係を強化・増進する上で有効な手段である。
(2)2006年2月に実施した「中央アジア+日本」対話第2回高級実務者会合(SOM)において、地域内協力を主たるテーマとして協力の具体化に向けた議論を展開したことは、目標の達成に向け進展があったことを示している。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 我が国が地域共通の課題への中央アジア諸国の取組に協力することは、我が国と中央アジア諸国との関係を強化・増進する上で有効な手段である。中央アジア諸国は、「中央アジア+日本」対話の枠組みにおける協力の具体的な進展に大きな期待をかけており、本対話のプロセスを拡充強化し、具体的成果を示すことが極めて重要な時期に来ている。

事務事業名:経済協力等を通じた同地域における市場経済化の一層の促進

事務事業の概要
 「中央アジア+日本」対話のフォローアップのための経済協力等を通じた同地域における市場経済化の一層の促進
有効性
(具体的成果)
(1)我が国は、ソ連崩壊後の新たな国際情勢の下、中央アジア諸国の地政学的な重要性を考慮し、これら諸国の民主化及び市場経済化を積極的に支援していくことを目的として、人材育成のための技術協力や、インフラ整備、経済改革に伴う困難を緩和するための資金協力を一貫して実施してきている。
(2)「中央アジア+日本」対話の枠組みにおいても、第1回高級実務者会合(SOM)以降、同地域における民主化及び市場経済化の一層の促進を図るため、民主主義及び選挙制度等に関するセミナーを開催するとともに、ビジネス振興及びWTO加盟支援を目的とするプロジェクト形成調査団を派遣するなどの事業を実施した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 中央アジア諸国の安定を図りつつ民主化及び市場経済化の一層の促進を図るためには一貫した取組が不可欠であり、経済協力を継続する必要がある。

事務事業名:人的、知的交流の促進

事務事業の概要
 人的、知的交流の促進による我が国と中央アジア諸国の相互理解の促進
有効性
(具体的成果)
 我が国と中央アジア地域諸国との関係を真に強固なものとするためには、政府レベルでの政治対話に加え、幅広い分野で人的、知的交流を積極的に推進し、相互理解を深めることが重要である。このような観点から、様々な分野にわたる各種招聘事業の実施及びシンポジウム等の開催を通じた人的、知的交流を促進することは、有効である。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 2004年以降、様々な招聘枠を通じて中央アジア諸国から600名以上が訪日し、又、シンポジウム(平成10年度、平成11年度、平成15年度、平成16年度、平成17年度に実施)等を通じて我が国と中央アジア諸国との間の相互理解を深めているが、今後とも目的の達成に向けた継続的な取組が求められている。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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