政策名 | 対ケニア国別援助計画(2000年8月~) | ||
評価の目標 | 我が国の対東アフリカ援助の拠点国の一つとして、その発展を支援し、良好な二国間関係の更なる強化を図る。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)目標の妥当性の視点については、「対ケニア国別援助計画」よりも後に策定されたケニア側の国家開発計画である「富と雇用創出のための経済再生戦略(ERS)」(2003年)、及び同戦略を改善及び具体化した「富と雇用創出のための経済再生戦略-投資プログラム-(IP-ERS)」(2004年)を踏まえ、今後に向けた我が国の方針の在り方を検討する。我が国として、1)ケニア政府が前政権時代の開発計画から継続的に重視している財政戦略、金融セクター改革をどう位置付けるか、2)ケニアにとっても最優先課題であり、また援助における国際的な最優先課題である貧困削減をどう位置付けるか、3)ケニア政府における前政権時代からの負の遺産でもある汚職の問題(政府のガバナンス問題)をどう位置付けるか、4)我が国として具体的な案件も実施してきた生態系保護、森林の保護・造成などの分野を今後はどのように考えていくのか、5)人口問題を今後も取り上げていく必要があるのか、という視点が重要である。
(2)成果の有効性の視点については、我が国としての重点分野を厳正に絞り込んで、「国別援助計画」の有効性を高めていくことが求められる。「選択と集中」をより効果的に進めるためには、開発課題とその解決手段との関係を明確にする「目標体系図」を計画策定の段階にて作成し、また、セクター毎ではなく「開発課題」によるセクター横断的な重点分野を設定することを検討する。
(3)ケニアの東アフリカ地域重視の姿勢、特に関税同盟のみならず幅広い分野での域内協働を進める「東アフリカ共同体」の重視の姿勢を踏まえて、東アフリカ地域内への波及効果も視野に入れながら、我が国としての政策を立案する。
(4)ケニアのオーナーシップや自助努力を重視しつつ、ODAのインパクトを全国的に波及させるために、援助形態の多様化(プログラム化、SWAPs、援助協調など)、広域性の確保につながる戦略的かつ継続的な案件実施、(案件形成・実施の前提となる)ベースライン調査やモニタリングを恒常的に実施することなどが考えられる。
(5)より柔軟性が高く機動的な援助を実現するために、有償・無償・技術協力という各援助スキームの一層効果的な組合せによって全体的な効果創出を可能とするプログラム型案件形成を重視する。
(6)相手国の政権交代など急激な環境変化が内外に発生した際に、それに柔軟に対応しうるような仕組み、また計画の進捗状況を把握して必要な改善を施していけるような仕組みを検討する必要がある。そのためには、「国別援助計画」の中間段階でのレビューを実施し、必要な軌道修正を行う仕組みを構築する。
|
政策名 | 対セネガル国別援助政策(1995年3月~) | ||
評価の目標 | 我が国の対西アフリカ援助の中心国として、セネガルの発展を支援し、良好な二国間関係の更なる強化を図る。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)今後対セネガル国別援助計画が策定される際には、援助の一貫性、透明性、予測可能性、効果を高めるために上位目標を明示するとともに、セネガル自身の開発目標に沿って、定性的又は可能な場合は定量的な目標を明確に設定する。
(2)セネガルにおける日本の援助効果を高めていくために、セネガルの開発ニーズ、日本の実績及び比較優位性、他ドナーとの援助協調の余地等を勘案した、重点分野の絞り込みを検討する。
(3)効果的・効率的な援助実施の為に、他ドナー及びNGOとの連携等各種連携を強化していくことが望まれる。また、西アフリカ及び仏語圏アフリカの中心国というセネガルの優位性を活かし、地域内の南南協力を一層推進していくことを検討する必要がある。
(4)セネガルのオーナーシップを高め、両国間のパートナーシップを強化すべく、セネガル側と開発協力に関する中期的枠組み合意の実施、枠組み合意に準拠した国別援助計画の策定を検討する。
(5)上記枠組み合意や国別援助計画の策定・見直しに際し、ハイレベルの政策協議を開催することを検討する。ハイレベル協議では、現地ODAタスクフォースの主体性を尊重しつつ、必要に応じて外務本省やJICA本部からもハイレベル参加が行えることが望ましい。
|
政策名 | 対タンザニア国別援助計画(2000年6月~) | ||
評価の目標 | 我が国の対東アフリカ援助の拠点国の一つとして、その発展を支援し、良好な二国間関係の更なる強化を図る。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)限られた援助資源を有効に活用するためには、「国別援助計画」を戦略的に策定することが重要である。日本の優位性を踏まえ、選択と集中を図った援助内容とする。具体的には、日本が注力する分野・課題を明らかにし、ODA大綱や中期政策にも示されているように、より横断的な課題別の視点で臨むとともに、さらに各注力分野・課題間でも優先順位を確認しておくことが重要である。
(2)タンザニア次期「国別援助計画」の策定に当たっては、一般的な理念や方向性に加えて、先方政府が設定する戦略目標を十分に考慮した上で、定量的もしくは定性的に測定可能な戦略目標を設定し、その上で、可能な範囲で、設定時間内で目標を達成するために必要な投入(インプット)、具体的な達成方法、見込まれる結果(アウトプット)、及び成果(アウトカム)を明らかにできるようにすることが望ましい。
(3)現在進行中の援助協調の流れは、それ自体が目的ではなく援助の目的・目標を達成するための手段の一つとしてとらえることが重要である。その上で、日本がどのようにこの流れに対応するのかを示す基本方針を明らかにすることが求められよう。具体的には、「政策」、「資金利用」、「手続き」の各側面で日本の基本的認識を明らかにし、それらを基に、重点分野・課題との関連で、それらをどう組み合わせていくのかを明らかにする必要がある。実施において、日本がリードをとる分野・課題かどうか、一般財政支援、セクターコモンバスケット支援、プロジェクト型支援のいずれを選択するのか、が明確にされなければならない。また、スキームの拡大やスキーム間の有効活用、コモンバスケットへの投入も可能な費目の整備等の検討も必要と思われる。
(4)援助協調も含め援助の効果的実施の点から、組織力の強化と職員の能力開発を体系的計画的に行うことが重要である。企業や大学との提携、青年海外協力隊員やインターンの活用、教育訓練による知識・スキルの向上等、従来のやり方にとらわれない柔軟な発想をもって問題に対処することが重要である。
|
政策名 | 対カンボジア国別援助計画(2002年2月~) | ||
評価の目標 | カンボジアの復興と経済社会開発努力を支援し、カンボジア及びアジア地域の安定と繁栄に寄与する。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)NSDP(国家戦略開発計画)はその後新たに改定されているため、次の国別援助計画改定においては新たなNSDPとの整合性をとることが必要である。新たなNSDPでは、最大の課題を「貧困削減」に据え、カンボジアのMDGsであるCMDGsの達成を目標としている。我が国は、NSDPへの策定過程にも参加しており、次の国別援助計画では、NSDPの目標、具体的には「CMDGs達成への貢献」を上位目標とする体系図の策定の可能性も検討すべきであろう。
(2)カンボジアの国別援助計画では、重点課題が上位目標に対し4つの分野横断的な課題として設定されているが、援助の効果をより明確にするためには、次の計画改定の際には、目的と手段の論理関係の整理をより明確にすることが望ましい。
(3)今後、よりメリハリのある援助を実施するためには、支援分野の間、または支援分野におけるサブセクター(保健分野であれば感染症対策など)の間での優先順位づけの検討も念頭に入れる必要がある。優先順位づけの基準は、例えば、外交上の必要性、経験や知識面での日本の比較優位性、他ドナーとの連携による相乗効果の余地等を勘案して、優先分野を確定することが有効である。
(4)プノンペンーシハヌークヴィル間は、観光地として成長するシアムリアップや、産業拠点としての開発が期待されるポイペト等の国境地域と並び、現在カンボジア経済成長の原動力となる成長回廊と見込まれており、わが国の支援は民間セクター開発に繋がる効果が期待できる。こうした特定地域への選択と集中を通じた支援も状況に応じて援助の手法として採用する。
|
政策名 | 平和の構築に向けた我が国の取組の評価―アフガニスタンを事例としてー | ||
評価の目標 | 紛争下の緊急人道支援、紛争の終結を促進するための支援、紛争終結後の平和の定着や国づくりへの支援等、紛争サイクルのあらゆる段階で被害の緩和に貢献する。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)平和構築支援全般の総合調整を可能とするような外務省内の体制を整えることが望ましい。
(2)平和構築支援においては変化の激しい現地のニーズへ対応するための迅速性が重要であることから、現地大使館の能力強化及び現地判断の重視を目指すことが望ましい。
(3)紛争後の自立的かつ持続的な平和国家・社会の構築を支援するためには、現地政府・社会の能力形成を重視した援助が必要である。
(4)現地大使館等に専門知識と経験を有する十分な数の担当官が必要であるため、そのような人材の育成と人材の適時な派遣を可能とするメカニズムの強化を目指すことが望ましい。
(5)平和構築援助は多くの場合、危険地での活動を前提としているため、活動従事者の安全を確保しつつ、援助の円滑・効率/効果的な遂行を促すため、政府として安全対策体制を整備しておく必要がある。
|
政策名 | 貧困削減に関する我が国の援助政策 | ||
評価の目標 | 途上国の教育、保健医療・福祉、水と衛生、農業などの分野への支援を通じ、貧困削減に寄与する。また、途上国の持続的成長、雇用の増加及び生活の質の改善に貢献する。 | ||
評価を踏まえた今後の取組 | (1)我が国の東アジア地域に対する支援によるインフラ基盤整備等を進め、同地域の経済成長に貢献すると共に貧困削減に寄与したことは広く認知されている。我が国はこうした成果の国内外への広報に引き続き取り組むと共に、他地域への適用の可能性につき検討を深める。
(2)対ベトナム支援の好例に見られるように、特定地域に集中して我が国援助スキーム間の連携を促進し、援助の相乗効果(プログラム化)を図ることを推進する。
(3)我が国が比較優位を有する部分と他ドナー・国際機関、あるいはNGOが比較優位を有する部分との連携を強化し、援助の効果向上を図る。
(4)援助の「選択と集中」を図るため、被援助国の状況に合わせた援助モデルを構築するよう努める。
(5)我が国の貧困削減に向けた取組を国内外(含:ドナーコミュニティ)で積極的に発信する「声が聞こえる援助」を推進する。
(6)貧困削減に係わる各種分野別イニシアティブを踏まえて事業計画を立案する。
|