I.実施計画に基づく事後評価
1. 地域・分野
10-2 グローバル化の進展に対応する国際的な取組
経済局政策課長 越川和彦
経済協力開発機構室長 堤尚広
平成18年4月
施策の目標
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国際経済秩序形成への積極的参画 |
施策の位置付け
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平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
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施策の概要
(10行以内)
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G8サミットは、国際社会の直面する種々の重要課題をG8首脳間で議論し、有効な政策協調を行っていくために重要な役割を果たしており、我が国として、その議論、及び協調行動に積極的に参加し、貢献する。OECDでは、加盟国の経済成長、途上国経済の発展、世界経済の拡大といった活動目的の達成に寄与するために、積極的に議論に参加・リードする。
これらG8、OECD等の国際的な取組を通して、グローバルな国際経済の枠組みを強化し、また、我が国の対外経済活動を行う上で好ましい国際環境を作る。
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【施策の必要性】
先進国首脳会議(G8サミット)とOECDは、ともに国際経済秩序を形成する上で大きな影響力をもつ会議、機関であり、我が国にとって望ましい国際経済秩序を形成するために積極的に参画する必要がある。
(1)G8サミットではその時々に最も重要と認識され、首脳間で議論し対処してくことが適当な国際経済をはじめとした国際社会の課題を常に取り扱い、大きな影響力をもっている。そのため、我が国にとって望ましい形でグローバルな国際経済等の枠組みを強化するためには、G8サミットに積極的に参加し貢献する必要がある。
(2)
(イ)OECDは、設立条約に掲げる加盟国の経済成長、途上国経済の発展、世界貿易の拡大に積極的に取り組むとともに、教育、科学技術、環境、持続可能な開発、外国公務員に対する贈賄防止、コーポレート・ガバナンス、企業の社会的責任など、新たな課題にも積極的に取り組んでいる。その特色は、相互審査(ピア・レビュー)やベスト・プラクティスの積み重ねを通じて「先進国標準」が醸成されていくことや、先進国が共通して直面する政策課題についての調査・分析を通じて政策提言を行う等の先導的役割を果たすことにある。
(ロ)かかる機能を有するOECDを積極的に活用することは有益であり、我が国として関心の高い活動が行われたり、OECDの活動が我が国にとって好ましい方向に進んでいくよう、OECDの各種の会議に、パリの我が国常駐代表部や本国より担当者を派遣し、積極的に議論に参加してきた。
(ハ)グローバル化が進展し、また、中国、インド、ブラジルといった非加盟国の経済的な重要性が増大する中、OECD自身の価値を一層高めるためにも、OECDの主要な機能である国際的なルールづくり、及び、主要な新興経済等との非加盟国協力活動を強化することは重要である。
【施策の有効性】(目標達成のための考え方)
(1)G8サミットではその時々に最も重要と認識され、首脳間で議論し対処していくことが適当な国際経済をはじめとした国際社会の課題を常に取り扱うものであり、G8諸国間の取組は国際社会全体へ大きな影響力及び実効性がある。よって、我が国にとって望ましい形でグローバルな国際経済の枠組みを強化する上で積極的に参加し貢献することが有効である。
(2)OECD
(イ)ルールメーキング及び政策協調への参画
OECDにおけるルールメーキング及び政策協調への参画は、グローバル化の進む国際社会において、我が国にとって好ましい国際環境づくりを行うとの観点より、また、我が国の各分野における政策立案を行う上で参考とするため、加盟国間で知見を共有し合うとの観点より、これに積極的に参加し貢献することが有効である。
(ロ)非加盟国協力活動の支援・促進
OECD加盟国が一丸となり非加盟国に対して国際水準の規則・規範を理解せしめ、責任ある行動を求めることや、投資環境改善等の政策を実施を促すことは、地球規模の経済成長を促すとの観点より、また世界標準の対等な競争環境を創造することを通して我が国企業の利益となるとの観点より有効である。
【施策の効率性】(3行以内)
我が国にとって好ましい、自由で開かれた国際社会の形成のためには、二国間の枠組みだけでは解決が困難なことも多く、G8、OECDをはじめとしたマルチの枠組みへ参画し、活用することは効率的である。
【投入資源】
予算 |
平成17年度 |
平成18年度 |
39,931 |
66,112 |
単位:千円
(注)本省分予算
人的投入資源 |
平成17年度 |
平成18年度 |
14 |
14 |
内訳 |
G8 6 |
G8 6 |
OECD 8 |
OECD 8 |
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)
【外部要因】
(1)G8サミットで取り扱われる事項、その内容は我が国以外のG8諸国の立場、G8以外の諸国の動向、国際経済全体の動向に大きく影響を受ける。
(2)OECDの活動においては、加盟国のコンセンサスを基本として方向性を決定する仕組みとなっており、他の加盟国の立場に大きく影響を受ける。また、国際社会のグローバル化を踏まえ、OECDで取り扱われる事項は多岐にわたっており、途上国を中心とする非加盟国や、産業界、NGO等社会セクターとの協調を図る必要があり、それらの立場から一定の影響を受ける。
施策の評価
【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】
通常の評価を行う。
【評価の切り口】
(1)G8によるグローバルな課題における我が国の貢献状況及び右への外部の意見
(2)OECDにおけるグローバルな課題への対応における我が国の貢献状況及び右への外部の意見
【目標の達成状況(評価)】
(1)G8によるグローバルな課題における我が国の貢献状況及び右への外部の意見
G8グレンイーグルズ・サミットにおいて我が国は積極的に貢献し、考えを反映させたことにより、目標たる国際経済秩序形成への参画へ進展があった。具体的には、以下のとおりグレンイーグルズ・サミットで発出された成果文書のそれぞれに、我が国の考え方を反映させた。
(イ)アフリカについては、今後5年間のODA事業量について100億ドルの積み増しを目指すこと、対アフリカODAを今後3年間で倍増すること等、種々の新たな支援策を通じ、アフリカの自助努力を引き続き支援していくことを表明し、議長のブレア英首相が記者会見においてG8諸国中唯一日本の支援策について言及する等、高い評価を得た。
(ロ)気候変動については、主要エネルギー需要国との対話を設置し、2008年の日本サミットで対話の結果について報告することが合意された。また、3Rの推進と「もったいない」精神の推進、違法伐採対策の強化なども主張し、成果文書に盛り込まれた。
(ハ)知的財産権については、我が国として模倣品や海賊版対策のための条約の必要性を含め、今後国際的に取り組むべきと主張した。こうした我が国の問題提起によって議題に含まれ、成果文書が採択された。
(2)「上記に対する外部の意見」
- グレンイーグルズ・サミットに日本のイニシアティブについては「新たに日本の全体の援助を百億ドル増やすと表明した。この結果、先進国全体の途上国への援助増額が五百億ドルという大台に乗ったというから、日本の貢献は国際的に一定の評価を得られたであろう」(日本経済新聞、平成17年7月9日)と、肯定的な評価を得られた。
- 他方で「日本の増額表明がサミットでの援助大幅増額の合意に貢献したとして、ブレア首相から感謝された。だが、これから必要なのは、被援助国の住民から感謝されるような援助を実施することだ。貧困削減に確実につながる援助だ。厳しい財政事情の下で、無駄遣いは許されない」(東京読売新聞、平成17年7月10日)とするものや、「日本が1990年代末以来のODA削減から転換することは、先進国として間違いではない」としつつも「同時に、援助内容や援助手法の改革も断行すべきだ。それを国民の前に明らかにし、進めていくことが今の課題だ」(毎日新聞、平成17年7月28日)とする等、今後の実際の取組を求める論評も見受けられた。
(3)OECDにおけるグローバルな課題への対応における我が国の貢献状況及び右への外部の意見
(イ)ルールメーキング及び政策協調への参画
- 平成14年に行った我が国の提案に基づく「開発のための投資戦略プロジェクト」の一環として策定中の、投資環境改善のための政策ガイドラインに関する作業が平成17年度中著しく進展。
- 知的財産権に関する国際ルールづくりの議論が進展。平成17年12月に「OECD模倣品対策プロジェクト」が正式に開始されることとなり、平成18年2月に模倣品・海賊版影響調査専門家会合が開催された。
- OECDが作成した「外国公務員贈賄防止条約」の効果的な履行を確保するために行っている締約国間の相互審査(ピア・レビュー)が進展。我が国に対するフェーズ2審査(国内担保法令の実効性を審査)が実施された。
(ロ)非加盟国協力活動の支援・促進
- 平成16年11月に開始された中東・北アフリカ(MENA)諸国を対象としたプログラムに関し、投資プログラムにおいて、平成18年2月の閣僚会合にてMENA諸国より、今後の活動についてコミットメントを行う「閣僚宣言」が発出された。
- 平成17年5月に開催されたOECD閣僚理事会において、町村外務大臣(当時)より、OECDとして具体的なアフリカの投資環境改善努力への支援活動を行うことを提案。同年11月、3年をかけて行う事業として正式に承認された。
- 種々の会合にて国際枠組みへの中国の参加とそのための協力の重要性を指摘した結果、平成18年4月の執行委員会特別会合、及び、同5月のOECD閣僚理事会等ハイレベルの会合にて新興経済に関する議題が継続的に議論されることとなった。
(4)「上記に関する外部の意見」
(イ)ルールメーキング及び政策協調への参画に関する意見
- 「M&Aの増加などを背景に世界的に進むコーポレートガバナンスの改革に関し、国際的な改革推進組織が政府レベルではOECDである。」「(この分野で)日独の存在感が高まっている背景は、両国の銀行が安定株主の地位を低下させ、機関投資家が「統治する側」として力を増していることがある。」として新聞紙上にてコーポレートガバナンス分野におけるOECDの役割について述べるとともに、我が国の参画の重要性を指摘。(日経新聞、平成17年11月28日)
(ロ)非加盟国協力活動の支援・促進に関する意見
- 「OECDでは税制、競争政策、雇用、海運、企業投資等にかかわる重要なルールを策定してはいるものの~(中略)~ブラジル、ロシア、インド、中国といった大きな影響力をもつ国を含まないため、OECD提言がグローバルにどこまで有効なのか不透明。(OECD諮問委員会の)総会では、活動の焦点を「投資喚起」に絞ることを決議した。」として非加盟国協力活動の重要性、とりわけ投資関連活動の重要性を指摘。(本田敬吉・日本経団連OECD諮問委員会委員長、日本NCR特別顧問。2005年7月号、日本経団連OECD諮問委員会会報序文)
- 「OECDと中東・北アフリカ地域の十八政府は同地域への投資呼び込みで協力を強化する。投資によって同地域の若年失業者が経ればイスラム原理主義に傾倒するテロリスト予備軍が減り、安全保障にも寄与する。(2月の閣僚会議に)日本からは遠山大臣政務官が出席。閣僚宣言として採択する行動計画はOECDがたたき台をつくる。」として、新聞紙上にて中東地域への投資促進の重要性を指摘するとともに、我が国を含めたOECDの活動ぶりを評価。(日経新聞、平成18年2月9日)
- 我が国も資金面で協力し、また日本企業及び我が国政府関係者が会合へ出席したプログラムに関し、「OECDが中国の投資受け入れ態勢を審査した初の報告書を公表。中国はM&Aの規則と規制をさらに開かれて透明なものにすべきだと提言した。」として新聞紙上に活動ぶりが報じられた。(日経新聞、平成18年4月19日)
【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)
「目標の達成に向けて相当な進展があった。」
(理由)模倣品・海賊版は製造国・地域から世界中に拡散し、我が国産業界にとってもその対策は極めて重要な関心事項となっている。知財について、G8において我が国の問題提起から議題となり、OECD執行委員会等において我が国からの知財に関する国際ルールづくりの重要性の指摘から「OECD模倣品対策プロジェクト」が立ち上がる等、関連の国際条約締結の機運が高まり、国際社会における経済秩序形成に向け前進した。知財以外の分野においても同様に国際社会の経済秩序に参画でき、相当な進展と評価できる。
【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)
(1)G8については、平成17年度のフォローアップを確実に行うとともに、平成18年度のG8サミットにおいても引き続き積極的に議論に参加していく。
(2)OECDについては投資環境改善ガイドラインの普及等国際的なルール作り、中東やアフリカ等地域プログラムにおける投資環境改善の実施、新興経済との具体的な協力や共同作業の実施等。
政策への反映
【一般的な方針】(2行以内)
平成17年取り組んだ国際社会の優先的諸課題へ引き続き取り組むとともに新たな課題についても国際経済秩序の形成、国際的政策協調のため積極的参画を行う。
【事務事業の扱い】
- 主要国首脳会議の準備プロセスへの積極的参画及び各種作業グループへの積極的貢献→今のまま継続
- OECDにおける国際的なルールメーキング及び政策協調への積極的参画(含むOECDによる一層積極的な非加盟国協力活動の支援・促進)→今のまま継続
【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】
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予算要求
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機構要求
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定員要求
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反映方針
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○
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―
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○
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【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)
【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)
施策の目標である国際経済秩序の進展に対応する国際的な取組として、G8及びOECDでの我が国産業界の関心が高い知的財産権(模倣品、海賊版)の対応の成果について具体的に示されており、また事業シートの記述振りも詳細であり全体として適切な評価といえる。
【事務事業の評価】
事務事業名:G8サミットにおける我が国の積極的貢献
事務事業の概要
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G8サミットは、国際経済を含めた国際社会の直面する種々の重要な課題をG8首脳間で議論し、有効な政策協調を行っていくために重要な役割を果たしており、我が国としてもその議論に準備段階から積極的に参加し、貢献する。これにより、グローバルな国際経済の枠組みを強化し、対外経済活動を行う上で好ましい国際環境を作る。
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有効性
(具体的成果)
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国際経済の枠組み強化のためにはG8諸国による協調的な対応が強い影響力を有しているため、その対応のあり方を決めるG8サミットの準備プロセスへの積極的参加、及び各種作業グループへの積極的貢献が有効。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
G8サミットについては、グレンイーグルズ・サミットで発出された成果文書のそれぞれに、我が国の考え方を反映させた。アフリカについては、今後5年間のODA事業量について100億ドルの積み増しを目指すこと、対アフリカODAを今後3年間で倍増すること等、種々の新たな支援策を通じ、アフリカの自助努力を引き続き支援していくことを表明し、議長のブレア英首相が記者会見においてG8諸国中唯一日本の支援策について言及する等、高い評価を得た。気候変動においては、主要エネルギー需要国との対話を設置し、2008年の日本サミットで対話の結果について報告することが合意された。また、知的財産権については、我が国の問題提起によって議題に含まれ、成果文書が採択された。
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事務事業名:OECDにおける国際的なルールメーキング及び政策協調への積極的参画
(含むOECDによる一層積極的な非加盟国協力活動の支援・促進)
事務事業の概要
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加盟国の経済成長、途上国経済の発展、世界経済の拡大といったOECDの活動目的の達成に寄与するために、国際的なルール作りや政策協調、及び、非加盟国協力活動の議論に積極的に参加・リードしてきた。また、それらの活動の基礎をなすものとしてOECDの役割を強化するため、事務総長選への立候補やOECD改革への積極的参加を行ってきた。
(1)ルールメーキング及び政策協調への参画
- 途上国を主な対象とする投資環境改善のための政策ガイドラインの策定作業
- 知的財産権に関する国際ルールづくりの準備作業
- 外国公務員に対する贈賄防止条約等、腐敗防止の取組
(2)非加盟国協力活動の支援・促進
- 中東・北アフリカ(MENA)地域の投資環境やパブリックガバナンスの改善を実施していくプログラム
- サハラ以南のアフリカ(サブサハラ)地域における投資政策改善活動
- 中国・インド等新興経済の経済環境の改善と国際枠組みへの参加
- その他アジアを対象とする非加盟国協力活動全般
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有効性
(具体的成果)
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OECD
(1)ルールメーキング及び政策協調への参画
(イ)OECDでは、「開発のための投資戦略プロジェクト」の一環として、投資環境改善のための政策ガイドラインを策定中。これは、平成14年に行った我が国の提案に基づき、OECDの投資委員会、貿易委員会、開発援助委員会(DAC)等で横断的に作業を行っているものであり、事業開始時より一貫して我が国は作業部会の議長を務めてきた。また事業運営経費の一部負担、職員の派遣等の貢献を行っている。その結果、平成17年度中にガイドライン策定作業は著しく進展。平成18年4~5月を目途に完成し、平成18年度のOECD閣僚理事会に成果が報告され、閣僚レベルで同ガイドラインの普及・活用の重要性が確認された(議長サマリー参照)。また、我が国産業界が投資環境に高い関心を有しているインド等一部の途上国とOECDの間で行う対話において、同ガイドラインを活用することについて合意することができた。
(ロ)模倣品・海賊版は製造国・地域から世界中に拡散し、その取引額は年間65兆円にのぼると推定されており、我が国産業界にとってもその対策は極めて重要な関心事項。平成17年度を通じ、我が国はOECD執行委員会等において知的財産権に関する国際ルールづくりの重要性を指摘。その結果、平成17年末に「OECD模倣品対策プロジェクト」が正式に開始されることとなり、平成18年2月に模倣品・海賊版影響調査専門家会合が開催されるに至った。G8サミットでの取組や、かかるOECDの取組を受けて、関連の国際条約締結の機運が高まっており、2006年OECD閣僚理事会において、我が国より模倣品・海賊版の拡散防止のための研究を提案し、各国の理解を得た(議長サマリー参照)。
(ハ)OECDにて案文を作成し、平成9年に33か国の賛同国が署名した「外国公務員贈賄防止条約」(発効は平成11年、その後締約国は36か国)は、その効果的な履行を確保するため、OECD贈賄作業部会で締約国間の相互審査(ピア・レビュー)を実施。これまで、フェーズ1審査(国内担保法令の整合性を審査)、フェーズ2審査(国内担保法令の実効性を審査)を実施したが、我が国としても積極的にかかる活動に参加している。平成17年度中はフェーズ2審査(国内担保法令の実効性を審査)を実施し、審査勧告に関するフォローアップ強化策をとりまとめるとともに、21か国を対象とする中間報告書の策定を進めてきた。我が国としても同審査勧告を受けて、不正競争防止法の改正や、自然人への懲役刑の3年から5年への延長等を行うなど、国際水準の取組を強化することができた。また、平成18年2月に実施された対日フェーズ2bis審査においては、本件条約を履行するための我が国の努力について情報提供を行い、審査団より一定の理解を得ることができた。
(2)非加盟国協力活動の支援・促進
(イ)平成16年11月に開始された中東・北アフリカ(MENA)諸国がOECDと共同して投資環境やパブリックガバナンスの改善を行うプログラムを実施中。我が国は投資プログラムに関し、必要な拠出を実施しているほか、立ち上げ当初より平成17年4月まで「運営グループ会合」の共同議長を務め、また、パブリック・ガバナンス・プログラムについても日UNDP特別基金を通じた財政的協力を行ったほか、「運営グループ会合」の共同議長を務めている。投資プログラムは、平成18年2月に閣僚会合を開催し、MENA側のオーナーシップを再確認するとともに、1年目の活動(現状と課題の洗い出し)を取りまとめ、MENA諸国が今後の活動についてコミットメントを行う「閣僚宣言」を発出した。我が国からは遠山外務大臣政務官が出席し、更なる活動の進展を期待する旨のメッセージを発出した。
(ロ)平成17年5月に開催されたOECD閣僚理事会において、町村外務大臣(当時)より、OECDとして具体的なアフリカの投資環境改善努力への支援活動を行うことを提案。参加各国の支持を得た。こうした我が国の提案に基づくプログラムは、同年11月のOECD理事会にて、3年をかけて行う事業として正式に承認され、平成18年中に3~4か国の対象国を定めて事業を開始することとなった。このことを通じ、とりわけアフリカ諸国に対し、国連ミレニアム開発目標達成及び対アフリカ支援に関する我が国のイニシアティブを改めて示すことができた。
(ハ)平成17年12月に開催されたOECD執行委員会特別会合(OECD各国首都の政策策定者によるハイレベルな会合)において、議長を務めた我が国より(議長:薮中外務審議官)、国際枠組みへの中国の参加とそのための協力の重要性についての議論を提案。また、開発援助委員会や輸出信用グループ、非加盟国協力委員会等、他の会合においても中国をはじめとする新興経済の国際枠組みへの参加促進の重要性を主張してきた。その結果、平成18年4月の執行委員会特別会合、及び、同5月のOECD閣僚理事会等において、中国、インド等新興経済に関する議題が継続的に議論されるに至った。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)ルールメーキング及び政策協調への参画
上記に見られるようにOECDの場において我が国の理念を表明し、我が国の利益となる規範づくりを促すことなど、積極的に議論に関与することは、我が国の対外経済活動の環境作りにつながると考えられることから、上記施策を継続することが必要である。
(2)非加盟国協力活動の支援・促進
グローバル化の進展する中、非加盟国協力活動はOECDの主要な活動の1つとなっている。また、上記記載のとおり、OECD非加盟国協力活動は短期的(1か年以内)に効果が表れる活動は少なく、継続的に貢献を行っていくことが、協力活動対象国・地域の発展に役立ち、ひいては我が国のプレゼンス向上につながる。また、我が国企業の対外活動における環境づくりにつながる。そのため、我が国としてもその活動に積極的に参画し、途上国の経済環境の改善や、国際的な枠組みへの参加等、成果の実現に努めていくこととする。
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【評価をするにあたり使用した資料】
- G8グレンイーグルズ・サミット成果文書(外務省ホームページ)
- 世界経済評論(2005年9月号)
- 日経テレコンホームページ:http://telecom21.nikkei.co.jp/nt21/service/
- 外務省ホームページ
- OECD開発のための投資戦略の概要
- OECD外国公務員贈賄防止条約の概要
- 2005年OECD閣僚理事会・概要と評価
- MENA・OECD投資閣僚会議における「閣僚宣言」
- MENA・OECD投資閣僚会議・概要と評価
資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(
http://www.mofa.go.jp/mofaj)のフリーワード検索に資料名を入力し検索をしていただくか、各国・地域情勢をクリックし、当該地域→当該国と移動して資料を探してください。また、国・地域政策以外の分野・政府開発援助につきましては当該外交政策を選び、資料を探してください。