省庁共通公開情報

II 事前評価

政府開発援助(ODA)

 平成17年度においては、政策評価法第9条及び施行令第3条5に基づき、10億円以上の無償資金協力案件(17件)及び150億円以上の有償資金協力案件(13件)について、協力の実施が適切かどうかについて、協力の必要性や、我が国の基本政策との関係、協力の成果目標(アウトカム)等の観点から事前評価を行った。個別案件の評価結果概要は以下のとおり。

(1)無償資金協力案件

No. 政策の名称 政策評価の結果の概要 政策評価の結果の政策への反映状況
1 タウンサ堰水門改修計画
(パキスタン・イスラム共和国)
(1) ゲート開閉がスムーズとなり増水時の周辺堤防の崩壊・堰自体の崩壊の危険性が軽減される。
(2) 堰による取水量が確保されることにより、周辺地域により安定した灌漑用水が供給される。
(3) バルクヘッドゲート等の供与により必要に応じた維持管理が行うことができるようになり、堰の安全性が向上する。
(4) 本件の実施でパキスタン国民の経済環境が向上することにより、我が国とパキスタンとの友好的な二国間関係を増進させる。
→ パキスタンは、高い人口増加率、低い識字率、失業の増大、エネルギーの不足、財政赤字等困難な経済社会問題に直面しながら積極的に国内開発・貧困削減に取り組んでおり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年4月30日)

供与限度額:
51億6,500万円
2 ファイサラバード上水道整備計画(2/2)
(パキスタン・イスラム共和国)
(1) ファイサラバード市民に対し、24時間給水による上水道が安定的に供給される。
(2) 安全な飲料水の供給により、肝炎、下痢、チフス等の水因性疾患が減少し、保健・衛生環境が改善する。
(3) パキスタンとの二国間関係を増進させる。
→ パキスタンは、高い人口増加率、低い識字率、失業の増大、エネルギーの不足、財政赤字等困難な経済社会問題に直面しながら積極的に国内開発・貧困削減に取り組んでおり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年4月30日)

供与限度額:
32億2,800万円
3 サメ・アイナロ上水整備計画
(東ティモール民主共和国)
(1) サメ、アイナロの給水率が27%から71%、66%から97%に増加する。
(2) 施設が整備されることにより、浄水施設の適切な維持管理が可能となる。
(3) 水因性疾患の発生が抑制され、地域の保健衛生の改善が期待される。
(4) 上記のような貢献によって二国間関係が増進される。
→ 東ティモールは低所得国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。本案件はサメ及びアイナロでの水供給状況を改善するものであり、浄水施設の適切な維持管理と保健衛生の改善が期待されるため、本案件による効果は大きい。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月13日)

供与限度額:
10億6,400万円
4 カブール国際空港ターミナル建設計画
(アフガニスタン)
(1) 人の往来・物流が促進されることでアフガニスタンの復興支援が着実に実施される。
(2) 本計画によるターミナルが国際線専用、既存のターミナルが国内線専用となることで、対テロ対策として出入国管理等の安全対策を講じることが可能となる。
(3) 本計画により搭乗手続き、出入国手続きの時間が大幅に短縮され、人や物の往来が促進される。
(4) 上記の貢献によって、二国間関係が増進される。
→ アフガニスタンは低所得国であり、本件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。内陸国であるアフガニスタンにおいて、航空分野の復興は同国とドナー国との間の人・物の円滑な流れを確保し、復興支援を着実に実施するために不可欠であり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月18日)

供与限度額:
30億円
5 第二次橋梁架け替え計画
(ブータン王国)
(1) 3橋梁の通行可能車両が2軸トラックから3軸以上のトラック、トレーラまで拡大するため、物流の円滑化が図られる。
(2) 道路交通機能の改善により、移動時間の短縮及び物資やサービスのコスト縮減が図られる。
(3) 地域住民の生活物資の輸送、通学、通院が容易となり、住民生活が向上する。
(4) 農作物・畜産物の迅速な出荷が可能となるため、周辺地域の経済の活性化が促進される。
(5) 上記の貢献によって二国間関係が増進される。
→ ブータン国は低所得国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。幹線道路上の3橋梁(ワクリタル橋、タンマチュー橋、スンコシ橋)は、老朽化のため、通年にわたり主要道路の交通を確保し、国土全体の均衡ある発展を目指す上で障害となっており、本案件を実施することによる効果は大きい。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月27日)

供与限度額:
13億200万円
6 第三次幹線道路改修計画
(エチオピア連邦民主共和国)
(1) 同国最大の穀倉・畜産地帯への信頼できるアクセスが確保されることによって、農業開発を促進するとともに、農産物流通を活性化する。
(2) 輸送コスト低減(走行費用の低減、交通事故の減少等)により物流が円滑化され、エチオピア国内の主要農産物の80%が生産されている対象地域の経済活動が活性化される。
→ エチオピアは後発開発途上国であり、本件の実施を同国政府は高い優先順位を付して要請してきている。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月27日)

供与限度額:
48億3,200万円
7 マナンピティア新幹線道路橋梁建設計画
(スリランカ民主社会主義共和国)
(1) 道路専門橋の建設によりボトルネックが解消され、ポロンナルワからバティカロア間の通年交通の確保と人の移動・物流が改善され、交通量が増加する。
(2) 対面交通が可能になり滞留時間が解消されるとともに、鉄道橋と分離することで道路交通の安全性が確保される。(列車通過時の車輌の滞留時間(1日当たり80分)、交互通行による車輌の滞留時間(1日当たり180分)の解消。車輛走行速度の高速化(1時間当たり10~15キロメートル→1時間当たり40~50キロメートル)
(3) スリランカ有数の穀倉地帯であるシステムC地区から西部地域への輸送ルートが改善されることで、同地域の社会経済の発展に寄与するとともに、スリランカ東部(バティカロア県:人口50万人)に至る交通の要衝であることから同地域の経済開発にも資する。
(4) 上記の貢献によって、二国間関係が増進される。
→ スリランカは低中所得国であり、本案件の実施について、同国政府より高い優先順位を付して要請が行われている。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月27日)

供与限度額:
10億4,300万円
8 ベイラ港浚渫能力増強計画
(モザンビーク共和国)
(1) 浚渫船の増強により、大型船舶の出入港時に必要な水深8メートルの維持が可能となり、船舶の出入港時間(潮待ち時間)が短縮され、座礁などが減少する。
(2) ベイラ港に寄港する船舶の大型化、船舶数及び取扱貨物の増加により、モザンビークの物流及び経済の活性化をもたらすことが期待される。
(3) ベイラ港は、南部アフリカの重要路線の一つであるベイラ回廊の玄関口であることから、同回廊の物流が増大し、ジンバブエ、マラウイ、ザンビア等の内陸諸国の活性化が期待される。
(4) 上記の貢献によって、二国間関係が増進される。
→ モザンビークは後発開発途上国であり、本案件の実施について同国政府から高い優先順位を付して要請が行われている。大型船の入港制限等によりベイラ港が十分に機能していないことは、モザンビークにおける流通が停滞し、同国経済の発展の足かせとなっており、本案件を実施する効果は大きい。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年5月30日)

供与限度額:
21億6,600万円
9 サン・ファンデル・スル漁業施設整備計画
(ニカラグア共和国)
(1) 水揚げ岸壁が延長されることにより、これまで2時間以上要した水揚げ時間が30分程度に短縮され、鮮度がより保持された漁獲物を水揚げすることが可能となる。
(2) 水揚げから荷捌きまでの行程を港内で行うため、漁獲物の鮮度が保持されるとともに、一般消費者への衛生的な魚介類の供給が図られる。
(3) 製氷施設から廉価な氷を購入できること、また鮮度を保った魚介類を高値で販売できることから、零細漁業者の経営状況の改善が図られる。
(4) 本計画の実施により、わが国とニカラグアの友好関係が促進される。
→ ニカラグアは低所得国であり、本件の実施を同国政府は高い優先順位を付して要請してきている。また、国際捕鯨委員会においても、科学的な調査に基づく海洋生物資源の持続的利用の観点からわが国を支持する等、水産分野で良好な関係にある。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年6月4日)

供与限度額:
11億9,600万円
10 シンズリ道路建設計画(第二工区)(3/3)
(ネパール王国)
(1) テライ平原側と首都カトマンズとの間の走行距離の短縮(約200キロメートル減)が可能となり、これまで往復2日間を要したカトマンズと中部テライ地域を1日で往復可能となる。
(2) 農業生産地と市場の間のアクセス改善により地域の経済開発が促進される。
(3) 現地資材及び現地建設業者の採用により雇用機会が創出されるとともに、道路橋梁建設の技術移転がなされる。
(4) 上記の貢献によって、二国間関係が増進される。
→ ネパールは後発開発途上国であり、本案件の実施について同国政府から最優先案件として要請が行われている。主要農業産地である東部テライ平原から首都カトマンズへの現在の主要ルートは大きな回り道であり、本案件により、農業生産地と市場の間のアクセス改善となることから、実施することによる効果は大きい。
無償資金協力の実施

交換公文の署名 (平成17年6月9日)

供与限度額:
25億8,800万円
11 カンダルスタン灌漑施設改修計画
(カンボジア王国)
(1) 1,950ヘクタールの農地へ灌漑用水の安定的供給が確保され、水稲の単位収量が在来種については現行の1ヘクタール当たり1.8トンから1ヘクタール当たり3.0トンへ増加するとともに、早稲の二期作が可能となる(計画単位収量1ヘクタール当たり4.0トン)。
(2) 灌漑用水の安定的供給によって13,400人(2,800戸)の農業人口が直接裨益するとともに、裨益農民の間で二次・三次水路の建設、水利組合の設立、灌漑施設の維持管理等への参加意欲が高まって、当該農村部の経済社会開発が促進される。
(3) カンボジア王国との二国間関係を増進させる。
→ カンボジアは内戦、貧困等困難な政治・経済社会問題に直面しながらも、積極的に経済発展のための諸改革に取り組んでおり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年6月10日)

供与限度額:
17億4,000万円
12 ヨルダン渓谷北・中部給水網改善・拡張計画
(ヨルダン)
(1) 対象区域における上水道施設が改善され、一人あたりの給水量の増量(1日1人当たり114リットルから1日1人当たり129リットルへ)を通じ、地域住民(対象区域の人口は約10万人)の生活環境が改善される。
(2) 送配水システムが適正に運営維持管理され、ヨルダンの希少な水資源の効率活用が可能になる。
(3) アスベスト管が使用されなくなることから、住民の健康への不安が解消する。
(4) 本件の実施でヨルダン国民の民生環境が向上することにより、我が国とヨルダンとの友好的な二国間関係を増進させる。
→ ヨルダンは深刻な水供給問題を抱える低中所得国であり、本案件の実施につき、同国政府より高い優先順位を付して要請がなされている。本案件の実施により、ヨルダンの希少な水資源の効率活用が可能になり、同国貧困地域での生活環境の改善が図られる。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年6月30日)

供与限度額:
20億1,100万円
13 学校建設計画(第2期)
(アフガニスタン)
(1) 対象21校において児童に新たに良好な学習環境が提供される他、2部ないしは3部授業が解消され、1教室当たりの児童数も減少して学習環境が改善される。
(2) 対象校の全てに計31棟の便所が設置され、衛生的な学習環境が整備される。
(3) 職員室・教材倉庫等の施設、机・椅子・戸棚等の備品の充実により効率的な学校運営、ひいては教員の能力向上が図られるとともに、付属教材の調達によって学習効果が向上する。
(4) 上記の貢献によって、我が国とアフガニスタンとの間の二国間関係が増進される。
→ アフガニスタンは低所得国であり、本件の実施について、同国政府より高い優先順位で要請が行われている。復興段階にあるアフガニスタンにおいて、教育アクセス拡大のための学校建設は極めて重要であり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年7月6日)

供与限度額:
10億2,200万円
14 ケツァルテナンゴ飲料水供給計画(2/2期)
(グアテマラ共和国)
(1) 慢性化している給水時間制限、給水量不足、給水圧不足等の問題が改善される。裨益人口は8万人。
(2) 機材調達とソフトコンポーネントの実施によって実施機関の経営改善のための体制が整う。
(3) 本計画の実施を通じた地方の開発への貢献により、わが国とグアテマラの二国間関係が促進される。
→ 本件を実施することにより、首都と地方の格差、貧富の格差、先住民系住民への基礎サービスの提供の改善に寄与し、もってグアテマラの平和の定着に貢献することが可能となる
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年6月21日)

供与限度額:
10億4,800万円
15 ビエンチャン1号線整備計画(第1期)
(ラオス人民民主共和国)
(1) 走行性が改善され、また低速車線又は混合車線を設置し、交通整流を図ることにより、都心部(シカイ~チナイモ間12.3キロメートル)の通過所要時間が短縮され(約30分→21分)、幹線道路としての機能が向上する。
(2) 歩道、バス停、駐車帯、横断歩道、信号機、街路灯、標識等の附帯設備が整備されることにより、安全な交通が確保され、生活道路としての機能が向上する。
(3) 冠水日数・時間が減少することにより、人および物の流通が改善される(現状冠水回数 平均1年当たり73回、平均1回当たり3時間)。
(4) 幹線道路として機能が向上することにより、物的・人的交通が促進され、社会・経済活動が活性化する。
(5) 冠水が減少することにより、沿道の保健・衛生環境が改善される。
(6) 上記協力により、二国間関係が促進される。→ 対象道路は、ラオスにおける最重要幹線道路であり、同国政府より最優先順位を付して要請されている。本案件の実施により安全な交通が確保され、生活道路としての機能が向上する。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年7月27日)

供与限度額:
20億9,200万円
16 環境監視システム整備計画
(パキスタン・イスラム共和国)
(1) 大気汚染・水質汚濁測定が実施されることにより、パキスタンの環境の実態が把握できる。
(2) 測定された環境データが分析されることにより、パキスタンの現状にあった環境基準が策定され、効果的な環境対策が採られる。
(3) 本件の実施でパキスタンの環境が改善されることにより、我が国とパキスタンとの友好的な二国間関係を増進させる。
→ パキスタンは、高い人口増加率、低い識字率、失業の増大、エネルギーの不足等困難な経済社会問題に直面しながら積極的に国内開発・貧困削減に取り組んでおり、無償資金協力の必要性が高い。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年8月10日)

供与限度額:
12億3,800万円
17 地方都市上水施設改善計画
(ネパール王国)
(1) 地方3都市の住民約5万7千人による安全な飲料水の利用が可能となる。(2014年時の目標)
(2) 水系を起因とする病気の減少が促進される。
(3) 安全な飲料水を供給する上水施設運営に関する技術移転がなされる。
(4) 本計画の実施によって、我が国とネパールとの間の二国間関係が増進される。
→ ネパールは、後発開発途上国であり、同国政府は本案件の実施を高い優先順位を付して要請してきている。本案件により、雨期時の高濁度や鉄分含有などの水質を改善することにより、住民に対し安全な飲料水を供給することが可能となることから実施する効果が高い。なお、本案件により、ネパールにおけるマオイスト問題の根底にある貧困問題・社会不平等などの軽減に大きく貢献するものとなることが期待される。
無償資金協力の実施

交換公文の署名
(平成17年12月7日)

供与限度額:
11億2,400万円
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