
外務省政策評価アドバイザリー・グループ第四回会合議事概要
1. 日時
平成17年7月27日(水曜日) 10時04分~11時52分
2. 出席者
- (メンバー)
- 添谷芳秀、田所昌幸、廣瀬克哉、武藤博己(敬称略、五十音順)
- (外務省)
- 高橋大臣官房総務課長、杵渕大臣官房考査・政策評価官、石原総合外交政策局政策企画室企画官、岡崎会計課課長補佐他
3. 議題
(1)平成16年度政策評価について
(2)平成17年度以降の政策評価について
4. 会合経過
(1)冒頭、高橋総務課長より、アドバイザリー・グループ会合においては、メンバーがそれぞれ多忙な中、外務省の政策評価について貴重な意見をたくさん頂いており非常に感謝している、政策評価は国民への説明責任を全うするという意味で重要性を増していると考えており、14年度以降改善のための努力はしているが、改めて評価の枠組あるいは16年度の個別の政策評価シートについて、更に17年度以降の政策評価の在り方についても意見を頂きたい旨発言した。
(2)杵渕考査・政策評価官より、平成16年度政策評価について説明し、今回の改善点としては、(イ)大きな政策の括りでは、外交政策の場合はほとんど「継続」となることを踏まえ、政策目標を明確にした上で、評価対象の政策とともにその下にある事務事業についても評価を行い、政策の今後の方向性・重点が明らかになるようにしたこと、(ロ)アドバイザリー・グループからの意見を踏まえ、政策に関する投入資源に関する資料を掲載すること、(ハ)第三者の意見を従来よりも明確に記載するよう工夫したこと、(ニ)政策担当部局が作成した評価書に対して評価総括組織としての意見を掲載することとしたこと等がある旨説明した。
(3)平成16年度の政策評価について、高橋総務課長よりメンバーに意見を求め、意見交換を行った。メンバー側からの発言ポイントは次のとおり。
- 評価対象の事務事業は、政策の目的達成手段として取り上げられているとの説明は理解するが、その際の事務事業の大きさにばらつきがあり、いくつかまとめて1つの事務事業にしてもよいようなものもある。地方自治体の場合はほとんど予算要求の切り方で分けているが、そのような考え方も一案ではないか。
- 事務事業の扱いについて、「継続」「拡充強化」といった場合、担当官レベルで考えれば、強化する方向であるということが多いのは理解できるが、予算に反映させるという意味では、どこかを強化するのであれば他のところは削るということが起こっており、財源が限られている状況の中では、資源の配分が移動しているはずであるから、「継続」「拡充強化」ばかりではないはずである。予算への反映を考えると、もう少し積極的に予算をコントロールするという意識があった方が良い。
- 「投入資源」が評価書に入ってきたことは前進である。今後は、限りある資源の中で、どう重点化や絞り込みをするのかの参考資料が出てくるような評価にしていくことが重要。担当部局に、どこに投入資源を増加することができれば、一番政策の効果があがりやすいのかという情報を出してもらうことにすると、外務省としての優先度の判断基準にもなり、有益なのではないか。
- 「人的投入資源」については、主管課(室)の定員とは異なった運用がされ、特に局課横断的に実施している政策等では実際の計算が難しいことは理解できるが、正確ではなくとも、一定の算出方法の下で計算した実際の投入量が分かるようになると、意味があると思われる。
- 外交の場合、1年間で担当課だけの事業として問題を取り扱うことには無理があり、その年の何か特徴的な事項については、別途、組織としての評価、立場を明らかにすることが適当なのではないか。毎年の評価とは別に、長期的なスパンで、省内で議論のあるような問題については、担当部局横断的に評価し、外部からの意見も柔軟に聴き、反省点や今後の改善点を出すことは有益と考える。
- 外交の評価というと、一般には総合的な日本の国としての方向性や目標を期待する。外務省としてのプライオリティー付けや重要な問題については、担当課が評価を下すという話ではなく、総論として議論せざるを得ず、総括部分を工夫していくことが重要である。
- 第三者の意見の部分について、担当課によってとらえ方がバラバラであり、今後どう統一していくかの問題が残っている。また、自己評価に使用した資料に、自省のホームページで掲載されているもののみを書くのは若干違和感がある。
- 評価書は3年目になり充実したと認められるが、これを作成するプロセスが、それぞれの担当部局にとって、毎年の事業の中でプライオリティーの高い重要なものであるという位置づけになっていく必要がある。年度末に評価を書くことを常に意識して年度の事業を進め、目標と達成度を考えることが日常化することは、それが評価の目的でもあるし、政策にも実質的なインパクトが発生すると思われる。
- 地域の評価に関しては、「二国間関係の維持・強化」等の評価となっていることが多いが、相手国との関係構築の重要な節目をどういう形で乗り切るか、という評価の例(インドネシア、フィリピン及びマレーシアとの友好関係の構築)が今回含まれており、地域別の政策領域における1つのモデルと言えるのではないか。
- 外務省の政策の中で、定量化といった観点の評価に比較的適するものとそうでないものが両方存在する。情報を外に出せないことも多い。領事政策や、ODA、国際機関における邦人職員の増加といったものは比較的適すると考えるが、適するものと適さないものとの区別をつけ、場合によっては評価シートの枠組を変える等の工夫ができるのではないか。また、相手方のある領域については、政策評価よりも、外交青書等で国民に対する説明をし、評価においては、資源の配分やその適切さについてのチェックを行う等、役割分担をすることは可能ではないか。
(4)次いで、杵渕考査・政策評価官より、平成17年度以降の評価について、政策評価制度を取り巻く議論を踏まえた上で、評価方式や長期的な評価、基本計画の改定についての検討状況について説明し、意見交換を行った。メンバーからの発言概要は以下のとおり。
- これまでの経験で、評価にはどんな資料がどれだけ必要ということも分かってきているはずであるので、評価のためのデータを集める努力を進めるべき。また、記述が中心であるので、分かりやすさのためにグラフや表を使うなど、工夫の余地がある。
- 国民への説明という観点から本年度の評価書では従来から大きな改善がはかられていると考えるが、更に、問題点を自ら洗い出し、見直しをするという点をこの評価プロセスでより重視していくことが重要である。
- 外務省の政策の中でどこに重点を置いていくかについて、外務省としてのメリハリをつけた見解を示すような評価となることが、今後の課題である。
- 領事事務については、一種のサービスの提供であるので、顧客満足度のようなものも調査し、評価に活用することもできるのではないか。サービスの側面が強いものについては、民間の評価が進んでいるので、活用することもできるのではないか。領事業務は一般国民と一番接点のあるところでもあるので、意義があると考える。
- 評価の質を高めるという観点から、現地での日本外交に対する評価、あるいは相手国がどう受け止めているかといった材料を在外公館から集め、評価のデータとして活用することも必要ではないか。
- 今後の政策評価の方向として、予算・決算との連携強化と、評価の重点化はトレードオフのような関係で、対応が難しい課題であるが、資源配分に寄与する網羅的な評価と、定性的な評価等、説明責任を果たすべき重点テーマを選択的に評価するという二本立てにならざるをえないと考える。前者については、省内の資源配分を担当する部署を評価プロセスに充分関与させていくことが鍵となる。
- 行政事務、就中外交においては効率性の分析は難しいが、投入資源の明示の段階から効率性の評価について可能なものから実施していくことが重要である。
- 予算への結びつきとは区別しつつも、前年度との違い、次年度へのつながりといったダイナミズムをよりはっきりと示していくことについて、更に改善していくことが有益なのではないか。
- 目標設定の際に、複数年度にわたる目標に加え、当該年度の特定の目標・重点を設定して評価を行うことも意味があるのではないか。毎年度、目標を書き換えることが難しい政策もあるが、その場合でも特年年度に、全体の目標とは別の重点領域もあって良いので、二重の書き方をすることによって評価結果がより意味のあるものとなる場合があると考えられる。
(5)高橋総務課長より、メンバーから頂いた意見は、16年度の評価シート及び17年度以降の基本計画を含め、今後の外務省の政策評価に活用していく旨発言があった。