省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

2-5 カナダとの経済分野での協力推進

北米第二課長 水嶋光一
平成18年4月
施策の目標
日加経済関係の潜在力を最大限に引き出すための政策の推進
施策の位置付け
特になし
施策の概要
(10行以内)
(1)日加経済枠組み文書の作成に関する協議・調整
 平成17年1月19日のマーティン・カナダ首相の訪日の際の日加首脳会談において、日加共同声明が発表され、右共同声明を受けて日加経済関係の深化・活性化に向けた「日加経済枠組み」文書の策定が規定された。これを受け、同枠組み文書の策定に向けた協議・調整を行う。
(2)日加経済枠組みに基づく日加経済関係の強化
 平成17年11月19日、日加共同声明を受けて日加経済枠組み文書が両国間の協議を受けて策定された。この日加経済枠組み文書に基づき、個別の協力の優先分野における両国間の協力及び民間部門からの意見を聴取しつつ、日加経済関係の潜在力を最大限引き出すための方策を検討する共同研究を行う。

【施策の必要性】

 外務省が当該施策を実施する理由は、主に次のとおりである。
(1)我が国とカナダとはこれまで良好な関係を維持してきているが、経済関係に即してみてみると、その潜在力が十分に引き出されていないとの認識があり、これまで以上に日加経済関係の深化・活性化を実現する諸施策の実施が望まれている。
(2)上記の目的を達成するため、平成17年1月19日に両国首脳によって日加共同声明が発出され、「創造的な日加経済枠組み」構想が謳われ、それを実現するための「日加経済枠組み」文書が約10箇月の交渉準備期間を経て同年11月19日に釜山におけるAPEC首脳会議の際の日加首脳会談で署名されており、両国の首脳レベルでイニシアティブが取られている施策である。
(3)貿易立国である我が国としては、その貿易相手国と良好な関係を維持して安定的な貿易取引を確保する必要がある。カナダは、我が国にとって、特に農産品の安定的な輸入先となっており、良好な経済関係の維持は不可欠である。
(4)また、環太平洋国としての日加両国は、アジア太平洋地域の経済的繁栄を考慮しつつ両国の経済関係を維持促進する必要がある。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

 このような現状の下に日加両国の貿易経済関係を更に深化・活性化するために「日加経済枠組み」の共同研究は、民間部門の意見を聴取しながら、貿易及び投資の潜在力が最大限に引き出されることを制限する現行措置の検討並びに二国間の貿易及び投資その他の協力案件の更なる促進もたらす便益と費用についての検討を行うことになっている。
 共同研究の報告書は、両国首脳に報告されることになっており、報告書が取り纏める内容は日加経済関係の協力・促進・深化・活性化のために非常に有益である。

【施策の効率性】(3行以内)

 対面での交渉により相手国担当者との信頼関係を確立しつつ、電話会談をも活用した協議を実施する等により、緊密な対話を継続しつつ、限られた予算内で出張旅費や通訳の限定使用等費用を削減して協議を行ない、経費の節減に努めた。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
12,686
12,461
 
(国際会議費:10,830)
(国際会議費:10,538)
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
3
4
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

 (この施策との関係では特になし。)

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 通常の評価を行う。

【評価の切り口】

 カナダとの経済分野での協力推進

【目標の達成状況(評価)】

 カナダとの経済分野の協力推進
 カナダとの経済分野での協力の推進は以下のとおりであり、目標の日加経済関係の潜在力を最大限に引き出すための政策の推進に寄与した。
(イ)日加経済枠組み文書の作成に関する協議・調整
 平成17年1月19日のマーティン・カナダ首相の訪日の際の日加首脳会談において、日加共同声明が発表され、併せて日加経済関係の強化を図る「創造的な日加経済枠組み構想」が謳われ、これに基づき、同年11月19日、釜山において開催されたAPEC首脳会議の際に日加首脳会談が行われ、右経済枠組み構想を具体化する「日加経済枠組み」文書が両国首脳の間で署名され、所期の目標が達成された。

(ロ)日加経済枠組みに基づく日加経済関係の強化

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)
(1)所期の目的である「日加経済枠組み」文書が日加両国首脳の間で署名され策定されたことは大きく評価できる。
(2)日加経済枠組みに基づく貿易及び投資の潜在力を最大限までに引き出されることを制限する現行の措置の検討並びに更なる貿易及び投資自由化並びに関連政策上の手段の及ぼす影響についての便益と費用についての検討を行う共同研究及び個別の協力分野を協議する協力作業部会が設置されて作業が進展した。
 また、共同研究の実施にあたり、我が国業界団体及び有識者からの意見聴取を行う等、民間部門の関与を認めている点は高く評価されている。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 日加経済枠組みに基づく日加共同研究は、その内容の専門性からして、我が国の国益を確保するためにもカナダ側と慎重な交渉を進める必要がある。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 日加経済枠組みの下で行われている日加共同研究は、その研究結果に基づいた更なる施策の企画・立案を行うことになり、その推進を図ることになる。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

金原主幸 社団法人日本経済団体連合会国際第一本部長
(1)日加経済枠組みの署名・立ち上げは評価する。
(2)日加経済枠組に関する評価は以下の通りである。
1) 協力の促進(協力作業部会)
 日加経済枠組み文書に採り上げられた15の個別の協力分野において、協力作業部会において検討が進められている。
 優先分野の選定に関しては、民間経済界の関心に沿った内容であり、税関、独占禁止、投資促進、社会保障協定に関して進展がみられる点については、評価できる。今後とも全ての分野について、取組の加速を望む。
 しかし、特に、租税条約の改正に関しては、進展がみられない。租税条約の改正により、双方の国に進出する企業の負担する税の二重払いの解消は、企業のコスト削減に直結し、相互の投資促進に資するものであり、財務省との密接な協力のもと、改正交渉の開始を望む。
 また、規制改革に関しては、15の協力分野に含まれていない。規制改革は両国に投資する企業の事業環境の整備・改善に資するものであり、両国政府で早急に協力の推進に合意し、規制改革対話の枠組の構築を望む。
2) 貿易・投資の促進(共同研究作業部会)
 日加経済枠組み文書に基づき、貿易・投資の促進に関する共同研究作業部会が開催されている。
 報告書の作成にあたり、民間関係者からヒアリングが行われたことは、公正な手続きに資する施策として評価できる。
 今秋の報告書とりまとめにあたり、それぞれの民間意見が報告書の結論を導く際にどのように扱われたのかに関して、意見を述べた当事者に対し、具体的な理由とともに開示がなされるとともに、取りまとめの経緯の透明性が支障のない範囲で確保されることを望む。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 「日加経済枠組み」文書の署名という具体性のある成果により、目標に向けて進展があったことが示されており、適切な評価といえる。

【事務事業の評価】

事務事業名:「日加経済枠組み」文書の作成に関する協議・調整

事務事業の概要
 日加経済関係は過去約15年間、基本的に良好な関係にあり、大きな動きもなく推移してきたが、他方で、これまで以上に日加経済関係を深化・活性化すべきとの認識の下、一昨年来これまでになく日加間で今後の日加経済関係のあり方について議論が行われてきた。その結果、日加間で協力が可能な個別の分野の特定、民間部門の意見を聴取し、それを反映した政策の実現、貿易及び投資の潜在力を最大限に引き出すことを検討する共同研究の実施を内容とする日加共同声明が平成17年1月19日の日加両国首脳によって発出され、その中でこれらの内容を盛り込んだ「日加経済枠組み」文書の策定が求められた。
有効性
(具体的成果)
 「日加経済枠組み」文書の作成のための協議・調整が日加間で活発に行われ、同年11月19日にAPEC首脳会議の際に行われた日加首脳会談において、両国首脳によって同文書は署名された。
 日加経済枠組みは、日加経済関係の深化・活性化することを目的に、既存の日加次官級経済協議の強化、その下での個別の協力優先分野をフォローする「協力作業部会」の設置並びに貿易及び投資の潜在力を最大限に引き出すことを検討する「共同研究作業部会」の設置が規定された。これらの作業部会を通じて行われるカナダとの協議は日加経済関係の深化・活性化に資するものと考えられる。
 なお、日加経済枠組み文書の策定に先立ち、いくつかの個別の協力の優先分野においても既に一定の成果を達成している。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
 平成17年1月19日に日加共同声明が発表された後から、「創造的な日加経済枠組み構想」を具体化する「日加経済枠組み」文書の策定のための調整・交渉が行われた。その結果、同年11月19日に釜山にて開催されたAPEC首脳会議の際に日加首脳会談が開催され、「日加経済枠組み」文書に署名が行われ、これまでに行われてきた一連の文書作成のための協議・調整作業は、その所期の目標を達成した。今後は、この文書によって設置された個別の協力優先分野を扱う協力作業部会と共同研究を行う共同研究作業部会での議論に委ねられる。

事務事業名:「日加経済枠組み」に基づく日加経済関係の強化

事務事業の概要
 平成17年1月19日に日加両国首脳によって日加共同声明が発出され、その後、共同声明の中で規定されていた内容を盛り込んだ「日加経済枠組み」文書が同年11月19日にAPEC首脳会議の際に行われた日加首脳会談において、両国首脳によって同文書は署名された。
 日加経済枠組みは、日加経済関係の深化・活性化することを目的に、既存の日加次官級経済協議の強化、その下での個別の協力優先分野をフォローする「協力作業部会」の設置と貿易及び投資の潜在力を最大限に引き出されること制限する現行の措置の検討並びに更なる貿易及び投資自由化並びに関連政策上の手段の及ぼす影響についての便益と費用についての検討を行う「共同研究作業部会」の設置が規定された。
 今後は上記協力作業部会及び共同研究作業部会を中心に日加経済関係の強化に向けての種々の協議が行われ、措置が実行に移されることになる。
有効性
(具体的成果)
 「日加経済枠組み」文書の作成のための協議・調整が日加間で活発に行われ、同年11月19日にAPEC首脳会議の際に行われた日加首脳会談において、両国首脳によって同文書は署名された。
 日加経済関係は過去約15年間、基本的に良好な関係にあり、大きな動きもなく推移してきたが、他方で、これまで以上に日加経済関係を深化・活性化すべきとの認識の下、これまでに日加両国首脳による「日加経済枠組み文書」の策定のほか、この枠組みに基づく日加社会保障協定の署名、日加税関協力、日加独占禁止協力協定、投資に関するJETROとカナダ国際貿易省との間の業務取決めの署名等日加間での多くの協力関係や信頼関係が築き上げられる等、効果的な成果が見られ、日加経済関係の強化に貢献している。
 日加経済枠組みの下で貿易及び投資の潜在力を最大限までに引き出されることを制限する現行の措置の検討、更なる貿易及び投資自由化並びに関連政策上の手段の及ぼす影響についての便益と費用についての検討を行う共同研究作業部会も開催されており、日加経済関係の強化に向けての一助となる。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
 現在、カナダ側と日加経済枠組みに基づく日加経済の深化・活性化のための共同研究が行われており、日加経済関係の強化に向けての日加間の協力・信頼関係が築き上げられ、着実に目標達成に向けての進展があった。引き続き日加経済関係の深化・活性化に向けて精力的に諸施策を実施する考えである。
 他方、今後の作業は、内容的に多岐の分野にわたることが予想され、専門知識を有する人員及び予算の拡充強化が求められる。

【評価をするにあたり使用した資料】

日加経済枠組み構想(PDF)PDF

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