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外務省独立行政法人評価委員会
国際協力機構第2回分科会議事概要

1.日時

平成18年8月11日(金曜日)14時30分~15時40分

2.場所

外務省中央庁舎(893号室)

3.出席者

(委員)
井口武雄分科会長、南直哉委員長、縣公一郎、浦田秀次郎、川上照男、山崎唯司、渡邉紹裕の各委員

(外務省)
深田博史国際協力局審議官、上村司同局政策課長、和田充弘同局無償資金・技術協力課長、藤原直大臣官房考査・政策評価官他

(国際協力機構)
緒方貞子理事長、黒木雅文理事、粗信仁総務部長、大部一秋企画・調整部長他

4.議題

(1)緒方JICA理事長挨拶

(2)役職員の給与等の水準について

(3)中期目標期間の業務実績に関する暫定評価

(4)平成17年度業務実績の評価

(5)平成17年度財務諸表に関する意見について

(6)組織・業務全般の見直しについて

5.議事概要

(1)緒方JICA理事長挨拶

(イ)緒方理事長より評価委員に対し謝意が表明されるとともに、概要以下のとおり発言があった。

  • 理事長就任以来JICA改革に取り組んできたところであり、18年度はこの「仕上げの年」と考えている。これまでの改革努力は、質、スピード、効率性の面において着実に成果を上げていると実感した。一方、援助の現場は物事が簡単に進まない途上国であり、すぐには結果が出ないこともあり、よりよい仕事をするためにはどうしても手間がかかる。そのため、人員を含め一定の体制を確保する必要性も痛感している。
  • 平成20年度に技術協力と資金協力を一元的に担うODA実施機関を発足させるという新しい課題が政府から示され、重く受け止めている。その準備作業は相当なボリュームであり、今後さらに忙しくなる見込み。平成20年に向けては、この統合作業をきちんと仕上げていくことが一番の課題となろう。
  • ODA予算の削減にも頭を悩ませている。財政事情が厳しいことは十分認識しており、効率的な事業実施に努めていくが、人と人を結ぶ技術協力は手間隙がかかる事業である。必要な要素を削らず、質を低下させることなく、成果を上げていくことは重い課題。効率化、効果の向上は悩みながら取り組んでいくことになるが、今後とも本委員会からのご助言をお願いしたい。

(ロ)委員長より、JICAの要望を反映する機会はあるのかとの質問があったのに対し、緒方理事長より、概要以下のとおり発言があった。

  • JICAとしての要望は多くあり、機会もあるが、反映されることは難しい部分もあると感じている。今回の7月のアフリカ出張を通じ、相手国の能力強化や他の援助国等との協調等に適切に対応するための人員等がまだまだ不足しており、きちんと必要な人員を確保し配しできるようにする必要性を強く感じている。
  • また、ルワンダ等不安定な情勢の下で協力を行うことは派遣する人員の安全管理面等の難しさもあるが、迅速な支援を立ち上げるため早い出足の協力を可能とする体制等の必要性を感じている。

(ハ)また、委員長より、国際協力に関する理解の浸透について、教育現場では相当程度進んでいるが、国民全体となるともう一歩であると感じており、JICAの事業の効果をうまく表現して国民に伝えていくことも期待したいとの発言があった。

(2)役職員の給与等の水準について

 役職員の給与等の水準について、総務省作成報道資料等を基に議論したところ、概要以下のとおり。(○:委員発言、●:JICA発言。以下同様。)

●独立行政法人化後、職階、給与制度の見直し、また人事評価と給与の連動など人事制度の改革を行い、17年度のラスパイレス指数は16年度比で約2ポイント低下し、着実に改善されている。JICA職員については、勤務地が大都市に集中していること、高学歴の職員が多いことが国家公務員と異なり、これらを補正したラスパイレス指数も前年度より1ポイント低下して112.4である。依然として改善が必要との指摘はあるものと考えており、今後とも、具体的な計画をもって取り組んでいく。

○JICAのラスパイレス指数が限りなく100に近づくべきとは思わない。国家公務員との比較指標には、指定職の国家公務員が含まれていないこともある。他方で、なぜ他の独立行政法人よりも高い給与水準にあるのか、理由を明確に説明すべきである。

○開発途上地域を含めて転勤が頻繁にあることが、ラスパイレス指数にどのような影響を及ぼすのか。

●生活及び勤務環境が厳しい途上国勤務を前提として、外国語を駆使して交渉を行う等高い能力を備えた人材を確保する上では、国家公務員より若干高い給与水準についてもある程度説明できるのではないかと考えている。

(3)中期目標期間の業務実績に関する暫定評価

 第1回分科会の議論を踏まえつつ、評価案について議論を行った。

(イ)業務運営の効率化の項目について、以下の議論を踏まえ、施設・設備に関する次期中期目標期間に向けた課題について、自己収入増加に関する記述を削除することとなった。

○自己収入の増加について、本来業務との両立も含めて、具体的な方策はあるのか。

●JICAは国の予算によるODA事業を実施する機関であり、他の法人と性格を異にする。自己収入の途は限られているが、例えば、国内施設について、本来業務である研修員の宿泊を阻害しない範囲で市民団体の利用に供する等、限定的な可能性を検討することになろう。

○「財務内容の改善に関する事項」において自己収入の増加に関する記述があり、施設、設備に特定して記述する必要はないのではないか。

(ロ)調査及び研究業務について、概要以下の議論があった。

○調査及び研究は事業の基盤をなす重要な業務であり、附帯業務として位置付けられていることは適当ではない。

○現行JICA法の規定に基づくものであるため、本評価において修正はしないが、JICA法改正の際はこの点を見直すことを検討すべきである。

(4)平成17年度の業務実績の評価

(イ)項目別評価シート(小項目評定)

 34の小項目に関し、第1回分科会でSが2項目、Aが29項目、対象外が3項目という評定結果となっていたところ、第2回分科会においては、第1回分科会の議論を踏まえて作成された「評定の決定理由及び指摘事項等」の記述について確認を行った。

(ロ)項目別評定表(中項目評定)

 異なる評定(S、A)の小項目から構成されるNo.7(国民等の協力活動)については、国際協力機構の意見も参考にしつつ、A評定とすることとした。

(ハ)総合評価(業務実績全体、大項目)

 総合評価案に関し、事前に各委員から出されたコメントに関して説明があり、分科会としての評価を確認した。

(5)平成17年度財務諸表に関する意見について

 井口分科会長より、平成17年度財務諸表に関する評価委員会の意見につき、第1回分科会での議論を基に事務局が意見書案を取り纏めた旨を説明し、同意見書案に対する意見を求めたが、委員より異議は無かった。結果、独立行政法人国際協力機構から平成18年6月30日付けで外務大臣に提出された平成17事業年度財務諸表を承認することについて異存ない旨の意見書案が合意された。

(6)組織・業務全般の見直しについて

 事務局より、中期目標期間の業務実績に関する暫定評価案を基に作成されたポイント案に関する説明が行われた。その際、JICAについては、新JICA発足までの期間、現行中期目標期間を延長するべく調整中であるが、本件見直しについては本年度に前倒しで実施することになった旨補足説明があった。 委員より特段コメントはなく、本件見直しのポイント案が了承された。

(7)最後に、井口分科会長より、これで分科会としての評価案をとりまとめることができた、御協力に感謝する旨の挨拶があった。

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