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外務省政策評価アドバイザリー・グループ第17回会合議事録

1 日時

平成24年7月31日(火曜日) 14時00分~15時10分

2 場所

外務省

3 出席者

(有識者)
添谷 芳秀 慶應義塾大学法学部教授
山田 治徳 早稲田大学大学院教授
(外務省)
細野考査・政策評価官,宮下官房総務課首席事務官,湊官房ODA評価室長,
熊谷総合外交政策局総務課調整官,大石会計課主計室事務官他

4 議題

  1. (1)平成24年度外務省政策評価
  2. (2)平成24年度外務省政策評価事前分析表
  3. (3)その他

5 会合経過

議題1

【外務省】 本年度から目標管理型の評価制度が全省庁的に導入された。今回の評価書が同制度下での最初の評価書となる。評価の対象は施策となるが,そのサブ項目として具体的施策レベル毎に自己評価を行い,それを総合的に検討した上で,施策の評価とした。各施策毎に「施策の概要」「目標」「測定指標」「総括」という構成になっている。
  評価書案の冒頭の総括欄に,20の施策の評価結果を集計しており,「相当な進展があった」が7件,「進展があった」が13件となっている。具体的施策レベルでは56件のうち,「相当な進展」が25件,「進展があった」が28件,「一定の進展があった」が3件となった。相当な進展があったとの評価結果となった施策は,北米地域外交,中南米地域外交,アフリカ地域外交,国際法形成・発展に向けた取組,報道対策・国内広報・IT広報,領事政策,地球規模の諸問題への取組。一方,具体的施策レベルで見た場合,朝鮮半島をめぐる外交,日中,日露の二国間関係については,昨年度に引き続き一定の進展があったとの評価結果となった。
  また,東日本大震災に関連して,特にアジア大洋州諸国,北米諸国との連帯,協力関係を確認することができ,また,風評被害対策で成果をあげたとの評価を行うと共に,引き続き対策を実施する必要があるとしている。
  政策評価アドバイザリー・グループのメンバーの方々からは,評価書案を御覧頂き所見をいただいている。これは,「学識経験を有する者の知見の活用」の欄に記載させて頂いている。ご所見については,来年度の評価書作成の際に活かしていきたい。
 なお,ODAについて,政策評価法の下で行われる政策評価とは別個にODA評価を行っているので,政策評価との違いについて説明したい。

【外務省】 経済協力に関連する外務省の評価には,外務省組織令に基づいて実施する「ODA評価」と,政策評価法に基づき実施する「政策評価」がある。それぞれ根拠法令が異なり,実施体制や手続も別である。
  ODA評価には,外務省が実施する政策レベルのODA評価とJICAが実施するプロジェクト・レベルやプログラム・レベルの評価がある。外務省が実施する政策レベルのODA評価としては,特定の対象国,スキーム,重点課題等について毎年8件程度政策ニーズに基づき選定し,第三者評価の形で実施している。また,JICAがプロジェクト・レベル評価等をJICA法に基づき自己評価あるいは外部評価の形で実施しており,一つのプロジェクト,プログラムについて事前評価,中間評価,終了時評価,事後評価(事業終了後2~3年後)と4回程度評価を行っている。
  一方,政策評価との関連では,政策評価法に基づいて行政機関が実施する政策評価の対象となる施策として,経済協力についても外務省の一施策として政策評価を実施している。その他,10億円以上の個々の無償資金協力案件および150億円以上の個々の有償資金協力案件について事前評価が義務付けられており,また,未了,未着手の個別の無償資金協力案件及び有償資金協力案件について事後評価が義務付けられている。
  なお,ODA評価は,政策評価法上の評価より歴史が古く,日本では1975年に当時のOECF(海外経済協力基金)が個別のプロジェクトの事後評価を行ったのが最初で,外務省でも1981年に国別,重点課題別,スキーム別等の評価を開始し,個々の案件についてもJICAが評価を開始した。評価の基準として,OECD/DACが評価5項目を推奨しており,JICAのプロジェクト・レベルのODA評価については5項目をそのまま採用し,外務省の政策レベルのODA評価ではDAC5項目に準拠した3項目を採用している。ODA評価は,他の援助国や国際機関でも重視されており,途上国の受益者,援助国側の納税者に対して説明責任を果たすという観点から,援助メカニズムの中に評価を組み込んでいる。また,援助については,成果主義が特に1994年~95年頃から唱えられ,JICAでもproject design matrixを作成し,目標や目標の達成程度を測定するための指標(indicator)を設定し,評価文化が根付いてきている。

【有識者】 評価書案について,以前より全般的に良くなったとの総合的な印象を持った。所見を受けた側の感想を承知したい。

【外務省】 評価の専門の方には評価の視点から,また,政策分野の専門の方には各政策の視点から,それぞれ率直な意見を出して頂いた。多様な意見を伺え,バランスの取れたものとなったと考えている。

【有識者】 以前も同じことを申し上げたのだが,施策と具体的施策レベルの評価結果の一覧について,各評価結果は改善(improvement)の観点からのものであり,比較(comparison)の観点からは結果が見えにくいものとなっている。今回の評価結果の一覧を見ると,改善の観点からは良いかもしれないが,比較の視点からは,どの施策も程度の差はあれ「進展」となっており,比較が難しい。評価書とは別としても,各政策の結果を比較して把握できる様な取組,仕組みがあっても良いのではないか。

【外務省】 政策評価法では,評価結果を当該政策に適切に反映させなければならないとあるが,今回の目標管理型の評価の導入により, 頂いた御所見にあるようにPDCAサイクルの中のCheckからActionにつながるものとなると期待。その観点からも,所見の中で御指摘があったように,どのような測定指標を設定するかは重要であり,適切な測定指標を設定できれば,ある程度の比較も行い易くなるのではないかと考える。今回の評価書を作成するに際し,測定指標の設定については,各部局と協議しつつ行ったが,今後も改善の余地はあると認識。
 なお,評価結果を今後の改善に繋げていくとの観点からは,総括欄で「課題」の項目を設けている。また,このようにして評価を行うこと自体が,政策の見直し,改善に資することにもなると考えている。

【有識者】  総括欄で「課題」の項目を設けていることは,課題が来年に繋がるという観点から良い。課題を踏まえて目標の達成を目指すことになるのであるから,課題に示された問題意識が次年度に引き継がれていくことが重要。

【外務省】 外交政策の場合,定量的な指標は外交の一部の面は捉えるかもしれないが,それで全ての面を捉えることは難しいことも多い。そのため,定性的な測定指標による分析も行い,さらにそれを受けて総括で出来る限り全般的な評価を行い,課題と今後の方向性を示している。今後もその内容を充実させるよう努めたい。

【有識者】 目標の設定にあたっての考え方を伺いたい。

【外務省】 評価書の総括の中で,なぜ当該施策が必要なのかという施策の必要性について記述している。加えて,事前分析表で目標の設定の根拠について明記している。

議題2

【外務省】 24年度の事前分析表は,24年度の施策に関するものなので,本来であれば年度当初に公表するものだが,今回は,事前分析表を含む目標管理型の政策評価の導入が3月末に決定されたこともあり,8月中を目処に公表する予定で作業中。来年,この事前分析表を基に25年度の政策評価書を作成することになる。
 事前分析表も対象は施策だが,当省の場合は評価書と同様に具体的施策レベルのサブ項目を設けている。構成は「施策の概要」,「目標」,「測定手段」,「達成手段」となっており,施策,サブ項目としての具体的施策及び「目標」,「測定指標」は基本的に評価書と平仄を揃えたものとなっている。

【有識者】 施策について,資源の有効的な活用との観点から,重点分野を決め,プライオリティを付けることはしないのか。また,どれぐらいの期間で達成できるのかも記載した方が良いのではないか。

【外務省】 施策にプライオリティを付けるのは難しいと考える。また,目標を何年で達成するかについて,記載可能なものは記載しているが,外交の性質上何年までに達成するかを記載するのが難しいものが少なくない。一般的に言えば,短期的には具体的な施策レベルの単位で,中長期的には施策の単位で,目標を考えていくということではないだろうか。

【有識者】 外交の特殊性ということだろうか。ところで,政策評価法が施行(平成14年)されてから政策評価を毎年実施しているのだろうが,施策を継続的に実施した積み重ねとしての成果についての評価は求められていないのか。

【外務省】 積み重ねの評価は,少なくとも法律上求められているということはない。しかし,実績を記載する欄が5年分あるので,この様式の下では,数年経てばある程度積み重ねの結果が見えてくる形になってはいる。

【有識者】 過去5年間の全般的な評価もその時点で行うことが本来は望ましいのだろう。外交政策の場合は,大きく変わりようが無い面もあるのかもしれないが。

【有識者】 有識者の所見の欄について,今回,各施策毎への所見を求められたが,一つの施策でも,例えばアジア大洋州外交であれば,北東アジアがあり,東南アジアがあるように,全く違うものが含まれているのに,一つの所見でまとめるのは難しい面がある。本来はもっと細分化して所見を書くような方式が良かったのではないかと思われる。

【外務省】 従来の評価書では具体的な施策レベル毎に所見を書いて頂いていたが,今回は今般導入された全省統一フォーマットに基づき各施策毎で所見を頂いた。いずれにせよ,評価書の書き方については今後も工夫していきたい。

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