省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

2-1 米国との政治分野での協力推進

北米第一課長 森健良
平成18年4月
施策の目標
日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の一層の強化
施策の位置付け
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第164回国会における内閣総理大臣施政方針演説に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
政府間(首脳、外相レベルを含む)での、共通の諸課題に関する協議・政策調整
 平成17年11月にブッシュ大統領が訪日した。平成17年2月、5月、7月、9月、10月には町村大臣(当時)が訪米。12月には麻生大臣が訪米。さらに、日米戦略対話が実施されたほか、ライス国務長官の訪日等、外相会談は11回を数えた。また、首脳・外相レベルでの電話会談も頻繁に実施(平成17年度は首脳4回、外相6回)された。このほかにもあらゆるレベルでの相互往来及び日常よりの双方の首都における大使館を通じた緊密な連携の維持・強化等に引き続き尽力してきた。

【施策の必要性】

(1)基本的人権の尊重、民主主義及び市場経済の推進といった価値観を共有している米国との同盟関係は我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定の礎である。
(2)また、我が国の安全と繁栄を確保するためには、国際社会全体の繁栄が不可欠であるとの認識の下、我が国は、国際社会が直面する課題の解決に向けて、国際協調の下、積極的に取り組んできているが、そのためにも我が国外交の基軸である日米同盟を維持・強化することは必須である。
(3)政治分野での日米間の協力を日本政府として推進し、政治・安全保障上の諸課題への取組における日米両国間の連携を強化することは、我が国外交の要である日米同盟関係の維持・強化にとり不可欠の要素であり、外務省として取り組む必要がある。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携を一層強化するためには、政府間での緊密な協議・政策調整を実施するとともに、両国間の良好な二国間関係の基礎をなす、あらゆるレベル(政府間、民間有識者、米国の政策の決定に参画するまたは影響力を有する各界の人物、草の根レベル等)における両国間の交流を重層的に強化する必要がある。
(2)平成17年5月の第1回日米閣僚級戦略対話においては、日米に共通する諸課題について、中長期的な視点に立った意見交換を行っていくため、今後とも閣僚級・高級事務レベルで戦略対話を行うことで一致し、同年10月の日米戦略対話(高級事務レベル)、平成18年3月の日米及び日米豪閣僚級戦略対話につながった。
(3)日米間の緊密な関係に基づき、平成17年11月にはブッシュ大統領の訪日が実現した。

【施策の効率性】(3行以内)

 政府間(首脳、外相レベルを含む)での、共通の諸課題に関する協議・政策調整を行うことは、日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携を一層強化する上で不可欠であり、こうした施策の実施は、適切な手段であった。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
94,966
91,739
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
25
25
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

 日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の一層の強化のためには、幅広い政策課題にわたる分野横断的な協力が必要であり、省庁横断的な施策が必要となる場合もある。
 また、日米連携の強化の成果は、当該政策の対象となる国・地域・事項等を巡る国際情勢の影響を受け、日米連携が強化されたことにより、必ずしも、その成果が対象となる国・地域・事項等に即時かつ直接的に表れる訳ではない。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が一層強化されたため、通常の評価を行うことが適当である。

【評価の切り口】

共通の諸課題における連携の進展状況

【目標の達成状況(評価)】

共通の諸課題における連携の進展状況

 日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が、以下のとおり一層強化された。
(イ)国連改革
 累次の首脳・外相会談の中で取り上げられてきており、米国は一貫して我が国の国連安保理常任理事国入りを支持している。最近では、平成17年12月の麻生大臣訪米時に、ライス国務長官が、国連改革を是非ともに進めていきたく、日米は国連の最大の分担金を担う二か国であり、この両国が協力して安保理を含む国連の改革、国連の近代化、すなわち、現在の世界の実情に合わせた改革を進めていきたい旨述べた。
(ロ)対北朝鮮政策
 六者会合において日米韓は緊密に連携し、北朝鮮の核計画の完全な廃棄の実現のために一丸となって努力してきた。特に、米国は日本の拉致問題に深い理解と同情の念を有しており、拉致問題の解決のために日本の立場を支持してきている。
(ハ)イラク
 米国を含む国際社会と協調してイラクの復興支援に主体的に関わるとの観点から、我が国はイラク特措法に基づき、約600人の陸上自衛隊をイラク・サマーワに派遣し、給水・公共施設の普及・整備、医療支援等を実施している。このような我が国のイラク復興支援は最大50億ドルであり、これまでは当面の支援として、無償資金協力15億ドルのうち、民生の基盤整備のために13億ドルの支援を実施してきたほか、我が国は4,000万ドルの選挙支援などを打ち出している。このような我が国の政策は米国からも高く評価されている。
(ニ)テロ対策
 我が国は、2001年の同時多発テロを受けてテロ対策特措法を策定し、インド洋で海上阻止行動を行う米軍等の艦船への支援活動を行ってきているが、引き続きアフガニスタン及びその周辺において、米国をはじめとする国際社会と協力してテロの脅威を除去するため、基本計画の1年延長を決めた。このような我が国の政策は米国からも高く評価されている。
(ホ)法務協力
 日米間ではこれまでも犯罪捜査等につき協力してきたが、平成18年4月には、我が国にとって初めての刑事共助条約につき、両国で締結の準備が整った。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)ブッシュ大統領の訪日が実現し、種々の機会に外相会談や日米戦略対話が行われたことから、上記のとおり日米両国が直面する共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携が一層強化され、総合的に見て、想定以上の成果があったことを示している。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 在日米軍の再編、BSE問題、国連改革といった、日米両国の協力を確保すべき当面の案件について、我が国の国益に合致した結果を得るためには、引き続き、米国との間での政治分野での協力を更に推進する必要がある。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 引き続き、日米両国が直面する政治面での共通の諸課題についての両国政府間の緊密な連携の一層の強化に努める。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)


【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 米国との政治面での共通の課題に関する緊密な連携の強化に向けて、様々な取組の成果が具体的に記述されており、定性的であるが適切に評価がなされている。

【事務事業の評価】

事務事業名:政府間での共通の諸課題に関する協議・政策調整の実施

事務事業の概要
 共通の諸課題に関し、首脳・外相レベルを含む政府間の協議を多数実施した。
有効性
(具体的成果)
 首脳・外相レベルでは、種々の国際会議等の機会を捉えて日米首脳会談(1回)、外相会談(11回)を実施したほか、電話会談を頻繁に実施(平成17年度は首脳4回、外相6回)し、北朝鮮、イラク、BSE問題、米軍再編、国連改革をはじめとする日米間に共通する諸課題について緊密な協議を行い、日米両国に共通する政策課題について調整を行った。
 また、北朝鮮、中国、イラン、イラク、アフガニスタン、中東和平、欧州、中央アジア等の地域情勢や、国連改革を含むより中長期的かつ戦略的な課題については、平成18年3月の閣僚級日米・日米豪戦略対話のほか、高級事務レベルで西田外務審議官とバーンズ国務次官との間で日米戦略対話(1回)を実施し、率直かつ有意義な対話を行った。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 政治分野での日米間の協力を日本政府として推進し、政治・安全保障上の諸課題への取組における日米両国間の連携を強化する上で、両国政府間のハイレベルでの対話を現状の頻度で継続することは不可欠であるため。

事務事業名:民間有識者を含む対話及び米国の諸政策への決定に直接参画又は影響力を有する各界の人物の招聘

事務事業の概要
 議会関係者の招聘を行い、また、日系米国人を全米規模に拡大して招聘した。
有効性
(具体的成果)
 米国連邦議会との関係強化事業として、議会関係者10名(民主・共和各党の有力議員直属スタッフほか)を招聘した(平成18年2月)。また、日系米国人との継続的関係強化のため、全米日系人博物館と協力し、対象を全米規模に拡大して招聘事業を実施した。
 また、親日派の育成、日米関係の文脈で将来有望視される人物の発掘及び事業を通じた日本との人的な繋がりの構築・強化のためには、民間有識者その他の米国各界の人物を対象とする対話や招聘事業により、よりよく日本を理解し、あるいは直接に日本を体験してもらうことが不可欠であると考えられる。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 議会スタッフ招聘参加者の対日理解が進み、我が国政府関係者とのチャンネルも多様化し(東アジア関係局のみならず、国連、欧州等)、頻度も増大している。日系人招聘者については、対日理解の増進に加え、米国における日系人のネットワーク形成にも貢献してきており、伝統的に日系人コミュニティが活発なハワイ、カリフォルニア、ワシントン、オレゴン州等の西海岸に加え、中西部、東海岸の日系人の組織化・活性化につながり、全米規模に拡大しつつある。有識者の招聘時には、有識者、国会議員との意見交換に加え、日本国際問題研究所における講演を開催し、60名から100名の聴衆を集め、米国のイラク・中東政策及び反国家分裂法が全人代に提案され、採決される見通しとなった中台関係に対する米国有識者の見方につき、日本の論説委員、その他有識者にタイムリーに伝えられ、意見交換が行われた。また、国会議員等の要人の訪米・訪加の際のアポイントメント先となったほか、在外公館の主催する各種行事に対して積極的に参加するなどの成果も得られた。

事務事業名:政府間レベル・草の根レベルを含む重層的な日米交流の促進

事務事業の概要
 研修計画、招聘プログラム等を通じ、政府間レベル・草の根レベルでの重層的な交流を実施した。
有効性
(具体的成果)
(1)平成15年度に引き続き、米国行政官が日本の官公庁・民間で1年間勤務するマンスフィールド研修計画(平成17年度は5名が訪日)、米国高校生の訪日招聘を行う日米若人交流計画(長期(1年)、短期(3か月)それぞれ25名)を実施。マンスフィールド研修計画は、平成17年度で10周年となるが、参加者の多くが米国政府内の意思決定過程で重要なポストに就くようになってきており、米国政府の実務レベルにおける知日派・親日派の育成に効果を上げている。
(2)在米日系人との交流については、平成17年度も、在米日系人リーダー15名(当省分10名と国際交流基金分5名を同時に招聘)の招聘を行い、在米日系人とのネットワークの拡充や若い世代のリーダー発掘に寄与した。また、本件招聘プログラムの広報を強化した結果、本邦マスメディアでも多数取り上げられ、日本人による日系人及び米国の多様性についての理解の増進に寄与した。
(3)日米若人交流計画では、若年層の対日理解に効果を上げている。さらに、平成16年7月1日に行われた日米外相会談では、平成17年より日米外交官交流計画を開始することで合意がなされ(日米各々1名ずつ。期間1年)、平成17年10月より、米国務省から外務省に外交官が1名派遣されている。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 日米関係は政府間の関係のみならず、民間の各種チャンネルでの幅広くかつ深みのある相互交流の積み重ねにより醸成された相互理解によって支えられている。日本外交の要である日米関係を取り進めるにあたり、行政官交流や高校生交流、日系人の招聘などを含む様々な交流事業や周年事業を実施することで、日米間の重層的な交流に努力することは、日米間の相互理解を促進する上で不可欠である。

【評価をするにあたり使用した資料】

米国の対外政策(PDF)PDF

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