省庁共通公開情報

I. 平成18年度の政策評価の概観と評価の改善点

1.外務省の政策評価

(1)政策評価制度の導入

 我が国の政策評価の制度は、平成9年12月の行政改革会議の最終報告で、行政機関が行う政策が効果を上げているかどうかを評価し、その結果を将来の政策の企画立案に結びつける仕組みを強化すべきだとの提言があったことをきっかけとして検討され、平成13年(2001年)1月、中央省庁等改革の大きな柱の一つとして、国民本位の効率的で質の高い行政の実現などを目的として導入された。同年6月、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(以下、政策評価法)」が制定され、平成14年4月1日から施行された。この法律によって、すべての府省が、自らの行った政策について評価を行うことが義務づけられた。

(2)政策評価に関する基本的方針(基本計画・実施計画)

 外務省は、政策評価法の制定・施行を受け、平成14年度から政策評価を実施している。外務省は、政策評価法及び関連の閣議決定に基づいて、「外務省における政策評価の基本計画」(計画期間は平成17年から19年まで。以下「基本計画」。)および「外務省事後評価平成17年度実施計画」(平成17年4月1日から18年3月31日まで。以下「実施計画」。)を定めている。政策評価はこれらの計画に基づいて実施されている。
 基本計画は、外務省における政策評価の基本的事項を定めている。この基本計画は、3年~5年の期間中、外務省が行う政策評価の目的、実施に当たっての基本的考え方、実施体制、政策への反映、情報の公開などの基本的事項等を定めている。毎年作成する実施計画は、政策評価の実施上の具体的項目、例えば対象となる施策、施策の目標、事務事業等を定めている。

(3)外務省の政策評価の実施体制

 外務省が行う政策評価は、一次評価を個別の施策を所管する各局課(以下「施策所管局課」)が担当し、その二次評価を評価総括組織(考査・政策評価官、官房総務課、会計課、及び総合外交政策局総務課、政策企画室)が担当することになっている。

(イ)施策所管局課

 各施策所管局課は、毎年度の実施計画に基づき、それぞれの局課が担当する外交政策について、年度末の時点で1年を振り返って自己評価を行う。施策所管局課は、主に過去1年間の取組実績やその成果を施策の目標と照らし合わせ、目標に向けた進捗状況を中心に分析、評価する。

(ロ)評価総括組織 (考査・政策評価官、官房総務課、会計課、総合外交政策局総務課、政策企画室)

 評価シートについては各施策所管局課が作成している段階から考査・政策評価官室が助言・意見交換を行うとともに、とりまとめ作業を行う。とりまとめ後に考査・政策評価官は、官房総務課や会計課、総合外交政策局とともに、施策所管局課の評価が厳格かつ客観的に行われているか、評価対象施策は今後どのような方針をとるのが適当かといった観点から審査を行う。。

(ハ)第三者の知見の活用

 政策評価法では、各府省の自己評価が原則となっているが、評価の客観性を確保するために、第三者の知見を活用することが求められている。外務省でも、平成15年度から、政策評価法第3条第2項の規定に基づき、政策評価の厳格かつ客観的な推進のために、学識経験を有する者からの意見聴取の仕組みとして、政策評価および外交に関する有識者からなる「外務省政策評価アドバイザリー・グループ」(下記2.(3)参照)を設置している。アドバイザリー・グループには、外務省の評価方法の適正性や、基本的な方針などの策定・改定について意見を求めるほか、評価結果についても意見を聴取している。この他、施策所管局課が自己評価を行った際にも、当該評価または評価対象施策について、有識者よりの意見聴取を進めている。

2.平成18年度の政策評価書における評価の枠組みと改善点

(1)基本計画の改定

 外務省は、政府全体の政策評価の指針となっている「政策評価に関する基本方針」の改定(以下「基本方針」、平成17年12月16日閣議決定)を受け、 平成18年2月17日、外務省における政策評価の基本計画を改定し、公表した。
 計画期間を平成17年度から19年度までとした。改定の内容は、上記「基本方針」(平成17年12月16日閣議決定)を踏まえ整理したものであり、外務省の政策評価の目的、方向性、評価方式、省内の体制等に言及している。具体的には以下のとおりである。

(イ)評価方法

 施策の目標に向けての進展の有無、実績の測定を具体的な指標をもって評価する。但し、外交政策の特性上、定量的な指標は限られたケースを想定している。

(ロ)予算との連携強化への対応

 評価結果と予算との連携を確保する観点から、施策所管課室が実施した評価 結果に対して、評価総括組織として総合的な審査を行うなど、大臣官房会計課の役割を明記した。

(ハ)その他

(2)17年度を対象とした実施計画の概要

 平成16年度を対象とした評価の経験と、「基本方針」の改定等評価に関する政府全体の動きを踏まえ、評価の重点化・効率化と予算との連携強化を念頭に置き17年度を対象とした実施計画を策定した。具体的には以下に配慮した。

(イ)評価の重点化・効率化への対応

(ロ)予算との連携強化への対応

 平成19年度を対象とした政策評価から本格的に導入される、事後評価に馴染む「予算書・決算書の表示科目」の設定に鑑み、主要な予算が各施策に貼り付けられるよう、また、年ごとに施策名が変更しないよう留意した。

(ハ)政府開発援助

 政府開発援助については、第三者により実施された「政策レベル評価」(国別評価及び重点課題別評価)を踏まえた評価を拡充した。

(3)外務省政策評価アドバイザリー・グループの開催

 平成18年3月8日、添谷慶應大学教授、廣瀬法政大学教授、福田早稲田大学教授、武藤法政大学教授の4名のメンバーが参加した。外務省より「基本方針」の改定を踏まえた外務省の政策評価の進め方、平成17年度を対象とする政策評価の実施についての具体的な方法に関し説明を行い、メンバーの意見を頂き、4月からの評価の実施に役立てた。

4.評価シートの改善点

 施策の目標に向けての進展状況について、事務事業の具体的成果を踏まえて「評価の切り口」(評価の物差し)をもって定性的に評価するという平成17年度の手法を基本的に踏襲しているが、これまでの総務省の指摘、他府省庁の評価シートの例、財務省に提出する評価調書の要領等を踏まえ、以下の点について評価シートの記載事項を変更した。
(1)今までは分散されて記載されることが多かった「必要性」、「有効性」、「効率性」については明示的に記載する欄を設けた。
(2)施策担当課室の評価に対する審査については、平成17年度は別途有識者による「第三者の所見」を求めることを原則とし、以下のとおり行った。
(イ)有識者による「第三者の所見」については、幅広い観点から施策及び施策に対する評価に関する意見を求めることにより、施策担当課室による評価の結果が妥当か否かについて判断できるよう試みた。
(ロ)「評価総括組織の所見」については、施策担当課室の評価が評価の枠組みに従って適切に行われたか否かについて技術的な審査を行った。
(3)毎年の評価にメリハリをつけ、17年度が施策にとってどのような意味をもつのかを明確にするため「平成17年度に実施した政策に係る評価の考え方」を記載する欄を設けた。更に、評価の区切りとして適当な時期(年度)が近い将来で、かつ、時期を明記できる場合には、17年度は暫定的な評価と位置づけることができるという選択肢を設けた。

5.評価の結果

 上記4.(2)を踏まえた、施策担当課室による自己評価の結果は以下のとおりであった。評価の枠組みの活用に関する技術的な所見としては、中期的な施策の目標が多い中、1年間の取組については、具体的な成果が示された、適切な評価が多かったといえる。

 (施策の評価) ODA政策レベル評価を含まない。

施策数「達成」「相当な進展」「進展」「部分的進展」「進展なし」
6422636

 (事務事業の扱い) ODA政策レベル評価を含まない。

事務事業数内容の見直し拡充強化今のまま継続縮小中止・廃止
21467712902

6.今後の改善点

 平成19年度から本格的に実施される予算との連携強化を踏まえ、国民への説明責任(アカウンタビリティー)、業務の自己改革の観点から政策評価を省内に一層定着させ、活用される評価とする。



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