1.日時
平成24年6月4日(月曜日) 14時00分から16時15分
2.場所
外務省中央庁舎6階669号室
3.出席者
- (委員・専門委員)
- 青山伸一委員,上子秋生委員,出雲明子専門委員(以上コンプライアンス部会委員)手納美枝委員(オブザーバー参加)
- (外務省)
- 細野考査・政策評価官,徳永考査・政策評価官室首席事務官,高橋広報文化交流部文化交流課首席事務官,大場国際協力局政策課首席事務官,他
- (国際交流基金)
- 下山経理部長,大嶋監査室長,古屋総務部次長,他
- (国際協力機構)
- 井倉総務部次長,木野本財務部次長,越知調達部次長,他
4.議題
- (1)今年度評価プロセスにおいて部会がおこなう作業の流れについて
- (2)総務省政策評価・独立行政法人評価委員会「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」の説明
- (3)平成23年度業務実績報告書における「評価のポイント」関連項目について
- (4)契約監視委員会における平成23年度契約の点検状況について
- (5)【国際協力機構のみ】平成23年度財務諸表について
- (6)連絡事項
5.議事概要
(1)青山部会長の議事進行により,まず事務局から,今年度評価プロセスにおいて部会が行う作業について,基本的に昨年と同じ流れ(ア 評価対象は部会の「評価のポイント」に該当する業績報告の各小項目とする,イ 評定を付さず評価コメントのみ作成する,ウ 年度評価のみ扱う)とすることを確認した後,総務省政策評価・独立行政法人評価委員会「平成23年度業務実績評価の具体的取組について」の概要を説明した。
つづいて,国際交流基金及び国際協力機構から,平成23年度業務実績報告書におけるコンプライアンス部会「評価のポイント」に該当する小項目の報告予定内容(骨子)及び契約監視委員会による契約点検状況と点検結果を踏まえた改善措置等について報告を行い,質疑応答を行った。
また,国際協力機構の平成23事業年度財務諸表(5月31日に国際協力機構より外務大臣に対し提出ずみ)について,青山部会長より,評価委員会における意見聴取(※)に先立ってコンプライアンス部会において検討を行い,その結果を評価委に報告することとしたい旨述べ,国際協力機構からの説明及び質疑応答を経て,青山部会長より,同財務諸表につき部会として特段の意見はない旨,事務局を通じ評価委員会へ報告することを確認した。
※国際協力機構の平成23年度財務諸表については,政令(国際協力機構法施行令)に基づき,7月10日までに国庫納付金を納付する必要があることから,6月末までに納付に先立ち国庫納付金の計算の基礎を明らかにした書類(財務諸表)の外務大臣による承認が必要となるため,6月下旬までに評価委員会における意見聴取が行われる予定。
(2)委員からの主な質問・指摘事項(【回答】は独法による説明)
ア 国際交流基金
(ア)平成23事業年度業務実績報告書における「評価のポイント」関連項目について
- 中期目標期間最終年度である平成23年度業績の特徴として,特に,運営費交付金債務と欠損金の相殺状況について現状などを説明願いたい。
- 【回答】
- 平成22年度までに生じている繰越欠損金と独法会計基準に従って中期目標期間最終年度(H23)末で精算収益化する運営費交付金債務と相殺することにより欠損金額が減少するが,キャッシュフローを伴わない繰越欠損金との相殺により,現実には平成24年度以降,現金が留保されることとなる可能性がある。運営費交付金債務残高より繰越欠損金の額の方が大きいので,政令に基づき7月10日までに国庫納付すべき積立金はゼロとなるが,現実に留保されることとなる現金には,不要財産として国庫納付する必要があるものが含まれる可能性があるので,その点について精査し,ご報告することとしたい。
(イ)契約監視委員会における平成23年度契約の点検状況について
- (契約監視委員会では,契約全404件中,委員による抽出案件を中心に24件を精査したとの説明を受けて,)全ての契約形態のサンプルを精査できるような形で選ばれているのか。
- 【回答】
- 全ての契約についてリストを提出して確認頂き,契約状況全般について説明した上で,契約形態毎にサンプルが出るような形で抽出頂いている。
- 随意契約等の見直し,競争入札への移行が順調に推移していることを評価したい。「真に随意契約によらざるを得ない」とされた契約についても,同じ業者と契約する中で経験を積むことによるコストダウン,つまり希望契約金額の低下があるはずである。随意契約の契約金額の硬直化を避けるため,予定価格を如何に設定するかなど,その辺りはどのように取り組んでいるか。
- 【回答】
- 国際交流基金の事業の特性と言えるが,個別のアーティストへの出演依頼や芸術品の借用などは毎年同じものを繰り返す訳にはいかず,繰り返し契約することによるコスト削減が難しい面がある。但し,1つのものを巡回公演といった形で活用するなどの効率化は図っている。また,随意契約であっても,前例を踏襲するのではなく,価格の適正化を常に課題として意識している。事業の特性上,いわゆる相場が存在しない案件もあるのが難しいところではあるが,各契約においてどの程度の金額で何ができるのか,引き続き常にアンテナを張って情報収集に努めていきたい。
- ここ5-6年で企業におけるコスト構造は大きく変化していると思う。構造的なコスト減も常に注視し,契約金額へ反映していく必要がある。
イ 国際協力機構
(ア) 契約監視委員会における平成23年度契約の点検状況について
- (外部有識者委員会での検討も踏まえ,総合評価落札方式の導入に向けたアクションプランの策定を予定しているとの説明を受けて,)同プランについて説明願いたい。
- 【回答】
- コンサルタント等契約における応募・選定・契約・管理の各段階毎に,課題と取組を整理したものであり,現在組織横断的に詳細を詰めているところ。例えば応募段階では,(当該業務のコスト見積もり時に必要な)現地情報を収集する難しさが先行業者有利の一因となっている点を踏まえ,当方にて現地情報を収集・提供することや,業務指示の曖昧さを排するような取組を,また管理段階であれば,案件実施に際しての各種のリスクについて事業者と当方のより公平・公正な役割分担を整理し公開する,などの対応策を想定している。
- (JICAから説明があった研修委託契約に関する契約監視委員会からの指摘事項のうち,「経費水準の妥当性の検討など応募者を増やす工夫を検討すべき」との点について,)研修委託契約金額が安価すぎることが競争性の阻害要因となっているという指摘があったということだが,ワーキングプアではないが,仕事を取れば取るほど赤字となるという状況が現実として増えつつある中,一理ある指摘である。
- 契約後の成果の評価指標について,回を重ねる毎に工夫がなされていると思うが,状況如何。
- 【回答】
- 例えばコンサルタント契約において,評価基準を客観的かつ細分化して行おうとする程,評価結果が平準化し,努力内容如何に関わらず同じような評価結果が出てしまうといった弊害が生じているケースもある。この点については業者側からも懸念が示されており,当方としても方法を見直していく必要があると考えている。
(イ) 平成23事業年度財務諸表
- 過去の部会でも話題となったセグメント情報を充実させる件について,現在の検討状況如何。
- 【回答】
- 第3期中期目標期間の初年度である平成24年度以降,新しい中期計画を踏まえたより分かりやすいものとすべく検討中。
(これに対し委員より,「検討状況については今後も随時説明願いたい」との要請があった。)
- 中期目標期間最終年度末であるH23年度末で精算収益化した運営費交付金債務について,内訳や背景の検討結果如何。
- 【回答】
- 運営費交付金債務には,人件費の残額累積の他,中期目標期間をまたぐ形での契約の前渡金を認識する必要があることから経過勘定として計上しているものが含まれる。後者については,東日本大震災の影響で運営費交付金が減額される可能性や,特例公債法案の国会審議状況を睨みつつ事業計画を立てる必要があったため,多くの事業の開始が年度後半にずれ込まざるを得ず,一定の額の前渡金が経過勘定として残る結果となってしまった現状がある。また,年度中に事業を実施できなかったことによる運営費交付金債務については,治安上の理由や相手側の負担事項の不履行によるものが多く,次期中期目標期間への繰り越しについて財務当局と調整予定である。
(これに対し委員より,「前渡金は第2期中期目標期間中にすでに現金で支払っているものであり,この点は独法会計基準の不備ともいえるが,仮に運営費交付金債務の繰り越しが認められなければ,その分欠損金となってしまうと思われる」との指摘があった。)
- 独法会計基準に則り,不要財産として国庫納付予定の大阪国際センターの土地・建物・構築物の減損を認識し,簿価を回収可能サービス価額まで減額しているとのことだが,建物と土地の取得価額を教示願いたい。(後日,回答)