
外務省政策評価アドバイザリー・グループ第五回会合議事概要
1. 日時
平成18年3月8日(水曜日) 14時00分~15時50分
2. 出席者
- (メンバー)
- 添谷芳秀 慶應大学教授、廣瀬克哉 法政大学教授、福田耕治 早稲田大学教授、武藤博己 法政大学教授(敬称略、五十音順)
- (外務省)
- 高橋大臣官房総務課長、山内大臣官房考査・政策評価官事務代理(以下山内事務代理)、石原総合外交政策局政策企画室企画官、市川総合外交政策局総務課首席事務官、吉井経済協力局開発計画課上席専門官、岡崎会計課課長補佐他
3. 議題
(1) 政策評価を巡る動き
- 政策評価に関する新基本方針、ガイドライン(平成17年12月策定)
- 総務省の行う客観性担保評価(平成18年3月中旬公表予定)
(2)平成18年度外務省政策評価書について
- 外務省における政策評価の基本計画
- 平成17年度を対象とした外務省事後評価実施計画
- 政策評価シート(2006年版)及びその考え方
- 今後の作業プロセス
4. 会合経過
(1)冒頭、高橋総務課長より、多忙な中、委員の先生方に来訪頂いたことに謝意を述べると共に、今回の会合の目的は、平成17年度の政策を対象とする評価を行うに際して、改めてアドバイザリー・グループの先生方の意見を頂くために開催したものであること、政策評価における2つの流れである「予算との連携」と「評価の重点化」への対応の中で今後の外務省の政策評価のあり方についてもご意見を頂きたい旨述べた。
(2)また、同課長より、政府金融改革に端を発する海外経済協力の在り方などに関する検討と右を踏まえた外務省の経済協力に関する企画立案機能の強化に向けた動きについて説明した。
(3)最後に、同課長より、前回の会合でメンバーを辞した田所昌幸委員、今回の会合で任期を了する武藤博己委員に対し、当省の政策評価のため頂いた尽力に対する謝意を伝えた。
(4)山内事務代理より、政策評価を巡る動きに関し、平成17年12月に策定された政策評価に関する新基本方針、ガイドラインの概要及び当省の対応について説明した。また、本年3月に公表される予定の、当省の政策評価に関する総務省の客観性担保評価について説明した。
(5)また、山内事務代理より、既に先生方の意見を伺った上で本年2月17日に公表した、外務省における政策評価の基本計画及び平成17年度を対象とした実施計画の概略に関して説明し、双方の計画とも上記4(2)の新基本方針及びガイドラインの重要事項を念頭において策定した旨説明した。
(6)続いて、山内事務代理より、上記4(2)及び(3)を踏まえ、平成17年度を対象とした外務省事後評価の際に使用する政策評価シート(2006年版・案)を検討中であり、以下の主な改善点について説明の上、先生のご意見を賜りたい旨述べた。
(イ)今までは分散して記載されることが多かった「必要性」、「有効性」、「効率性」については明示的に記載する欄を設ける。
(ロ)毎年の評価にメリハリをつけるための試みとして「暫定的な評価」と位置づけるオプションを設ける。
(ハ)施策担当課が「評価の結果」を類型化した端的な表現で表現する方向で検討し、「評価の結果」をわかりやすいものにする。
(7)議題(1)及び議題(2)に関し、高橋総務課長よりメンバーに意見を求め、意見交換を行った。メンバー側からの発言ポイントは次のとおり。
- 総務省の客観性担保評価の内容は、アドバイザリー会合で既に指摘した点が多く含まれるのではないか。
- 政府開発援助の新体制は、官邸―外務省―JICAの三層のレベルからなるが、援助の受け入れ国である各国がどのように評価しているかについても調べた方がよいのではないか。また、各レベルの評価はどうなるのか。
- 「暫定的評価」のオプションを与えると、外交の場合は長期的な取組が必要なものが多いので、施策担当課が「暫定的評価」を選択するケースが多くなり、評価の質が低下するのではないか。
- この「暫定的評価」を巡っては2種類の異なる要請がある。一つは評価の重点化で、重要な施策についてメリハリのある評価を行うことであり、もう一つは施策の節目に評価の重点を移すという要請である。その意味では「暫定的」という用語は誤解が生じやすいし、濫用されやすいので、別の呼称を検討してはどうか、また、ガイダンスをきちんとする必要がある。
- 施策のエンド・ポイントを事前に明示し、その時点を終了したものについて評価することを進めるというように整理してはどうか。その場合濫用を避けるためにエンド・ポイントに関する明確なガイドラインが必要ではないか。
- 「評価の結果」の類型化した示し方について、「目標を達成した。」については、期待していた目標まで進展したという意味であろうが、「目標の達成に向けて進展があった。」については、方向性は良いけれども期待されたところまで進まなかったという意味と考えられる。それを更に「相当な進展」、「(普通の)進展」、「部分的な進展」の3つに細分化する場合、それまでどの位積み上げができていたのか、期待されるものが最低限だとどの位で、最大限だとどの位かを可能な限り明確にする必要があるのではないか。「相当な進展」、「(普通の)進展」、「部分的な進展」の例示を示すことにより、評価を行う施策担当課に相場感を示すのも一案である。
- EUにおいて、紛争予防政策の総合的な評価を実施すべきとの議論があるが、このような省庁横断的な評価を外務省は行わないのか。
- 全体的なコメントを一言述べると、外務省が政策評価を独自の方法で活用しようとしていることは良い方向であると思う。予算への対応に加え、組織の統制の仕組み、政策の管理に政策評価を更に活用することを勧める。
(8)上記意見に関し、高橋総務課長、山内事務代理より対応、考え方を種々説明し、実際の評価プロセスにおいてご指摘を踏まえて対応したい旨述べた。
(9)最後に、山内事務代理より、今後の作業予定に関し説明を行い、次回会合を平成17年度を対象とする政策評価書の公表前、例えば6月を目途に開催することを検討している旨述べた。