省庁共通公開情報

外務省独立行政法人評価委員会
国際交流基金分科会議事概要

1.日時

平成17年7月25日(月曜日)14時~

2.場所

外務省中央庁舎(666号室)

3.出席者

(委員)
東田親司分科会長、南直哉委員長、田中明彦分科会長代理、縣公一郎、川上照男、建畠晢の各委員

(外務省)
近藤誠一大臣官房広報文化交流部長、片山和之大臣官房広報文化交流部文化交流課長、杵渕正己大臣官房考査・政策評価官他

(国際交流基金)
小倉和夫理事長、久保和朗経理部長、吉川竹二企画評価部長

4.議題

(1)平成16年度の国際交流基金の事業実績について

(2)平成16年度財務諸表に関する意見について

(3)平成16年度の業務実績の評価について

5.議事概要

(1)近藤広報文化交流部長より冒頭挨拶

 多大な労力を割いて評価作業を行ってきた各委員に対し謝意を表すと共に、文化交流は成果が見えにくいものであり、ましては外交上どのような意義があったかを測ることには種々の困難を伴い、各委員にも様々なご意見・ご注文があると承知するが、事務局として出来るだけより良い評価となるよう側面から尽力していきたい旨の挨拶があった。

(2)平成16年度の国際交流基金の実績について

(イ)冒頭説明

 小倉理事長より、独立行政法人化の国際交流基金を巡る状況について説明があった。特に、以下の諸点について説明を行った。

(i)国際文化交流を巡る競争の激化:アジアにおける欧米系の文化交流機関との競争が激しくなっていること、また、中国及び韓国の対外文化発信が急速に強化されていること。

(ii)国際文化交流に対する内外のニーズの高まり:日本に対する文化的関心の高まりや海外日本語学習者の増大を背景にした海外ニーズの拡大(これは、基金の助成事業の高い倍率にも示されている)や、国内の多文化共生への対応等を背景とした国内ニーズの拡大について説明。

 続いて、上記のような状況に対応するために、出来るだけの効率化及び効果的な事業の実施に努めているとして以下のような国際交流基金の取組について言及した。

(i)人事改革については、職員の意識を変えて納得してもらわなければ能動的な協力を得られない。役職員給与の効率化については、出来るところから改革を進めている。

(ii)独法化後の機構改革を機に、従来は外務省からの出向者が占めてきた全体を調整するポストである総務部長について、外務省の理解を得て、基金プロパーの人間が務めることとなった。これによって、基金側の自律性が高まると共に、基金側の自己責任も重大となった。

(iii)また、他団体との連携により、出来るだけ低コストで効果の高い事業を実施するように努めている。また、部内公募により新しい型の事業を実施するという、先駆・創造的事業を開始して、職員のインセンティブを刺激している。また、米国債の運用や日本語能力試験の現地経費の現地負担化等による収入増に取り組んでいる。

(iv)外務省と国際交流基金の間のデマケについて、特に海外拠点の強化の観点から、もう一度検討してみたいと考えている。

(ロ)質疑応答

小倉理事長からの説明について、委員との間に以下のような質疑応答が行われた。

(○印は委員より出された質問・意見、●印は小倉理事長の回答)

○日本と欧米各国の間の言語政策上の格差が非常に大きい。日本語教育の体系化のための努力を行うべきではないか。

●日本語教育事業に対する資源投入を強化する必要がある。国際交流基金としてもモデル的な教科書や教授法を作るための努力を行っていきたいと考えている。一方、日本語に関しては、外国人に対しては「日本語」であり、日本人に対しては「国語」であるという外国市場と国内市場の断絶がある。このような意識自体の改革も重要。

○日本学術振興会や日本学術会議とのデマケはどうなっているのか。

●国際交流基金は、対日理解の促進、他の団体は、学術交流の促進を目的とした事業を展開するということでデマケを行っているが、情勢の変化によって区分が難しい事業が存在することは否めない。例えば、日本研究でも対象が細分化してきて、アニメや日本でのプロ野球に特化した研究まである。国際交流基金としては、純粋に学術的な研究ではなく、共同研究やシンポジウム開催のような、ネットワーク構築や交流的な側面の強いものに特化して支援を行いたいと考えている。

○国際文化交流事業に関するデマケの問題は、国際交流基金が単体で考えてすむ問題ではないのではないか。即ち、国際交流基金が単独で一定の「線引き」をしても、他団体が基金自身が行うべきと考えている事業の範疇に入ってくれば、また役割分担がはっきりしないのと同じになってしまう。よって、この問題は日本全体として考えなければならない問題なのではないか。

●ご意見の通りと思われる。基金としてはノウハウの少ない有形文化財の分野から撤退したりと、集中と選択のための努力は進めているが、一方で、国際交流基金の強みは、国際文化交流事業を総合的かつ戦略的に進めることにあるので、その強みを生かす努力は必要であると思う。

(3)平成16年度財務諸表に関する意見について

 国際交流基金の財務諸表は、会計監査人の意見にある通り、独立行政法人会計基準等に準拠して適正に作成されているものと認められ、また会計監査人による監査においても特段の問題はなかったものと認められる旨の発言があった。

(4)平成16年度の業務実績の評価について

(イ)小項目ごとに評定を審議の上、分科会としての評定案を決定した。その際に出された各委員の意見のうち、主なものは以下の通り。

  • 国際交流全体について日本全体としてどのように一元的に推進していくのかにつき、問題点と課題を外務省独立行政法人評価委員会としてコメントしては如何。
  • 予算・収支計画及び資金計画の項目について、国際交流基金と国際協力機構で若干異なるので、統一を図るべき。
  • 特殊法人時代の単年度主義にとらわれて何でも単年度中に執行しなければならないということはない。柔軟に考え、合理化の結果として繰り越しが生じるのであれば、次年度に繰り越して環境が整ったところで執行するなり、他分野の事業に有効に振り向けるなりしたほうがよい。
  • アンケートによる事業の裨益者の評価に関し、ほぼすべてのプログラムで90%が肯定的な評価を行ったのに、一部については、80%以下のものがあるので、なぜ当該プログラムだけ評価が低かったのか、きちんと分析してもらいたい。
  • 研修事業については、定量的な指標の導入のためさらなる努力が必要。
  • 本評価委員会として、海外の類似機関に比べて国際交流基金は海外事務所が少ないということを強調したほうがよい。投入コストと成果も考慮に入れた重点的強化が必要。また、現地の団体との連携についても、どのよう連携をし、どのような成果があるのかを、国・地域別報告でばらばらに記述するのではなく、実績報告でまとめて記述してもらいたい。

(ロ)小項目がSとA双方で構成されている場合の中項目の評定については、Sの数やAの数といった形式面ではなく、実質面から判断されるべきであり、次回の第二回分科会で評定を決定する際に参考とするため、中項目の評定に係る国際交流基金の意見を確認したい旨の要望が委員より出された。

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