省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

11-6 地球環境問題への取組

地球環境課長 福島秀夫
気候変動室長 久島直人
平成18年4月
施策の目標
1)国際機関を通じた支援や条約の策定、締結、実施及び国際会議の開催を通じて地球環境問題への国際的取組への貢献
2)防災政策の普及を通じた持続可能な開発の支援
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
 地球環境問題に効果的に対処し、持続可能な開発を世界的に実現するために、多数国間環境条約や国際機関を通じた取組を推進し、またこうした枠組みがない分野について、新たな議論の場を設けて具体的取組を促進した。
 持続可能な開発の不可分の一部をなす防災について、我が国が蓄積してきた知見・技術を活用し、国際機関を通じた取組等を通じて世界的に普及をはかることにより、持続可能な開発の実現に努めた。

【施策の必要性】

 地球環境問題は、国際的な協力によってのみ解決が可能な問題であるため、多数国が参加可能な枠組みを設けて取り組む必要があるが、環境が社会の広範な面に関わるものであるため、取組の内容や程度を巡り意見が異なることが少なくない。問題の解決のためには、このような立場の相違の調整をはかるための外交交渉の積み重ねが不可欠である。
 自然災害による被害は持続可能な開発の達成を困難にするものであり、災害による被害を10年間で実質的に削減することを目標とする「兵庫行動枠組」を実施することが必要。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

 地球環境問題の解決に向けた国際協力のためには、多数国間環境条約などの国際的枠組みの策定や実施、また地球環境問題を扱う国際機関を通じたガイドラインの設定等の取組を推進していくことが必要。防災については、我が国が豊富に有する技術・知見を世界的な取組に活かすことが目的達成のために有効。

【施策の効率性】(3行以内)

 優先度が高い分野において施策を進めた結果、効率性にも対応したものとなった。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
5,544,946
6,780,151
単位:千円
(注)本省分予算

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
19
20
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

【外部要因】

(1)地球環境問題への対応には国際的な共同の取組が不可欠であるが、取組への熱意や優先順位の考え方は国により様々であること。
(2)防災の観点は災害の復興段階から組み込まれるべきであるが、いったん大規模災害が起きると、防災の観点を統合しない緊急対応がなされる可能性があること。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

 平成17年度は地球環境面では京都議定書の第一回締約国会合の開催、国際熱帯木材協定の改正交渉の妥結、防災面では平成16年度末に策定された「兵庫行動枠組」の実施に向けた取組等、多くの動きがあったところ、評価を行う年として適切である。

【評価の切り口】

(1)国際的なルールの策定、実施に向けた取組の進捗度と、我が国による実質的貢献度
(2)既存の枠組みがない分野における、持続可能な開発に関する新たな課題に対する国際的な議論と取組の進捗度(関心の高揚、取組の進捗)と我が国による実質的貢献度
(3)防災分野における「兵庫行動枠組」実施のための取組の進捗度と、我が国による実質的貢献度

【目標の達成状況(評価)】

(1)国際的なルールの策定、実施に向けた取組の進捗度と、我が国による実質的貢献度
 1992年の地球環境サミット(リオ・サミット)以降整備されてきた多数国間環境条約の締結・実施を更に促進するとともに、国際機関を通じた支援を行うことにより、下記のように、地球環境問題に関する国際的な取組の進捗に実質的に貢献した。
(イ)ロシアの批准により平成17年2月に発効した京都議定書の第一回締約国会合(COP/MOP1)が約190か国、1万人の参加を得てモントリオールで平成17年12月に開催され、京都議定書の運用ルールが採択された。
(ロ)気候変動を主要議題としたグレンイーグルズG8サミットにおいて、我が国は17項目からなる「気候変動イニシアティブ」を発表したほか、G8とエネルギー需要国との対話の開始に合意し、同対話の結果が平成20年の日本サミットに報告されることになった。これらの合意や発表をもって気候変動に対する国際的な対話の促進に貢献した。
(ハ)我が国主催で平成17年10月に東京で開催した第4回「気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合」には、世界の温室効果ガス排出量の80%近くを占める米国を含む主要先進・開発途上国(19か国及びEC)が参加し、率直な意見交換を行った結果、中・長期的な温暖化対策の重要性について先進国・途上国双方間で認識が深まった
(ニ)南極環境の保護について、平成17年6月、南極における事故の際に環境への影響が最小限に食い止められるようにすることを目的とする「環境保護に関する南極条約議定書の附属書VI」(環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書(仮称))が採択された。
(ホ)熱帯林保有国の持続可能な開発の実現に貢献する国際熱帯木材協定の改定交渉が、2年半にわたる厳しい交渉の結果、平成18年1月に妥結した。我が国は、種々の日本提案ペーパーを配布して、立場を主張しつつ合意形成の促進に努め、交渉妥結に貢献した。
(ヘ)国連環境計画(UNEP)の国際環境技術センター(IETC)が実施するイラク南部湿原環境管理支援事業(湿原の保全のために環境適正技術を導入するプロジェクト)を支援し、環境が悪化したイラク南部湿原の環境管理を担当するイラク政府関係者、技術者等に対する研修事業、パイロットプロジェクト立ち上げ等を行い、関係者の能力構築及び生活環境の改善に大きく貢献した。
(ト)地球環境保全等を目的とした化学物質管理について、多数国間条約を通じた取組に加え、化学物質対策全般に関する国際的なイニシアティブとして「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」が平成18年2月に国際化学物質管理会議及びUNEP特別管理理事会において承認され、我が国はこの議論に積極的に関与し、取組の促進に貢献した。
(チ)ルール策定が一段落した多数国間環境条約においては、策定したルールの実施が重要な課題となっている。この遵守問題について、我が国は、遵守メカニズム構築において先行している「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」の遵守委員会に委員を派遣してメカニズム構築と運営をリードし、この経験をふまえて、現在遵守委員会等の設立交渉を行っている化学物質に関するストックホルム条約及びロッテルダム条約、ワシントン条約を含む多数国間環境条約の遵守メカニズム構築の議論に積極的に貢献している。
(2)既存の枠組みがない分野における、持続可能な開発に関する新たな課題に対する国際的な議論と取組の進捗度(関心の高揚、取組の進捗)と我が国による実質的貢献度
 持続可能な開発に関する新たな課題に対する国際的な議論を喚起し、我が国の考え方の発信と定着のための努力を行い、地球環境問題の解決に向けた取組を進捗させた。具体的事例は下記のとおり。
(イ)「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」が京都議定書を補完する官民合同の取組として平成17年7月に米・中・韓・豪・印・我が国の6か国をメンバーとして発足した。平成18年1月にはシドニーでこれら6か国の閣僚会合も行われ、この会合で我が国はセメントと鉄鋼の2つのタスクフォースの議長を務めることを表明する等、気候変動の技術の促進に貢献した。
(ロ)小泉総理の提案に基づいて平成17年1月に開始された国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)については、国連内の主導機関であるUNESCOにより、同年9月にDESDの国際実施計画が採択されたのを受け、同年12月、内閣に関係省庁連絡会議を設置し、広く関係者・国民の意見を採り入れた我が国の実施計画を平成18年3月に策定したことにより、国内でのDESD実施体制を整えた。また、平成17年9月、アジア協力対話(ACD)のプロジェクトとして我が国において環境教育推進対話を開催し、アジアの21か国及び国際機関より約60名の参加を得たほか、各国との政策対話においてDESD実施につき意見交換を行い、アジア各国の官民の取組の加速化に貢献した。
(ハ)水問題に関しては、アナン国連事務総長と小泉総理のイニシアティブで発足した国連水と衛生諮問委員会に我が国から議長(橋本元総理)を輩出し、議論の促進に貢献した。また、平成18年3月の第4回世界水フォーラムにおいて、水と衛生問題解決に向けた「行動計画(Your Action, Our Action)」を発表し、各国・国際機関・国際金融機関に具体的な行動を呼びかけたほか、我が国が主導してきた「水行動集」を発展・拡大する「持続可能な開発に関する水行動連携データベース(CSD・WAND)」の発表に貢献したほか、議論を通じ、水問題への国際的な関心の高揚に貢献した。
(ニ)違法伐採については、我が国とインドネシアのイニシアティブで発足したアジア森林パートナーシップ(AFP)の実施促進会合を日本で開催し、木材の合法性を検証・確認するためのガイドラインの作成、信頼できる合法性確認システムの構築等で取組を進捗させた。また、国際熱帯木材機関(ITTO)の行う各種途上国支援プロジェクトを財政面・内容面から支援し、違法伐採を含む持続可能な森林経営に対する取組を促進した。また、国連森林フォーラム(UNFF)において、世界規模の持続可能な森林経営促進に向けた枠組構築に向けた議論において、違法伐採問題の取扱、地域的取組の強化を主張するなど積極的に参画し、2015年までの法的拘束力を伴わない枠組みに関する国際的な合意形成に貢献した。
(3)防災分野における「兵庫行動枠組」実施のための取組の進捗度と、我が国による実質的貢献度
 防災分野においては、下記にあげるように、我が国の有する知見を発信しつつ、「兵庫行動枠組」実施のための取組の世界的な推進に実質的に貢献した。
(イ)平成17年1月に神戸で開催された国連防災世界会議の成果文書「兵庫行動枠組2005年-2015年」の世界的な実施に向けて、国連内の主たる推進機関であり、防災に関する情報・知見を普及する役割を担う国連国際防災戦略(UN/ISDR)に対する財政面及び知見面からの支援を行った。
(ロ)「兵庫行動枠組」の実施の一環として平成17年5月に設置された国際復興支援プラットフォーム(IRP)の設置・運営について積極的支援を行い、IRPの復興データベースの作成、大規模災害後の早期復旧活動の調整への参加等の活動を通じて、復興段階への防災の観点の統合を世界的に普及させることに貢献している。
(ハ)平成16年末のインド洋津波時に国連に対して行った資金拠出を用い、インド洋津波早期警戒システムの構築に財政・知見面から貢献し、地域の持続可能な開発に貢献した。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)
(1)京都議定書の発効・運用ルールの確立、G8グレンイーグルズ行動計画の策定、南極条約の環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書(仮称)の採択、ITTA改定交渉の妥結等に実質的に貢献したことにより、国際的なルールの策定、実施に向けた取組を促進したため。
(2)クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップの発足、DESDや水問題への関心の高揚、違法伐採対策の推進に実質的に貢献したことにより、既存の枠組みがない分野の取組を促進したため。
(3)世界的な「兵庫行動枠組」の実施を推進し、防災政策の普及に貢献したため。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

 引き続き、多数国が参加した形での地球環境問題の取組促進に貢献する。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

 地球環境問題への世界的関心を高揚させ、我が国の主導で問題解決に向けた取組を促進するため、引き続き既存の枠組みを通じた取組及び新たな課題に対する議論の促進に努める。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

 柴田明穂 神戸大学大学院国際協力研究科教授
 地球環境課及び気候変動室が担当する条約、機関、フォーラム及び会議・委員会の量的な多さ、質的な多様さ、そして政治的重要さを鑑みるに、現在投入されている人的および財政的資源はほとんど限界に達している。そのような厳しい状況の中においても、特に重要な環境分野での積極的外交の推進(京都議定書発効、南極条約環境保護議定書附属書VIの採択など)、将来的に重要となる分野での国際社会の関心高揚および制度作り(水資源、防災など)、そして地球環境問題解決における外務省の存在意義を発揮するための専門的知見の蓄積(遵守問題など)に、メリハリを効かせて戦略的に取り組んでいることは、高く評価される。今後は、環境外交の専門化・複雑化を踏まえ、関係部局(特に、経済社会条約官室)や関係分野の研究者等との交流もより積極的におこなうべきと考える。
 地球環境課及び気候変動室は、他の多国間外交分野(人権、軍縮など)との比較においても、情報収集・交渉において在外公館に依存できる度合いが低い。その第一の理由は、人権・軍縮関係会議がジュネーブ、ウィーンないしニューヨークにおいて比較的多く開催されるのに対し、環境条約会議・フォーラムの開催地は特定地に集中しない(京都議定書第1回締約国会議がモントリオール、南極条約環境保護議定書附属書VI採択会議がストックホルム、UNEP多国間環境条約遵守・執行ハイレベル専門家会合がスリランカ・コロンボなど)。第二に、環境関係会議・フォーラムにおいては、その分野の専門的知見、人脈が情報収集、交渉に必須となってきている。以上のような状況においては、本省担当官ないし外部の専門家が、世界各地で開催される関連会議に出席できる人的・財政的資源がなければ、議論の趨勢を把握できず、人脈はつくれず、専門的知見も蓄積できない。その結果、地球環境問題への我が国の取組は、一部主要国の後追いとなり、我が国独自のイニシアティブを発揮できない。
 地球環境課及び気候変動室による「目標達成状況」の上記評価は、いわば「光の当たった部分」であり、その裏には、人的・財政的資源の限界より、「見捨てられた部分」もあることを忘れてはならない。我が国の国際自然保護連合(IUCN)に対する任意拠出金は数年前よりほとんどゼロであると側聞するが、IUCN事務局長Achim Steiner氏が、次期国連環境計画(UNEP)事務局長になったことにも現れているとおり、「見捨てられた部分」がいつ「光が当たる部分」に豹変するかわからないのが、環境分野の外交の難しいところである。短期的にはメリハリをつけながらも、長期的ビジョンを持って環境外交を構築していく姿勢と、その課内での共有が重要と考える。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 地球温暖化対策、南極環境保護、熱帯林保護、化学物質監理、有害廃棄物の移動、防災等多岐にわたる国際的な取組について、各々その成果が記述されており、目標に向けて進展があったことが適切に評価されている。

【事務事業の評価】

事務事業名:国際機関を通じた支援や環境条約の策定、締結、実施を通じた地球環境問題への取組への参画及び貢献

事務事業の概要
(1)京都議定書の発効促進、第一回締約国会合
 グレンイーグルズG8サミットにおいて「気候変動イニシアティブ」を発表
(2)第4回「気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合」を開催
(3)「環境保護に関する南極条約議定書の附属書VI」(環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書(仮称))を採択
(4)国際熱帯木材協定の改定交渉妥結
(5)国連環境計画(UNEP)の国際環境技術センター(IETC)が実施するイラク南部湿原環境管理支援事業を支援
(6)「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」の策定
(7)遵守問題への取組 ほか
有効性
(具体的成果)
(1)ロシアの批准により平成17年2月に発効した京都議定書の第一回締約国会合(COP/MOP1)が約190か国、1万人の参加を得てモントリオールで平成17年12月に開催され、京都議定書の運用ルールが採択された。
(2)気候変動を主要議題としたグレンイーグルズG8サミットにおいて、我が国は17項目から成る「気候変動イニシアティブ」を発表した他、G8とエネルギー需要国との対話の開始に合意し、同対話の結果が平成20年の日本サミットに報告されることになった。これらの合意や発表をもって気候変動に対する国際的な対話の促進に貢献した。
(3)我が国主催で平成17年10月に東京で開催した第4回「気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合」には、世界の温室効果ガス排出量の80%近くを占める米国を含む主要先進・開発途上国(19カ国及びEC)が参加し、率直な意見交換を行った結果、中・長期的な温暖化対策の重要性について先進国・途上国双方間で認識が深まった
(4)南極環境の保護について、平成17年6月、南極における事故の際に環境への影響が最小限に食い止められるようにすることを目的とする「環境保護に関する南極条約議定書の附属書VI」(環境上の緊急事態から生じる責任に関する附属書(仮称))が採択された。
(5)熱帯林保有国の持続可能な開発の実現に貢献する国際熱帯木材協定の改定交渉が、2年半にわたる厳しい交渉の結果、平成18年1月に妥結した。我が国は、種々の日本提案ペーパーを配布して、立場を主張しつつ合意形成の促進に努め、交渉妥結に貢献した。
(6)国連環境計画(UNEP)の国際環境技術センター(IETC)が実施するイラク南部湿原環境管理支援事業(湿原の保全のために環境適正技術を導入するプロジェクト)を支援し、環境が悪化したイラク南部湿原の環境管理を担当するイラク政府関係者、技術者等に対する研修事業、パイロットプロジェクト立ち上げ等を行い、関係者の能力構築及び生活環境の改善に大きく貢献した。
(7)地球環境保全等を目的とした化学物質管理について、多数国間条約を通じた取組に加え、化学物質対策全般に関する国際的なイニシアティブとして「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」が平成18年2月に国際化学物質管理会議及びUNEP特別管理理事会において承認され、我が国はこの議論に積極的に関与し、取組の促進に貢献した。
(8)ルール策定が一段落した多数国間環境条約においては、策定したルールの実施が重要な課題となっている。この遵守問題について、我が国は、遵守メカニズム構築において先行している「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」の遵守委員会に委員を派遣してメカニズム構築と運営をリードし、この経験をふまえて、現在遵守委員会等の設立交渉を行っている化学物質に関するストックホルム条約及びロッテルダム条約、ワシントン条約を含む多数国間環境条約の遵守メカニズム構築の議論に積極的に貢献している。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 今後とも、優先度の高い取組を中心に継続していく。

事務事業名:持続可能な開発にかかわる新しい課題に対する我が国の考え方の世界への発信と定着のための取組

事務事業の概要
(1)国連持続可能な開発のための教育の10年の推進
(2)水問題にかかる議論の促進
(3)違法伐採にかかる議論の促進、取組の推進 ほか
有効性
(具体的成果)
(1)小泉総理の提案に基づいて平成17年1月に開始された国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)については、国連内の主導機関であるUNESCOにより、同年9月にDESDの国際実施計画が採択されたのを受け、同年12月、内閣に関係省庁連絡会議を設置し、広く関係者・国民の意見を採り入れた我が国の実施計画を平成18年3月に策定したことにより、国内でのDESD実施体制を整えた。また、平成17年9月、アジア協力対話(ACD)のプロジェクトとして我が国において環境教育推進対話を開催し、アジアの21か国及び国際機関より約60名の参加を得たほか、各国との政策対話においてDESD実施につき意見交換を行い、アジア各国の官民の取組の加速化に貢献した。
(2)水問題に関しては、アナン国連事務総長と小泉総理のイニシアティブで発足した国連水と衛生諮問委員会に我が国から議長(橋本元総理)を輩出し、議論の促進に貢献した。また、平成18年3月の第4回世界水フォーラムにおいて、水と衛生問題解決に向けた「行動計画(Your Action, Our Action)」を発表し、各国・国際機関・国際金融機関に具体的な行動を呼びかけたほか、我が国が主導してきた「水行動集」を発展・拡大する「持続可能な開発に関する水行動連携データベース(CSD・WAND)」の発表に貢献したほか、議論を通じ、水問題への国際的な関心の高揚に貢献した。
(3)違法伐採については、我が国とインドネシアのイニシアティブで発足したアジア森林パートナーシップ(AFP)の実施促進会合を日本で開催し、木材の合法性を検証・確認するためのガイドラインの作成、信頼できる合法性確認システムの構築等で取組を進捗させた。また、国際熱帯木材機関(ITTO)の行う各種途上国支援プロジェクトを財政面・内容面から支援し、違法伐採を含む持続可能な森林経営に対する取組を促進した。また、国連森林フォーラム(UNFF)において、世界規模の持続可能な森林経営促進に向けた枠組構築に向けた議論において、違法伐採問題の取扱、地域的取組の強化を主張するなど積極的に参画し、2015年までの法的拘束力を伴わない枠組みに関する国際的な合意形成に貢献した。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 違法伐採をはじめとする喫緊の課題に対する取組を加速すべきであるため。

事務事業名:気候変動に関する対話の推進

事務事業の概要
(1)地球温暖化に対する国際的な取組の実効性を確保するためには、世界最大の温室効果ガス排出国である米や議定書上削減義務の課されていない中国・インド等排出量の多い途上国を温暖化対策に取り込むことが必要である。
(2)そのためには、途上国と先進国の間で様々なレベルで気候変動に関する対話を行い、温暖化対策を促進するような空気を醸成することが重要である。
有効性
(具体的成果)
(1)外務省主催で日本とブラジルを共同議長とし、主要先進・開発途上国約20か国の政府関係者、専門家、有識者等を集めて、今後の地球温暖化対策の強化について率直な意見交換を行った(2005年で第4回目)。
(2)また、2006年に発足した、日米韓中印豪をメンバーとする「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」を通じて、政府間のみならず民間部門とも協力して気候変動の技術に特化したセクター別の対策を進めている。
(3)さらに、グレンイーグルズG8サミットで合意されたエネルギー需要国(G8+12か国)との対話を通じて、幅広い国々との地球温暖化対策に関する協力を進める。これらの対話の結果は2008年の日本サミットに報告されることになっており、一連のサミットプロセスを通じて気候変動に関する議論を継続する。
(4)「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)」が京都議定書を補完する官民合同の取組として平成17年7月に米・中・韓・豪・印・我が国の6か国をメンバーとして発足した。平成18年1月にはシドニーでこれら6か国の閣僚会合も行われ、この会合で我が国はセメントと鉄鋼の2つのタスクフォースの議長を務めることを表明する等、気候変動の技術の促進に貢献した。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 温室効果ガス濃度の安定のためには、主要排出国を含むすべての国を取り込んだ実効性のある将来枠組みの構築が重要であり、そうした国際ルール作りに向けて我が国がこれまで以上に様々な交渉・対話プロセスにおいてリーダーシップを発揮するためには、事業の拡充強化が必要。

事務事業名:防災政策の普及を通じた持続可能な開発への貢献

事務事業の概要
 「兵庫行動枠組」を国連において中心的に推進するUN/ISDRへの支援を通じ、「枠組」の実施と防災に関する知見・技術の普及をはかることにより、持続可能な開発の実現に努める。
有効性
(具体的成果)
(1)平成17年1月に神戸で開催された国連防災世界会議の成果文書「兵庫行動枠組2005年-2015年」の世界的な実施に向けて、国連内の主たる推進機関であり、防災に関する情報・知見を普及する役割を担う国連国際防災戦略(UN/ISDR)に対する財政面及び知見面からの支援を行った。
(2)「兵庫行動枠組」の実施の一環として平成17年5月に設置された国際復興支援プラットフォーム(IRP)の設置・運営について積極的支援を行い、IRPの復興データベースの作成、大規模災害後の早期復旧活動の調整への参加等の活動を通じて、復興段階への防災の観点の統合を世界的に普及させることに貢献している。
(3)平成16年末のインド洋津波時に国連に対して行った資金拠出を用い、インド洋津波早期警戒システムの構築に財政・知見面から貢献し、地域の持続可能な開発に貢献した。
事業の総合的評価
○ 内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 大規模自然災害が続く中で、2005年から10年間の指針として採択された「兵庫行動枠組」の世界的実施を一層促進し、被害の実質的な減少を通じた持続可能な開発を達成するためには事業の拡充強化が必要。

【評価をするにあたり使用した資料】


 資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。
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