1.日時
平成24年8月9日(木曜日) 14時~17時
2.場所
外務省893会議室
3.出席者
(委員)
白石隆分科会長,縣公一郎分科会長代理,井口武雄委員長,青山伸一委員,上子秋生委員,小松浩委員,都丸潤子委員,榛木恵子委員,吉田和浩委員
(オブザーバー)
手納美枝国際交流基金分科会長代理
(外務省)
越川和彦国際協力局長,細野真一大臣官房考査・政策評価官,鈴木量博国際協力局政策課長 他
(JICA)
田中明彦理事長,渡邉正人理事,植澤利次総務部長,山田順一企画部長 他
4.議題
- (1)平成23年度及び第2期中期目標期間における業務実績評価について
- (2)総合評価に盛り込むべきポイント(平成23年度及び第2期中期目標期間)について
5.議事概要
(1)冒頭挨拶
冒頭,田中JICA理事長より,第2期中期目標期間の業務実績の総括と最近の取組に触れつつ挨拶があった。ポイントは以下のとおり。
- 第2期中期目標期間には,緒方前理事長のリーダーシップのもとで旧国際協力銀行(海外経済協力業務)との統合が実現し,新生JICAとして,技術協力,無償資金協力,有償資金協力を一元的に実施する体制が確立された。統合から3年半を経て着任し,組織・人事・事業のいずれの面においても一体的な運営が定着していることを実感している。
- 統合とともに設立された研究所も,開発援助の実施機関としての強みをいかした研究を実施する体制が整えられ,着実に成果を発信してきた。
- 第2期中期目標期間を通じて,行革の指摘事項についても着実に実行してきており,今後も先手先手で改革を行っていく。
- 東日本大震災を経て,JICA事業を通じて途上国で培われてきた知見は国内の活力強化にも寄与することが再認識されており,JOCV事業や市民参加,民間連携に向けた取組も拡充していく所存である。
- 第3期中期目標期間は,世界最大規模の二国間援助機関として平和の構築,市場の拡大,知識の向上,友情の輪の拡大に寄与する「元気の出る援助」を掲げ,プロアクティブな自己改革に努めつつ,国際社会と国民の負託にこたえるODA事業の実施に取り組んで参りたい。
- また,JICAに蓄積された援助の知見の体系化と発信を通じて,事業構想力・情報発信力を強化し,国民の理解促進,国内外の多様なアクターとの協働に引き続き取り組むとともに,一層の効率化に向けた不断の努力も継続していく所存である。
(2)平成23年度及び第2期中期目標期間における業務実績評価
冒頭,細野大臣官房考査・政策評価官より「独立行政法人整理合理化計画」を踏まえ,例年同様,7月10日から24日までの間,国際協力機構の「平成23年度業務実績報告書」及び「第2期中期目標期間事業報告」について,外務省ホームページで意見募集を行い,更にツイッター等での周知を行ったが,寄せられた意見はなかった旨報告。
- (イ)部会活動報告(コンプライアンス部会)
青山委員よりコンプライアンス部会の活動及び部会評価コメントについて,報告・説明が行われた。 - (ロ)評定概要
評定について審議した結果,分科会の第一次案として,平成23年度小項目(32項目)は,ロが12項目,ハが17項目,対象外が3項目,平成23年度中項目(23項目)は,ロが9項目,ハが12項目,対象外が2項目,第2期中期目標期間中項目(23項目)は,イが2項目,ロが6項目,ハが13項目,対象外が2項目となった。 - (ハ)審議における委員からの主なコメント
- コンプライアンス部会では,公益法人に対する支出について確認しており,今後,行革実行本部においても重視していく課題と認識しているところ,今後もコンプライアンス部会として注視していきたい。
- 経費の効率化について,人件費の削減がモラールの欠如や人材の流出に繋がらないよう配慮されるべき。
- 有償資金協力について, 迅速化について進捗が見られることや,既存のスキームを基に新制度の導入や改善に積極的に取り組んだことを評価したい。
- 無償資金協力について,東日本大震災直後から,タイの洪水対策支援をはじめ,各国における防災対策の支援に積極的に取り組んだことを評価したい。
- 海外移住について,移住者自体の数は減っているが,海外から来日する日系人に対する福祉政策は重要であり,引き続きご配慮いただきたい。
- 調査及び研究について,研究所設立から短期間で高い研究業績を生み出した精力的な活動を評価したい。政策に反映され,かつ他国のモデルとなるような研究成果の発現を期待する。
- 人事に関する計画について,統合を経て,統合効果を発揮するための人事制度を整備してきたことは評価できるが,統合後,3つのスキームに対応しうる人材の育成計画が明確ではない印象を持つ。業務のパフォーマンスを高めるための人事政策及び人事面での努力を期待したい。
(3)総合評価に盛り込むべきポイント(平成23年度及び第2期中期目標期間)
総合評価に盛り込むべきポイントに関し,事務局作成の資料を基に行った議論を踏まえ,第2回分科会までに事務局にて一案作成の上,各委員の意見聴取を行うこととした。委員からの主なコメントは以下のとおり。
- 契約における競争性の確保についてはこれまでの取組により一定程度達成されていることも踏まえ,「契約の適正性確保のため」としては如何か。全ての契約を競争性のある契約に移せばよい,というものではなく,随意契約がふさわしいものについては適正に取り組んで頂きたい。
- 各スキームの相乗効果の発揮については,組織機構の側面だけでなく,人材育成も含む人事面についても取り組んでいく必要があることについて言及した方が良い。
- 効果的な事業の実施のため,民間企業の期待に応える取組を強化するとともに,民間の資源・ノウハウを活用していく工夫が求められる。
- 「政策対話」は非常に重要であるが,被援助国の政権交代による影響がないように実施している政策対話もあれば,トップの交代による,ネガティブな影響が懸念されるものもある。政治的リーダーの交代も想定した政策対話の仕組みを考慮すべき。
(4)最後に,白石分科会長より,長時間にわたる審議への協力に感謝する旨述べ,閉会した。