省庁共通公開情報

I.実施計画に基づく事後評価

1. 地域・分野

10-3 重層的な経済関係の強化

経済統合体課長兼アジア欧州協力室長 市川とみ子
アジア太平洋協力室長 南博之
経済局政策課長 越川和彦
平成18年4月
施策の目標
(1)APEC及びASEMを通じて具体的な対話と協力を促進することによる地域(間)連帯の強化
(2)日・EU経済関係の強化と国際的課題に対する日・EU協力の進展
(3)愛・地球博の成功を通じた重層的な経済関係の強化への寄与
施策の位置付け
平成17年度重点外交政策に言及あり。
第159回施政方針演説に言及あり。
施策の概要
(10行以内)
(1)APEC
 アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議、閣僚会議、貿易担当大臣会合その他の分野別大臣会合を通じ、域内の貿易・投資の自由化・円滑化の進展を図るとともに、それを支援する経済・技術協力等を行うことで、同地域の持続的な経済成長に寄与。また、2001年の米国同時多発テロ以降、テロ・不拡散、鳥インフルエンザ等の感染症対策、地震・津波などの自然災害対策等新たな課題についても適切に対応。我が国もセミナー開催やイニシアティブの提案等を通じ積極的な役割を果たした。
(2)ASEM
 アジア欧州会合(ASEM)の首脳会合、外相会合、その他閣僚会合を通じ、アジアと欧州の間の対話と協力の進展に寄与。我が国は、平成17年5月に第7回外相会合の京都での主催、専門家レベルの会合の開催、ASEMの10年報告書の作成、ASEMの将来に関する作業等に積極的な役割を果たした。
(3)EU
 日本企業の利益増進・保護のため、日・EU間の定期首脳協議、規制改革対話等様々な協議を行っており、双方向投資促進、税関、基準認証等の分野で協力を行っている。また、欧州各国とも二国間経済関係の強化を図っている。さらに、日・EUは国際貿易(WTO)、エネルギー、環境等、共通の国際的関心事項について、協力して取り組んでいる。
(4)愛・地球博
 2005年日本国際博覧会(愛・地球博)を同年3月25日から9月25日まで、「自然の叡智」をテーマに開催した。121か国、4国際機関が参加し、この機会に日本と参加国との間の様々な交流を促進するため、期間中参加国・機関が行うナショナルデー、スペシャルデーに出席する要人を「博覧会賓客」として、日本側負担により招請し、接遇を行った。

【施策の必要性】

(1)APEC
(イ)APECはアジア太平洋地域の21の国・地域(エコノミー)が参加し、世界の人口の約4割、GDPの約6割、貿易量の約45%を占めている。我が国の貿易相手としてもAPEC域内の諸エコノミーが約4分の3、APECの域内貿易率は約7割と、相互依存関係は極めて強い。我が国の一層の発展及び安定のためには、APEC地域の各エコノミーとの協力を深め、国際ルールの普及や共通の価値観の共有を促進することが重要な課題。
(ロ)このような背景の下、APECの枠組みを活用し、経済分野だけではなくテロ・不拡散、感染症などの幅広い分野の協力に関し、年1回開催されるAPEC閣僚会議・首脳会議での成果に向け、APECでの活動を主導していく必要がある。

(2)ASEM
(イ)アジアと欧州は今日の国際社会でその役割と責務を増大させており、両地域間の幅広い関係を強化することは世界経済の安定的発展等を通じ、我が国の利益増進にも寄与する。
(ロ) 経済分野では、環境問題やエネルギー安全保障を含む持続的な開発についての協力のほか、両地域間の貿易・投資関係の一層の拡大に寄与する必要がある。また、ASEM各国間で文化と文明間の対話を進め、地域情勢やテロ等の安全保障上の脅威について一致して協力していく方策について意見交換を進める必要がある。
(ハ)日本がアジアと欧州の間の調整について積極的な役割を果たすことで、アジア側参加各国間の協力関係を強化し、将来の共同体形成も視野に入れたアジア地域での開かれた地域主義の実現にも寄与する。

(3)EU
 平成13年に首脳レベルで発出された「日・EU協力のための行動計画」を着実に実施する必要がある。特に、我が国は政府一丸となって対内直接投資促進に取り組んでおり、引き続き日・EU間の双方向の直接投資促進のための施策が必要である。我が国とEUは、自由、民主主義、市場経済等の基本的価値を共有しており、国際社会の課題に対して特別の責任を有しており、経済分野のみならずグローバルな課題を含め様々な分野において戦略的パートナーとして一層効果的な協力関係を構築していく必要がある。

(4)愛・地球博
 平成17年に開催した愛・地球博は121か国・4国際機関が参加する国際的イベントであり、期間中に開催される各参加国・機関のナショナルデー、スペシャルデーには、各国要人をはじめ経済ミッション等も合わせて訪日するため、我が国外交の観点からこの機会をとらえ、日本と各参加国との間で様々な交流を行うことが必要である。

【施策の有効性】(目標達成のための考え方)

(1)APEC
 アジア太平洋における地域協力を強化していくためには、様々なレベル・分野で地域間の課題やグローバルな課題について自由で継続的な議論を行う必要がある。さらに個別具体的な課題に対しAPECメンバーが協力して取り組むべく、様々なイニシアティブを実施していくことが有効である。

(2)ASEM
 アジア・欧州関係を強化していくためには、様々なレベル・分野で地域間の課題やグローバルな課題について自由で継続的な議論を行う必要がある。さらに、個別具体的な課題に対し、アジアと欧州が協力して取り組むべく、様々なイニシアティブを実施していくことが有効である。

(3)EU
 高度に緊密化した欧州との経済関係強化には、様々な協議の枠組みを活用し、多角的にアプローチする必要がある。この観点から、日・EU定期首脳協議、日・EUハイレベル協議、日・EU規制改革対話等の各種経済協議の実施、日・EC間の経済関係協定の締結及び実施、二国間経済協議、人的交流を通じた連携等、幅広い政策手段を通して関係強化に努めることが有効である。なお、近年、ビジネス界との連携を強化しており、引き続き定期的にビジネス界からの提言を受け、政策への反映に努める。

(4)愛・地球博
 日本との経済関係強化のためには、賓客の訪日に合わせ、多くの国では経済ミッションが同行、日本の経済界と会談を行うとともに、経済セミナー等を開催することが有効である。

【施策の効率性】(3行以内)

(1)APEC
 我が国は、上述の施策への取組を通じ、アジア太平洋における地域協力の強化という目的に効率的に貢献することができた。特に平成17年度は知的財産権の取り締まり、感染症対策の分野で重要な成果を上げることができた。

(2)ASEM
 我が国は、上記の施策への取組を通じて、アジア・欧州関係の強化という目的に効果的に貢献することができた。特にASEM第7回外相会合では、経済、それと密接に関係する政治、文化的対話と協力の一層の推進のため幅広い議論を実現した。

(3)EU
 日・EU定期首脳協議、日・EUハイレベル協議、日・EU規制改革対話、ビジネス界との協議等の場を活用し、日・EU間の懸案事項に係る交渉や対話・意見交換を通じて、日・EU双方の貿易・投資環境の更なる改善に寄与し、目的達成に向け効率的に対応した。

(4)愛・地球博
 全参加国・機関のうち、ODA対象国のみ新規で予算措置を行い、非ODA対象国等については既存予算内で対応するなど、目的達成に向け効率的に対応した。

【投入資源】

予算
平成17年度
平成18年度
462,165
62,945
単位:千円
(注)本省分予算

(内訳)
APEC
44,699
30,542
ASEM
49,073
(第7回外相会合主催の伴う予算を含む。)
7,571
EU
15,376
24,832
愛・地球博
353,017

人的投入資源
平成17年度
平成18年度
37
34
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)

(内訳)
APEC
6
6
ASEM
12
12
EU
16
16
愛・地球博
3

【外部要因】

(1)APEC
(イ)WTOにおける貿易自由化交渉の進展や域内でのFTAの急増等グローバルな動きを踏まえた取組の必要性。
(ロ)テロ対策や感染症対策等、域内の新たな関心事項に応える取組の必要性。

(2)ASEM
(イ)アジアと欧州が国際社会で果たすべき役割と責務の増大、共通のグローバルな課題の増大等に伴う、アジア・欧州間の対話と協力の必要性の増大。
(ロ)欧州側でのEUの拡大と深化、またアジア側での将来の共同体形成も視野に入れた動きを踏まえた双方向での理解と関心の増大の必要性。

(3)EU
 我が国は対内直接投資誘致に積極的に取り組んでおり、直接投資の重要性が増大している。平成16年5月に25か国に拡大し、更に深化するEUの共通政策が国際的基準・規制形成に及ぼす影響がますます大きくなってきている。特に、日本企業に大きな影響を及ぼすEUの環境政策等を注視しつつ、EU側との調整を図り緊密な協力関係を築きあげていく必要がある。さらに、エネルギー、環境、知的財産権保護等、日・EUの共通の関心事項への連携した取組の重要性が増している。

(4)愛・地球博
 2005年日本国際博覧会(愛・地球博)は、「自然の叡智」をテーマに自然と共生する新たな社会のあり方を提示することである。そのためには、人類が直面する諸課題に対して地球規模で知恵を出し合うことが非常に重要であり、そのためには国を挙げての取組が必要不可欠である。

施策の評価

【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】

(1)通常の評価を行う。
(2)愛・地球博は平成17年度開催の事業であり、本年度は評価を行う年として適当である。

【評価の切り口】

(1)APECにおける貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野の具体的協力の推進状況
(2)ASEMにおける対話と協力の進捗状況
(3)EUとの対話と協力の進捗状況
(4)各国の評価及び報道振りを含む愛・地球博への反響。博覧会賓客の接遇実績

【目標の達成状況(評価)】

(1)APECにおける貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野の具体的協力の推進状況
 APEC首脳会議、閣僚会議、貿易担当大臣会合等への参画及び以下のAPECの取組への貢献を通じ、APECにおける貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野の具体的協力の促進に寄与した。
(イ)平成17年6月の貿易担当大臣会合において、WTO/DDA交渉の重要性とWTO香港閣僚会合成功の重要性をアピールした独立文書の採択に貢献した。
(ロ)平成17年11月の首脳会議において、首脳は、難航するWTO交渉を前進させ、第6回WTO香港閣僚会議を成功に導くため、政治的リーダーシップが不可欠との認識で一致し、独立文書の採択にあたり、積極的に参画した。
(ハ)先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに、それぞれ自由で開かれた貿易及び投資を達成するという目標(ボゴール目標)の達成に向けたこれまでの進展状況を評価し、今後の道程を示した中間評価報告書の作成及び承認にあたり、積極的に参画した。
(ニ)FTA交渉の参考となる項目・事例として2004年にとりまとめた「FTAベスト・プラクティス」を踏まえ、貿易の円滑化に関するFTA交渉の参考となる具体的措置を列挙したモデル措置の作成・承認にあたり、積極的に参画した。
(ホ)「APEC模倣品・海賊版イニシアティブ」にある取組の具体的措置として、水際措置等の3つのガイドラインの合意にあたり、イニシアティブを発揮した。
(ヘ)感染症について、各首脳は、鳥インフルエンザが現実の脅威との認識を共有し、早期対応策などについての国際協力の必要性に一致したことを踏まえて採択された「インフルエンザ流行への備え及び影響の軽減に関するAPECイニシアティブ」の作成にあたり、貢献した。
(ト)我が国がAPECの取組として重視するテロ対策・不拡散問題といった安全保障問題がAPECの課題として再認識され、首脳は、この分野におけるAPECのイニシアティブや活動を歓迎し、引き続き支持していくことで一致した。
(チ)我が国が提案した紛失・盗難旅券情報の国際刑事警察機構(ICPO)データベースへの早期提供開始に関する具体的なテロ対策措置が承認された他、(1)放射線源の取り扱い(2)携帯式地対空ミサイル(MANPADS)及び(3)総合的サプライ・チェーン・セキュリティに関する各イニシアティブが合意された。
(リ)2004年、APECとして今後構造改革の分野で優先的に取り組むべき課題を明示した「構造改革実施のための首脳の課題」(LAISR)が採択されたことを受け、これを実施に移すために、我が国の主導により作成された2010年までの作業計画を示した「LAISR2010」の採択が歓迎された。
(ヌ)アジア太平洋地域が直面する課題に適切に対応できるよう、APECの改革を行うべきとの昨年の閣僚の指示を受け、効率性等につき高級実務者(SOM)が取りまとめたAPEC改革案の作成・承認にあたり、積極的に参画、貢献した。
(ル)我が国が2010年のAPECホスト国となる意向を表明し、承認された。

(2)ASEMにおける対話と協力の進捗状況
 第7回外相会合の開催、ASEMの10年報告書の作成委託、ASEM環境ワークショップの開催、ASEFへの貢献、ASEM経済閣僚会合ハイレベル会合への参画、ASEM移民管理局長級会合への参画、ASEMの将来に関する議論への貢献等を通じ、政治、経済、社会・文化その他の分野において、具体的な対話と協力の促進に寄与した。
(イ)平成17年5月、我が国が主催国として京都にて開催した第7回外相会合が成功を収め、様々な政策課題についてのアジア・欧州の共通認識を示す議長声明を発出した。
(ロ)第2回文化と文明に関する閣僚会合(平成17年6月)、異なる信仰間の対話(同7月)、経済閣僚会合ハイレベル会合(同9月)、第4回移民管理局長級会合(同12月)、ASEM検事総長会合(同12月)等の重要な会合へ積極的に参画した。
(ハ)高級実務者会合(SOM)におけるASEMの将来のあり方(例:ASEMヴァーチャル事務局の設置決定)に関する議論に大きく貢献した。
(ニ)平成18年3月、ASEMの10年報告書が完成し、ASEM第6回首脳会合に向けた検討材料として高級実務者会合に提出された。
(ホ)平成18年2月、ASEM環境ワークショップを開催する等、具体的協力を推進した。
(ヘ)平成17年度のASEFへの我が国の拠出金により、「ASEMの10年報告書」関連シンポジウムを開催。

(3)EUとの対話と協力の進捗状況
 以下の具体的な成果は、EUとの対話と協力の進展に寄与し、もって地域の連携強化に資した。平成17年5月、第14回日・EU定期首脳協議を開催し、「日・EU協力のための行動計画」の実施状況をレビューし、プレス・ステートメントを発出した。
(イ)平成18年1月、日・EUの次官級の経済協議として日・EUハイレベル協議を開催した。
(ロ)平成17年11月及び2006年3月、日・EU規制改革対話を開催し、在欧日本企業への負担及び投資に係る障害の軽減のための協議を行った。
(ハ)日本企業に大きな影響を及ぼすEUの新規制(新たな化学品規則案(REACH)等)についての欧州委員会、理事会事務局、欧州議会、加盟国等への重層的な働きかけを通じて、ビジネス環境の整備、貿易・投資関係の強化に貢献した。
(ニ)在欧州日本企業関係者との対話の枠組である「日欧経済関係強化戦略会議」及び日・EUのビジネス対話の枠組である「日・EU・ビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブル(BDRT)」等を通じて、民間の要望を聴取し、政策に反映させた。
(ホ)国際貿易(WTO)及び知的財産権等の日・EU共通の国際的関心事項に関し様々な機会に意見交換を実施した。
(ヘ)貿易面では、EUは日本にとって米国に次ぐ第2位の輸出先であり、EUは日本にとって中国、ASEAN、米国に次ぐ第4位の輸入相手である(2004年、財務省「貿易統計」)。また、投資面では、直接投資(ネットフロー)でみると、ここ数年日本にとって、EUは最大の直接投資母国(地域)であり、米国に次ぐ直接投資先国(地域)であり(2004年、日銀「国際収支統計」。グラフに関し別添資料参照)、重要な経済パートナーとなっている。

(4)愛・地球博:愛・地球博への反響
(イ)博覧会賓客の内訳は、王族8名、大統領等元首9名、副大統領7名、首相14名、副首相6名、閣僚級56名、その他18名で、それぞれ天皇皇后両陛下をはじめとする皇族の方々、小泉総理をはじめ関係閣僚の方々に接遇いただいた。(内訳は、天皇皇后両陛下19名、皇太子同妃両殿下11名、その他皇族8名、総理20名、官房長官・大臣その他閣僚43名)
(ロ)また、上記博覧会賓客の他にも、博覧会期間中に多くの外国要人が訪日し、博覧会を視察、あわせて日本側要人と会談等を行った。博覧会賓客以外の外国要人の内訳は、王族1名、大統領等元首8名、副大統領1名、首相2名、副首相3名、閣僚級80名。
(ハ)愛・地球博に対する各国の評価及び報道振りの主なものは以下のとおり。
  • 愛・地球博が成功裡に終わろうとしていることにつき、最大限の経緯と祝福を表したい。今回の成功により、日豪両国民が互いに新たな側面を発見し、理解を深めるとともに、ビジネス関係においても新たな関係を築くことができ、極めて大きな収穫を得たと豪政府は愛・地球博を総括した。
  • 万博は、北欧と日本のビジネスパートナーが集い、新たなビジネス機会を作るのに人気の場所となった。パビリオンのVIP施設は、ビジネスセミナー、レセプションや展示会に効率的に利用された旨、9月28日の北欧閣僚理事会において評価された。
  • 9月29日、アハーン・アイルランド首相より、「2005年万博は日本の人々と直に関わるまたとない機会であった。万博へのアイルランドの貢献に対し非常に高い関心が示されたことを喜ばしく思うとともに、今次万博における成功に貢献した全てのアイルランド及び日本の人々に感謝し、祝辞を送る。」旨発言があった。
  • 10月19日、イノベーション・ノルウェー国際担当局長代行より、「愛・地球博の大成功を心からお喜び申し上げる。ノルウェーは北欧館の一員として展示に参加する一方で、ノルウェー産品のアピールを行うとともに、セミナー等の開催を通じ日本との関係を深めることに成功した。ノルウェーの多くの企業が当該機会を活用し、多くの日本企業とコンタクトを行っていたことを認識した。愛・地球博がノルウェー企業にとって日本とのビジネスチャンスの拡大に繋がったことは明らかであり、大いに満足している。」旨発言があった。

【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)

「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)
(1)上述(1)の通り、昨年より関心が高まった鳥インフルエンザ対策に関するイニシアティブの採択などの取組に積極的に貢献することにより、APECにおける貿易の円滑化、貿易の安全確保の分野の具体的協力に寄与した。
(2)上述(2)の通り、ASEMの各種会合及び取組への貢献を通じて、政治、経済、社会・文化などの分野において具体的な対策と協力の推進に寄与した。
(3)上述(3)の通り、日・EU定期首脳協議及び日・EU規制改革対話等において、日・EU経済関係の強化について協議が進展した。
(4)博覧会の入場者は、当初目標の1500万人を大きく上回る2200万人。経済交流も上記各国評価のとおり活発に行われた。

【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)

(1)APEC
 ボゴール目標達成に向け、更なる貿易・投資の自由化・円滑化を推進するとともに、貿易の安全確保等の更なる推進。各種プロジェクトを通じた域内経済協力の一層の強化。
(2)ASEM
 ASEM第6回首脳会合の他各種会合、専門家レベル会合等への効果的な対応。ヴァーチャル事務局の設置の推進等。
(3)EU
 EUの拡大と深化によりEUの共通政策から我が国が受ける影響がますます大きくなる中で、EU各機関への働きかけ、EUの変化への対応にさらにきめ細かく取り組んでいく。
(4)愛・地球博
 継続的な経済交流の実施。

政策への反映

【一般的な方針】(2行以内)

(1)APEC
 平成18年11月の首脳・閣僚会議で、APECの新たな進展・成果を盛り込むべく、具体的な取組を進展させる。
(2)ASEM
 平成18年9月に開催される第6回首脳会合(於:フィンランド)に関する取組に重点を置きつつ、アジア欧州財団(ASEF)との協力等具体的な協力を引き続き進展させる。
(3)EU
 日・EU間の協議、二国間の協議、各種レベルでの人的交流の推進等を通じて双方向の貿易・投資の促進を図っていく。

【事務事業の扱い】


【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】

 
予算要求
機構要求
定員要求
反映方針

【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)

 渡邊頼純 慶應義塾大学総合政策学部教授
 APECならびにASEMはそれぞれ東アジアと米州地域、東アジアと欧州連合(EU)という主要な地域間の「地域間協力」の枠組みを提供している。これら三つの地域は、今や世界経済をリードする成長の極として重要な役割を担っていると同時に、それぞれの域内では経済統合が異なる態様、異なるスピードで進行している。我が国は、東アジアにおける統合の「核」であると同時に、APEC・ASEM両方において米国やEUとの深化した関係を有している。このように、我が国は米/EUとの強い絆をベースにAPEC・ASEMでキー・プレーヤーとして活躍すると同時に、東アジアにおける統合の深化に貢献できるユニークな外交的ポジションを有しているといえよう。今後も積極的な貢献が望まれる。
 「愛・地球博」については、多数の参加国を得たのはまさに外交当局の文字とおり獅子奮迅の努力の成果である。環境に配慮した会場設営と運営、全体のコンセプトなどは、我が国の高度技術や新たな経済社会の在り方などを世界に向けて発信する絶好の機会を提供したといえよう。

【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)

 多岐にわたる経済分野の協調対話を各々の枠組みで進めていることが示されており、また愛・地球博の成果についても数値で示されており、適切な評価となっている。

【事務事業の評価】

事務事業名:APECを通じた貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野における具体的な協力の促進

事務事業の概要
(1)APEC首脳会議、閣僚会議、分野別担当大臣会合等で、貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野における具体的な協力を推進する。
(2)APECの重要課題として我が国が提案した構造改革への取組や、新たな課題として上がっている対テロ対策、環境問題、感染症や自然災害に対するAPECの個別の活動へのイニシアティブを発揮する。
有効性
(具体的成果)
 以下の取組を含む施策の展開により、APECを通じた貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野における具体的な協力の促進に貢献した。
(1)平成17年6月の貿易担当大臣会合において、WTO/DDA交渉の重要性とWTO香港閣僚会合成功の重要性をアピールした独立文書を採択した。
(2)難航するWTO交渉を前進させ、第6回WTO香港閣僚会議を成功に導くため、政治的リーダーシップが不可欠との認識で一致し、平成17年11月の首脳会議において独立文書が採択された。
(3)先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに、自由で開かれた貿易及び投資を達成するという目標(ボゴール目標)の達成に向けたこれまでの進展状況を評価し、今後の道程を示す中間評価報告書が承認された。
(4)FTA交渉の参考となる項目・事例として2004年にとりまとめた「FTAベスト・プラクティス」を踏まえ、貿易の円滑化に関し、FTA交渉の参考となる具体的措置を列挙したモデル措置が承認された。
(5)「APEC模倣品・海賊版イニシアティブ」にある取組の具体的措置として、水際措置等の3つのガイドラインが合意された。
(6)感染症について、各首脳は、鳥インフルエンザが現実の脅威との認識を共有し、早期対応策などについての国際協力の必要性に一致し、「インフルエンザ流行への備え及び影響の軽減に関するAPECイニシアティブ」を採択した。
(7)テロ対策・不拡散問題といった安全保障問題がAPECの課題として再認識され、首脳は、この分野におけるAPECのイニシアティブや活動を歓迎し、引き続き支持していくことで一致した。
(8)我が国が提案した紛失・盗難旅券情報の国際刑事警察機構(ICPO)データベースへの早期提供開始に関する具体的なテロ対策措置が承認された他、1)放射線源の取り扱い2)携帯式地対空ミサイル(MANPADS)及び3)総合的サプライ・チェーン・セキュリティに関する各イニシアティブが合意された。
(9)2004年、APECとして今後構造改革の分野で優先的に取り組むべき課題を明示した「構造改革実施のための首脳の課題」(LAISR)が採択されたことを受け、これを実施に移すために、我が国の主導により作成された2010年までの作業計画を示した「LAISR2010」の採択が歓迎された。
(10)アジア太平洋地域が直面する課題に適切に対応できるよう、APECの改革を行うべきとの昨年の閣僚の指示を受け、効率性等につき高級実務者(SOM)が取りまとめたAPEC改革案が承認された。
(11)我が国が2010年のAPECホスト国となる意向を表明し、承認された。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 先進エコノミーにとっては、ボゴール目標の達成期限であり我が国がAPECを主催する2010年に向けて、引き続き貿易の円滑化、貿易の安全確保等の分野における具体的協力を促進する必要がある。

事務事業名:ASEM各種会合、個別分野での活動等を通じた、アジア・欧州間の対話と協力の推進

事務事業の概要
(1)ASEM首脳会合、外相会合や経済閣僚会合等の各種会合において、アジア・欧州間の政治、経済、社会・文化その他の課題について欧州の対話と協力を促進する。
(2)ASEMの10年報告書の作成、環境ワークショップの開催、ASEMの将来についての検討等、ASEMの個別の活動へのイニシアティブを発揮する。
有効性
(具体的成果)
 以下の取組を含む施策の展開により、ASEMを通じた具体的な対話と協力の促進に貢献した。
(1)第7回外相会合:5月、京都にて開催され、我が国は議長国を務めた。経済分野では、持続可能な開発に関して我が国が重視している種々の課題について意見交換を行い、アジアと欧州の協力を推進していくことで一致する等、グローバルな課題に対処するためのアジア・欧州のパートナーシップを確認。
(2)ASEMの10年報告書:ASEMの過去10年間の実績、問題点を評価し、今後のあり方を客観的に検討するため、日・フィンランド両政府からそれぞれ第三者機関に報告書作成を委嘱。平成18年3月の高級実務者会合(SOM)に提出された。同SOMにおいて、同報告書はASEM6に向けてASEMの将来に関する議論の基礎となることが確認された。
(3)ASEFへの貢献:「ASEMの10年報告書」の作成と連携して、平成17年12月、ASEF等の共催により、東京においてセミナー及び公開シンポジウムを開催。セミナーにおいては、アジア・欧州の専門家、有識者、政府関係者等が意見交換を行うことにより、報告書に有益な助言を得られた。
(4)ASEM環境ワークショップ:ASEM参加国の地方自治体担当者、環境NPOを主な参加者として、平成18年2月末から3月初旬にかけ日本において、「地球温暖化対策」及び「3Rを通じた循環型社会の推進」という2つのテーマに沿って、5日間にわたり意見交換を行った。
(5)ASEM経済閣僚会合ハイレベル会合:平成17年9月、ロッテルダムで開催。多角的貿易体制と地域貿易協定の関係、エネルギー問題、WTOドーハ開発アジェンダ交渉等の国際経済上の主要課題をテーマに、2日間にわたり意見交換を行った。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)平成18年は平成8年のASEM開始から10年目にあたる節目の年であり、第6回首脳会合に向け、議長国フィンランドとも協調しながら各種会合への対策等を継続する必要がある。
(2)グローバルな課題への対応、文化面での対話等の課題へ対応するための具体的協力を引き続き推進する必要がある。

事務事業名:日・EU間及び二国間の各種経済協議、官民連携等を通じ貿易投資、ビジネス環境の整備を推進

事務事業の概要
 日・EU定期首脳協議、日・EUハイレベル協議、日・EU規制改革対話、日・EU行動計画運営グループ会合、二国間経済協議等各種協議の場を通じてのEUや欧州各国との二国間経済関係の強化および協力案件の推進。日・EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブル(BDRT)、日欧経済関係強化戦略会議をはじめとするビジネス界との経済分野における(官民)連携の推進。
有効性
(具体的成果)
 以下を含む成果があげられた。
(1)日・EU規制改革対話の枠組みの下で、損益通算を認める指令の早期成立、国境を越えた合併に関する指令、欧州非公開会社法、社会保険料の二重払い問題の解消、国際会計基準と日本の会計基準の同等性評価、ブロードバンドの進展、欧州治験指令の審査期間の遵守等の対EU要望について具体的な進展ないしは一定の前向きな反応が得られた。
(2)日・EU間及び欧州各国との二国間の枠組みを通して、EU及び二国間レベルにおいて、例えば、我が国企業が大きな影響を受けるEUの新規制(新たな化学品規則案(REACH)等)について必要な働きかけを行うこと等を通じて、ビジネス環境の整備、貿易・投資関係の強化に貢献した。
(3)日欧経済関係強化戦略会議において在欧州日本企業の要望を聴取し、それを日・EU規制改革対話における対EU要望に反映させた。また、BDRTを通じ、民間側の要望を十分に吸い上げ、対EU経済政策に反映させた。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 日・EU規制改革対話等の場を活用して、在欧日本企業にとってのビジネス環境向上のための改善を引き続き要望していく必要がある。また、我が国企業の意見や要望を反映した実効的な政策決定のため、引き続き、ビジネス界との連携を強化する必要がある。

事務事業名:日・EU間の共通の国際的関心事項への取組を強化

事務事業の概要
 国際貿易(WTO)、エネルギー、環境等、日・EU間の共通の国際的関心事項について、協力して取り組む。
有効性
(具体的成果)
以下を含む成果があげられた。
(1)第14回日・EU定期首脳協議において、WTOに関し、交渉妥結への前進が重要であること、交渉全体の取り進めについて日本とEUとが一層協力していくことで意見の一致をみた。
(2)平成18年2月21日、東京にて「知的財産権に関する日・EU対話」を開催し、知的財産権保護に関する幅広い項目についてEU側との意見交換を実施。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 拡大・深化に伴い、国際社会において発言力・影響力を増大させているEUとの協力は、ますます重要になっているため。

事務事業名:愛・地球博の開催

事務事業の概要
 「愛・地球博」は、平成17年3月25日から9月25日までの185日間、「自然の叡智」をテーマに、121か国、4国際機関が参加して開催された。
 この機会をとらえ、日本と各国間との交流を促進することは、我が国外交の観点からも有意義であるので、各参加国・国際機関が行うナショナルデー・スペシャルデーに出席する海外要人に対して、「博覧会賓客」として日本側負担による招へいを行うとともに、然るべき接遇を行った。
有効性
(具体的成果)
 185日間の期間中、計110回のナショナルデー・スペシャルデーを開催、100人以上の閣僚級以上の要人が訪日、皇族、政府要人、経済人と会談し、二国間の交流を促進させた。
 参加国の中には、博覧会賓客とともに経済ミッションが訪日し、セミナー等を開催するなど、我が国経済界と活発な交流を行った。
事業の総合的評価
○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
 9月25日で愛・地球博が閉幕。

【評価をするにあたり使用した資料】

【APEC】
【ASEM】
【EU】
【愛・地球博】
日欧経済関係(PDF)PDF

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