I.実施計画に基づく事後評価
1. 地域・分野
1-4 未来志向の日中関係の推進
中国課長 泉裕泰
平成18年5月
施策の目標
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日中友好関係の発展強化と日中間に存在する諸懸案の緊密な対話を通じた解決 |
施策の位置付け
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平成18年度重点外交政策に言及あり。
第164回通常国会施政方針演説、外務大臣外交演説等に言及あり。
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施策の概要
(10行以内)
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日中友好関係の更なる発展に向け、個別の意見の相違や対立が日中関係全体の発展に影響を及ぼさないよう、重層的な対話を通じ、相互理解を増進するとともに、幅広い分野における共通利益を拡大し、地域及び国際社会に貢献する日中関係を構築する。
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【施策の必要性】
日中間においては、人的交流や経済関係がこれまでになく拡大・深化し、両国が互いになくてはならない存在となる一方で、個別の分野における意見の相違、対立や国民感情の問題など、関係の緊密化ゆえの様々な摩擦もみられる。このような中、中国との間で、対話を通じた懸案の適切な処理を行うとともに、幅広い分野において未来志向の協力関係を推進していくことは、日本の国益を増進する上で極めて重要。
【施策の有効性】(目標達成のための考え方)
様々なレベルでの累次の対話を通じ、日中関係の重要性を確認するとともに、個別の懸案についても率直な意見交換を実施。個別の分野での意見の相違が日中関係全体の発展の支障になってはならないとの立場から、国民レベルの直接の交流を含む、重層的な対話と交流の枠組みを通じて、相互理解と信頼の増進に努めていく。また、幅広い分野において両国の共通利益を模索し、具体化することを通じて、より安定的、建設的な未来志向の日中関係を構築していく。
【施策の効率性】(3行以内)
平成17年度には首脳会談及び2回の外相会談を含む各種要人会談、4回の日中総合政策対話(次官級)、3回の東シナ海等に関する日中協議(局長級)をはじめとする事務レベル協議を実施、日中間の対話と協調の枠組みが強化された。
【投入資源】
予算 |
平成17年度 |
平成18年度 |
528,483 |
574,112 |
単位:千円
(注)本省分予算算
人的投入資源 |
平成17年度 |
平成18年度 |
33 |
36 |
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース
【外部要因】
(1)日中関係があらゆる分野において緊密化している今日においては、外務省のみで日中関係をマネージすることは困難であり、関係各省庁との密接な連携・調整が重要。例えば、海洋をめぐる問題については、内閣官房をはじめ、経済産業省、海上保安庁、防衛庁等との調整が必要不可欠。また日中間の経済問題については、分野が多岐にわたるため、極めて多くの省が関わっている。
(2)日中間の国民感情の問題について、青少年をはじめとする国民交流の促進など各種取組は、継続的かつ地道な施策の実施が必要。
施策の評価
【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】
通常の評価を行う。本件施策は全体として定量的な評価がなじむ性質のものではなく、評価は主として定性的手法に依った。
【評価の切り口】
(1)対話を通じた懸案の処理と幅広い分野における日中間の「共通利益」の拡大
(2)日中間の経済問題の早期発見・未然防止と相互補完関係強化
(3)相互理解・信頼の醸成とそのための環境整備
【目標の達成状況(評価)】
(1)日中首脳会談、日中外相会談において、日中関係の重要性を確認するとともに、幅広い分野において協力を強化し、共通利益を拡大していくことで一致。個別の懸案についても、頻繁な事務レベルでの会合を通じて、建設的な意見交換を実施。
(2)平成17年には1回の日中経済パートナーシップ協議、3回の同協議事務レベル会合を実施し、日中経済関係につき、率直な意見を交換。経済実態としても、日中経済関係はより一層の深化・拡大を遂げた(日中貿易総額(2270.98億ドル)は二年連続で日米貿易総額(1993.67億ドル)を超え、中国は日本にとって第一位の貿易相手国となっている)。
(3)各種招聘事業の実施などを通じ、様々な形態での国民交流が深化。また、人的往来が年間417万人(1日1万人以上)に達したほか、中国における在留邦人数(114,899人)は我が国の海外在留邦人の11.3%を占め、米国における在留邦人数(351,668人)に次ぐ第二位となっている。
【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)
「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)日中の様々なレベルでの対話が実施されたほか、個別の懸案や経済分野に関する事務レベルでの会合を頻繁に実施。率直かつ建設的な意見交換を通じ、交流事業の立ち上げ等、一定の成果がみられた。
【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)
個別の分野における懸案の解決と幅広い分野における共通利益の拡大を更に推し進めるためには、対話の一層の強化と、青少年を含む幅広い国民間の相互理解・信頼醸成の促進が重要。
政策への反映
【一般的な方針】(2行以内))
引き続き、対話を通じた懸案の適切な処理を行うとともに、幅広い分野において未来志向の協力関係を推進していくべく、より一層の外交努力を傾注する。
【事務事業の扱い】
- 様々なレベルにおける率直な間断なき対話の実施→拡充強化
- 新日中友好21世紀委員会の実施等、民間有識者を含む重層的な
交流の推進→拡充強化
- 日中経済パートナーシップ協議をはじめとする各種経済協議→今のまま継続
- 各種招聘事業の重層的実施による対日理解強化→拡充強化
【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】
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予算要求求
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機構要求
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定員要求
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反映方針
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○
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○
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○
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【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)
【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)
3つの「評価の切り口」に関し、首脳・外相レベルの会談に加え、民間の参画を得た「新日中友好21世紀委員会」の開催、次官級の「日中総合政策対話」、外務審議官による「日中経済パートナーシップ協議」等具体的な取組が示されており、適切な評価となっている。
【事務事業の評価】
事務事業名:首相・外相を含むあらゆるレベルにおける率直な間断なき対話の実施
事務事業の概要
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(1)政府ハイレベルを含む様々なレベルでの間断なき率直な対話の実施。
(2)個別の問題が日中関係全体の発展の支障にならないよう、意見の相違があっても真剣な対話を通じてこれら諸課題に対処することが必要であり、あらゆるレベルで幅広い分野における対話を強化していくことが重要。
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有効性
(具体的成果)
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平成17年度においては、第三国における国際会議の機会を利用して1回の日中首脳会談を、大臣訪中等の際に2回の日中外相会談を実施。このほか、4回の日中総合政策対話(次官級、平成17年度より開始)、3回の東シナ海に関する日中協議(局長級)、日中経済パートナーシップ協議(12月)など、様々な分野で事務レベルの意見交換を行った。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
様々なレベルでの対話の積極的な実施は、幅広い分野における共通利益の拡大、個別の懸案の適切な処理の基礎となるものであり、必要不可欠。
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事務事業名:新日中友好21世紀委員会の実施等、民間有識者を含む重層的な交流の推進
事務事業の概要
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日中両国の有識者による新日中友好21世紀委員会の開催をはじめとする日中間の民間有識者を含む重層的な交流を促進し、相互理解・信頼醸成に努める。
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有効性
(具体的成果)
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平成17年度には、新日中友好21世紀委員会第3回会合及び第4回会合をそれぞれ昆明(中国雲南省)、京都で開催。報道にも大きく取り上げられ、日中間の交流を広報する意味でも効果があった。なお、同委員会の提言の1つである日中相互理解のための「日中交流基金」は、平成17年度補正予算において「日中21世紀交流基金」として結実した。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
平成18年度においても、第5回会合を中国において開催予定。日中首脳間の合意に基づく本委員会は日中双方の有識者がそれぞれの専門性を生かしながら忌憚のない議論を行う場であり、かかる交流・対話の場は日中関係の発展にとって極めて有意義。本委員会を中心に据えつつ、様々な形での民間有識者の交流促進策を模索していくべき。
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事務事業名:日中経済パートナーシップ協議をはじめとする経済協議
事務事業の概要
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日中経済関係の今後のあり方につき、貿易・投資を中心として総合的な見地から議論を行い両国経済の相互補完関係を一層強化するとともに、両国間の経済分野における紛争の早期発見・未然防止を図る。
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有効性
(具体的成果)
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平成17年度には、日中経済パートナーシップ協議(次官級)を1回、同協議事務レベル会合(局長級)を3回実施。二国間の貿易・投資に関わる問題を双方から提起し議論を行うとともに、WTOにおける協力や日中双方の経済状況等につき意見交換を行った。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
日中経済関係が健全に発展していくために、日中間の対話を深め、知的財産権の問題等に適切に対処し、紛争の原因となる事象の早期発見、紛争の未然防止に努めることは重要。
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事務事業名:各種招聘事業の重層的実施による対日理解強化
事務事業の概要
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各種招聘事業・知的交流の実施
(1)日中両国の国民レベル、特に若い世代の間の相互理解の促進。また、日中関係をめぐる諸課題等に関する両国の有識者による意見交換を支援し、両国国民に専門的な見地から分析された情報を発信することにより、両国国民間の相互理解を促進する。
(2)日中双方の国民レベルでの相互理解の不足が指摘されている中、両国の各界、学術界等の幅広い交流を促進し、両国国民の相互理解を促進する。
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有効性
(具体的成果)
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(1)平成17年度においては、日中友好会館拠出金事業、JICAとの共同事業を含め、累計358名の招聘・派遣事業を実施。日中双方の国民が直接交流することを通じ、両国間の人的チャンネルの構築、特に中国の知日派の育成に寄与した。
(2)平成17年度においては、「知的交流支援」事業により合計6件の学術交流に対する助成を実施。両国の有識者による共同研究事業を促進し、その結果を両国国民に情報として発信し、両国国民の日中関係に対する理解を促進した。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
日中両国の国民間での相互理解の必要性が一層増している中、各招聘や日中知的交流事業の実施を通じて国民レベルの直接の交流を一層拡大していくことは極めて重要。
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【評価をするにあたり使用した資料】
- 外交青書
- AA首脳会議の際の日中首脳会談(概要)(平成17年4月)
- 町村大臣訪中の際の日中外相会談(概要)(平成17年4月)
- ASEM外相会合の際の日中外相会談(概要)(平成17年5月)
- 新日中友好21世紀委員会第3回会合(概要)(平成17年7月)
- 新日中友好21世紀委員会第4回会合(概要)(平成18年3月)
- 日中経済パートナーシップ協議
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