No. | 政策の名称 | 政策評価の結果の概要 | 政策評価の結果の政策への反映状況 |
1 |
第二バンコク国際空港建設事業(VII) (タイ王国) |
(1) タイ経済の回復傾向及び好調さを確実なものとするため中・長期的な支援を行っていく必要がある。そのためには、成長に伴う歪みや成長の阻害要因の解消のためのタイ側の自助努力を支援していくことが適切であり、経済基盤整備等に有償資金協力を活用していくことが重要である。
(2) 近年のタイの経済発展を反映して、バンコクの航空需要は堅調に推移(年間旅客数(2003年):3,018万人)。今後も、東南アジアにおける国際ハブ空港としての役割の増大から旅客数の増加が予想されており、タイ空港公社(AOT)は2010年の旅客数は5,000万人を超えると予測している(既存のドンムアン国際空港の年間対応旅客数は3,600万人程度であり、立地条件上拡張工事にも限界がある)。
(3) 本事業は、増大するタイの航空需要を満たし円滑な輸送を確保するために、バンコク地区に新空港を建設するものである。空港セクターのインフラ整備は通貨危機後も第9次国家経済社会開発計画(2002~2006年)の中で「国家の競争力強化に対する戦略」の一つとして位置付けられており、本事業はタイの中長期的な開発に資するものである。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成17年5月10日) 供与限度額:
354億5,300万円 |
2 |
シマル・ガス火力複合発電所第2号機建設計画 (アゼルバイジャン共和国) |
(1) アゼルバイジャンの総発電定格容量は、5,556MW(火力:4,624MW、水力:932MW)を有するが、設備の老朽化により2003年の有効発電容量は4,240MWに低下している。この結果、2003年の有効発電容量は最大需要(4,500MW)を下回っており、供給力不足をロシアとの系統連系によって補っている。また、アゼルバイジャン国内人口の約50%が一日平均8時間以上の停電を被るという厳しい環境にある。
(2) アゼルバイジャンの電力需要は、1991年独立後、経済の低迷により一時期減少したものの、1995年を境に増大に転じ、2000年以降は年間平均約6.5%のペースで上昇している。このため、新規電源の開発が進まない場合、今後更に計画停電等による強制的な電力供給の停止が余儀なくされる状況にある。
(3) アゼルバイジャンの発電設備の80%は国土の西部に位置する一方、電力需要の60%は東部のアプシェロン半島に集中している。このため、国土の東西間約300キロメートルの送電を行う必要があり、また、西部発電所の燃料である重油はアプシェロン半島から輸送されるため、送電ロスおよび燃料輸送コストにより同国の電力供給は非効率となっている。また、このような長距離の送電は、電力系統の不安定性の要因ともなっている。
(4) したがって、電力需要の中心であるアプシェロン半島における新規電源の開発による需要への対応、送電ロス、燃料輸送コストの削減、電力供給の効率性の向上が必要である。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成17年5月13日) 供与限度額:
292億8,000万円 |
3 |
イグアス水力発電所建設計画 (パラグアイ共和国) |
(1) パラグアイの電力需要は2004年の最大負荷が1,241MWであるが、同国内の発電設備は216MWに過ぎず、自国の電力需要の8割以上をイタイプ水力発電所(ブラジルとの共同経営)からの買電で賄っている。この買電単価は電力負荷を基準(キロワット)としているため負荷率が落ちると割高になるほか、ドル建てであるため為替変動の影響を受けやすい状況にある。同国がかかる買電支出を抑制した結果、ピーク需要に一部対応しきれず停電が行われる等、電力供給体制の安定性に大きな不安を抱えている。
(2) 本計画の実施によって電力供給体制の安定化、国内発電能力の拡充、イタイプ公団に対する買電支出節約による国際収支の改善等が見込まれる。
(3) また、本計画はパラグアイ国内における電力供給体制の安定化を通じて、南米地域全体の電力供給体制の安定化にも資するとの観点から、IIRSA(南米地域インフラ統合イニシアティブ)の一環として位置づけられている。以上から本計画を有償資金協力で支援する意義は大きい。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成17年12月26日) 供与限度額:
214億2,000万円 |
4 |
タンジュンプリオク港アクセス道路建設計画(第二期) (インドネシア共和国) |
(1) ジャカルタ首都圏の2002年の車両登録台数は1998年の1.6倍の約486万台に上り、交通渋滞問題が深刻化しているため、ジャカルタ外環道路の建設や立体交差の建設等の道路容量の拡大、交通需要管理政策の実施等様々な対策が実施されている。JICAジャカルタ首都圏総合交通計画調査(フェーズ2)では、地域経済に必要な原材料・製品の輸出入の玄関口であり、インドネシア最大の国際貿易港であるタンジュンプリオク港へのアクセスが交通渋滞により非常に時間がかかっており、地域経済成長の停滞原因の1つとなっていると指摘されており、地域経済発展のためには、アクセス道路の整備が極めて有効である。
(2) 本計画は、インドネシアの投資環境整備に貢献するものであり、有償資金協力を実施する意義が認められる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月28日) 供与限度額:
266億円2,000万円 |
5 |
アサハン第三水力発電所建設計画 (インドネシア共和国) |
(1) 北スマトラ州の州都メダンを包含する北スマトラ系統の電力ピーク需要の年平均6.5%で増加すると予想されているが、ディーゼル発電所、ガスタービン発電所等の停止により供給能力は減少する見込みである。今後、電力需給逼迫解消のための対策が急務となっている。
(2) 本計画は、北スマトラ系統の電力需給逼迫を緩和するとともに、電力供給の安定性を改善するものであり、有償資金協力を実施する意義が認められる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月28日) 供与限度額:
276億4,200万円 |
6 |
スマラン総合水資源・洪水対策計画 (インドネシア共和国) |
(1) 中部ジャワ州の州都スマラン市は、雨季にガラン川、スマラン川等が氾濫し、1973年以降30年間で4度の大規模な洪水被害が発生しており、2002年に発生した洪水では市内1000ヘクタールが浸水した。また、都市内部では毎年降雨に伴う浸水被害が発生しており、洪水対策が喫緊の課題となっている。一方、乾季には水不足が発生しており、今後の人口増加に伴い、新規水源開発の必要性は高い。
(2) 本計画は、スマラン市の被害の軽減、安定的な水供給を図るものであり、有償資金協力を実施する意義が認められる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月28日) 供与限度額:
163億200万円 |
7 |
ニンビン火力発電所増設計画(第二期) (ベトナム社会主義共和国) |
(1)
(a) 経済の改革・開放を進めるベトナムの安定的発展の確保(今後のソフトランディングの実現)は地域の平和と安定上不可欠。ASEAN後発国たるベトナムの発展はASEAN内格差是正を通じてASEAN全体の安定化に資する。メコン地域開発においても重要な位置を占める。
(b) また、中国の急速な経済発展、日ASEAN包括的経済連携構想等を背景に、我が国の製造拠点、輸出市場、エネルギー供給拠点としての将来性大。
(c) さらに、ベトナムは開発援助の新戦略の実験場として注目されており、日本にとっても新しい援助手法への取組を進める格好の場を提供。
(2) 我が国は、上記(1)の基本的な考え方を踏まえ、2004年4月に改訂された国別援助計画の三つの柱である「成長促進」「生活・社会面での改善」「制度整備」に基づき、円借款供与を検討する。具体的には、「成長促進」においては、経済活動の基盤強化、成長の牽引役である民間セクター及び外国投資の活発化の観点から、引き続き経済インフラ整備(主に運輸・電力セクター)への支援を行うとともに、かかる支援の中で、投資環境整備にもつながる制度・政策改善への支援・提言を行う。また、我が国としてバランスのとれた援助を行うとの観点から、「生活・社会面での改善」についても、無償資金協力・技術協力との役割分担に配慮しつつ引き続き円借款で支援し、「制度整備」についても、ベトナム側の関連分野の動向をみつつ、効果的な支援の方途につき検討する。本案件は、このように三つの柱に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月29日) 供与限度額:
294億2,100万円 |
8 |
プルリア揚水発電所建設計画(III) (インド) |
(1) インドでは慢性的な電力不足が続いており、2004年度は、必要電力量591,373GWhに対する供給不足は▲43,258GWh(▲7.3%)、ピーク時の必要電力87,906MWに対する供給不足は▲10,254MW(▲11.7%)である。電力不足は、産業の発展や生活レベルの改善におけるボトルネックとなっており、インド全土で電力不足の解消が緊急課題となっている。特に本事業の主な裨益対象地である西ベンガル州においては、コルカタ等の大都市や工業地域を抱え、2004年度にはピーク時の電力需要は7.0%の不足が生じており、今後もピーク時の電力需要は年平均約4.6%で増加する見込みである。
(2) 本計画は、上記のとおり開発ニーズが高く、対インドODAの重点目標である「経済成長の促進」に該当し、経済成長の促進等に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
179億6,300万円 |
9 |
バンガロール上下水道整備計画(II-2) (インド) |
(1) インド南部カルナタカ州の州都バンガロール市は、人口約570万人(2001年)を擁する都市であり、インドにおけるIT、電子機器、機械部品等の産業拠点として急速な成長を遂げている。しかし、同市は年間降水量が少なく、同市の上水供給量は急増する需要に対して対応することができず、現状の給水時間は隔日で1日平均6時間に過ぎない。特に、工業用水等は需要の3分の1が満たされるのみであり、不足分は地下水汲上等で補わなければならないことは、同市の産業立地上の課題となっている。今後とも、同市の人口増加に合わせた生活用水の需要増加や産業成長による工業用水の需要増加が見込まれていることから、同市における上水道整備が急務となっている。また、下水道処理施設も、現在の処理容量は408MLD(2003年)であり、今後見込まれる下水量の増加に対応するには不十分である。
(2) 本計画は、上記のとおり開発ニーズが高く、対インドODAの重点目標である「経済成長の促進」及び 「貧困・環境問題の改善」に該当し、経済成長の促進と貧困・環境問題の改善に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
283億5,800万円 |
10 |
地方電化計画 (インド) |
(1) インドにおいては、世帯電化率の向上が電力セクター改革における課題の一つである。特に地方部においては、世帯電化率が低く(地方部の世帯電化率:43.5%、都市部の世帯電化率は87.6%(2001年))、地方部における生活水準の向上や経済活動の活性化に支障を来たしている。特に、村落電化済みである地域における住民は、学校・灌漑設備等の共用施設での電気の利用を通じて電気の有用性を認識しており、世帯電化を推進することによって家事労働を電化して負担を軽減させることや、農業及び農業関連産業における電気利用により農業生産性を向上させること等についての需要が比較的高いことが見込まれる。
(2) 本計画は、上記のとおり開発ニーズが高く、対インドODAの重点目標である「経済成長の促進」及び 「貧困・環境問題の改善」に該当し、経済成長の促進と貧困・環境問題の改善に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
206億2,900万円 |
11 |
バンガロール・メトロ建設計画 (インド) |
(1) インド南部カルナタカ州の州都バンガロール市は、インドにおけるIT、電子機器、機械部品等の産業拠点として急速な成長を遂げ、バンガロール市への人口と産業の集中が進んでいる(人口 300万人(1981年)→570万人(2001年))。一方、バンガロール市内の交通手段は、バス又は車であり(人の移動の49%がバス、51%が車(2003年))、バス・車・オートリキシャー等の登録台数も急増している(33万台(1986年)→256万台(2004年))なかで、既存の鉄道(国鉄)は都市間の長距離輸送のみを行っていることから、市内道路は交通渋滞を来たしている(車の旅行速度は平均時速10~12キロメートル)。今後、人の移動回数は2011年には2003年の約4割増となることが予想されており、交通渋滞及びこれによって引き起こされる自動車公害の深刻化が懸念される。
(2) 本計画は、上記のとおり開発ニーズが高く、対インドODAの重点目標である 「経済成長の促進」及び 「貧困・環境問題の改善」に該当し、経済成長の促進と貧困・環境問題の改善に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
447億400万円 |
12 |
マラケシュ‐アガディール間高速道路建設計画 (モロッコ王国) |
(1) 本案件は、同国高速道路網の南北ルートの終点に位置するものである。本高速道路の完成により、同国の交通需要増加に対応するといった直接的な効果にとどまらず、ジブラルタル海峡を隔てて、ヨーロッパ大陸とモロッコ有数の生産・観光拠点であるマラケシュとアガディールが結合されることにより、観光需要の増加、国内物流のみならず欧州・アフリカ諸国等との交易の促進等の波及効果が期待される。
(2) 本案件は、マラケシュ~アガディール間全長234キロメートルの高速道路を建設する大規模なプロジェクトであり、我が国はアルガナ~アムスクルッド間46キロメートル分を担当し、他の区間及び全区間の標識設置等を担当するアフリカ開発銀行、イスラム開発銀行、アラブ経済社会開発基金、及びアラブ経済開発クウェート基金からなる他のドナーと協調しながら支援を行うことになっている。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
177億円2,600万円 |
13 |
サンホセ首都圏環境改善計画 (コスタリカ共和国) |
(1) コスタリカは自然保護区の維持拡大、エコツーリズムの推進等により環境立国を謳っており、「国家開発計画(2002年~2006年)」においても「環境と調和」を重要な柱として掲げている。特に上下水道整備は国民の生活環境改善を図るための重要セクターと位置付けられている。
(2) コスタリカにおける上水道普及率は全国平均で89%(都市部98%)に達しているが、下水道普及率は全国平均で21%(都市部34%)に止まっている。現在、サンホセ首都圏(人口約127万人)の下水道普及率は45%となっているものの、下水管網の多くは老朽化等により随所で破損して汚水が市街地を流れる河川・水路に漏れ出ている他、下水幹線にて集められた汚水は未処理のまま河川に放流されており、深刻な環境汚染をもたらしていることから、本事業は首都圏市民の生活・衛生環境の改善に有効であると考えられる。
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有償資金協力の実施
交換公文の締結
(平成18年3月31日) 供与限度額:
150億100万円 |