省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

2-4 カナダとの政治分野での協力推進

北米第一課長 森健良
平成18年4月
施策の目標
日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の強化
施策の位置付け
特になし
施策の概要
(10行以内)
(1)平成17年1月に実現したマーティン加首相(当時)の訪日及びその際に行われた日加首脳会談において、「共同声明」、その付属文書として「平和及び安全保障に関する協力のための日加計画」、及び「創設的な日・カナダ経済枠組みの開始」の3文書が作成されたが、平成17年度を通じて、APECやG8サミット等国際会議等の様々な機会を捉えてこれら文書で言及された日加に共通の諸課題に関する協議・政策調整を行った。
(2)また、あらゆるレベルでの相互往来及び、日常よりの双方の首都における大使館を通じた緊密な連携の維持・強化等に引き続き尽力してきた。

【施策の必要性】

(1)我が国とカナダは、基本的人権の尊重、民主主義、自由及び市場経済の推進といった共通の価値観に基づく良好な二か国関係を有しているが、更なる発展の潜在力があり、二国間関係を一層強化する必要がある。
(2)世界が直面する諸課題について、G8・太平洋国家たる日加両国がより効果的に対処することができるよう、二国間のパートナーシップを更に拡大及び深化させることは重要。
(3)また、外交政策面における協調をより強化し、両国の有する知見等を共に共有・活用していくことで、アジア太平洋地域及び世界の平和及び繁栄により一層寄与する必要がある。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)テロ対策、軍縮・不拡散、環境保護等日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携を一層強化するためには、政府間での緊密な協議・政策調整を実施すると共に、両国間の良好な二国間関係の基礎を成す、あらゆるレベル(政府間、民間有識者、草の根レベル等)における両国間の交流を重層的に強化することが有効である。
(2)また、我が国の安全と繁栄を確保するためには、国際社会全体の繁栄が不可欠であるとの認識の下、我が国は、国際社会が直面する課題の解決に向けて、国際協調を進めつつ、積極的に取り組んできているが、そのためにも我が国と基本的価値観を共有し、国連をはじめとする国際機関において積極的に活動する加との関係を維持・強化することは重要である。
(3)なお、日加両国の民間有識者で構成される日加フォーラムが、政治、経済、人の交流等様々な分野にわたって両国間の相互理解増進のための意見交換を行い、日加関係の更なる強化へ向けた諸提言を含む報告書を近々両国首脳に提出することとなっており、日加関係の更なる深化・活性化のために非常に有効である。

【施策の効率性】(3行以内)

 政府間(首脳、外相レベルを含む)での、共通の諸課題に関する協議・政策調整を行うことは、日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携を一層強化する上で不可欠であり、こうした施策の実施は、適切な手段であった。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
8,799
6,090
単位:千円
(注)本省分予算(招聘については、他部局の予算を充当した。)

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
5
5
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

(1)日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の一層の強化のためには、幅広い政策課題にわたる分野横断的な協力が必要であり、省庁横断的な施策が必要となる場合もある。
(2)また、日加連携の強化の成果は、当該政策の対象となる国・地域・事項等を巡る国際情勢の影響を受け、日加連携が強化されたことにより、必ずしも、その成果が対象となる国・地域・事項等に即時かつ直接的に表れる訳ではない。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が一層強化されたため、通常の評価を行うことが適当である。

【評価の切り口】

 共通の諸課題における連携の進展状況

【目標の達成状況(評価)】

 共通の諸課題における連携の進捗状況

 以下のとおり、日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が一層強化された。
(1)平成17年1月に実現したマーティン加首相(当時)の訪日及びその際に行われた日加首脳会談において、「共同声明」、その付属文書として「平和及び安全保障に関する協力のための日加計画」、及び「創設的な日・カナダ経済枠組みの開始」の3文書が作成されたが、平成17年度を通じて、APECやG8サミット等国際会議等の様々な機会を捉えてこれら文書で言及された日加に共通の諸課題に関する協議・政策調整を行った。(具体的には、平成17年1月、7月、11月日加首脳会談、平成17年9月、11月、平成18年3月外相会談(電話会談を含む。)が実現された。)また、様々なレベルにおいて、共通の諸課題に関する協議・政策調整を行った。
(2)平成17年4月、愛知万博賓客として、チャン多文化主義担当国務相が訪日し、日加相互理解に貢献した。
(3)平成17年5月、参議院の公式招請によりヘイズ加上院議長が訪日し、天皇陛下御謁見、町村外務大臣(当時)表敬等が実現した。
(4)平成17年5月及び平成18年3月に、日加フォーラム第3回及び第4回会合が開催され、日加の有識者が政治、経済、教育、文化等幅広い分野にわたって両国間の相互理解増進のために意見交換を行い、今後の日加関係を増進するための諸施策を提言する内容の報告書の作成が行われた。
(5)平成17年1月の「平和及び安全保障に関する協力のための日加計画」において、日加両首脳は、「平和と安全保障に関する日加協力シンポジウム」の毎年開催に合意し、同年6月、第4回「平和と安全保障に関する日加協力シンポジウム」が東京で開催され日加両国政府関係者及び有識者等約40名の参加を得て、平和の構築、軍縮不拡散、テロとの闘い等様々な分野に関する議論が行われた。
(6)平成18年1月、高円宮妃殿下がエドモントン、オタワ、トロントの各都市を訪問され、王立オンタリオ博物館「高円宮殿下日本ギャラリー開催式典」に出席される等日加関係の更なる進展に寄与された。
(7)平成18年3月、皇太子殿下がバンクーバーにお立ち寄りになり、日系人等との御接見等を行われた。
(8)さらに、日加・加日議連を通じた議員間の交流や、平和と安全保障分野での協力、観光等幅広い分野に亘る政府間協議、JETプログラム、ワーキング・ホリディ制度等を通じた草の根レベルの交流まで幅広い交流が行われている。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)種々の機会に首脳会談や外相会談が行われたことから、日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が一層強化され、総合的に見て、加との緊密な連携の強化という目標に向けて、充分な成果があったことを示している。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 人間の安全保障や東アジアにおける協力等日加両国の更なる協力が期待できる分野について、我が国の国益に合致した成果を得るために、引き続き、加との協力が必要である。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 引き続き、日加両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の一層の強化に努める。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

藤田直晴 明治大学文学部教授・副学長、日本カナダ学会会長
 政策目標に沿って、一定の成果を達成してきていると評価できる。日本とカナダは、共に国連中心主義を軸にして、世界の平和と人間の安全保障の分野において多大な貢献をしてきている主要先進国である。この両国関係は、ともすると対アメリカ合衆国との関係の陰に隠れがちであるが、21世紀にはそれら分野を含めて、世界的に連携の重要性が増すと予測される。この意味で、連携を強化するために、例えば日加首脳が合意した日加安保シンポジウムの毎年開催など、必要事業の継続性を維持していくこと、そのために予算を要求することは明確な意思の表れとして評価できる。その上で、両国首脳や閣僚による定期会談や次世代を担う日加学生会議などといった多層なチャンネルを設定し、今日両国が共有する諸課題を多面的に認識しうる環境整備を進めていく必要がある。カナダは日本と多面において対極にある国であり、両国連携による相補的・相乗的な政策効果が期待される。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 「評価の切り口」である「共通の諸課題における連携の進展状況」が、日加首脳会談の3文書の作成、日加フォーラム、「日加協力シンポジウム」の開催等の具体的成果を通じて説明されており、適切な評価といえる。

【事務事業の評価】

事務事業名:政府間(首脳、外相レベルを含む)で、共通の諸課題に関する協議・政策調整を実施

事務事業の概要
 政府間(首脳、外相レベルを含む)で、共通の諸課題に関する協議・政策調整の実施。
有効性
(具体的成果)
 首脳・外相レベルでは、種々の国際会議等の機会を捉えて日加首脳会談、外相会談を実施し、BSE問題、国連改革、気候変動をはじめとする日加間に共通する諸課題について緊密な協議を行い、日加両国に共通する政策課について調整を行った。
 また、より広範な課題については、事務レベルでの協議・対話を実施した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 諸課題への取組における日加両国間の連携を強化する上で、両国政府間のハイレベルでの対話を現状の頻度で継続することは不可欠であるため。

事務事業名:民間有識者を含む重層的な対話の実施及びカナダの諸施策への決定に直接参画または影響力を有する各界の人物の招聘

事務事業の概要
 民間有識者で構成された賢人会議である日加フォーラムの会合の実施、及びカナダの諸施策への決定に直接参画または影響力を有する各界の人物の招聘の実施。
有効性
(具体的成果)
 より緊密かつ効果的な二国間の協力関係を構築することを目的に設立された民間有識者で構成された賢人会議である日加フォーラムの会合の第3回及び第4回会合(最終会合)が開催され有意義な対話が行われ、今後の日加関係を増進するための諸施策を提言する内容の報告書が作成された。
 また、加世論形成に大きな影響力を有する有識者等を本邦に招聘し、我が国政府関係者・有識者との懇談や各地の視察を通じて我が国について理解を深めてもらうことができた。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 日加フォーラムに関しては、報告書を近く両首相に提出する予定であり、現在の委員からなる同フォーラム現体制は、今回の最終報告書提出により終了することとなっていることから、今後は、政府として提出される提言を参考に、政府が種々の政策をとっていくことになる。
 また、加世論形成に大きな影響力を有する有識者等を本邦に招聘し、我が国政府関係者・有識者との懇談や各地の視察を通じて我が国について正しい理解を深めてもらうと共に、帰国後我が国に関する情報の発信者となってもらうことは有意義であると考えられる。

事務事業名:日加及び国際社会の平和と安全保障に関する協議の実施

事務事業の概要
 「平和と安全保障に関する日加協力シンポジウム」の開催。
有効性
(具体的成果)
 平成17年6月、第4回「平和と安全保障に関する日加協力シンポジウム」が東京で開催され、日加両国政府関係者及び有識者等約40名の参加を得て、軍縮不拡散、テロとの闘い、紛争後の平和の定着等様々な分野に関する議論が行われた。また、平成17年1月の「平和及び安全保障に関する協力のための日加計画」において、日加首脳は、日加安保シンポジウムの毎年開催に関し合意しており、毎年の開催により、両首脳が合意した平和及び安全保障分野でさらなる協力を推進した。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 平和及び安全保障は、日加両国が積極的な国際貢献を行ってきている分野であり、また、テロ対策、国際組織犯罪防止に向けた取組における協力強化、アフガニスタンにおける平和構築、人間の安全保障の分野での対話強化、軍縮・不拡散促進のための国際的取組における協調等は日加両首脳により更なる協力促進が合意されている。日加安保シンポジウムは、これらの分野を含む平和と安全保障に関する日加協力の具体化を目指し、両国政府関係者・有識者等の出席によりあり得べき協力の方途につき議論するものであり、今後とも有効性が高く、継続は不可欠であると考える。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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