省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

12-3 経済・社会分野における国際約束の締結・実施

経済社会条約官 正木靖
平成18年4月
施策の目標
(1)多角的自由貿易体制の強化と自由貿易・経済連携の推進
(2)国民生活に影響を与える様々な分野での国際的ルール作りへの参画や日本国民・日系企業の海外における利益の保護・促進
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第159回/第162回/第164回施政方針演説に言及あり(WTO新ラウンド交渉及び経済連携協定関連)。
施策の概要
(10行以内)
(1)多角的自由貿易規則を一層強化・整備するため世界貿易機関(WTO)の新ラウンド交渉が進展していると同時に、自由貿易協定(FTA)の構築により、二国間又は地域レベルで自由化を推進する動きが世界的に加速している。我が国として、多角的自由貿易体制の強化と自由貿易協定・経済連携協定(EPA)の推進との双方により自由な貿易及び投資の利益を確保し及び増進する。
(2)近年のグローバル化の進展や情報通信の飛躍的な発展により、経済分野のみならず環境、人権、社会保障、科学技術、文化、保健等、国民の日常生活に直結する社会分野の問題についても、その解決のため国際法上の枠組み作りが重要になっており、我が国もこうした社会分野の国際約束の作成交渉に当たり我が国の国民の利益や関心を十分に反映させた上で、その締結・実施を図る。

【施策の必要性】

(1)WTO新ラウンド及び自由貿易協定・経済連携協定の交渉の推進は、物品・サービスの貿易及び投資の一層の自由化を通じ、我が国の産業・経済の成長の機会を拡大するとともに、他国の市場における我が国の企業及びその産品・サービスの参入機会を増大させる点で重要。また、WTOの紛争解決手続の帰結は我が国の産業や企業の活動に多大な影響を及ぼし得るため、同手続における我が国の主張・立証は法的に説得力のある効果的な形で行う必要がある。
 また、経済社会分野の条約研究者等との間でWTOパネル判例についての研究・意見交換を行うことは、「WTOの司法化」現象が進んでいる中で有意義。
(2)環境、人権、海洋・漁業その他新しい分野における国民生活に直結する国際的ルール作りに積極的に関与することを通じて、ルールの内容を我が国の国民の利益や関心を十分に反映させることが必要。
 この意味で、多数国間条約作成交渉において、各国がそれぞれのパートナーとの連携を強め、地域間交渉の様相を呈している中、特にASEAN諸国と問題意識を共有し、協力分野の拡大を図ることは、我が国の発言力を強化するためにも有意義。
 さらに、年金制度への加入に関する法令の適用調整について定める社会保障協定、二国間の投資の自由化、促進及び保護を目的とする投資協定の締結、及び二国間での二重課税の回避を目的とする租税条約は、いずれも海外で活躍する日本国民及び日系企業の利益を保護・促進するために重要。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1) WTOの新ラウンド交渉には、農業、漁業補助金、アンチ・ダンピング、貿易円滑化などのWTOルールの明確化を始め、今後の交渉においては法的に複雑な論点が多数存在。この中で法的な観点からの検討・助言を行っていくことは、我が国の立場を適切な形で反映させることに資する。
(2) WTO発足後、我が国が関係する事案も含め、WTOの紛争解決手続に付せられる事案はますます増加。このようないわば「WTOの司法化現象」とも言い得る事態の中で、法的な観点から検討・助言を行うことは、我が国が当事者として有効な主張・立証を行うことに資する。
(3) EPAは、物品及びサービスの貿易のみならず、投資、政府調達、競争、ビジネス環境整備、相互承認、協力といった広範な内容を含み得るものであり、法的な観点からの十分な検討・助言を行っていくことは、望ましい形での交渉の結実に不可欠。
(4) 経済、環境、人権、科学技術、文化、保健等の分野の条約は、いったん作成されれば直ちに国際標準を形成し、我が国としても、否応なくかかる国際標準に沿って国内措置を見直していく必要が生じる場合が多い。この他、海洋に面し世界有数の漁業国たる我が国にとって、日々の海洋・漁業関係での国際的な動きに我が国の国益を反映させていく必要性は極めて高い。この中で法的な観点からの検討・助言を行っていくことは、我が国の立場を交渉段階から積極的かつ適切な形で反映させることに資する。
(5) また、社会保障協定や投資協定、租税条約といった国際約束の作成・締結により、海外におけるかかる経済活動を保護・促進していくための法的基盤が提供される。

【施策の効率性】(3行以内)

 FTA/EPAの分野、その他の経済・社会分野での国際約束ともに、その交渉段階、特に条文作成段階において、法的な観点からの検討・助言は必要不可欠であるが、可能な限り直接条約締結担当者を相手国政府との交渉に当たらせることが、かかる検討・助言をより効率的に行うことに繋がった。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
20,491
18,260
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
29
34
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

(1)多数国間交渉における不確実性
 多数国間における交渉は、多数の主権国家がそれぞれの異なる利益を背景に互いの主張を展開し合う場であるため、一般的に言って、一国限りの立場で交渉を動かすことには限界があり、交渉結果の行方を予断することが困難であるとの特性がある。最悪の場合には、我が国の立場に反する条約が成立してしまい、結果として我が国がその条約を締結することが困難になる可能性も排除されない。
(2)紛争解決手続における不確定性
 司法化が進むWTO紛争解決手続における結論は、最終的には第三者たるパネリスト又は上級委員会委員により下されるものであるので、我が国が当事者となる紛争においても、最終的に我が国に有利な裁定が下されるかは予断を許さない。
(3)二国間交渉における不確実性
 二国間における国際約束作成の交渉は、通常、互いの利益が合致して開始されるものである。他方、異なる二つの主権国家間である以上、互いの主張が完全に一致することは殆どあり得ず、必然的に双方が互いに妥協しながら一つの国際約束を作成することが必要になる。他方、互いに妥協ができない問題も当然存在しており、そのような問題により交渉そのものが暗礁に乗り上げる可能性は絶えず存在している。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 通常の評価を行う。

【評価の切り口】

(1)多角的自由貿易体制の強化のための努力の内容及び自由貿易・経済連携の推進の状況。
(2) 国民に影響を与える分野でのルール作りに参画した事例及びその成果。日本国民・企業の海外における利益の保護・促進を図った具体例及びその成果。

【目標の達成状況(評価)】

(1)多角的自由貿易体制の強化のための努力の内容及び自由貿易・経済連携の推進の状況。
  以下のような取組により、多角的自由貿易体制の強化及び自由貿易・経済連携の推進に貢献した。
(イ)多角的自由貿易体制の強化:平成13年11月のドーハ閣僚会議で始まったWTO新ラウンド交渉は、平成17年12月のいわゆる「香港閣僚会議」によって進展を見せた。しかし、未だに、これまでの国際約束の改正等の具体的な成果は得られていない。
(ロ)自由貿易・経済連携の促進:平成17年12月にマレーシアとの間で経済連携協定に署名した(その後、平成18年4月に国会の承認を得た。)。平成18年2月には、タイとの間の協定の条文が基本的に確定するに至った。また、平成17年度においては、フィリピンとの交渉を継続するとともに、ASEAN全体、インドネシア及びチリとの間での交渉を開始した。他方、これらの進展に伴い、必要な作業が多大なものとなりつつある。
(2)国民に影響を与える分野でのルール作りに参画した事例及びその成果。日本国民・企業の海外における利益の保護・促進を図った具体例及びその成果。
  以下のような取組により、国民に影響を与える分野での国際的ルール作り及び日本国民・企業の海外における利益の保護・促進に貢献した。
(イ)国民に影響を与える分野でのルール作り:我が国は、国際機関の場において多数国間交渉の形で行われる国際的ルール作りに積極的に参画してきており、その中で成立した条約で締結の意義のあるものについては、順次締結を進めてきている。かかる分野での国際約束につき、平成17年度には6本の条約が国会で承認された。また、平成18年通常国会には6本の条約を提出している。
(ロ)日本国民・企業の海外における利益の保護・促進:我が国の国民や企業が海外において行う経済活動の法的基盤を提供するため、積極的に二国間協定のための交渉を行ってきている。かかる二国間協定につき、平成17年度には2本の条約が国会で承認され、また、平成18年通常国会には4本の条約を提出している(前述の日・マレーシア経済連携協定を含む。)。更に、それぞれの分野での協定作成交渉は具体的進捗を見せている。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)
(1) 経済連携協定につき、平成17年12月にマレーシアとの間で署名(その後、平成18年4月に国会の承認を得た。)。平成18年2月にタイとの間で条文を基本的に確定。また、平成17年度においては、フィリピンとの交渉を継続するとともに、ASEAN全体、インドネシア及びチリとの間での交渉を開始するなどの進展が見られた。
(2) 国民に影響を与える経済・社会分野での国際約束につき、平成17年度には6本の条約が国会で承認され、平成18年通常国会には6本の条約を提出するなどの進展が見られた。
(3) 我が国の国民や企業が海外において行う経済活動の法的基盤を提供するための二国間協定につき、平成17年度には2本の条約が国会で承認され、平成18年通常国会には4本の条約を提出し(前述の日・マレーシア経済連携協定を含む。)、更に協定作成交渉が進められるなどの進展が見られた。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

(1)FTA/EPAが分量的に膨大であるため、締結のための作業量も甚大なものになってきている。取組方法について工夫が必要。WTO新ラウンド交渉についても、交渉結果を条約化する段階が迫っており、法的な検討を強化する必要あり。
(2)国際約束作成にあたって、一層の情報収集や意見交換等により、他の交渉参加国の立場への理解を深め、働きかけを強めることが有益。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 施策の目標(1)及び(2)につき、引き続き対応していく必要がある。特に、自由貿易・経済連携への取組につき、作業量増大への対応のための工夫を行いつつ、業務を拡充していく必要がある。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

 岩沢雄司 東京大学教授
 経済、環境、人権、科学技術、文化、保健、海事、漁業など、経済社会条約官が所掌する範囲は拡大し、かつ、ますます重要になっている。自己評価では、(1)WTOの新ラウンド交渉と紛争解決手続、(2)自由貿易協定・経済連携協定の交渉・締結、(3)環境、人権などの新分野における国際ルール策定、(4)社会保障協定・租税条約・投資協定・航空協定の交渉・締結という、4つの事務事業が具体的に適示されており、経済社会条約官が多様な事業に取り組んでいることがわかる。近年とりわけ、(2)の自由貿易協定・経済連携協定の交渉・締結に関して法的な検討と助言を行うという業務が増大していると認められる。
 増大する業務に的確に対応するには適切な体制を整えることが肝要であるが、限られた資源の下では作業に工夫も必要となろう。経済社会条約官は、限られた人的・財政的資源の下で、増大する業務に適切に対応していると認められる。自己評価における上記の4つの事務事業の概要、有効性、総合的評価の記述はおおむね適切である。特に、総合的評価における結論――(1)と(2)は「拡充強化」、(3)と(4)は「今のまま継続」――、その理由、及び今後の方針の説明は、妥当と認められる。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 2つの施策の目標と各々の「評価の切り口」に沿って、取組の成果が数値も交え、国際法局の機能・役割に則り具体的に明示されており、評価として適切である。

【事務事業の評価】

事務事業:WTO新ラウンド交渉の成功に向けての最大限の努力。WTOの紛争解決手続における日本の主張・立証に際しての法的な検討及び助言。

事務事業の概要
(1)平成13年11月のドーハ閣僚会議で始まったWTOの新ラウンド交渉は、平成17年12月のいわゆる「香港閣僚会議」によって進展を見せたものの、今後の交渉妥結に向けて依然として課題は山積しており、現時点で既存の国際約束の改正等の具体的な成果は得られていない。今回の交渉においては、農業、漁業補助金、アンチ・ダンピング、貿易円滑化などのWTOルールの明確化をはじめとする論点が交渉対象となっており、これらの新しい問題が農業交渉、非農産品市場アクセス交渉、サービス交渉等の自由化に向けた交渉分野と絡み合っており、全体として極めて複雑な交渉となっている。このため、交渉全体の成功のために努力し、さらにその中で我が国の立場を実現していくためには、法的な観点からの検討・助言を行っていくことが極めて重要である。
(2)WTOの紛争解決手続制度は、GATT時代に比べ、加盟国によって積極的に利用されており、その中には我が国が提訴したり、提訴されたりする事案も多い。このようないわば「WTOの司法化現象」とも言い得る事態の中、我が国が当事国として主張・立証を行うにあたって法的な観点から検討・助言を行うことがますます重要になってきている。
有効性
(具体的成果)
(1)WTO新ラウンド交渉については、平成17年12月の「香港閣僚会議」によって進展を見せた。しかし、未だに、これまでの国際約束の改正等の具体的な成果は得られていない。
(2)紛争解決手続に関しては、「日本ののり輸入割当制度」(韓国が提訴)及び「米国のゼロイング及びサンセットレビュー」(我が国提訴)等の事案について、我が国が当事国として行う主張・立証を行うにあたり、法的な観点から検討・助言を行った。このうち、「日本ののり輸入割当制度」については、日韓双方が受入可能な解決に達するという具体的成果があった。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
(1)WTOの新ラウンド交渉については、平成18年中の決着を目標としている。各分野での交渉及び分野横断的な交渉が最終局面に入るとともに、その後その結果が条文化され、我が国として締結をすることとなる。かかる中でこそ法的な検討・助言が必要とされている。
(2)紛争解決手続については、我が国を当事国とするいくつかの案件につき継続して審議がなされ、新規案件も発生している。よって、我が国が当事者として主張・立証を行うに当たって法的な観点から検討・助言を行うことが引き続き必要である。
(今後の方針)
 引き続き、WTOの新ラウンド交渉及び紛争解決手続において、法的な検討・助言を十分に行っていく必要がある。

事務事業名:東アジア諸国等との自由貿易協定・経済連携協定の交渉・締結及びその実施(法的な検討及び助言を含む。)

事務事業の概要
(1)WTOを中心とする多角的自由貿易体制を補完するものとしてWTOで実現できる範囲を超えた或いはWTOでは取り扱われていない分野における連携を強化する手段として、EPA/FTAを推進する意義は大きい。
(2)また、EPAは、東アジア共同体の構築に向けた重要な機能的協力の1つであり、政治・外交戦略上、日本にとって有益な国際環境を形成することに資する。物品及びサービスの貿易のみならず、投資、政府調達、競争、ビジネス環境整備、相互承認、協力といった広範な内容を含むEPAの交渉においても必然的に法的な観点からの十分な検討・助言を必要とする。
(3)このような広範な内容を含むEPAにおいては、テキストの分量は膨大なものとなる。その中で誤りなきよう法的整合性と統一性を確保し、平仄を整えた上で交渉から署名、国会承認、協定発効までの手続(締結手続)を完了させるためには、通常の条約締結に比しても多くの労力を必要とする。このため、十分な体制を整える必要がある。
有効性
(具体的成果)
 以下の具体例にあるとおり、東アジア諸国等との経済連携の交渉が進展した。
(1)マレーシアとのEPA締結:平成17年12月にマレーシアとの間で署名が行われた(その後、平成18年4月に国会承認を得た。)。その間、条文交渉、国内実施体制の確保、署名手続、国会への提出、国会審議等において、法的な検討・助言を始め、適切に作業を進めた。
(2)タイとのEPAにおける条文の基本的確定:平成17年9月、日・タイEPAの主要点について大筋合意。その後、具体的な条文交渉が行われ、平成18年2月に条文が基本的に確定。その間、法的な観点からの貢献を積極的に行っている。
(3)その他東アジア諸国等との間での交渉の進展:その他にも現在、韓国及びフィリピンとの交渉を継続する一方、ASEAN全体、インドネシア及びチリとの間での交渉を開始しており、かかる交渉の進展のために法的な検討・助言を積極的に行っている。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
 平成17年度については、特に日・マレーシアEPA及び日・タイEPAについて大きな進展が見られたが、平成18年度は、これらの締結に万全を期すとともに、引き続き韓国及びフィリピンとの交渉を継続し、新たに開始されたASEAN全体、インドネシア及びチリとの交渉を進め、さらにはその他の国・地域(ベトナム、ブルネイ、インド、GCC諸国)との間でのEPAの可能性の検討に向け、必要な作業を拡充強化させる必要がある。
(今後の方針)
 EPAの交渉・締結・実施については、これまでも法的な観点からの検討・助言を行ってきたが、対象となるEPAの数が増えるに際しても十分に対応する。

事務事業名:環境、人権その他新しい分野における国民生活に直結する国際的ルール作り及びその適切な実施(法的な検討及び助言を含む。)への取組

事務事業の概要
(1)グローバル化の進展とともに、環境、人権、保健、文化、海事、漁業その他新しい分野において、国民生活に直結するような国際的ルール作りが活発化し、また、その適切な実施が重要になっている。(例:京都議定書の国内実施;障害者権利条約作成交渉;たばこ規制枠組み条約の国内実施;文化多様性条約作成交渉;アンチドーピング条約作成交渉;国際海事機関における各種取組;漁業分野での関係条約締結についての検討)
(2)これらにおいて、交渉・締結・実施のいずれの段階においても、法的な観点からの検討・助言は不可欠である。
有効性
(具体的成果)
 以下の具体例にあるとおり、国民に影響を与える分野での国際的ルール作りに参画するとともに、そのようなルールに日本が参加するよう努めた。
(1)平成17年度は、以下の条約につき国会の承認を得た。
(イ)海洋・漁業分野の国際約束:「国際海上交通簡易化条約」、「海事債権責任制限条約1996年議定書」及び「中西部太平洋まぐろ類条約」
(ロ)その他の経済・社会分野の国際約束:「石綿の使用における安全に関する条約」、「万国郵便連合の追加議定書及び関連文書」、「郵便送金業務約定」
(2)平成18年第164常会では、以下の条約の締結につき国会の承認を求めている。
 「マルチチップ集積回路の無税待遇協定」、「国際民間航空条約改正議定書」、「国際水路機関条約改正議定書」、「国連海事機関条約1991年改正」、「国連公海漁業協定」、「2000年危険・有害物質汚染事件に関する議定書」
(3)その他、個別の条約作成交渉において、必要に応じて国際法局よりの法律専門家を交渉代表団に加え、法的な観点からの検討・助言を行ってきている。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
 これら新しい分野における国際約束作成の動きは、新しい現実に適用しようとする国際社会の努力を示すものであるので、そのような現実に直面する我が国国民の利益に直結するものである。かかる動きに積極的に関与し、我が国国民の利益や関心を十分に反映させる必要がある。また、こうしたルールが国際社会全体で実施され、我が国自身も締結・実施することによって、国際社会全体においても我が国の国民の利益や関心に沿った取組がなされることとなる。
(今後の方針)
 環境、人権等社会分野での様々な国際的ルール作りへの積極的参画に際し、法的な検討・助言を行い、我が国として締結する意義があると認められる国際約束については速やかな締結を目指す。

事務事業名:社会保障・投資関係の協定への取組等海外における国民の利益を守る法的枠組みの構築及びその適切な実施(法的な検討・助言を含む。)

事務事業の概要
(1)国際社会のグローバル化の中で、各国間の経済活動の相互依存は益々高まっており、我が国の国民や企業が海外において行う経済活動の重要性は増大している。このような中海外におけるかかる経済活動を保護・促進していくための取組は不可欠になってきており、特に、これら活動のための法的基盤の提供は重要である。
(2)例えば、(イ)経済発展等に伴う人的交流の活発化により大きな問題となっている年金制度への二重加入等の問題につき解決を図る社会保障協定、(ロ)我が国の国民や企業が海外において経済活動を行う際に生じる二重課税の問題の解決や課税関係の明確化を図る租税条約、(ハ)我が国の国民や企業が行う投資の保護を法的に確保することを図る投資協定、(ニ)国際的な人的交流の増大を踏まえ、航空運送需要を満たすための法的基盤となる二国間航空協定、等々の分野において、今後とも取組を推進していく必要がある。
有効性
(具体的成果)
 以下の具体例にあるとおり、国民の利益を保護・促進することに繋がる条約の締結に向けた進捗が見られた。
(1)平成17年度は、以下の条約の締結につき国会の承認を得た。「日・ベルギー社会保障協定」及び「日・仏社会保障協定」
(2)平成18年第164常会では、以下の条約の締結につき承認を求めている。
 「日・加社会保障協定」、「日・英租税条約」及び「日・印租税条約改正議定書」
(3)この他に現在、下記の国との間で協定交渉又はその準備を行っている。
(イ)社会保障協定:豪州及びオランダと情報・意見交換会を実施。
(ロ)租税条約:フランス、オランダ及びフィリピンとの間で準備中。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由)
 国際社会のグローバル化の中で、各国間の経済活動の相互依存は益々高まっており、我が国の国民や企業が海外において行う経済活動の重要性は増大している。このような中、海外におけるかかる経済活動を保護・促進していくための取組は不可欠になってきており、特に、これら活動のための法的基盤の提供は重要である。
(今後の方針)
 我が国の国民や企業が海外で行う経済活動の保護・促進に資する国際約束の交渉を促進し、速やかな締結を目指す。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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