
外務省政策評価アドバイザリー・グループ第三回会合議事概要
1.日時
平成16年10月14日(木曜日) 10時07分から12時07分
2.出席者
- (メンバー)
- 添谷芳秀、田所昌幸、廣瀬克哉、福田耕治(敬称略、五十音順)
- (外務省)
- 高橋大臣官房総務課長、杵渕大臣官房考査・政策評価官、上月大臣官房会計課長、川村総合外交政策局政策企画室長、北沢経済協力局開発計画課企画官他
3.議題
(1)平成15年度政策評価について
(2)平成16年度政策評価の実施計画について
(3)外務省及び実施機関の行うODA評価について
4.会合経過
(1)冒頭、高橋課長より新任の挨拶及び簡単な自己紹介が行われ、外務省の立場を国民に理解してもらうため、色々な形で説明責任を果たさないと外交を展開することが難しい現在、説明責任を果たす一つの客観的な物差しとして、政策評価の重要性が益々増していると考える旨、また、過去に開催されたアドバイザリー・グループ会合においては、外務省の仕事と実務の行政官としての難しさを十分ご理解してもらった上で、政策評価のあるべき姿について貴重な意見をたくさん頂いており、非常に感謝している旨の発言があった。
(2)杵渕考査・政策評価官より、平成15年度政策評価の概要について、事前評価及び事後評価の結果について説明を行った上で、継続する政策が多いという点に評価の枠組みについての改善が必要であることが明らかとなったが、外務省の行っている事業を国民に説明するという役割はこれまで以上に果たすことが出来たのではないかと考えているとの発言があった。
(3)引き続き、杵渕考査・政策評価官より、これまでのアドバイザリー・グループのメンバー等による指摘を受け、平成16年度政策評価においては。
- 評価専担組織の審査を明示的に評価書に書き込むこと、
- 政策評価の対象は、基本計画に規定されている20の基本政策を体系化した政策としつつ、その政策の下において行われる事務事業を必要性、有効性、効率性等の観点からの評価を行って、次年度に強化するのか、縮小するのかといった評価の結果を示すこと、
- また、評価対象政策の目的と目的達成とに向けた手段との関係を明確にした上で検証すること、
- 資源の投入量については「予算額」についての記載を検討すること、
- 評価に使用した資料については、外部の人が見たときそれにアクセスし、資料がどういうものであるか分かりやすくすること、
- 政策評価シートにおいて各局課の評価に関する有識者からのコメントを聴取するように努力すること、
- 評価結果の政策への反映を更に充実させるとともに、重点外交政策の策定等に引き続き活かしていくこと、
- ODA評価に関しては2つの国別援助計画、1つの重点課題につき有識者評価の結果を活用した総合的評価とすること、
等を検討していることにつき説明がなされ、16年度評価にいては、評価結果を次年度の業務にどう活かしていくのかという動きがより明らかなものとなるようにしたい旨の発言があった。
(4)上記説明を受けたメンバーよりの発言概要は次の通り。
(資源の投入量について)
- 評価シートに人員の配置を記載することはできないだろうか。各々の政策に対して配置された人員を記載することは困難であると思われるが、外務省全体としての大きな枠組みの中で、人員の配置について記載する可能性を探っても良いのではないか。例えば、国連の予算書は、人員と予算がどこに配分されているかをかなり意識して作成しているので、参考になるのではないか。
- 事後評価の中で、きちんと説明責任を果たす替わりに、定員等については、これまで以上の裁量権を認めるというように、「説明責任を果たし、政策の必要性に合わせて柔軟に人の適正な配置をしながら、組織運営ができるような方向にもっていくこと」が行政管理の方向性であり、その視点も踏まえていくべきではないか。
(外交政策の分析的評価について)
- 外交政策の実施後、有識者の意見を聴取する際、外交的に見ると重要な成果が得られた場合であっても、その結果は失敗であるという意見が出される場合もあり得る。この場合、相反する意見を並列的に記入することにより、国民が外交政策を評価する際の判断材料として提供できるのではないか。
- 外交政策について、総論及び各論を如何に評価するかも重要である。各論部分については毎年決まった形で評価することで問題ないと思われるが、総論部分については、当該年度における外務省の重点項目を評価し、外務省が特に強調したいことを記載することによって、メリハリのある評価書になるのではないか。
- 外交政策について常に批判されるのは、外務省の宿命であるが、新聞等で明らかにされた批判に対して、外務省の考え方を述べるとか、有識者による反論を提示するといった形の政策的議論を入れることも意味があるのではないか。
- 年度毎の評価に加え、評価の対象となる外交政策を選択し、5年程度のスパンで区切って総合評価を行っても良いのではないか。特に、外交政策では、年度毎の評価と長期的な視点での評価の結果が違ってくる、ということもあるはずである。
- 政策評価には、実績評価的な部分と政策そのものの評価(プログラム評価)的な部分があり、合目的的に分けて制度設計することが必要ではないか。
(5)次いで、北沢企画官より、外務省及び実施機関の行うODA評価については、主として外務省、JICA、JBICが行っており、外務省は基本的に政策、あるいはプログラムレベルに関連する評価、JICA、JBICは基本的に個別のプロジェクトレベルの評価を行っている等の説明がなされた。
(6)上記ODA評価に関する説明に対するメンバーの発言概要は次のとおり。
- ODAは日本外交にとって重要なツールであるのに、評価書にODAの全体像についての記述・評価が欠けているのではないか。
- ODAは、一般的に国民の関心も高く、また、風当たりも強い分野であるので、国民に対する説明責任の観点からも、外交政策上の位置づけについて評価書に明記されるべきである。
(7)次いで、高橋課長より、10月5日に開催された経済財政諮問会議において、「政策評価の充実に向けて」という提言が、非常に強いコスト意識あるいは予算への反映に問題意識を有している民間議員4人からなされたことについての簡単な説明があった。