省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

14-2 適切な国内広報・報道機関対策の実施

国内広報課長 平下文康
報道課長 山野内勘二
平成18年4月
施策の目標
外交政策に関する情報を適時に分かりやすい形で国民に提供することにより説明責任を果たすこと
施策の位置付け
平成18年度重点外交政策に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
 我が国の外交政策に対する国民の理解・支持を増進させるために、外交政策についての各種情報を種々の方途を活用して適時に分かり易く発信・提供し、また、外交のあり方についての世論の動向を的確に把握し外交政策の企画立案・実施の参考とする。

【施策の必要性】

 国際社会の相互依存関係が深まる中、国際問題が国民生活に直接影響を及ぼすケースが増加しており、我が国外交政策に対する国民の関心は非常に高まっている。このため国民から理解され支持される外交を行っていくことがますます重要となっており、外交政策についての各種情報を適時に分かりやすく発信・提供するとともに、国民の意見や世論動向を的確に把握し、外交政策策定の際の参考として適切に活用していく必要がある。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)一般国民が外交政策に関する知識・理解を深める上で報道の影響力は非常に大きいことから、事実関係を正確に反映した報道が行われる必要がある。そのため、外務省として報道機関に対し、外交行事における取材の便宜を提供するとともに、記者会見等による口頭での情報提供、談話・記事資料等文書による情報提供を適切に行い、国民の外交に関する理解を増進させることは有効である。

(2)定期刊行物、放送番組への編集・制作協力やパンフレットの作成、タウンミーティングなどの直接国民と対話する事業等を通じて、我が国の外交政策への国民の理解を深めることに寄与している。本件施策の達成により、国民の外交政策に対する理解の増進が伺え、有効である。

(3)メールや電話等、多様な媒体を通じた広聴活動を行うことで、国民の幅広い意見を聴取している。また世論調査の実施により、特定の外交事案に関する理解・認識度や世論の動向を把握することで、政策策定の参考としている。

【施策の効率性】(3行以内)

 限られた予算の中で、従来の紙媒体に加え、テレビやホームページ等の電子媒体等を有機的に関連させつつ、多種多様で重層的な情報発信、国民の意見聴取・世論の動向把握を効率的に実施している。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
897,173
865,976
内訳:
内訳:
国内広報関連 290,172
国内広報関連 255,353
報道機関対策 607,001
報道機関対策 610,623
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
43
43

内訳:
内訳:
国内広報関連 15
国内広報関連 15
報道機関対策 28
報道機関対策 28
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

(1)外交政策に対する国民の意見や認知度は千差万別である。また、意見を表明しないサイレントマジョリティの存在もある。
(2)外交事案や海外での事件・災害等が発生すると、当該分野に対する国民の関心はにわかに高くなり、例えば、当省ホームページへのアクセス、メールや電話等による意見の数が急増する。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 「外交政策に関する情報を適時に分かりやすい形で国民に提供することにより説明責任を果たす」との施策自体については、完了しておらず、今後も引き続き行っていくが、平成17年度における右施策の評価については、通常の評価が可能。

【評価の切り口】

 情報発信量と我が国外交政策への反応
(プレスリリースの量、外務省に寄せられた意見等)

【目標の達成状況(評価)】

 情報発信量と我が国外交政策への反応

 我が国の外交政策に関する情報発信量と我が国の外交政策に対する国民の反応は以下のとおりであり、各種メディアや国民との直接的な接触を通じて、外交政策に関する情報を適時に分かりやすい形で国民に提供することにより説明責任を果たすことに寄与した。

(イ)記者会見は、原則1日1回外務大臣あるいは外務省幹部が行ったが、重要な外交案件が発生した場合には臨時記者会見を随時行った。平成17年度に行われた記者会見は大臣が94回、副大臣が38回、次官が39回、外務報道官が44回であり、適切な情報発信かつ十分な説明責任を果たした。
(ロ)また、外務省詰め記者クラブに対するブリーフや懇談、各社論説・解説委員へのブリーフを行うことで外交案件への理解増進を図った。

外務省詰め記者へのブリーフ:216回
外務省詰め記者との懇談(オープンルーム):106回
論説委員へのブリーフ: 46回
解説委員へのブリーフ: 42回

(ハ)平成17年度に行ったプレスリリースの数は、記事資料871件、外務大臣談話24件、外務報道官談話257件(以上は外務省ホームページにも掲載)、貼り出し1,054件となっており、特に外務報道官談話は対前年比約2倍の数(昨年は136件)。これらが報道内容に反映された。
(ニ)タウンミーティング(5回)・講演会等(214回)への出席者及び広報番組視聴者に対するアンケートでは、参加者の大多数が外交政策に対する理解が深まったと答えている。また、外務省ホームページに寄せられたメールによる意見、電話・FAXで寄せられた意見は約25,200件にのぼり、外交に関する国民の関心を的確に把握している。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)報道機関へのブリーフィングやプレスリリースの発出、タウンミーティングや講演等の国民への直接説明を通じて、我が国外交政策に関する情報を適時に分かりやすい形で国民に提供したことで、外交への国民の関心を深め理解の増進に寄与することができたとともに、国民からの多種多様な意見を的確に把握することができた。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 外交政策に関する情報提供や説明責任は終了という期限が設けられるものではなく、引き続き適切な国内広報・報道機関対策の実施に努める。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 引き続き、外交政策に関する情報を適時に分かりやすい形で国民に提供し、我が国の外交政策への理解増進を図る。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

 花岡信昭  ジャーナリスト(元産経新聞論説副委員長)
         慶應義塾大学院・国士舘大学院講師
 連日、多角的な国内広報・報道機関対策を展開していることは基本的に評価できるものであり、その態勢を今後とも拡充、強化していってほしい。問題は国家の基幹政策である「外交」について、国民側の受け止め方に相当の落差があることだ。外交問題に関心を持ち、知的レベルの高い層は、能動的に情報を得ようとし、外務省ホームページなどを恒常的にチェックするであろう。だが、中国、韓国などの「反日」騒動、歴史認識問題などとなると、感情的・情緒的次元の反発や、「外務省の弱腰」批判が噴出することになる。外交はいわば「情報戦争」の側面を持ち、相手側の対日非難などに対しては即座に対抗コメントを発して国内世論の理解を深めるなどの機動的対処が必要である。ネット時代において、その必要性は格段に高まっており、これは「外務官僚」の次元というよりも「政治」のありようそのものに起因するテーマといって過言ではないと思われる。首相官邸、与党執行部などとの連携のもとに、いかに「国家として」有効な国内広報対応をはかっていくか、これは外務省の国内広報セクションの次元を超えた政治的課題ともいえ、「たくましく強靭な外交政策」を補完していく立場はいかにあるべきか、さらに徹底した議論、対応が求められていると思える。
 さらに付言すれば、国内メディアは「歴史認識」「日米同盟」などをめぐり、二分された状況になっている。戦後日本の外交政策の基軸はどこにあるか、外交担当メディアへの基本的な「ブリーフ」(国内論壇の動向や海外の対日論評の分析なども含め)を重層的、恒常的に展開していく必要性があるように思われる。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 「評価の切り口」である情報発信量について、定量的な説明がなされており、また、外交政策への反応に関しても、定量的な評価が記述されている。

【事務事業の評価】

事務事業名:定期刊行物、放送番組への編集・制作協力やパンフレットの作成

事務事業の概要
 限られた予算の中で、国民が必要としている情報を可能な限り広く効果的に発信するため、外務省ではあらゆるメディアを活用して広報を行っている。具体的には、内閣府による政府広報(テレビ、ラジオ、インターネット)への協力、定期刊行物への各種協力及び誌面買い上げ(月刊中央公論)、広報テレビ番組の制作(平成17年度は「新世紀アフリカ物語 ~日本とアフリカの素敵な関係~」、「世界が愛するクール・ジャパン ~ソフト・パワーが未来を拓く~」、ともにBS日テレで放映)、TV番組等への取材協力(NHK「クローズアップ現代」ほか)、及び外交政策の基本的立場等を説明するパンフレットを作成・配布(平成17年度:8種10万1千部の新規作成、6種21万7千5百部の改訂、増刷)等により、重点的且つ時宜に適った情報発信を実施している。こうしたメディアを通じた重層的な広報は、多種多様なメディアの受け手である国民への情報発信として効果的である。
有効性
(具体的成果)
(1)広報TV番組(新世紀アフリカ物語)については、視聴者アンケートを行ったところ、60%がアフリカを身近に感じ、82%がアフリカへの支援を必要だと答えるなど、高い広報効果が得られた。
(2)パンフレットについては、中東和平、地球環境、アフリカ、など、国民の関心を集めた問題を分かり易く説明する資料を作成し、関連する講演会等で希望者に配布したところ、高い評価を得た。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 我が国の外交政策、国際問題について、国民の理解と支持を得るため、不断の広報努力を傾注する必要がある。今後は、各事業毎にアンケートを実施するなど、より一層国民の意見を聴取できるような体制を作り、広報事業に反映させていくこととする。

事務事業名:タウンミーティング、講演会・シンポジウム等の開催

事務事業の概要
国民と直接対話する広報として、大臣タウンミーティングを2回開催し、その他にも、タウンミーティング「学生と語る」を3回、国際情勢講演会を41回、外交講座を56回、高校講座を117回等の事業を実施した。これら事業には、あわせて約6万3千名の国民が参加した。また、大学生による国際問題討論会なども、国民、特に次世代を担う若者と直接触れる広報事業として有益である。外交は、国民にとって抽象的で分かりづらい問題であると認識されがちであるため、外務大臣はじめ省員が、あらゆる機会を捉えて様々な切り口で直接国民に話しかけることの重要性を良く認識し、こうした事業により外交を少しでも身近な問題として捉え、理解を深めてもらうとともに、外交政策に対する国民の理解と支持を得る必要がある。
有効性
(具体的成果)
 大臣タウンミーティング実施後のアンケートでは参加者の84%が外交政策について理解が深まり、75%がタウンミーティングの開催を有効だと回答している。その他の事業でも実施後はアンケート調査を実施しており、分かり易かった、理解が深まったなどの回答を得ている。
 また、タウンミーティング、講演会は地方でも開催しており、地方新聞への掲載にも意を用いている。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 メディアを通じた広範で効率的な広報と、直接対話する広報は車の両輪である。大臣から一般省員まで、自ら媒体となって国民に直接、間接に語りかける情報発信は、外務省及び外交政策をより身近なものと感じていただく手段として欠くことはできない。今後はバリアフリー化(映像情報、手話通訳の活用等)を一層推進しながら、国民各層に対する適切な情報発信の拡充に努める。

事務事業名:外務省に寄せられる意見等に対応する広聴活動及び世論調査の実施

事務事業の概要
(1)外務省ホームページ「ご意見・ご感想コーナー」、官邸ホームページ、電子政府の総合窓口(e-Gov)に寄せられたメール及び電話・FAX等を通じた意見を聴取の上取り纏め、省内幹部及び関係各課に配布した。このように様々な媒体により広く国民の意見に耳を傾け、それらの意見を参考として外交政策の企画・立案過程に適切に位置づけることは、我が国の政策策定並びに国民との意思疎通を図る上で極めて重要である。
(2)特定の外交テーマに関する世論調査を実施する。外交問題及び外交政策への国民の関心は近年高まっており、特定の外交事案に関する認識・理解度や世論の動向を的確に把握し、外交政策並びに広報政策の企画・立案の参考とすることは、我が国の政策策定の過程において重要となっている。
有効性
(具体的成果)
(1)平成17年度外務省ホームページ宛に寄せられたメールによる意見の総件数は約19,500件、電話約3,000件、FAX約2,700件で、これらの意見は取り纏めの上、外務省幹部及び関係各課に配布し、政策立案の参考とすることに寄与した。
(2)「日中関係に関する意識調査」、「日米安全保障体制に関する意識調査」を実施し、調査結果については省内幹部及び関係各課に配布するとともに、外務省ホームページで公開している。調査結果は外交・広報政策立案の参考としている。また結果を広く国民に提供し、国民の外交政策に対する理解・認識を深めてもらうことにも寄与するものである。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)国民の外交に対する関心は引き続き高く、平成18年度重要外交政策である「国民と共にある外交」を推進するためにも、国民の意見を幅広く聴取し、政策立案の参考として役立てることは重要。今後もこれまで同様に、国民からの意見の適切かつ迅速な伝達・配布に努める。
(2)特定の外交事案に関する国民の認識・理解度を測り、世論動向を把握することは、政策立案・策定の過程の上で、参考となるのみならず、適切に位置付けることにより「国民と共にある外交」の推進にも寄与することとなる。今後も適当なテーマに関する世論調査を実施し、調査結果の的確な把握、政策立案担当部局への適切な配布を行う。

事務事業名:外務省首脳、外務報道官による記者会見等の実施、談話・発表文や記事資料の発出

事務事業の概要
 原則毎日1回外務大臣または外務省幹部による記者会見を開催、重要な外交案件(例:テロ事件や大災害等)発生時には、臨時に当該案件に関する記者会見を随時開催。必要に応じて主管課長等より外務省詰め記者に対しブリーフを実施。外務省詰め記者のほか、各社論説・解説委員等に対してもバック・グラウンド・ブリーフを実施。
 また、大臣談話や記事資料等文書によるプレスリリースの発出も適時・適切に実施。
有効性
(具体的成果)
 一般国民が我が国の外交政策への知識・理解を深める上で報道の影響力は非常に大きい。事実関係を正確に反映した報道が行われるために、報道機関に記者会見やプレスリリースの発出等による情報提供を適時・適切に行うことで、国民の外交に対する理解増進に寄与した。

(1)平成17年度に行った会見等の回数は以下の通り。
  • 記者会見(原則1日1回外務大臣あるいは外務省幹部が行う)
    :大臣    94回
     副大臣   38回
     次官    39回
     外務報道官 44回
  • 外務省詰め記者へのブリーフ:216回
  • 外務省詰め記者との懇談  :106回
  • 論説委員へのブリーフ    : 46回
  • 解説委員へのブリーフ    : 42回

(2)平成17年度に行ったプレスリリースの数は以下の通り。
  • 外務大臣談話 :   17件(外務省ホームページにも掲載)
  • 外務報道官談話:  257件(外務省ホームページにも掲載)
  • 記事資料    :  863件(外務省ホームページにも掲載)
  • 貼り出し    :1,054件
特に外務報道官談話は対前年比約2倍の数(昨年は136件)。これらが報道内容に反映されている。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
外交や国際情勢に対する国民の関心は益々高まっており、国民の要望に一層応える必要がある。記者会見やプレスリリースを通じて、報道機関に適時・適切に情報発信し、引き続き我が国の外交政策に対する国民の理解増進を図るべく、今後ともこれまでと同様に情報発信を行っていく。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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