
外務省独立行政法人評価委員会
第1回分科会 概要報告
日時
平成19年8月2日 午後1時30分~午後5時
会場
外務省会議室
出席
- 評価委員:南委員長、井口委員長代理、東田分科会長、縣委員、伊奈委員、上野委員、川上委員、城山委員、建畠委員、手納委員、入江臨時委員
- 外務省:山本広報文化交流部長、中井文化交流課長、藤原評価官
- 基金:小倉理事長(途中退席)、久枝統括役、柳澤企画評価部長、田口経理部長 他
議事次第
- 独立行政法人整理合理化計画をめぐる現状について
- 基金の運営、改革及び課題について(小倉理事長)
- 平成18年度の業務実績の評価について(小項目、中項目、総合評価)
- 第1期中期目標期間の業務実績評価について(中項目、総合評価)
- その他
ポイント
1.独立行政法人整理合理化計画をめぐる現状について
藤原評価官より、5月9日の経済財政諮問会議において独立行政法人整理合理化計画が議論されたことを受け、現在同合理化案の策定にかかる基本方針が「行政減量・効率化有識者会議」において議論されている旨、及び8月中に主務大臣としての案を取り纏める予定である旨述べた。
2.基金の運営、改革及び課題について(小倉理事長)
小倉理事長から、1)基金の使命の再定義、2)厳しいコスト管理と収入増、3)所謂天下り問題、4)お客様志向の4点を中心に基金の運営、改革及び課題が表明された。また、再定義の具体策として、日本語教育の強化、日本研究・知的交流における拠点機関に対する包括的支援、文化芸術交流における国内助成の縮減と平和構築の為の新事業開発等につき述べた。
これに対し、各委員からは、「経費を大幅に増やすことなく海外拠点増を図る工夫の一つとして孔子学院類似の大学連携方式を導入する可能性如何」、「「ゲーテ」「孔子」のような象徴的な名称を基金海外拠点にも付与する予定如何」等の意見が寄せられた。
3.平成18年度の業務実績評価について
(1)議論の結果、小項目(31項目)の評定は、「No.20: 日本語教育の総合的ネットワーク構築、日本語能力試験」にS評定、「No.15-2: 施設・設備の運営」にB評定、右以外の項目はすべてA評定となった。また、中項目(20項目)の評定は、「施設・設備の運営」にB評定、右以外の項目はすべてA評定となった。
(2)討議概要は以下のとおり。
- 職員の計画的配置・研修・人事交流については、組織全体の幹部と1つの事業部門のリーダーの2つの面があり、そのバランスに留意すべきとの意見や、専門性も重視しながら流動性のある制度にすることが望ましいとの意見があった。
- 事業目標等の明確化・外部評価の実施については、委員から有識者評価委員会の役割の再定義・明確化についても、「指摘事項等(案)」に書き込むべき。また、評価結果を組織内部の改善のためにフィードバックすることが重要。その点で、現行の評価項目だけでよいのか検討が必要との意見があった。
- 人事管理のための取り組みについては、人事制度改革を実際に行ったことを評価したい、他方、今後どう効果を上げていくかを見ていく必要があるとの意見があった。
- 施設・設備の運営については、稼働率だけでなく、自前の施設を持つことでどれだけ研修費用に貢献しているかといった、もっとポジティブなレーティングで評価することも考えるべきではないかとの意見や、短期での施設利用の可能性についての検討と、空室のコスト計算が必要との意見があった。
- 日本語教育の総合的ネットワーク構築、日本語能力試験については、JICAとの連携や外部資金導入等の面で非常によくやっているとの意見があった。
- アジア大洋州地域については、日中交流センターによる高校生長期招へい等は成果を上げている。昨年、一昨年は中国に関する記述は少なかったが、18年度は中国に相当取り組んでおり、基金としてはよくやったと評価できる。他方、Aも良い評価である、日中交流センター等、今までにやってなかったことを短期で立ち上げた点を評価するとの意見の他、現在の日中関係の現状において、基金事業を成果(アウトカム)で評価した場合、「中期目標を大幅に超えて達成した」との評価を与えるまでには至らないのではないかとの意見があった。
4.第1期中期目標期間の業務実績評価について
中期目標期間中の各年度の評定を総合した結果、中項目(20項目)の評定は、17項目がA評定、3項目が対象外となった。
5.その他
(1)総合評価について、日本の外交力強化の見地から、世界の中における日本の存在感や評価を高めることが求められる今日、基金の効率化、縮減だけの評価でよいのか、厳しい財政状況下での見直しに際しても、例えば日本語教育は、政府が強化すべき重点項目ではないのかという趣旨を盛り込むべき提案があった。
これに対し、各委員より以下の意見があった。
- 海外における日本語学習者の増加は、増えれば増えるほどわが国にとり「善」であり、「選択と集中」にはなじまない。総量規制とは別枠で人員・経費の投入を図って取り組むべき。アジア向け諸事業も、外交政策の見地から同様の位置付けを与えられるのではないか。
- 基金については、少なくともこれ以上小さくしないというメッセージを当委員会から発しておくことは重要。