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外務省独立行政法人評価委員会
国際協力機構分科会議事概要

1.日時

平成17年7月22日(金曜日)9時~

2.場所

外務省中央庁舎(666号室)

3.出席者

(委員)
井口武雄分科会長、南直哉委員長、西尾隆分科会長代理、縣公一郎、伊藤るり、浦田秀次郎、川上照男、城山英明、山崎唯司、渡邉紹裕の各委員

(外務省)
広瀬哲樹経済協力局審議官、植澤利次経済協力局技術協力課長、杵渕正己大臣官房考査・政策評価官他

(国際協力機構)
緒方貞子理事長、小島誠二理事、粗信仁総務部長他

4.議題

(1)平成16年度の国際協力機構の事業実績について

(2)平成16年度財務諸表に関する意見について

(3)平成16年度の業務実績の評価について

5.議事概要

(1)広瀬経済協力局審議官より冒頭挨拶

 多大な労力を割いて評価作業を行ってきた各委員に対し謝意を表すとともに、評価委員会による評価活動は独立行政法人の業務運営、組織体制等の適正性の維持、改善のために重要であり、事務局としても評価委員の尽力をより良いJICA事業の推進につなげていくために一層の努力をしていきたい旨の挨拶があった。

(2)国際協力機構の平成16年度業務実績について

(イ)冒頭説明

 緒方理事長より、国際協力機構の平成16年度業務実績について概要以下のとおり説明を行った。

(i)平成16年度は「JICA改革プラン」を実行に移す年であったところ、職員が目的意識を共有し、基本的には順調な業務実績であったと認識している。現状に満足せず、引き続き改革を推進していく所存である。

(ii)今年3月には、「現場主義」を国内事業にも浸透、徹底させるため、国内事業の改革、国内機関の再編からなる改革第2弾を発表。国内機関については、基本的には各機関とも適切に活用されていると認識しているが、全体として最適な機能と体制となるよう再編を図るとの方針を打ち出したもの。

(iii)業務の効率化と同時に事業の「質」を高め「効果」をあげていくことが重要と認識。世界の貧困問題をはじめJICAが取り組むべき開発課題は多様化しており、国内、在外ともに業務量が増加の一途をたどっている。このため、事務合理化を重要課題と位置づけ、取組みを開始している。

(iv)中期計画で定められた人件費、人員数のなかでやっているが、もっときめの細かい仕事をするためには人手が足りないというのが実感であり、次期中期計画の作成にあたっては是非とも評価委員会の皆様のご配慮、アドバイスをいただきたい。

(v)この一年、アフリカ、ベトナム、カンボジア、タイ、インドネシア等を訪問したが、「現場強化」をJICA改革の柱に掲げて努力している中、訪れた先々で、事務所の職員がこれまで以上に、より現場のニーズに合った案件を発掘するという意識をもって業務に取り組んでおり、こうした意識の変化に手応えを感じている。

(vi)アジアでは、貧困層のニーズへ協力の焦点を当てること、また、タイなど援助のパートナーになろうという国に対してどのような具体的行動をもって取り進めていくかを考える必要がある。

(vii)16年度にJICAとして過去最大のオペレーションを行ったスマトラ沖地震・津波災害に関しては、迅速かつシステマティックに活動した。先日、アチェの現場を確認したが、今後復旧、復興の時を迎え、インドネシア側の体制も整備されつつある印象。

(viii)アフリカは、その膨大な開発ニーズに鑑みJICAとしても積極的な取り組みを行っている。政府のODA政策の重要課題である「平和構築支援」分野の協力については、今後スーダンが大きな課題となるが、ルワンダのように自ら援助を必要とする一方で他国に貢献を始めている国もあり、各国の事情に応じ検討を進める必要がある。

(ix)JICAは、これまで厳しい業務環境の下でアフガニスタンの復興支援のための協力を実施してきたところであるが、同国が中長期的な開発計画作りを進める中で、引き続き支援が必要。

(x)パレスチナについては、イスラエルのガザ撤退という動きを受けて、支援事業を実施に移す体制の整備が課題。

(xi)イラクに対しては、これまで、本邦及び第三国での研修を通じて人材育成支援を行ってきたところであるが、今後、治安状況を見据えながら、同国の無償資金協力事業を支援する実施体制の強化を工夫していかなければならないと考えている。

(ロ)質疑応答

緒方理事長からの説明について、委員との間に以下のような質疑応答が行われた。

(○印は委員より出された質問・意見、●印は緒方理事長の回答)

○地方自治体等においても国際協力は行われており、JICAの国内機関とはどのような関係にあるのか。

●JICAの国内事業の特徴としては、大きく研修員受入れ事業と、ボランティア派遣の募集・帰国後のフォローの二つがある。ボランティアの経験の還流やネットワークもJICAの特徴といえる。さらに、大学との連携を推進する目的から、帯広畜産大学、北海道大学と連携協力協定を締結し、大学との連携も進めている。今後は、市民参加事業に関する情報や方針作成機能を広尾に集中し、他のセンターとの機能分担を整理する予定。

○各国内機関の利用度についてどのように考えているのか。今後の人員増との関係についても伺いたい。

●各施設の研修事業の内容を整理する必要がある。各センターの特色を出すことによって、研修員の受入を平準化し、利用率の向上に努めていきたい。各機関の利用状況を見直した結果、活用されていない施設は存在しなかったが、八王子を閉鎖し、研修員受入については幡ヶ谷、市民参加事業については広尾に移すこととした。国内事業を拡大するつもりはなく、在外強化が最優先の課題と考えている。

○国内事業に関しては、地域の人々やNGOとのコラボレーションを一層進めてほしい。また、JICA側も地域のNGOの事業に協力・アドバイスできるところはお願いしたい。わが国のNGOについて外国のNGOと比べてどの様に認識しているのか。

●各国内機関については、それぞれの役割を整理中である。わが国のNGOは外国に比べ規模的に小さいので、外国で活動を行う際にもJICAが支援する体制が必要で、そのためにもJICAがNGOのリーダーとさらに綿密なコミュニケーションを図ることが望まれる。

○業務軽量化と人員増は重要な課題と認識している。政府の定員管理といった制約もあろうが、こうした負の影響についても具体例をメッセージとして伝えていただくことも必要であろう。

●ナショナルスタッフやコンサルタントを含めた比較は困難な面もあるが、JICA職員一人当たりの予算額は他ドナーよりも大きい。こうした負担を補うべく、ナショナルスタッフの質的向上が課題と認識している。また、中堅も含め現場の視点を持った職員の育成が不可欠となっており、増員との効果を比較した上で進めていきたい。

(3)平成16年度財務諸表に関する意見について

 国際協力機構の財務諸表は、会計監査人の意見にある通り、独立行政法人会計基準等に準拠して適正に作成されているものと認められ、また会計監査人による監査においても特段の問題はなかったものと認められる旨の発言があった。

(4)平成16年度の業務実績の評価について

(イ)小項目ごとに評定を審議の上、No.1(在外強化と機動的組織運営)及びNo.23(災害援助等協力事業)を除き、分科会としての評定案を決定した。その際に出された各委員の意見のうち、主なものは以下の通り。

  • No.1(在外強化と機動的組織運営)について、取組の成果についても見極めるべきではないか。
  • No.6(効果的事業の実施)について、取組の効果の発現についても確認する必要があるのではないか。また、国際協力銀行との連携についても、更なる促進を期待する。
  • No.8(情報公開、広報の充実及び知見の公開)のうち、一般国民向けの広報をより積極的に行うべきではないか。
  • No.12(客観的で体系的な評価)について、評価に要するコストについて留意するとともに、国民の説明責任の観点からより分かりやすい説明に努めるべきである。
  • No.13(現地人材、民間等の活用による効果的・効率的事業実施)について、現地人材の活用は在外強化との連動という文脈で捉えるべきである。
  • No.21(開発教育支援)について、資源の適正配分の観点からも、当該業務の適正規模についても留意するべきである。
  • No.23(災害援助等協力事業の迅速、効果的・効率的実施)について、スマトラ沖地震津波災害という不幸な災害への対応はよくやって当然ではないか。
  • No.30(施設・設備に関する計画)の国内機関のあり方の見直しに関し、各機関による業務実施において如何なる特性を発揮することができるかという点や、施設の閉鎖に伴うコストについて、更なる説明を求めたい。
  • No.32(常勤職員数と人件費総額)について、職員の現在の給与水準が適切なレベルにあるか否かの判断は難しい。
  • No.34(各年度の業績評価と業務運営への反映)について、業績評価の予算への反映について検討することが望ましい。

(ロ)構成する小項目の評定がAとBで混在している中項目No.2(業務運営全体の効率化)については、中項目の評定に係る国際協力機構の意見をも参考に、次回分科会でAの数やBの数といった形式面ではなく、実質面から判断して評定を決定することとなった。

(ハ)総合評価については、盛り込むべきポイントについて各委員から出された意見を基に、次回分科会でまとめることとなった。

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