I.実施計画に基づく事後評価
1. 地域・分野
10-4 経済安全保障の強化
経済安全保障課長 宮川学
漁業室長(兼海洋室企画官) 岩藤俊幸
平成18年4月
施策の目標
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エネルギー、漁業、海洋問題、食糧問題等への効果的な対応を通じ、これらの資源の持続可能な形での安定供給の確保
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施策の位置付け
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平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第159回国会施政方針演説に言及あり。
第162回国会施政方針演説に言及あり。
第164回国会施政方針演説に言及あり。
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施策の概要
(10行以内)
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経済安全保障分野に関連する取組の強化を図るために、二国間を含む他国との良好かつ安定的な関係を維持するとともに、政治・外交・経済・国際法的側面を含む包括的な視点を持ちつつ、エネルギー、食糧、漁業分野での国際協力の推進、海賊問題への取組、国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保へ向けた取組を行っている。
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【施策の必要性】
(1)我が国は、国民の経済生活の基礎となる資源の多くを海外に依存しており、例えば、エネルギー資源はその8割以上を海外からの供給に頼っている。また、食糧に関しても、日本の自給率は主要な先進国の中で最低水準にある。さらに漁業についても、我が国は世界有数の漁業国であると同時に、水産物輸入国でもある。このような我が国にとって、安定的で持続的な供給のための国際協力や国際的な枠組み作りに積極的に参画することは必要不可欠である。
(2)また、我が国はこれら資源の輸入を海上輸送に依存しているところ、その安全を確保することも極めて重要である。さらに、我が国は、四方を海に囲まれた海洋国家であり、海洋秩序の維持・増進や海底資源等の経済権益の確保の重要性は大きい。
(3)我が国の経済安全保障の確保上、テロや海賊等の脅威が引き続き深刻であること、また、原油価格の高騰に見られるような現在の国際エネルギー情勢及びグローバルなエネルギー市場の進展を考慮すると、こうした経済安全保障分野の取組を強化していく必要がある。
【施策の有効性】(目標達成のための考え方)
(1)エネルギー等
平成17年度においては、世界的なエネルギー需要の増加、産油国における生産余力の減少、米国でのハリケーンの影響等により、原油価格は高水準で推移した。高油価の継続は、日本経済を含む世界経済に悪影響を与えることが懸念され、国際石油市場の安定化は、国際社会全体の課題である。また、世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も一定の水準で増加するものと考えられる一方で、エネルギー投資は需要の伸びに追いついていない現状がある。したがって、世界のエネルギー安全保障を確保するために、需要面では、省エネ及びエネルギー効率の向上の世界への伝播を通じた需要の抑制、供給面では、投資の拡大及び代替エネルギーの開発・利用の促進、更に供給途絶等の緊急時対応として国際社会における石油備蓄制度の導入促進と備蓄放出制度の整備・運用を図ることが重要な課題となる。
また、銅をはじめとする非鉄金属や鉄鉱石等の非エネルギー鉱物資源については、中国、インド等の経済成長に伴う需要の拡大を主な要因として、価格が高騰すると共に世界的な供給の逼迫が懸念される事態となっている。
以上の基本的考えを踏まえ、エネルギー資源のほとんどを海外に依存する我が国としては、以下の取組が有効である。
(イ)アジア地域を中心とする二国間及び多国間国際協力の強化
(ロ)G8や国際エネルギー機関(IEA)等を通じた協調強化
(ハ)生産国・消費国間の対話の強化及び生産国との良好な関係の維持・強化
(ニ)エネルギー分野の貿易・通過の自由及び投資の自由化・保護等の促進のための国際的枠組の強化
(2)漁業
海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保を図り、同資源の安定供給を長期的に確保するためには、二国間・多国間の交渉・協力、具体的には以下のような取組が有効である。
(イ)海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保のための国際的協力の推進
(ロ)国際捕鯨委員会(IWC)における持続可能な利用を支持する加盟国との協調、持続可能な利用の原則の支持の積極的働きかけ、捕鯨問題に関する「反捕鯨国」(特に米国)との対話
(3)海賊問題
エネルギー資源等の安定供給を担う我が国海上輸送の安全確保のためには、海賊問題への積極的対応とそのための国際協力の推進、具体的には、海賊対策をより一層効果的ならしめるための国際的な法的枠組みの構築・運用への貢献や、キャパシティ・ビルディングを通じた関係各国への対策の働きかけが有効である。
(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保
海洋国家たる我が国が重大な利害を有する国連海洋法条約の効果的な運用と発展のためには、同条約に基づいて設立された国際海洋法裁判所への貢献、国連海洋法条約関連の国際会議への積極的参画を通じた、我が国の関心事項の国際的周知が有効である。また、我が国の大陸棚限界延長作業に貢献するためには、国連等からの情報収集、関連会議への対応が有効である。
(5)食糧問題
食糧の持続的な生産と安定的な供給を確保するためには、以下のような取組が有効である。
(イ)国際連合食糧農業機関(FAO)等への資金拠出を通じた国際条約・基準の策定・運用、国際問題に関する意見交換、関連する情報の収集・提供
(ロ)国際連合食糧農業機関(FAO)等への資金拠出を通じた、農業分野での具体的なプロジェクトの実施
【施策の効率性】(3行以内)
我が国は、エネルギー、食糧、漁業、海洋問題を重要な課題と位置づけ、エネルギー、食糧、漁業分野での国際協力の推進、海賊問題への取組、国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保へ向けた取組を行っている。こうした経済安全保障分野に関連する取組の強化を図る上では、二国間を含む他国との良好かつ安定的な関係を維持するとともに、政治・外交・経済・国際法的側面を含む包括的なアプローチを行うことが効率性の観点からも重要である。
【投入資源】
予算 |
平成17年度 |
平成18年度 |
58,583 |
50,776 |
国際会議参加費 |
70,899 |
53,934 |
国際エネルギーフォーラム 常設事務局拠出金 |
13,566 |
12,954 |
北東アジア経済フォーラム 拠出金 |
14,980 |
10,878 |
アジア海賊対策地域協力協定 拠出金
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0 |
38,880 |
単位:千円
(注)本省分予算
人的投入資源 |
平成17年度 |
平成18年度 |
32 |
32 |
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)
【外部要因】
(1)エネルギー等
エネルギー資源(含鉱物資源)の安定供給の確保は、中国、インド等の新興国を含む世界経済の成長に伴う需要動向、生産国及び消費国の国内政策、及び生産国の政治・治安情勢の影響を受ける。また、国際的なエネルギー安全保障の強化のために必要な措置を国内的に実施するとの観点からは、我が国のエネルギー事情及びそれに関連する国内関係省庁の国内施策等との関連を十分に踏まえる必要がある。
(2)漁業
鯨類資源を含め、海洋生物資源の保存と持続可能な利用にかかる国際協力については、各国政府の政策如何によって国際協力の度合い及びその方向性は左右される。また、国際世論や各国の国内世論がこれに与える影響も大きい。
(3)海賊問題
海賊対策に係る国際協力については、各国の主権行使にも関わるため、関係国の意向を踏まえた上での対応となる。
(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保
国連海洋法条約の効果的な運用と発展に関しては、関係国の政策により、我が国の関心が反映されるか否かは左右される。
(5)食糧問題
食糧の安定確保面については、干魃等の自然災害、人口増加や途上国の所得水準の向上による食糧需要の動向等の影響を受ける。また、食糧の安定供給を図るための国際協力や国際的なルール作りに参画する上で、我が国の農業事情及び関連する国内関係省庁の国内施策等との関連を十分に踏まえた上での対応となる。
施策の評価
【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】
通常の評価を行う。
【評価の切り口】
(1)エネルギー等の安定供給のための国際協力の進捗状況
(2)海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保における国際協力への取組
(3)海賊問題への対応における国際協力の状況
(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献及び我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保の努力
(5)我が国の食糧安全保障の確保等を視野に入れた我が国の取組
【目標の達成状況(評価)】
(1)エネルギー等の安定供給のための国際協力の進捗状況
エネルギー等の安定供給のための国際協力の推進のため、以下の取組を行い、エネルギーの持続可能な形での安定供給の確保に寄与した。
(イ)アジア地域を中心とする二国間及び多国間国際協力の強化
- 平成17年11月のAPECエネルギー大臣会合において、「APECにおけるエネルギー・セキュリティの確保:現下のエネルギー需給問題への対応」に関する議論を行い、閣僚宣言の採択に貢献した。
- 平成17年11月のプーチン露大統領訪日の際に、ロシア政府との間で「エネルギー分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の長期協力の基本的方向性」及び「エネルギーの個別分野における協力に関する細目」の二つの文書を作成し、署名した。
- 平成17年12月の東アジア首脳会議及びASEAN+3首脳会議において、我が国より、省エネルギー及びエネルギー効率化の推進をはじめエネルギー分野での協力の重要性について提案し、各国との認識の共有に貢献した。また、東アジア首脳会議共同宣言において、具体的な協力分野の一つとしてエネルギー安全保障が掲げられた。
- 平成17年12月の日ASEAN首脳会議において、具体的なエネルギー協力が盛り込まれた日ASEAN首脳会議共同宣言の策定に貢献した。
(ロ)G8や国際エネルギー機関(IEA)等を通じた協調強化
- 平成17年5月の国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会において、「供給の確保(セキュリティ)」、「国際・地域間での統合・協力:拡大するエネルギー安全保障」、「様々なエネルギーの未来」、「様々なエネルギーの未来」、「緊急時対応」の4つの議題についてそれぞれ議論し、コミュニケの策定に貢献した。
- 平成17年7月のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて、「世界経済と石油」及び「気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発」に関する政治文書の策定に貢献した。
- 米国ハリケーン・カトリーナによる被害が石油市場に及ぼす影響を勘案し、平成17年9月~12月の国際エネルギー機関(IEA)による協調石油備蓄放出に貢献した。また、IEAの備蓄放出制度の一層の強化に向けた提案を行った。
- 平成18年3月のG8エネルギー大臣会合において、遠山外務大臣政務官等が出席し、「グローバルなエネルギー安全保障に対する国際機関の視点」、「グローバルなエネルギー安全保障に対する挑戦」、「市場効率化の促進」、「世界のエネルギーシステムの安全性向上」の4つの議題について議論し、世界のエネルギー安全保障の確保に向けた取組を行うとの共通認識が盛り込まれた議長声明の発出に貢献した。
(ハ)生産国・消費国間の対話の強化及び生産国との良好な関係の維持・強化
- 平成17年10月に、我が国がその常設事務所の設置構想の正式承認に貢献してきた、生産国・消費国の対話の場である国際エネルギー・フォーラムの常設事務所がサウジアラビアのリヤドに開設され、我が国より総理特使として細田前官房長官が出席した。
- 平成17年11月にインドのイニシアティブで開催された主要アジア消費国及びロシア・中央アジア生産国との閣僚ラウンドテーブルにおいて、アジア地域のエネルギー問題について議論し、議長サマリーの策定に貢献した。
(ニ)エネルギー分野の貿易・通過の自由化及び投資の自由化・保護等の促進のための国際的枠組みの強化
- 平成17年12月にエネルギー憲章条約の最高意思決定機関であるエネルギー憲章会議の副議長に我が国代表が選出された。
- エネルギー憲章条約のアジアへの拡大に努めた結果、平成17年12月にパキスタンが新たに同条約オブザーバーとしての参加資格を得た。
(2)海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保における国際協力への取組
海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保のための国際協力を以下のとおり推進し、目標達成に向けて寄与した。
(イ)国際的な漁業資源管理と海洋環境保全のための協力への参画
- 排他的経済水域の内外に分布する魚類資源(たら、かれい等)及び高度回遊性魚類資源(まぐろ、かつお等)の長期的な保存及び持続可能な利用を確保することを目的として、公海における両魚類資源の保存管理のための一般原則等について定める国連公海漁業協定の締結について、平成18年3月、国会提出を閣議決定した。
- 中西部太平洋まぐろ類条約(WCPFC)に関し、同条約の条約水域におけるまぐろ類の保存管理措置の決定に関わるため、国会承認を経て、平成17年7月、これを締結した。我が国は締約国として、平成17年12月のWCPFC年次会合に参加し、同会合においては、我が国にとって最も重要な水域であるWCPFCの条約水域における、まぐろ類の適切な保存・管理に資する措置が決定された。
- 平成18年2月、南太平洋における漁業資源の適切な保存と持続可能な利用を目指した、新しい地域漁業管理機関の設立準備会合に参加した。
- 平成18年2月、「海洋生物資源管理の最近の潮流-持続可能な利用と予防的アプローチの適用」をテーマに国際シンポジウムを開催し、約110名の参加を得た。同シンポジウムでは、海洋生物資源の管理における予防的アプローチの適用について最近の国際的な動向に関し、国内外の専門家による講演及び参加者との活発な意見交換がなされた。
- 平成17年11月に開催された第19回大西洋まぐろ類国際保存委員会(ICCAT)年次会合において、平成16年の特別会合で我が国より指摘した台湾漁船による超過漁獲につき改善状況の評価が行われたが、我が国をはじめとする各国が台湾の措置は不十分であるとし、台湾のメバチマグロ漁船の大幅削減やメバチの漁獲枠の縮小等の制限を課すことが決定した。
(ロ)国際捕鯨委員会(IWC)における同じ立場の加盟国との連携強化、持続可能な利用の原則の支持の働きかけ
- 平成17年6月に捕鯨に理解のあるIWC加盟国の代表を我が国に招聘し、IWCにおける協力関係の維持増進が図られた。
- 鯨類資源の持続可能な利用を支持する国のIWCへの新規加盟を働きかけ、結果として、平成17年6月のIWCウルサン年次会合までに6か国が新規加盟し、我が国の立場を支持した。
- 関係者の外国訪問時やIWC会合などの機会に各国と積極的に対話を行い、これによって、ウルサン年次会合では、我が国の南極海における調査捕鯨に対し、反対決議が可決される(法的拘束力はない)等主要問題については依然として厳しい情勢ではあったものの、我が国との間の妥協を図る動きを見せる反捕鯨国も見られた。
- 我が国の南極海における調査捕鯨について、捕鯨に批判的な記事等が多く見られたが、必要な場合には適切な反論を行い、我が国の考え方を説明するよう努めた。
(3)海賊問題への対応における国際協力の状況
海賊問題への対応における国際協力を以下のとおり行い、資源等の安定供給を担う我が国海上輸送の安全の確保に寄与した。
(イ)平成16年11月に採択されたアジア海賊対策地域協力協定を、他国に先駆けて、平成17年4月に締結した。また、同協定の早期発効をめざし、関係各国に対し、同協定の早期締結を働きかけた。
(ロ)第60回国連総会決議「海洋及び海洋法」の非公式協議において、アジア海賊対策地域協力協定の採択を歓迎し、関係国の早期締結及び同協定の早期発効の重要性を訴える文言の挿入を提案し、実現した。
(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保の努力
国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益の確保の努力が以下のとおり行われ、海洋国家たる我が国の利害の保全に寄与した。
(イ)平成17年6月、国連海洋法条約締約国会合において、平成8年に同条約に基づいて設立された国際海洋法裁判所裁判官選挙が実施され、我が国が候補者として指名した柳井俊二中央大学教授が、締約国の広範な支持を集めて裁判官として選出された。
(ロ)第60回国連総会決議「海洋及び海洋法」の非公式協議において、締約国による大陸棚延長申請準備の促進を図るため、国連事務総長に対し、締約国と協力して意見交換を促す文言の挿入を提案し、実現した。また、同決議を踏まえ、我が国としては、平成18年3月に外務省等の主催で「大陸棚延長に関するシンポジウム」を開催した。同シンポジウムには、二日間で国内外より延べ300人以上の参加があり、大陸棚の科学的技術的側面に関する知見の共有が図られた。
(ハ)「国連非公式協議プロセス」、国連総会決議「海洋及び海洋法」に関する非公式協議、国連海洋法条約締約国会合等に積極的に参画したほか、我が国出身の大陸棚限界委員会委員の同委員会会合への出席等を支援した。
(5)我が国の食糧安全保障の確保等を視野に入れた我が国の取組
我が国の食糧安全保障の強化を視野に入れて、以下の取組を行い、食糧の持続的な生産と安定的な供給の確保等に貢献した。
(イ)FAOへの資金拠出を通じて、国際条約・基準の策定・運用(FAO/WHO合同食品規格委員会(Codex)、国際植物防疫条約(IPPC)等)、国際問題に関する意見交換(違法伐採、違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題)、関連する情報の収集・提供などを実施。
(ロ)FAOへの資金拠出を通じて、途上国における農村の食糧自給・増産、災害からの農業・漁業復興(スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害対策支援)等の具体的なプロジェクトに対する支援を実施した。
(ハ)平成17年11月のFAO総会において、我が国より、FAOの効率的・効果的な運営を実現するための提案を行った結果、予算規模を名目ゼロ成長以下とし、その後も我が国の主導により、関係国と更なるFAOの改革に向けた意見交換を行い、日米英独の共同提案を作成した。
(ニ)一次産品については、国際穀物理事会及び国際コーヒー機関において、需給状況に関する情報・意見交換を行った。特に、国際穀物理事会については、我が国の発言力を高めるため、我が国から事務局長選に立候補し、北原悦男JICA理事(当時)が事務局長として選出された。
【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)
「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)以下の成果等を総合的に判断し、経済安全保障の強化に向けて、想定以上に相当な進展があったと考えられる。
(1)米国ハリケーン・カトリーナの被害により不安定化した国際石油市場に対して、国際エネルギー機関(IEA)の協調行動として、我が国の石油備蓄の放出を行った結果、世界的な原油の安定供給及び国際原油価格の安定を確保した。
(2)中西部太平洋まぐろ類条約が国会承認され、国連公海漁業協定の国会提出が閣議決定された。また、捕鯨について、IWC年次会合までに6か国が新規加盟し我が国の立場を支持した。
(3)アジア海賊対策地域協力協定を締結し、また、その早期発効を目指し、関係各国に同協定への早期加盟を働きかけた。
(4)国際海洋法裁判所選挙に際し、我が国が候補者として指名した柳井俊二中央大学教授が同裁判所裁判官に選出された。また、大陸棚延長に関するシンポジウムを開催し、各国の大陸棚限界延長申請準備の促進を図った。
(5)国際穀物理事会の事務局長選挙に際し、我が国の候補者である北原悦男JICA理事(当時)が選出され、同理事会での我が国の発言力の強化を図った。
【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)
原油価格は依然高水準で推移しており、国際石油市場の安定に向け、一層の協調・協力が必要である。また、省エネ及びエネルギー効率化を含め、環境面での配慮も重要な課題である。
政策への反映
【一般的な方針】(2行以内)
(1)エネルギー安全保障強化のための国際協調の推進と食糧問題への対策の強化。
(2)まぐろ漁業、捕鯨、海賊対策協力、200海里を超える大陸棚の設定等に関する取組の継続。
【事務事業の扱い】
- 我が国のエネルギー安全保障を強化するための協調、協力関係の強化(特に、石油危機の回避に向けた各国との緊密な協力)→拡充強化
- 海洋生物資源の保存と持続可能な利用の原則確保のための国際的協力の推進→今のまま継続
- 我が国船舶の安全な航行確保のための海賊問題への積極的対応→今のまま継続
- 国連海洋法条約体制」の効果的な運用と発展貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保→拡充強化
- 食糧安全保障の推進、特にFAO(国連食糧農業機関)の改革、IGC(国際穀物理事会)の活動強化等→今のまま継続
【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】
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予算要求
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機構要求
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定員要求
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反映方針
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○
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―
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○
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【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)
須田敦 国際エネルギー機関(IEA)職員
(1)昨年9月に米国メキシコ湾岸に多大な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナは、石油供給の安定確保を命題とする国際社会にとって多くの教訓を残すこととなった。天災や事故などが、現在のタイトな需給ファンダメンタルズ等により空前の高騰が続く石油市場を混乱させ、市民の日常生活にも多大な影響を与えかねないという点は勿論のことながら、最も印象的なものは、市場における石油供給の途絶を防ぐため、セーフティーネットとしての緊急時石油備蓄が実際に機能し、市場安定化の一助となり得たということであろう。
(2)このOECDメンバー各国が保有する石油備蓄を国際市場の安定のために融通する制度は、1970年代の二度の石油ショックの後に確立され、現在に至るまで在パリの国際エネルギー機関(International Energy Agency)がその運営を行っているが、この中でわが国政府が果たしてきた人的・資金的貢献は、石油資源に乏しいわが国利益の確保のみならず、石油市場の安定を通じた世界経済の健全かつ持続的な発展を促進するという観点からも大いに評価されよう。
(3)上記はほんの一例に過ぎないが、わが国のようにエネルギー資源に乏しい状況にあっては、国家運営ならびに市民生活の根幹にかかわるエネルギー資源等の安定供給の確保を円滑に行うために、国際社会とのたゆまない協力を前提とするさまざまな取組み、すなわち経済活動におけるセキュリティや基盤強化、国家間の紛争処理等の調整のための国際的な枠組みに積極的に参加していくことが重要である。
(4)昨今、エネルギー資源をめぐる各国・地域間の利害関係はますます複雑化し、交渉そのものがより高度な調整や政治レベルでの関与も必要不可欠となっている状況下、利害関係国全体の利益の最大化を図るための調整とそのための国際的なリーダーシップはますます必要になるであろう。このような状況下、経済安全保障課が鋭意取組んでいる現在の政策はさらに強化されるべきであり、同課の実施した事業の総合的評価は妥当と考える。
兼原敦子 立教大学法学部教授
(全般)
I.施策および施策の実施態様における基軸の複層性とその優先性
本評価の全体に該当することでもあるが、施策を語りその実施の有効な態様を語るに際して、次の二つのレヴェルで基軸が複数存在するようである。第一に、「国際協力」という「我が国」が必ずしも「顔をださない」軸と、「我が国」という軸であり、第二に、国際・対外関係についての、「多数国間で・国際的に」「地域的に・特別利害関係国集団で」「二国間で」という複数の複層的な軸である。
施策を有効に実施していくに際しては、「我が国」という軸がまさに「基軸」であり、それを中心にすえて、複層的なレヴェルでの「国際協力」を実施していくことが、施策の有効性を実現する基本的な方針になるのではないか。そうした観点からすると、本評価全体を通じて、また、施策の有効性を論ずるに際しても、「我が国」という基軸が希薄になりがちであるという印象を受ける。
II.施策相互の関係および個々の問題の包括的把握
個々の施策の定義や目的達成のための考え方は十分に練られている。(1)から(5)のエネルギー・漁業・海賊などの5つの個別の問題群は、「経済安全保障」という観点からとりあげられた問題群であるが、個々の問題群相互やその各々に関する施策相互の間には、関連はないのであろうか。その相互連関が、有効性(目標達成のための考え方)に反映されることもあるのではないだろうか。この点は、とくに説明がないようである。
また、個々の問題に注目してみると、たとえば海洋問題が、ここでは「経済安全保障」の観点から「切り取られて」定義されている。けれども、海洋問題そのものに目をむければ、「経済安全保障」の観点には必ずしも結びつかない海洋問題(たとえば、沿岸・港湾施設の警備・治安、海上におけるテロ防止対策、海洋環境の保護など)も含めて、海洋問題それ自体としての「包括的」「総括的」視野に基づく海洋政策を定義し、これを実施していくことにも合理性と必要性があるはずである。そうした、個別の問題についての「包括的」「総括的」対処と、「経済的安全保障」の観点から「切り取られた」個別の問題(の側面)への対処との関連は、どのように担保されるのだろうか。これも、施策の有効性のためには、重要な視点になりうるように考えられる。
III.「(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献及び我が国の海洋における経済的権益の確保」について
第一に、前段の「国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献」については、そのような定義では、施策を表現するにはやや「広すぎて」視点が定まりにくいという印象をうける。それは、この前段の定義と後段の「我が国の海洋における経済的権益の確保」と結びつけることへの、若干の違和感にもつながっていると考えられる。
第二に、海洋における我が国の経済的権益(海洋資源等)の確保が重要な施策であることには、十分な説得力がある。そうであるとすれば、たとえば、排他的経済水域や大陸棚における科学調査・資源調査を含めて、我が国が資源の探査・開発のための主権的権利を実効的に行使するための施策が必要ではないのか。そうした意識やかかる施策を実施していくことが目指されるべきではないのか。大陸棚の200カイリを超える延長についても、まさに、我が国が大陸棚「延長」を実現することが必要であり、そのための海底調査・資源調査が喫緊の課題であるはずである。ここに記載されているような「国連などからの情報収集」「関連会議への対応」だけでは、十分に有効な施策として選択されたものとは評価しにくいようにも考えられる。
(【評価の切り口】について)
I.評価の切り口(1)から(3)について
(1)から(5)の5項目が定式化されている。その中で、(1)から(3)では、「国際協力」が重要な切り口として示されている。しかし、「国際協力」というだけでは、具体性や必然性が十分に示されえないようにみえる。これについては、上記の(全般)に関するコメントとして記したように、1)「我が国」にとって「国際協力」がもつ意義や利益の明確化、2)二国間・地域間・多数国間といった複層的レヴェルでの「国際協力」を、「我が国」の利益に適合するように選択的・調整的に実現するという意識ないしは認識により、より一層先鋭な「切り口」として、「国際協力」を再定義する可能性があるのではないか。
II.評価の切り口(4)について
評価の切り口(4)では、「国連海洋法条約の効果的な運用に対する貢献、及び我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)確保の努力」があげられている。これが、(特に前段「国連海洋法条約の効果的な運用に対する貢献」が)やや視点の定まらない印象を与えること、前段と後段(「我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)確保の努力」)の関わり方がうまく浮かび上がってこないことについては、上記の(全般)において述べたとおりである。
(【目標の達成状況(評価)】について)
II.「(2)海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保における国際協力の取組」について
重要ないくつかの多数国間・地域条約の締結や生物資源の保存概念の国際的共有などにおいて、我が国が積極的に参与していることは十分に説明されており、それが、目標の達成状況として重要な記載であることも理解できる。ただ、たとえば、「我が国」は個別具体的な問題にそくしてみると、必ずしも一義的な立場としてとらえることはできない。たとえば、排他的経済水域沿岸国としての我が国、遠洋漁業国としての我が国、漁業資源輸入国としての「我が国」、捕鯨を支持する国としての我が国などのように、多面的な「顔」をもつ「我が国」の立場があるはずである。そうした多面的な「顔」が、「国際協力」のあり方にどのように反映されたかについても説明が加えられることも、目的の達成状況を評価するためには有意義といえるのではないか。
III.「(4)国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済的権益の確保の努力」について
「経済的権益(海洋資源など)の確保の努力」という観点からして、大陸棚の延長問題に関して、より具体的な資源調査や資源探査・開発にむけての「努力」についても、それがなされているのであれば、記載されるのが望ましいのではないか。
(【今後の課題等】について)
先に(全般)の項目にコメントとして記したことは、とくに「第三者の意見」として中心をなす内容であり、ここにも該当するので、上記のコメントを参照されたい。下記は、それに加えてのコメントである。
今後の課題として、国際石油市場の安定に向けた協調・協力の必要性と、環境面での配慮の記載があり、それは説得力と合理性のある課題の設定であるといえる。他方で、今後の課題として、海洋問題(国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献、我が国の海洋における経済権益の確保)について、●「事務事業の取り扱い」の項目では、「拡充強化」という取り扱いであることからすると、この海洋問題についても、「今後の課題」の一環であることを明確にし、なにがしかの認識表明がなされるのが望ましいのではないか。
さらに、本評価が、「経済安全保障」という視点からの総括的評価であることからすると、今後の課題として、エネルギー問題だけに着眼されているかのような表記であることには、若干の違和感を感ずる。
「経済安全保障の強化」という観点から、エネルギー、漁業、海洋問題、食糧問題といった問題群がとりあげられているのであるから、あらためて、これらの問題群に対して、「経済安全保障の強化」という観点から、「横断的に」政策が立案され実施されていくことを明確に認識し、それも今後の課題として設定することにも意義があるのではないか。いうまでもなくそれは、上記で(全般)について述べたように、他方で、個別の問題群それ自体の「全体的把握」をもふまえて、多角的な施策の策定がつねにめざされるのが望ましいであろう。
(個別事務事業について)
I.「●海洋生物資源の保存と持続可能な利用の原則のための国際協力推進」について
我が国が「遠洋漁業国」であり、漁業資源の安定供給の確保の観点から、国際協力を推進する事務事業が遂行されたこと、それには有効性がともなったことのいずれも明確であり説得力のある評価である。
我が国が「責任ある漁業国」であるためには、これらの国際協力の枠組みの実効的な履行確保が伴わなければならない。その点で、たとえば、我が国を旗国とする漁船が遠海に出かける場合に、どのように我が国が実効的な規律と管理を実施しているかについての実績やその説明が加えられると、より具体的で説得力のある評価となるのではないか。さらに、国連公海実施協定や中西部太平洋マグロ類条約では、公海上で、旗国以外の漁船による違法操業に対する執行措置が予定されている。我が国は、「違法漁業への取り組み姿勢を強く打ち出」しているとの記載があるが、遠海の公海海域においてまで、外国漁船を我が国が取り締まるための国内措置は整備されているのか。また、そうした国際枠組みの動向に積極的に貢献する、つまり、公海上で外国船舶を監視し漁業取締りを実施するための多大な費用や人材を投入することが、どの程度我が国の利益に適合するかという点についてもなにがしかの説明があると、より具体的に我が国の「違法漁業への取り組み姿勢」を論証することができるのではないか。
捕鯨問題については、かねてより国会でも多様な見解が示されているところであるが、国際捕鯨委員会(IWC)および国際捕鯨取締り条約の枠組の「中に」とどまること自体の、我が国にとっての利益が説明されるのが望ましいのではないか。この国際枠組の「中で」、我が国は反捕鯨派を説得し捕鯨派の数を増大するための多様な措置をとってきている。世界の他の地域では捕鯨派が地域的枠組を設立していることにも鑑みると、我が国が「国際・多数国間」枠組であるIWCにとどまることの我が国の利益については、なにがしかの説明を求められているのではないか。
II.「●我が国船舶の安全な航行確保のための海賊問題への積極的対応」について
マラッカ海峡を含む東南アジアにおける海賊に対処することは、我が国への海上輸送路の確保として、喫緊の課題であることは明白であり、それに重点をおく国際・地域協力のための事務事業の実施は、合理性をもつものと評価される。なお、東南アジア諸国の主権が「外部要因」であるとはしても、これらの諸国が「沿岸国」として外国船舶の安全な航行を国際法にしたがって確保する責任を有していること、かつ、我が国を旗国とする船舶が、領海・国際海峡などにおいて国際法にしたがって(無害通航権や通過通航権などの)安全な航行の「権利」を有しているという視点も必要なのではないか。
また、東南アジア地域における我が国の輸送路の安全確保は、我が国近海における航路の安全性の確保と連動する問題であると考えられる。そうであるならば、我が国近海における海域の安全保障・治安維持・海上警備の取り組みなどと、東南アジア地域に関する我が国の取り組みとが、有機的かつ効果的に連動している側面があるのではないか。
III.「●「国連海洋法条約体制」の効果的な運用と発展貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保」について
我が国から国際海洋法裁判所裁判官が選出されたことは、国連海洋法条約の効果的な運用と発展への貢献として大きく評価されよう。
他方で、「海洋法に関する各種会合への積極的参加」という記載については、具体性がやや不足しており、事務事業の具体的な成果としてはわかりにくい。しかも、海洋航行不法行為防止条約改正のように、海洋法に関する各種会合の中には、国連海洋法条約からの「(整合的)発展」とは必ずしも評価できない「展開」もみられる。また、(大量破壊兵器)拡散防止構想(PSI)には、我が国も当初から積極的に参加しているが、これについても、国連海洋法条約との整合性については、疑問が提起されたままである。そうした海洋法に関する「展開」を、我が国が、「国連海洋法条約の効果的な運用と発展」に貢献するという立場といかに整合的に理解・認識しているのかといった点についても、説明が求められるのではないか。もちろん、「経済安全保障」の切り口によって、海洋問題を「切り取っている」ことから、ここでの記載には直接的には関連しない事項も含まれることは理解できるが。
事業の総合的評価としては「拡充強化」という評価が行われており、大陸棚の延長がとくにそこで取り上げられている。「拡充強化」というのであれば、大陸棚延長について、我が国の地形・地質調査および資源調査の促進といった、具体的な「拡充策」の策定と実現が望まれるのではないか。
さらに、より一般的に、「経済安全保障」の切り口から海洋問題をとらえ、その主要な側面として海洋資源の確保が認識されているはずである。これに関して、2006年4月の日本の排他的経済水域における科学調査をめぐる日韓の見解対立や、中国との東シナ海における大陸棚の境界画定問題に直面しているという状況で、日本による科学調査・資源調査が、どの程度積極的に、かつ対立しうる国に対して対抗しうるような程度や方法で進展させられているのか、今後進展させられるのかについて、国民の関心にこたえるためにも、なにがしかの説明が求められているのではないか。
【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)
我が国の国益と直結するエネルギー、食糧、海洋の各々の分野において、国際協力の状況が具体的に示されており(特に石油供給、海洋問題については、我が国が権益を守るために行動をとったことが示されている)、適切な評価である。
【事務事業の評価】
事務事業名:我が国のエネルギー安全保障を強化するための協調、協力関係の強化(特に、石油危機の回避に向けた各国との緊密な協力)
事務事業の概要
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エネルギー需要の増加、産油国における生産余力の減少、米国でのハリケーンの影響等により、原油価格は高水準で推移した。高油価の継続は、日本経済を含む世界経済に悪影響を与えることが懸念され、国際石油市場の安定化は、国際社会全体の課題である。また、世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も一定の水準で増加するものと考えられる一方で、エネルギー投資は需要の伸びに追いついていない現状がある。したがって、世界のエネルギー安全保障を確保するために、需要面では、省エネ及びエネルギー効率の向上の世界への伝播を通じた需要の抑制、供給面では、投資の拡大及び代替エネルギーの開発・利用の促進、さらに供給途絶等の緊急時対応として国際社会における石油備蓄制度の導入促進と備蓄放出制度の整備・運用を図ることが重要な課題となる。7月のG8サンクトペテルブルク・サミットに向けて、我が国としてエネルギー効率の改善、代替エネルギーの推進、緊急時対応の強化等について議論を主導すると共に、首脳宣言のフォローアップをしっかりと行う。
また、銅をはじめとする非鉄金属や鉄鉱石等の非エネルギー資源については、中国、インド等の経済成長に伴う需要の拡大を主な要因として、価格が高騰すると共に世界的な供給の逼迫が懸念される事態となっており、これに対する対応が必要である。
以上の基本的考えを踏まえ、エネルギー資源のほとんどを海外に依存する我が国としては、以下の取組が有効である。
(1)ASEAN+3、APEC等のアジア地域をはじめとする国際協力の強化
(2)G8や国際エネルギー機関(IEA)等を通じた協調強化
(3)生産国・消費国間の対話の強化及びエネルギー生産国との良好な関係の維持・強化
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有効性
(具体的成果)
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エネルギー等の安定供給のための国際協力の推進のため、以下の取組を行い、エネルギーの持続可能な形での安定供給の確保に寄与した。
(1)アジア地域を中心とする二国間及び多国間国際協力の強化
(イ)平成17年11月のAPECエネルギー大臣会合において、「APECにおけるエネルギー・セキュリティの確保:現下のエネルギー需給問題への対応」に関する議論を行い、閣僚宣言の採択に貢献した。
(ロ)平成17年11月のプーチン露大統領訪日の際に、ロシア政府との間で「エネルギー分野における日本国政府とロシア連邦政府との間の長期協力の基本的方向性」及び「エネルギーの個別分野における協力に関する細目」の二つの文書を作成し、署名した。
(ハ)平成17年12月の東アジア首脳会議及びASEAN+3首脳会議において、我が国より、省エネルギー及びエネルギー効率化の推進をはじめエネルギー分野での協力の重要性について提案し、各国との認識の共有に貢献した。また、東アジア首脳会議共同宣言において、具体的な協力分野の一つとしてエネルギー安全保障が掲げられた。
(ニ)平成17年12月の日ASEAN首脳会議において、具体的なエネルギー協力が盛り込まれた日ASEAN首脳会議共同宣言の策定に貢献した。
(2)G8や国際エネルギー機関(IEA)等を通じた協調強化
(イ)平成17年5月の国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会において、「供給の確保(セキュリティ)」、「国際・地域間での統合・協力:拡大するエネルギー安全保障」、「様々なエネルギーの未来」、「様々なエネルギーの未来」、「緊急時対応」の4つの議題についてそれぞれ議論し、コミュニケの策定に貢献した。
(ロ)平成17年7月のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて、「世界経済と石油」及び「気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発」に関する政治文書の策定に貢献した。
(ハ)米国ハリケーン・カトリーナによる被害が石油市場に及ぼす影響を勘案し、平成17年9月~12月の国際エネルギー機関(IEA)による協調石油備蓄放出に貢献した。
(ニ)平成18年3月のG8エネルギー大臣会合において、遠山外務大臣政務官等が出席し、「グローバルなエネルギー安全保障に対する国際機関の視点」、「グローバルなエネルギー安全保障に対する挑戦」、「市場効率化の促進」、「世界のエネルギーシステムの安全性向上」の4つの議題について議論し、世界のエネルギー安全保障の確保に向けた取組を行うとの共通認識が盛り込まれた議長声明の発出に貢献した。また、IEAの備蓄放出制度の一層の強化に向けた提案を行った。
(3)生産国・消費国間の対話の強化及び生産国との良好な関係の維持・強化
(イ)平成17年10月に、我が国がその常設事務所の設置構想の正式承認に貢献してきた、生産国・消費国の対話の場である国際エネルギー・フォーラムの常設事務所がサウジアラビアのリヤドに開設され、我が国より総理特使として細田前官房長官が出席した。
(ロ)平成17年11月にインドのイニシアティブで開催された主要アジア消費国及びロシア・中央アジア生産国との閣僚ラウンドテーブルにおいて、アジア地域のエネルギー問題について議論し、議長サマリーの策定に貢献した。
(4)エネルギー分野の貿易・通過の自由化及び投資の自由化・保護等の促進のための国際的枠組みの強化
(イ)平成17年12月にエネルギー憲章条約の最高意思決定機関であるエネルギー憲章会議の副議長に我が国代表が選出された。
(ロ)エネルギー憲章条約のアジアへの拡大に努めた結果、平成17年12月にパキスタンが新たに同条約オブザーバーとしての参加資格を得た。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)アジア地域は今後もエネルギー需要の急激な伸びが見込まれることから、地域全体の利益を踏まえ、エネルギー資源の安定供給及び効率的な使用についての対話・協力をこれまで以上に促進していく必要がある。
(2)原油価格の高水準での推移及び石油市場が不安定になる中、その安定のために石油市場についての適切かつ透明性の高いデータを提供することが必要であるが、この観点から、立ち上がったばかりの石油データ共同イニシアティブ(JODI)の活動を更に信頼性を高めるべく支援することが有効。
(3)また、我が国自身の安定的なエネルギー供給を確保するためにも、エネルギー生産国と消費国間の対話の場として、国際エネルギー・フォーラム(IEF)への参加は有益。
(4)エネルギー憲章条約を通じたエネルギー分野における投資の拡大を推進することが、安定供給を確保するために有益であり、ロシアの批准を引き続き求めていくと共に、アジア地域での加盟働きかけが必要。
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事務事業名:海洋生物資源の保存と持続可能な利用の原則確保のための国際的協力の推進
事務事業の概要
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(1)我が国は世界有数の漁業国かつ水産物輸入国であるが、世界の漁業資源の4分の3は上限まで利用されているか、それを超え乱獲状況にあるとの懸念が国際的に広まりつつある。
また、近年、台湾のマグロ延縄漁船によるIUU(違法・無報告・無規制)漁業が世界各地の漁場で行われており、右による漁業資源の悪化が懸念されている。
こうした中、海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保のため、国際漁業管理機関での資源保存と利用に関する交渉への積極的参加等に取り組む必要がある。
(2)捕鯨に関しては、近年、国際捕鯨委員会(IWC)の場において、鯨類資源について、資源保護に偏重して持続可能な利用を阻害する主張を行う国が少なくない。こうした中、IWCにおける捕鯨推進派の加盟国との協調、及び持続可能な利用の原則の支持の積極的働きかけ、捕鯨問題に関する「反捕鯨国」(特に米国)との対話等により、鯨類資源の保存と持続可能な利用の確保を図る必要がある。
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有効性
(具体的成果)
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(1)国連公海漁業協定の締結のための作業を進め、国会に提出したことで、締結に向け具体的道筋をつけることができた。本協定を我が国が締結することは、我が国遠洋漁業の安定的発展に資するとともに、違法漁業への取組み姿勢を一層強く打ち出すことにつながる。
(2)中西部太平洋まぐろ類条約(WCPFC)を平成17年7月に締結したことによって、我が国まぐろ類漁業にとって最も重要な中西部太平洋でのまぐろ類の適切な保存管理に主体的に関わる体制が整った。平成17年12月のWCPFC年次会合には、初めて締約国として出席し、我が国の利益確保を念頭に置きつつ、具体的な保存管理措置の決定に積極的に貢献することができた。
(3)大西洋まぐろ類国際保存委員会(ICCAT)年次会合で台湾の超過漁獲問題につき、改善状況が不十分であるとの指摘を行い、台湾に対して厳しい是正措置を要求する内容の勧告の採択に貢献した。勧告に示した条件を台湾が満たさなければ、次回会合において台湾産まぐろの貿易制限措置が決定されることも決まり、台湾の超過漁獲問題の改善により強い圧力をかけることとなり、IUU漁業の廃絶に向けた取組を一層進展させることができたと言える。
(4)国際シンポジウム「海洋生物資源管理の最近の潮流-持続可能な利用と予防的アプローチの適用-」において、海洋生物資源を含む自然資源管理について最近の国際社会での取組等について説明、議論が行われた結果、我が国の漁業を取り巻く国際的な情勢と今後の方向性について理解の促進が図られたと考えられる。
(5)平成17年6月のIWCウルサン年次会合では、我が国の南極海における調査捕鯨に対し、反対決議が可決される(法的拘束力はない)等主要問題については依然として厳しい情勢ではあったものの、同年次会合までに6か国が新規加盟し、我が国の立場を支持したため、反捕鯨派と鯨類の持続可能な利用支持派の勢力が拮抗した。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)引き続き、我が国漁業の長期的・安定的な発展を確保するため、責任ある漁業国として国際漁業管理機関での資源保存と利用に関する交渉に積極的に参加すること等を通じ、海洋生物資源の保存と持続可能な利用の確保のための国際協力を推進する必要がある。
(2)一部の鯨類資源は持続可能な利用が十分可能なレベルまで回復しているにもかかわらず、一部政府、NGOが非科学的かつ感情的な鯨類保護を強硬に主張しており、依然として商業捕鯨再開への道筋はついていない。また、鯨が大量の海洋生物を補食していることによる漁業と鯨との競合は広く我が国水産業全体に影響を及ぼす問題であるため、海洋生物資源全体の適切な管理・保存のため、科学的根拠に基づく鯨類資源の持続可能な利用という我が国の立場について引き続き理解を求めていく必要性がある。
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事務事業名:我が国船舶の安全な航行確保のための海賊問題への積極的対応
事務事業の概要
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日本は四方を海に囲まれており、石油や鉱物等のエネルギー資源の輸入を海上輸送に依存した海洋国家である昨今の海賊事件の発生に見られるように、近年、東南アジアにおいて海賊事件は急増しており、我が国の海上輸送の脅威となっているだけでなく、この地域全体の安定と経済の発展にも大きな影響を及ぼしている。このような背景を踏まえ、アジアにおける海賊対策を一層効果的ならしめるため、国際協力を推進する必要がある。我が国は特に地域協力協定の早期採択に向けて、積極的に取り組んでいる。 |
有効性
(具体的成果)
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(1)平成16年11月に採択されたアジア海賊対策地域協力協定を、他国にさきがけて、平成17年4月に締結した。また、同協定の早期発効をめざし、関係各国に対し、同協定の早期締結を働きかけた。この協定の発効により、将来的には同協定対象水域における海賊取締の実効性の向上が見込まれる。
(2)第60回国連総会決議「海洋及び海洋法」において、アジア海賊対策地域協力協定の重要性を訴える文言を挿入したことにより、広く国際社会全体に我が国の海賊対策の重点的取組の1つについてアピールすることができ、また、各国もその重要性を認識した。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
アジア海賊対策地域協力協定は、平成16年11月に採択されたが、今後は、同協定の下での協力を早期に開始し、アジアにおける海賊対策を一層効果的ならしめるため、引き続きイニシアティブを発揮する必要がある。また、引き続き国際社会全体に対しその重要性をアピールする必要がある。
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事務事業名:「国連海洋法条約体制」の効果的な運用と発展貢献、我が国の海洋における経済的権益(海洋資源等)の確保
事務事業の概要
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我が国は四方を海に囲まれた海洋国家であり、海洋の秩序を維持・増進することの重要性は大きい。その観点から、海洋の法的秩序を包括的に規定する国連海洋法条約の効果的な運用と発展に対する貢献の必要がある。
特に、国連海洋法条約では、沿岸国の200海里までの海底等をその大陸棚とするとともに、大陸縁辺部が200海里を超えて延びている場合には、海底の地形・地質等が一定の条件を満たせば、沿岸国は200海里を超える大陸棚を設定できるとしている。国土面積が小さいのみならず天然資源の乏しい島国日本にとって、周辺海域の大陸棚・深海底に埋蔵される海底資源の経済的な重要性は大きい。海底資源の安定的確保を通じた経済的権益の確保のため、同条約に基づき我が国の大陸棚の限界を最大350海里まで延長すべく、現在、内閣官房大陸棚調査対策室を中心に、関係省庁において周辺海域の海底地形・地質調査が進められており、外務省も、可能な貢献を積極的に行う必要がある。
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有効性
(具体的成果)
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(1)平成17年6月、国連海洋法条約締約国会合において、平成8年に同条約に基づいて設立された国際海洋法裁判所裁判官選挙が実施された。我が国は、同裁判所設立以来、裁判官を務めていた山本草二氏の任期満了に伴い、柳井俊二中央大学教授を候補者として指名し、柳井教授は、締約国の広範な支持を集めて裁判官として選出された。
(2)海洋法に関する各種会合への積極的な参加を通じて、他国との情報交換、意見交換が促進された。
(3)各国の大陸棚限界延長申請に関し、他国の専門家との協議を通じて、将来的に我が国の参考となる他国の取組状況を把握することができた。
(4)平成18年3月、大陸棚延長に関するシンポジウムを開催し、国内外より延べ300人以上の参加者を得て、大陸棚延長の科学的・技術的側面について活発な意見交換が行われた。同シンポジウムには、大陸棚限界委員会委員も参加し、途上国支援問題や北西太平洋に特徴的な海底地形について理解の促進が図られたと考えられる。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
地球上の石油、石炭、天然ガスの多くが大陸棚に埋蔵し、これまでの予備的調査で我が国の国土面積に匹敵する地域が我が国大陸棚として延長できる可能性が出てきている中、国土が狭く天然資源が乏しい島国日本の国益拡大・確保が必要である。また、本分野を主導するため、途上国へのキャパシティ・ビルディングに向けた取組も必要である。
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事務事業名:食糧安全保障の推進、特にFAO(国連食糧農業機関)の改革等
事務事業の概要
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食糧の持続的な生産と安定的な供給を確保するためには、人類の栄養・生活水準を向上させ、食糧・農産物の生産・分配の効率を改善することが重要である。食糧の多くを海外からの供給に依存する我が国としては、食糧・農業に関する国際的な基準の策定への関与や関連する情報の収集などを通じて、食糧の安定供給の確保に向けた取組を推進することが必要である。
(1)我が国は、FAOへの資金拠出を通じて、国際条約・基準の策定・運用(FAO/WHO合同食品規格委員会(Codex)、国際植物防疫条約(IPPC)等)、国際問題に関する意見交換(違法伐採、違法・無報告・無規制(IUU)漁業問題)、関連する情報の収集・提供などを実施した。
(2)また、我が国は、FAOへの資金拠出を通じて、途上国における農村の食糧自給・増産、災害からの農業・漁業復興(スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害対策支援)等の具体的なプロジェクトに対する支援を実施した。
(3)さらに、FAOの効率的・効果的な運営を実現するため、我が国の主導により、関係国とFAOの改革に向けた意見交換を行った。
(4)一次産品については、国際穀物理事会及び国際コーヒー機関において、需給状況に関する情報・意見交換を行った。特に、国際穀物理事会については、我が国の発言力を高めるため、我が国から事務局長選に立候補し、北原悦男氏が事務局長として選出された。
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有効性
(具体的成果)
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(1)国際的条約・基準の策定・運用については、ルールの策定に当たり、我が国として関心を有する事項につき、関連会合の場で積極的な主張を行うことにより、我が国に不利とならない条件を確保することが可能となった。
(2)国際問題に関する意見交換については、我が国として関心を有する事項につき、関連会合の場で積極的な主張を行うことにより、関係国の関心を高めることが可能となった。
(3)関連する情報の収集・提供については、FAOの提供するデータベース(FAOSTAT)を活用することにより、関係省庁において、政策の検討・実施を行う際に必要となる基礎データを収集することが可能となった。
(4)具体的プロジェクトの実施については、農機具・漁具等の供与により、対象地域における食糧生産の復興に寄与することができた。
(5)一次産品については、我が国から国際穀物理事会に事務局長を送り込むことにより、同理事会における我が国の発言力を高めることができた。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
- 国際的条約・基準の策定・運用については、ルールの策定に当たり、我が国として関心を有する事項につき、関連会合の場で積極的な主張を行うことにより、引き続き我が国に不利とならない条件を確保する必要があるため。
- 国際問題に関する意見交換については、我が国として関心を有する事項につき、関連会合の場で積極的な主張を行うことにより、引き続き関係国の関心を高めることが必要であるため。
- 関連する情報の収集・提供については、FAOの提供するデータベース(FAOSTAT)を活用することにより、関係省庁において、政策の検討・実施を行う際に必要となる基礎データを引き続き収集する必要があるため。
- 一次産品については、国際穀物理事会における我が国の発言力を引き続き維持する必要があるため。
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【評価をするにあたり使用した資料】
(経済→エネルギー)
- エネルギーをめぐる国際情勢と我が国の課題
- 日本のエネルギー外交戦略とそれに向けての取り組み 等
(経済→海洋)
- 海賊問題の現状と我が国の取り組み
- アジア海賊対策地域協力協定 等
(経済→漁業)
- 漁業問題と外交
- 捕鯨問題
- 「第57回国際捕鯨委員会(IWC)年次報告結果」
- 「マグロ漁業」 等
【参考】
「朝日新聞」平成17年6月18日
「エネルギー源を海外に頼る日本の経済構造に変わりはない。原子力を除いたエネルギーの自給率はわずか4%しかない。また原油の中東への依存度は9割近く、石油危機のころを上回る。今のうちにエネルギー戦略をしっかりと打ち立てておかないと、取り返しのつかない事態になりかねない。そのカギは三つ、外交、備蓄、省エネルギー・新エネルギーである。」
ゼミナール 石油と世界「日経新聞」平成17年8月3日
「日本のエネルギー戦略はどうあるべきか。重要なのはその供給源(資源)を多様化するとともに、石油や液化天然ガス(LNG)の輸入先を分散させることである。(中略)もっとも供給源と輸入先をある程度分散しても中東への依存体質は残るので、中東産油国との協力強化が重要となってくる。(中略)ただ資源を確保するだけでは石油問題は解決しにくい。イラク復興支援やイランの核開発問題、マラッカ海峡や南シナ海のシーレーン(海上交通路)確保など安全保障政策を考慮する必要がある。資源開発を巡る中国やロシアとの交渉では、排他的経済水域(EEZ)や領土問題など外交問題を避けては通れない。」
社説「朝日新聞」平成17年8月23日
「中国と資源獲得で張り合うことはないが、総合的なエネルギー政策をつくるなかで、日本の石油戦略も見直す必要はあるだろう。省エネ技術をさらに磨き、石油以外のエネルギー源を増やす努力はもちろんだが、石油の安定的な確保や中東依存度の引き下げ、さらにはマラッカ海峡をはじめとするシーレーンの安全などに取り組むべきだろう。産油国との関係を深め、開発事業に加わったり、長期的な供給を確実にしたりすることも欠かせない。政府の途上国援助(ODA)の活用や、日本が持つ省エネなどの技術の提供先を広げることが有効だろう。」
内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長「日経新聞」平成18年2月20日
「日本経済はエネルギー効率が高く、現状程度の原油高は吸収可能だ。当面の景気に一層の下押し圧力がかかることはない。もっとも、原油が単なる市況商品から戦略商品へと位置づけを変えつつあるのは見逃せない。同じアジアの消費国である中国、韓国、インドなどと、日本は共通の利益がある。省エネルギー技術の供与や産油国への共同歩調など、戦略的な対応が欠かせない。」
「東京新聞」平成18年3月21日
「世界の漁獲量は、漁法の進歩や漁船の増加にもかかわらず、1990年代以後、9千万トン台で頭打ちになっている。…クロマグロやミナミマグロなど上等な刺身用まぐろの漁獲量も減少し、国際機関によって、国毎に漁獲割当が決まっている。…しかし違法漁船や産地偽装が相次ぎ、乱獲は止まっていない。…これからはどうすればいいのか。松田教授は「現に豊富にある魚を捕ることがいい。魚の資源量には変動があり、少ないときには人間の漁獲による圧力は無視できない。健全な持続可能な漁業は、健全な生態系をつくる」という。…乱獲を押さえ、資源をうまく国際管理すると同時に、伝統漁法の知恵に学ぶ必要もありそうだ。」
社説「東京新聞」平成17年4月14日
「ただ、心配なのは調査とはいえ日本が捕獲数を一方的に拡大することへの各国の反応だ。IWC加盟六十カ国のうち、捕鯨し自国と反捕鯨国の勢力はほぼ半々という。反捕鯨国が対日批判を強めるのは必至だが、これまで捕鯨再開を支持してきた国がどう受け止めるか。…政府は支持国の拡大に向け、もっと丁寧で積極的な説明を行うべきである。」
「海洋白書2006」海洋政策研究財団
「海上輸送の航行の安全という観点からわが国にとって脅威となっている問題が、マラッカ・シンガポール海峡におけるいわゆる海賊問題である。2004年には世界全体で325件の海賊事案が発生したが、東南アジアにおける発生件数は156件で全体の約50%を示している。…海賊事案は、単に日本の海上輸送にとって脅威であるばかりではなく、アジア地域全体の社会の安定と経済の発展に対する脅威でもある。こうした認識に基づいて、日本は、アジア地域における海賊対策協力強化に向けて、そのリーダーシップを示してきた。そうした努力の結果、2004年11月、「アジアにおける海賊行為及び船舶に対する武装強盗との戦いに関する地域協力協定」(いわゆるアジア海賊対策地域協力協定)が採択された。」
資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(
http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。