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外務省政策評価アドバイザリー・グループ第9回会合議事概要

1.日時

 平成20年3月4日(火曜日)14時00分~15時35分

2.出席者

(メンバー)
秋月謙吾・京都大学公共政策大学院教授、稲沢克祐・関西学院大学専門職大学院教授、添谷芳秀・慶應義塾大学法学部教授、中西寛・京都大学公共政策大学院教授、廣瀬克哉・法政大学法学部教授、福田耕治・早稲田大学政治経済学術院教授、山田治徳・早稲田大学政治経済学術院教授(五十音順)
(外務省)
山﨑官房総務課長、八重樫考査・政策評価官、齋木官房会計課長、徳田総合外交政策局総務課首席事務官、石田総合外交政策局政策企画室企画官他

3.議題

(1)平成20年度(平成19年度に実施した施策に係る)外務省政策評価書について

(2)外務省政策評価基本計画(案)(平成20年度~24年度)について

(3)その他

4.会合経過

(1)八重樫考査・政策評価官より、議題1の平成20年度(平成19年度に実施した施策に係る)外務省政策評価書について説明を行った。

(イ)平成20年度政策評価書の主な変更点は以下のとおり。

(a)評価と予算の連携強化が本格的に導入されたことを受けて、評価体系(「基本目標」及び「施策」)と予算体系(「項」及び「事項」)をほぼ一致させた。基本目標VIは、経済協力と分野別外交に含まれていた地球規模課題を一本化させた。また、基本目標VIIで分担金・拠出金に係る評価を新たに設けた。ただし、基本目標Vの外交実施体制の整備・強化は、外務省全体に跨る施策であることから、予算書上は特定の「項」を持たないが評価を実施する施策として整理した。

(b)評価の大括りの観点から、局レベルにあたる「施策」レベルの評価を昨年に引き続き実施し、今年は新たに施策レベルの予算額の合計を記載する。

(c)評価結果の判定基準に関し、引き続き5段階評価を実施する。ただし、最下位の「進展しなかった」は選ぶ課室がないことから、「ほとんど進展が見られなかった」として、選びやすくする。

(d)評価の物差しである評価の切り口は、「~の実施状況」「~の度合い」など抽象的な表現が多いことから、「~の増加」「~の高さ」など大小や高低を示す評価の切り口として、定性的な記述であっても可能な限り客観的な記述振りとする。

(e)事務事業の総合的評価では従来どおり5つの分類を使用するが、「内容の見直し」は同量の投入資源で内容を改善するとの本来の趣旨が伝わらず、否定的に受け取られていたことから、「内容の見直し・改善」として、選びやすくする。

(ロ)これに対する委員からの発言ポイント(○で表示)及び外務省出席者側からの発言ポイント(●)は次のとおり。

○自治体の事業評価では、予算と評価の連携において、事業の有効性の向上のために評価事業ごとに予算を組み替えていくはずが、予算執行を優先して、予算事業に合わせるように評価事業を組み替えていくという逆転現象が起こっている。国レベルでは、予算の括りに評価対象施策を合わせているようだが、こうした方法で、予算と評価の連携は適正に機能するかどうか。20年度の取り組みの中で確認していただきたい。

●評価と予算の連携を本格的に導入して1年目であり、評価はこれから行われるので、どうなるか今のところは分からない。

○基本目標VIで、経済協力と地球規模課題(環境問題)が同じ基本目標の下に置かれているが、自治体では全く別物として扱われている。

●外務省では、旧経済協力局が行っていた二国間援助と旧国際社会協力部が行っていた多国間援助を有機的に連携させていくことを目的として、機構改革を行った。環境問題を例にとると、先進国間の協力のみならず途上国との協力も不可欠であることから、これらを評価でも予算書でも一つとすることはごく自然なことと考えている。

○例えば、貿易促進と環境問題など目指す価値が異なる場合、どのようにバランスを見て評価を行うのか。

●貿易促進と環境問題であれば貿易投資の促進のためのwin-winを目指すとの視点で書き表せるが、例えば、核不拡散の観点からイランに対応をすれば、日イランの二国間関係に影響があるように二つの施策の目標が相反し得る場合、評価書では各々の目標を実現するための手段に言及しつつ、お互いの及ぼす効果も含め、記述することになるであろう。

○相反する二つの施策について短期的な優先順位を明らかにし、双方の評価のバランスが狙い通りか結果的に生じたバランスかについて書き表すのが評価書の役割ではないか。総括部分で総合的に述べることになるのではないか。

○基本目標VII-1の国連分担金と基本目標II-5乃至6の国連を通じた取組に関する施策をどのように書き分けるのか。

●前者では、日本が分担金を拠出したことによってどのような効果があったかとの観点から分担金(又は拠出金)そのものに着目し、後者ではより広い観点から書くこととなる。

●我が国からの財政的貢献が当該国際機関の国際社会における地位向上に役立ったかという観点と、各フォーラで日本が具体的に如何なる貢献をしたかという観点は切り分けられると考えている。縦軸と横軸の関係でもあり、より高い次元での施策の目標、施策の実施そして評価に結びつくと考えられる。

○自己評価でありながら、国際機関の予算執行の評価を行うことが適当か。

○欧州評議会のように我が国はオブザーバー参加でありながら財政的貢献を行っている場合、どのような評価を行うことができるのか。

●例えば、WTO事務局の予算執行を評価するのではなく、日本が20%近い分担金を拠出しなければどうなっていたかを考えれば、日本の貢献の度合いを考えやすいのではないか。また、加盟していない機関に対する評価も対象となっている。

○自治体では、病院をはじめとする公共施設の事業評価を積み重ねて評価を行うことが多いが、外務省では重要な要素である在外公館が評価対象となっていない。将来は、在外公館のコストパフォーマンスを経年的に評価してはどうか。

●在外公館は、国内官庁の出先機関とは異なり、本省と一体となって外交を実施しており、現在の評価は本省と在外公館の実態を反映したものであると考えられる。

○外交実施体制強化の施策の中で、限られた資源の中での人材育成についても評価してはどうか。

●検討したい。

○外交とは国をあげて実施するもので、他省庁や民間の関わりにも言及しても良いのではないか。複数省をまとめて外交を考えるのが外務省の役割であり、評価にもそれが表れて良いと思う。

●他省庁の政策もある程度は言及せざるを得ない。実際、イラクへの自衛隊派遣など言及されている施策もある。

○評価を外交政策で如何に活かすかが課題。外務省の政策が国民にどのように役立っているかを示すために、在留邦人の支援など定量的な記述を増やした方が良い。

○総務省による外務省の評価に対するチェックは活かされているか。

●政策評価の点検結果として毎年度取りまとめられて総務省のホームページで公表されている。

○「評価の結果一覧」には、複数年の結果を比較できる表も掲載してはどうか。

●外交は1年で成果を出しにくいことから、継続的に評価を見ることは必要であると考えている。今度、いつかの段階でいくつかの施策についての中長期的な評価を実施すべきであると認識している。

○評価書では冗長な記述が多かったとのことであるが、記述の中に埋もれて分かりづらくなっている数値をグラフ化するなど工夫した方が良い。

○5段階の判定基準を☆印で表す場合、☆1つは等間隔である必要がある。☆☆「一定の進展があった」~☆☆☆☆☆「目標を達成した」はほぼ等間隔であるが、☆「ほとんど進展が見られなかった」と☆☆「一定の進展があった」の間には大きな開きが見られるので、何らかの修正が望ましい。

●検討したい。

(2)議題2の外務省政策評価基本計画(案)(平成20年度~24年度)については、主な変更点として、規制の事前評価の義務付けに伴う変更、予算との連携を踏まえた動きを明記したこと、計画期間を3年から5年へ変更したこと及び新JICA発足時に微修正が予想されることからも見直し条項を新たに設けたことを説明した。

○基本計画案10.(3)において、「評価結果と予算・決算との連携・・・」とあるが、評価結果のみならず、評価と予算の双方のシステムを連携させる趣旨から、「結果」を削除することが望ましい。

●削除する。

(3)八重樫考査・政策評価官より、今年度より経済財政諮問会議による政府の重要政策に対する評価が導入され、総務省の審議会である政策評価・独立行政法人評価委員会が総務大臣に対して「政策評価の重要対象分野の選定等について」の答申を行ったことを説明し、本件は来年度も同様のプロセスで重要対象分野が選定されるであろうとの説明を行った。

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