在外経理システムの業務・システム見直し方針
2005年(平成17年)6月29日
はじめに
- 本見直し方針は、電子政府構築計画(2003年7月17日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づき在外経理システムの業務・システム見直し方針を定めるものである。
外務省は、省内外からの在外経理の効率化・透明性向上への要請と期待を踏まえ、本見直し方針に沿って、在外経理システムを中心とする在外経理全体の業務・システム最適化について必要な見直しを行い、その最適化に取り組むものとする。
I.対象範囲
- 本方針が対象とする在外経理業務は、在外公館における歳入・歳出の会計経理業務、及び在外公館に属する物品調達業務、物品管理業務並びにこれらに関連する本省の業務とする。
- また、本方針が対象とするシステムは、各在外公館の歳入・歳出に係るデータを電子的に記録、集計し、会計経理業務を支援している「在外経理システム」とする。
II.最適化の基本理念
- 在外経理システムの業務・システムにおいては、下記III.の業務及びシステムの課題を解決するため、次の事項を基本理念として業務及びシステムの最適化を図り、平成19年度より運用を開始する。時間外勤務や休日出勤により、月間勤務時間が250時間以上(サンプリング調査による推定値)となっている在外公館の会計担当者の業務量を平成19年度末までに1割以上削減する。
(1) 在外経理システムのオンライン化(在外公館に対する執行状況調査依頼の削減等)、申請書類(住居手当関連、子女教育関連、赴任帰朝関連等)の電子化、在外公館に対する経理業務に必要な執務参考資料等の情報提供・共有化等、ITを活用して業務の効率化をはかる。
(2) 業務分担の見直しにより業務を再構築する、分散化されている物品調達・管理業務作業を統合する、申請書類や問い合わせについては各自で本省に申請、問い合わせを行うこととする等により、会計担当者による作業を効率化する。
(3) 研修の強化により、会計担当者等のスキルを強化し、業務遂行の迅速性・正確性を向上させる。
(4) 将来の改修に柔軟に対応し得るシステムを実現する。
III.現状及び課題等
- 在外公館では、日本とは言語や使用する通貨、法制度や商習慣などの環境が異なる中で、我が国会計法令に則して迅速かつ正確に会計経理を行うことが求められている。また、各在外公館で管理する物品については、物品管理法等に基づき適切に管理することが求められている。
- しかし、189公館のうち、約75%の在外公館では会計担当者が1名しか配置されておらず、業務を正確かつ迅速に行うにあたって会計担当者に過大な負担がかかっている。また、渡切費予算制度の廃止により、同費が多数の予算科目に振り替えられ、前渡資金として取り扱われることとなり、計算証明など全て本省及び会計検査院への報告が必要となった。このような中、平成16年10月、会計検査院より、在外公館における会計経理業務にかかる是正改善処置要求があり、小切手の振出記録の様式を定め、小切手管理を徹底するなど手続きのより一層の厳格化が求められた。このように、在外公館における会計経理の業務量は増大の一途をたどっている。
- 在外公館からは、在外公館において会計経理業務を担当する出納官吏や会計担当者の負担を軽減し、会計経理及びそれに関連する営繕、現地職員管理等の幅広い範囲の業務を迅速かつ正確に処理できる環境の整備が求められている。
- 在外経理システムは、歳入・歳出の経理業務を各在外公館ごとに処理するために、平成元年より導入され、現行システムは、平成15年度から稼働している。現在、同システムはネットワーク化されておらず、本省と在外公館との在外公館の経理データのやりとりは、光磁気ディスク(MO)によっているため、在外と本省との情報共有に時間を要している。また、在外経理システムの操作方法や帳簿入力の仕方について問い合わせがある場合も確認、対応等に一層の改善の余地がある。また、現行システムは、全在外公館を総合したデータ管理・分析に対応していないため、同システムでは全在外公館における経理状況を把握することができない等の課題があり、より利便性及び保守性に優れ、かつ費用対効果の高いシステムが求められている。
- 物品については、会計経理において必要なデータ(購入日、点数、価格等)を在外経理システムに入力する一方、物品管理において必要なデータ(購入日等異動日、点数、登録、管理換、不用の決定等)を帳簿類に別途記載する、という形で別個に管理しているところ、これらの分散化されている作業の統合、効率化が求められている。
IV.見直し方針
- 在外公館において少人数で過大な業務を処理している会計担当者の業務負担削減を目標として以下を実施する。
月間勤務時間が250時間以上(サンプリング調査による推定値)となっている者の業務量の1割以上の削減を目標とする。
在外経理システムのオンライン化
- 本省及び在外公館のシステムをオンライン化し、各在外公館における最新のデータを本省において常時閲覧出来るようにすることにより、現在、本省から在外公館へ依頼している延べ10数件程度の経理データの調査や本省とのやりとりに要する時間を省略する。
また、本省側で各在外公館の予算の執行・経理状況が随時把握できることにより適正な経理の確保を図る。
業務の再構築・集中緩和
- 業務遂行の迅速性・正確性の向上を図るため、在外公館の会計担当者の業務範囲の見直しを行い、会計担当者への業務の集中を緩和し、迅速かつ正確に処理できる環境を整備する。
- 各種申請書類(住居手当関連、子女教育関連、赴任帰朝関連)を電子化し、手続の簡素化を図る。
- スキル強化・情報提供
- 在外公館において会計経理等の業務に携わる職員に対する研修の内容及び実施頻度の拡充により、スキル強化を図る。
- 在外経理業務処理に必要な情報を在外公館の会計担当者が迅速かつ的確に入手出来るよう、関連情報を整理し、執務参考資料等の配布物をホームページで提供することを更に強化し、一層の共有化を図る。
- 会計経理及びそれに関連する営繕、現地職員管理等幅広い業務範囲の会計経理業務を合理的に処理できるよう、同趣旨の問い合わせ等についてホームページでのFAQ検索を可能とし、在外公館の会計担当者の効率的な業務の遂行を支援する。
- 在外経理業務の現状を踏まえ、システムの利便性と保守性の向上を図りつつ、最適化後に生じる改修をも念頭において柔軟性のあるシステムを構築する。
- 在外経理システムのプログラムのオンライン化による自動更新等により保守作業の省力化を図る。
- 在外公館の経理情報を本省で総合的に集計し、経理データ等につき本省の担当者が各々容易に把握できるようなシステムとする。また、現在、集計する際に別のソフトウェアに改めて入力している現状の重複作業を削減し、効率的な業務処理システムとする。
- 物品調達時に在外経理システムに入力したデータが、同時に必要な帳簿類に登録される物品管理データとして活用し得る効率的な業務処理システムとする。
- 在外経理システムの改良等に要する経費を極力抑えられる柔軟に対応し得るシステムを構築する。
- 在外経理システムのオンライン化については、今後策定予定の外務省ネットワーク最適化との連携を図り、かつ十分なセキュリティを確保するものとする。
- 在外経理システムの業務・システム最適化については、既に策定済みの「物品調達業務の業務・システム最適化」や、「物品管理業務の業務・システム最適化」の内容の中に含ませることが妥当な場合には関係府省と調整を図り最適化を行うものとする。
- 上記のほか、「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」の別添3、「業務・システムの最適化に係る共通見直し指針」を踏まえ、見直しを行う。
V.最適化計画策定
- 本見直し方針を踏まえ、外務省情報化推進委員会の下、「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)」に沿って、外務省は2005年12月末までに在外経理システムの業務・システム最適化計画を策定する。
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