1.日時
平成22年8月3日 14時~17時30分
2.場所
外務省666会議室
3.出席者
- (委員)
- 外務省独立行政法人評価委員会JICA分科会(第1回)・事業効果部会 議事概要
- (外務省)
- 外務省独立行政法人評価委員会JICA分科会(第1回)・事業効果部会 議事概要
- (JICA)
- 緒方貞子理事長、粗信仁理事、渡邉正人総務部長、岡村邦夫企画部長他
4.議題
- (1) 平成21年度業務実績の総括
- (2) 各部会活動報告(コンプライアンス部会、事業効果部会)
- (3) 平成21年度業務実績評価
5.議事概要
- (1) 平成21年度業務実績の総括
緒方JICA理事長より、21年度業務実績の総括及びJICAに対する内外からの期待に応えるべく進めている最近の取組及び今後の課題について説明が行われた。ポイントは以下のとおり。
- 昨年秋の民主党政権発足以来「アフガニスタンに対して5年間で総額50億ドルの支援」「TICAD IVの公約を踏まえたアフリカ支援の継続」という政府方針が示されており、JICAも右方針の下、事業に取り組んでいる。アフガニスタン支援については、7月末にはカルザイ大統領との今年に入って3回目の会談を行ったが、カブール首都圏開発と農業支援を最重要分野として進めることを説明し、大統領からは強い期待が表明された。カブール首都圏開発は、市街地だけでなく、新首都圏となる予定の北方の開発を含み、道路、水、農林業支援を包括的に進める計画であり、米国、ドイツ、フランスも関心を示している。
- TICAD IVを踏まえたアフリカ支援についても順調に進めており、アフリカ諸国の強い要望により、運輸分野にて、国境を越える物流のためのワンストップボーダーポストの取り組みを、円借款や無償資金協力によるインフラ建設と技術協力による人材育成等を組み合わせて実施している。国境を越える物流が改善されることでアフリカの経済が拡大し、いずれは自らの努力により発展することが期待される。幅の広い目的・手法による日本のODAに対し、アフリカからは高い評価を受けている。
- アジア支援に関しては、中国、韓国、マレーシアやインドネシア等の新興国との間でパートナーを組み、後発国への支援に取り組んでいる。昨年12月には李克強副主席と情報交換し、中国によるアフリカ支援に関して国際的な協調への道を促した。
- アフリカ各国では、アジアの発展における日本の役割、特に日本の科学技術教育に高い期待が表わされており、様々な要望が寄せられている。エジプトでは、2006年にナジフ首相等を訪問し「日本型の質の高い科学技術大学を作りたい」との強い要請を受け、「エジプト日本科学技術大学」を設立、支援を開始した。本事業は日本の12大学の協力を得て準備を進めてきたもの。エジプト政府としては、アジアの経験を活かした科学技術分野の開発取組事例として、本大学を北アフリカ、アフリカ全土に拡げていきたいという意図が表明されている。
- 以上のように、現場における事業実施の成果は上げているが、国内においては、ODA予算の縮減など厳しい環境があり、ODA予算増に向けては政府とともに検討するとともに、そのため、組織業務運営の改善、強化を図り国民の理解と支持を確保していく所存。
- ODAは様々な形で実施しているが、「慈善活動」ではなく、世界と共に共存、繁栄していくための「手段」である。先般外務大臣より発表された「ODAのあり方に関する検討」では、JICAに大きな役割と責任が与えられたと理解しており、その期待に応えるためにも、事業の見直し、迅速化、効率化を図る必要がある。
- (2)各部会活動報告(コンプライアンス部会、事業効果部会)
青山委員よりコンプライアンス部会の活動について、勝間専門委員より事業効果部会の活動について、報告・説明が行われた。
- (3)平成21年度業務実績評価
冒頭、麻妻官房考査・政策評価官より、独立行政法人の業績評価に当たって、業務・マネジメント等に係る国民の意見募集を行い、その結果を評価に適切に反映させるべく、21年度JICA業務実績報告書に対するパブリックコメントを外務省ホームページにて募集したが、寄せられたコメントはなかった旨報告。
- (イ)小項目(30目)の評定
評定について審議した結果、分科会の第一次案として、イが1項目、ロが5項目、ハが22項目、対象外が2項目となった。審議における委員からの主なコメントは以下のとおり。
- 組織運営の機動性向上に関し、統合後の組織体制の定着に向けた取組を継続することを期待する。
- 事務手続きの効率化について、「随意契約等見直し計画」の達成に向け、競争性のない随意契約のさらなる見直しや一者応札・一者応募についての改善を図るとともに、競争性のない随意契約については契約監視委員会によるその妥当性の検証を着実に実施すべきである。さらなる説明責任を果たすべく、関連公益法人との契約を含め、入札・契約の適正化及び透明性向上については、見直し、改善に不断に取り組むことが求められる。
- 機構の職員の給与水準について、職務限定制度のさらなる活用、勤務地限定制度の着実な実施による指数の低下に引続き取り組むべきである。
- 統合効果の発揮に関し、資金協力事業の迅速な開始に向けた取組を継続し、今後は、全体的な達成状況を具体的に説明することが期待される。
- 環境社会配慮について、新環境社会配慮ガイドラインの策定プロセス及びその内容を高く評価するが、今後、新ガイドラインを適切に運用し、その効果を具体的に説明することが求められる。
- 研修員受入事業については、プログラム・アプローチの推進を通じた一層の開発効果の向上への取組を進め、事後評価等を通じて帰国後の研修員を着実にフォローアップし、その開発効果について成果の確認が求められる。
- ボランティア事業の具体的な効果を十分説明して国民の理解を得られるよう努めるとともに、ボランティア経験者による社会還元活動を引続き促進することを期待する。
- 研究所は、我が国のODAの成果や優れたアプローチの学術的な検証を通じて、開発現場で新たに直面する課題の解決に向けた知見を提供し、JICAの事業遂行における基礎的な機能を担うとともに、研究成果の対外発信を通じて世界の開発潮流をリードしていくことが求められている。
- 重要な財産の譲渡等の計画について、適切な処分計画を立てつつ、処分に向け一層の努力を行うことを期待する。
- (ロ)中項目(21項目)の評定
小項目評定の結果をもとに審議し、イが1項目、ロが2項目、ハが17項目、対象外が1項目となった。なお、異なる評定の小項目から構成されるNo.4(事業に関する横断的事項)、No.8(国民等の協力活動)については、構成する小項目の各委員の評定を考慮して判断した結果、前者はハ、後者はロ評定となった。
- (ハ)総合評価
総合評価に盛り込むべきポイントに関し、事務局作成の資料を基に行った議論を踏まえ、第2回分科会までに事務局にて一案作成の上、各委員の意見聴取を行うこととした。
- (イ)小項目(30目)の評定
- (4)最後に、井口分科会長より、長時間にわたる審議への協力に感謝する旨の挨拶があった。