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外務省政策評価アドバイザリー・グループ第7回会合議事概要

1. 日時

 平成19年1月31日(水曜日) 10時30分~12時20分

2. 出席者

(メンバー)
秋月 謙吾・京都大学公共政策大学院教授、稲沢 克祐・関西学院大学専門職大学院教授、添谷 芳秀・慶應義塾大学法学部教授、中西 寛・京都大学公共政策大学院教授、廣瀬 克哉・法政大学法学部教授、山田治徳・早稲田大学政治経済学術院教授(敬称略、五十音順)
(外務省)
齋木大臣官房会計課長、藤原大臣官房考査・政策評価官、石田総合外交政策局政策企画室企画官、関大臣官房会計課主計室長、吉井国際協力局評価室上席専門官、横地官房総務課総括補佐他

3. 議題

(1) 平成19年度(平成18年度に実施した施策に係る)外務省政策評価書について

(2) その他

4. 会合経過

(1) 冒頭、藤原考査・政策評価官より、多忙な中、委員の先生方に来訪頂いたことに謝意を述べ、新任のメンバーを紹介の後、今回は、平成19年度(平成18年度に実施した施策に係る)外務省政策評価書の作成が主たる議題であるとして、概要次の通り発言した。

(イ)平成19年度の外務省政策評価書作成の基になる実施計画は、主として平成20年度から本格化する予算と評価の連携を念頭に、これまで18あった基本政策目標を6つの基本目標に大括りする等、昨年秋に改訂した。

(ロ)今後、作成する予定の政策評価書についても、次の諸点につき改訂することを検討中である。

1) 評価書の構成(分冊する場合の区切り方)
2) 「評価シート版」の構成(「総括・概要」、「施策の評価」、「事前評価」)
3) 「総括」のとりまとめ方(「重点外交政策を中心とする外交レビュー」の廃止、代わって「評価の概観と評価の改善点」の記述の一層の充実)
4) 「評価要旨」の扱い(「評価結果の一覧」の掲載、各省庁統一書式である「評価書要旨」の作成)
5) ページ数の削減(ODAの評価結果は外務省HP参照とし、その分紙幅を減らす)
6) 施策目標レベルの評価(基本目標IとIIについて実施)
7) 評価結果の記載場所と記述(見やすい評価書を作成するとの観点からの改訂。「進展」の段階をより細かく分類)
8) 評価の考え方(「暫定評価」の扱い方の改訂)
9) 施策の効率性(類型化した表現の導入)
10) 投入資源(分担金・拠出金の記載欄の設置)
11) 評価総括組織の所見(技術的記述に留まっているので廃止。総括において、全般的な所見をとりまとめる中で記述)
12) 第三者の所見(各課の負担軽減に向けた対応)
13) ODA評価シート(他のシートとほぼ同様の内容のシートに改訂。報告書要旨は割愛)
14) 事前評価(案件リストと外務省HPアドレスを掲載)
15) 未着手・未了(改訂シートの使用)
16) 事務事業評価シート(成果重視事業に関する評価シート以外では変更なし)
17) 成果重視事業の評価シート(二次評価での点検項目に対応した項目の記述)

(2) メンバー側からの発言ポイント(○で表示)及び発言に対する外務省側出席者からの発言ポイント(●で表示)は次のとおり。

(イ)「重点外交政策を中心とする外交レビュー」の廃止について

○総務省による「政策評価に関する基本方針」に伴うガイドラインで示された重要政策を評価すべしとの考え方と齟齬が生じないか。「レビュー」を実施しないことにより、評価のルーティーン化・定型化を押し進めることにならないか。
○外交の力点を理解するために、外務省の政策評価書を「重点外交政策」の観点から読もうとする読者も多くいると思う。読み手の理解を助ける方向付けがある方が良い。
○重点項目に対応した「レビュー」を廃止し、主に評価システムについて記述した「評価の概観と評価の改善点」を一層充実させるとの説明に関し、異なる性格の記述を充実させて対応することはイメージしにくい。どのように実施していくのか、方法につき検討が必要である。「評価の概観」の中で、施策の目標との関連を記述することがポイントになるのではないか。
●「レビュー」廃止は、外交青書との整合性についても検討しながら決定した。重複を避けつつ、政策評価の観点に沿った評価書作成を徹底していくとの考えである。後ろ向きに改善するつもりはないが、同時に、どのようなやり方であっても、これが正解というやり方はないと理解している。
●いずれの政策評価がどの重点外交政策と関連づけられるかについて、レファレンスを掲載する等、来る政策評価書でも示したいと思う。コメントを踏まえ、表題や記述の内容に関し、一層工夫していきたい。

(ロ)政策評価書の分冊化

○新たな2分冊の厚さはどうなるのか。まとまった記述で簡便に外務省の政策評価を読みたいという読者がいる一方、辞書的な資料を必要とする読者もいる。厚めの評価書が2冊になるよりは、ハンディな厚さの評価書もある方が良いのではないか。
○評価のユーザーをどこに置くかとの問題がある。中には分厚い評価書を望むユーザーもいる。それらユーザーからのフィードバックをもらい、次年度以降の評価書の向上に役立ててはどうか。また、一貫したユーザー像があった方が良いのではないか。
●政策評価書については、外務省HPにも掲載し、掲載した直後はアクセス件数が大幅増加するなど、好評を博している。いずれにせよ、最終ユーザーは一般国民であると考え、それらの方々の関心、アクセシビリティを確保することが最低限確保すべき水準と考えている。

(ハ)平成19年度(平成18年度施策が対象)政策評価書の構成(案)

○「進展した」か否かの区切り方が肯定的な方向に傾いているのではないか。また、サブ(政策の中身)の評価が主になっているが、外務省の政策の大きな部分を占めるロジやサブロジ(政策の中身のみならず、政策実施のための各種支援業務)の評価についても検討してはどうか。
●ご意見を反映させた評価書となるよう努力したい。

(ニ)外交青書との関係

○政策評価を充実させようとすると、外交青書と重複する部分があることは避けられないのではないか。難しいかもしれないが、評価書と外交青書の相互乗り入れはある程度必要なことではないか。現在の外交青書と評価の作成部署、作成過程における関わりにつき承知したい。
●外交青書作成過程において、現時点では、評価書との関連づけは特段されていない。
●国によっては青書と評価書が一本化されているところもあるが、我が国ではそうなっていない。外交政策について評価の観点から作成するのが、現在の外務省政策評価書となっている。ただし、評価書を作成する際に、青書における記述と矛盾が生じないように配慮している。

(ホ)評価と予算との連携

○政策が順調に進展していることがそのまま予算増とはならず、逆に予算の減少を招くことになる可能性があり、予算との連携には難しい問題があると承知している。予算との連携を進めすぎると、かえって評価の持つ柔軟性が失われることになりかねないので注意が必要である。外務省では、どのように予算と評価を関連づけているのか承知したい。
●今回初めての試みとなるが、平成20年度予算要求からの実施に向け、評価と予算の連携につき、現在検討中である。予算書を作っていく上で、各部局がどのような施策を実施しているのか、また、その施策について3年を一つの単位とするPDCAサイクル(Plan(企画)-Do(実施)-Check(評価)-Action(予算要求)の作業サイクル)で見た場合にどのような意味を持つのかを見ることが評価になってくる。また、評価との連携を踏まえた予算書作成にあたっては、予算執行面でのやりやすさについての配慮も必要。評価単位(予算書上の単位)が細かすぎると執行が困難になるため、予算をどのようにくくるか検討している。

(ヘ)成果重視事業

○予算編成における評価の活用事例として、モデル事業(現在の成果重視事業)が展開されていると理解している。外交政策上、数値目標を設定した成果重視事業を設定することは困難ではないか。英国の予算編成は成果事業を施策とする各省庁に財源が包括的に配分され査定権限の大幅な移譲が行われているが、日本においては、財務省側に査定権限がある以上、政策評価と予算編成をどのように関連付けて予算要求するかという考え方を要求側(外務省側)が持たない限り、財務省の査定は現行のままではないか。
●予算と評価の連携が導入される中、相手のある外交政策の評価では定量的な分析が容易でなく、引き続き評価が困難であることは変わらない。どのような解決策があるか、従来検討してきているが、完全な回答は未だ見つかっていない。
●外務省においても、僅かではあるが、在外選挙人登録推進事業等、いくつかの成果重視事業は実施している。

(ト)目標の設定方法

○施策の目標には、長期的な目標と評価を実施する当該年度における短期目標とがあるが、外務省の政策評価では、これらをどのように取り入れているのか。
●外交は単年度では完結せず、目標を設定しにくい状況にある。単年度の目標があればそれについて評価を行うが、殆どの課室が複数年度を意識して政策評価を行っている。

(チ)トップダウンの外交政策

○大臣を始め、政治家が主導して打ち出す外交政策は政策評価の対象となるのか。
○大臣等、外務省の構成員たる政治家が打ち出したことが評価できるかという問題について、直ちにその政策が実施されるとは限らないとは思うが、言葉や演説を武器とする外交の場合、政治家が勝手に言っているだけです、とは言えないのではないか。
●政治主導の外交政策は下からの積み上げと異なり、様々な分野にまたがるものが往々にしてあり、そのような政策を、政策評価においてどう位置づけるかは模索の段階である。
●いずれにしろ、政策評価では、当然のことながら、政治家が打ち出す政策も実際の施策として実施されたものは評価の対象となる。

(リ)平成19年度(平成18年度施策が対象)政策評価実施計画

○現在の評価は、事務事業レベルから施策レベル評価を行う下からの積み上げ方式となっているが、基本目標レベルである上から見た評価と合わせることで企画・立案に活用できるのではないか。また、基本目標I、IIとIII~VIでは、個々の施策とその積み上げの流れの形が異なっている。うまく形を合わせることはできないのか。
●政策評価の対象となる施策は、局レベルや課室レベルで建てており、予算の取りやすさとも関連がある。

(ヌ)評価総括組織(組織のあり方、評価書における所見)

○政策評価の担当組織として評価総括組織に言及があるが、どのような構成で、その責任者は誰になるのか。また、かかる組織の更に上位に位置する幹部との関係はどうなっているのか。来る政策評価書では、評価総括組織の所見を廃止することとなっているが、各施策の評価結果で「進展した」か否かについて段階別判定が行われた後、そのような判定の理由や今後の施策にどのように活かしていくかにつき、第三者による評価や評価総括組織による総合的なレビューではっきりさせる必要があるのではないか。
●評価総括組織は省内の関係各課(考査・政策評価官室、官房総務課、会計課、総政局総務課、総政局政策企画室)で構成されている。政策評価書のとりまとめは考査・政策評価官室で行っているが、組織全体で評価書の作成に取り組んでいる。
●評価総括組織の所見のあり方について、省内で検討していきたい。
●評価総括組織の所見について、平成18年度は技術的な所見に限定したが、平成17年度は各施策の評価内容にまで踏み込んで記述しようとした。また、政策評価書は大臣決裁までとっており、省内では、上層幹部においてもどうすれば評価を役立てられるかとの意識が高いと理解している。

(ル)ODA評価

●外務省では、政策評価よりも長い歴史を有するODA評価に関し、政策評価とどのように関連づけていくかが課題となっている。ODA評価では、有識者会議に全面的に評価を依頼し、出された評価を政策に活用している。
○事業の性格が異なるので、1つのシステムの中で両方の評価(政策評価とODA評価)を実施することはできないだろうが、なるべく関連づけていくことが重要であると考える。

(ヲ)政策評価の用い方(政策説明のための手法と資源管理のための道具)

○外務省の政策の中で、政治的にテーマ性のある政策と地道な二国間関係業務などの事務事業の束をどのように結びつけて評価として活用することができるか検討してはどうか。自治体レベルでは、首長が意識的に自らの打ち出す政策実現のために政策評価を使って、各種事務事業が如何に政策的に行われているかを市民(有権者)に説明すると同時に、資源管理のための道具としても用いている。外務省の政策評価はどちらに力点が置かれているのか。
●評価制度がどこへ向かっていくかという指摘を頂いたと理解するが、中央官庁の視点から見ると、これまでは、資源管理のツールとしての面が強く出ている。

(3)藤原考査・政策評価官より、昨年11月、高松で開催された総務省主催の政策評価フォーラムについて簡単に報告し、同フォーラムで丹羽・総務省審議会(政策評価・独立行政法人評価委員会)委員長が、今後の政策評価の方向性について言及したことを紹介した。

(4)次いで、同フォーラムに出席したアドバイザリー・グループ・メンバーから、「国民参加型評価」というとらえ方をする場合、対象となる「国民」とは誰なのか、「参加型」とは如何なる形式を指すのか、「評価」とは何について評価したこととするのか、という3点に分けて検討する必要がある旨の発言があった。

(5)藤原考査・政策評価官より、未だ確たる方向性とはなっていないが、たとえば審議会のような組織を作って、政策評価についても自己評価から若干距離を置いたものを作ろうとする動きがあるように見受けられる旨発言した。

(6)最後に、藤原考査・政策評価官より、本日のご意見を踏まえ、今後とも外務省の政策評価制度の充実に取り組みたく、一層のご指導をお願いしたい旨述べ、会合を了した。

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