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外務省政策評価アドバイザリー・グループ第16回会合議事録

1 日時

平成24年4月13日(金曜日) 14時00分~14時55分

2 場所

外務省

3 出席者

(有識者)
添谷 芳秀 慶應義塾大学法学部教授
中西 寛 京都大学大学院教授
山田 治徳 早稲田大学大学院教授
(外務省)
細野考査・政策評価官,湊官房ODA評価室長,
中村総合外交政策局政策企画室長,加藤会計課総務室課長補佐他

4 議題

  1. (1)平成24年度政策評価の実施(目標管理型の政策評価の導入)
  2. (2)平成24年度政策評価実施計画の改定および平成25年度政策評価実施計画の作成
  3. (3)その他

5 会合経過

議題1

【外務省】今年度より,目標管理型の政策評価を本格的に導入する予定であり,実績評価方式を用いた政策評価及びあらかじめ設定された目標の達成度合いについて評価する内容を含む,いわゆる「施策」レベルの政策の事後評価を行うことになる。
 改善のポイントとして,事前分析表の導入と評価書の標準様式の導入があげられる。(夫々の概要を説明)。このような各府省共通の標準的な様式の導入により,統一性・一覧性が確保されることとなる。標準的なスケジュールとしては,前年度末から新年度初めにかけて事前分析表を作成し,次の年度に評価書を作成することとなるが,平成24年度については,目標管理型の政策評価の導入が正式に決定されたのが今年の3月であるため,若干変則的に作業を進めることになる。
 事前分析表及び評価書は「施策」毎に書くこととなるが,今まで具体的施策レベルで書いていた内容を新たなフォーマットの中に簡潔に記載することを考えている。また,これまでどおり,施策の効果がどのように表れているかを様々な角度から分析する総合評価方式を使用し,総括欄で様々な角度から中長期的視点や外部要因も含めて総合的な観点から分析を行うよう努めていきたいと考えている。
 これまで当アドバイザリー・グループ会合で短期と中長期の目標の達成状況についての評価を如何に行うかについて,種々のご意見を賜った。今次「目標管理型の政策評価」の導入により,測定指標欄で短期の目標と実績についてより明確に記述することとなり,また,中長期的な視点から見た施策の効果についても,可能なものについては複数年度にわたる施策の進捗状況を記述することとした。また,先程述べたように総括欄では総合的な評価を行うこととしたい。これらにより,短期及び中長期的な施策効果を示すことが可能となり得ると考えている。
 更に,これまで外務省の政策の中で,定量化といった観点の評価に比較的適するものとそうでないものが両方存在するが,評価シートの枠組みを変える等の工夫ができるのではないか,とのご指摘もあった。この点については,新フォーマットの下では数値指標を示す目標値と定性的な目標をそれぞれ示すことができるようになったので,両方の指標の記載が容易になったと考えている。一方で外交政策は定量化に馴染まないものも少なくないことから,定量化評価のあり方を含め,新しい評価制度につき皆様の御意見を伺いたい。

【有識者】目標として二国間の友好関係の促進が掲げられている場合,目標の達成度を評価するには,例えば,相手国の対日好感度や現地での日本の広報効果についての世論調査を活用することができよう。但し,元々親日的でない国である場合,相手側の原因があり親日度が低い可能性も考慮しなければならない。逆に,元々親日度が高い場合,例えば,70%の親日度を80%に上げることは困難かもしれないだろうから,親日度の維持で十分評価に値するだろう。また,評価する際には毎年同じ指標を用いなければ意味がない。さらに,重要なことは,定性的な判断を行った上で,定量的分析を使うのであればよいが,外交の特殊性にかんがみれば,定量的分析は参考資料程度の扱いになるのが適当な場合が多いのではないか。

【有識者】インプット,アウトプット,アウトカムの過程で考えると,満足度のようなものは最終成果であるアウトカムを測る指標となろうが,主観が入ることもあり得る。むしろ中間成果を測る指標の方が重要で,例えばメディアでどれだけ取り上げられたか等が指標として考えられよう。中間成果を如何にして汲み取るか,定量化が可能かどうかを考える必要があろう。例えば,米国の農務省では,農業交渉といった経済的政策の成果を測る際に,どれだけ海外市場を切り開き,米国経済のための機会を創出できたかを評価の指標としている。成果とは何かを考える際に,絶対的な基準はないだろうが,主観的になることがないような指標を設定する必要がある。

【外務省】大臣のスピーチについて,どれくらい現地のメディアで取り上げられたかを調べることはある。スピーチに新聞が反応するように,キャッチ・ワードを盛り込むようにしている。しかし,例えば,本日のように北朝鮮のいわゆる「人工衛星打ち上げ」が注目を集めているような日に,別の政策をアピールしようとしても,メディアに掲載される可能性は低い。偶然に左右されない数値を使用することが望ましいだろうが,難しい面もある。その他,有識者にスピーチについての意見を聞く等して参考としている。

【有識者】評価シートは医療でいえばカルテのようなものであり,指標は体温や血圧の測定等と同様,その役割は限られている。一つの指標で測れることには限りがあり,指標毎に何を見るかということだろう。指標は多過ぎても散漫になり,少な過ぎても限定的になる。

【有識者】インパクト・ファクターとして,要人演説について第三国での報道の状況等について調査をすることはできるだろうが,費用がかかる。また,新聞が気づかなくとも,重要なことはあり得る。なお,現行の外務省の評価シートに「有識者の声」の欄があるが,書類を見ただけで二次評価するのは難しい場合もあろう。また,先程の米国の農務省における評価では,外国での米国産農産物の売り上げを評価指標として用いているが,一方で国務省から見れば農産品の一方的な売り込みが時には良好な二国間関係に悪影響を及ぼし得ることもある。同じ結果について,農務省にとってはプラス評価,国務省にとってはマイナス評価となろう。日本の場合も,協調関係を発展させるという外交目標を考慮した上で,外交的な分析を評価に取り入れる必要があろう。

【有識者】例えば,ODAの供与が,国連等における日本提案の決議に際する被援助国の投票行動にいかに影響を及ぼしたかを見ることは,一つの測定指標となり得よう。但し,その因果関係を厳密に立証するのは難しい点に留意する必要がある。また,最近の事例では,パキスタンでの邦人保護について,日本政府の要請にパキスタン政府が応え,パキスタンの軍用機により邦人の輸送が行われたという事実は,日頃の日本外交の成果だろう。これらは,パフォーマンス・メジャーメントの指標となり得よう。

【外務省】これまで50を越える具体的施策毎に異なる有識者に二次評価を行っていただいていたが,今回から評価対象が20程度の施策に絞られることもあり,いわゆる定点的視点から二次評価を得るとの観点から,アドバイザリー・グループの皆様に一括して二次評価を行っていただくことをお願いしたい。

【有識者】二次評価を行う場合,実際に評価する際の材料を見てみないと分からない面もあろう。

【有識者】中・長期的には現地大使館経由等で海外の識者から意見をもらい,それも含めて日本の有識者が評価するということも検討してはどうか。

【外務省】走りながらではあるが,いろいろと工夫していきたい。原則御了承頂いたということでよろしくお願いしたい。

議題2

【外務省】平成24年度の外務省政策評価実施計画の改定と平成25年度実施計画の作成について説明させていただく。目標管理型の政策評価の導入及び事務事業評価の取り止めを受けて,平成24年度の実施計画を改定し,また,平成25年度の実施計画を作成した。
 主な変更点は,いずれの実施計画も「3 事後評価の方法」の(1)で「事前分析表」を作成するとした点,及び(2)で「事前分析表」における事前の想定を検証するとの事後評価を行うとした点である。事後評価については実績評価方式と併せて総合評価方式による評価を行うことを明記した。

その他

【外務省】
(1)平成15年12月のアドバイザリー・グループの設置当初よりメンバーとしてご活躍いただいた廣瀬法政大学法学部教授が,昨年12月をもってアドバイザリー・グループをご退任された。
(2)次回アドバイザリー・グループ会合は,7月中旬を予定している。

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